桂文樂音源データ

厄払い−1

1.TS-02602A4

2.1963.2,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし

3.17:57

4.V.JV-88(初出),JV-225,JV-1287,JL-263,SJV-6547,(VCK-893)

5.出囃子 野崎

えー、相変わらず、エーッ、馬鹿馬鹿しい事を申し上げてお暇(しま)を頂戴を致します。落語の方では馬鹿が、ァーッ、立役者でございまして。えー、お古いお話しに親子三人の馬鹿というのがございます。弟の馬鹿が夜ンなると、屋根へ上がりまして棒を持って振り回しております。これを兄貴が見ておりまして「何してんだい」「兄ちゃんかい。ェヘ今ね、上でぴかぴか光ってる、のをこの棒で取ろうてんだ」「そんな短いもんで、取れるかいもう一本継なげ」これを親父が見ておりまして「何してんだァ」「お父っつぁんかい。今ねぇ、兄ちゃんと二人で上でぴかぴか光ってんの、この棒で取ろうてんだ」「馬鹿それが取れるか」「お父っつぁんあァ何だい」「雨の振る穴だ」これが親子三人の馬鹿でございます。「ェェーッ、婆さん来ましたよ。えーうちで小言を言うもんだからね、あいつはびくびくして入(へえ)って来やがん。どうした」「ァッフフ、ェッヘヘ」「笑ってやがん。お前はねぇ何にもすないで遊(あす)んでるてやがん」「エヘヘッ、何やっても上手くいかねぇからね、そいから遊(あす)んでます。伯父さんの前だけど遊(あす)んでる方が楽でいいや」「当り前(めぇ)だ。お袋がここへ来て今まで涙こぼしてたぞ」「ウフフ、色男になりたくねぇや」「何が色男になりたくねぇん」「エヘヘ、女を泣かして」「馬鹿ッ。お袋を泣かして喜んでる奴があるかいおい。お袋の言うには、何をさしても出来ませんから仕方がございませんから遊(あす)ばしておきます、そんなこっちゃしようがありませんよォ。何かその商売でもやって見ようて気は無いのかい」「エヘヘー商売するには、えー、元手がいるだろっ」「生意気な事言いなさんな。元手のいるような商売でお前なンすぐ損をしちまうじゃねぇ。元手のいらない商売な、教(おせ)えてやるからやってみな」「アハハッ、元手のいらない商売って、どんな商売だい」「厄払いに行くんだ」「あぁ厄払いか。厄払いての伯父さん儲かるかね」……

6.

7.V.JL-263 DISC COPY

8.

厄払い−2

1.TS-02596C1

2.1966.12.17(1967.1.1),TBS,TBSホール,「文樂初笑い」

3.16:29

4.CS.SOGZ-36(初出),YP.(CR18-28)

5.出囃子 野崎

一杯のお運びでございまして、有難く、ァッ、御礼を申し上げます。(カット)て相変わらず、馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、お暇(しま)を頂戴を致します。風邪声でございまして、お聞き苦しい所は幾重にも、ォーッ、お詫びを願っておきます。(パン)十人十色なんてぇ事を言いますが百人が百人みな、(ポン)お顔形が変わっております。それに基づいてお気合いてぇものが変わりまして。(ポン)「えーっ、婆さん来ましたよ。あいつはうちで小言を言うもんだからね、びくびくして入(へえ)って来やがん。どうした」「エヘヘッ、エヘヘヘッ」「笑ってやがん。お前は何にもしねえで遊(あす)んでるてじゃねぇ」「エヘヘッ、エヘッ、エヘッ何かやってもね、損するからね、ェヘね何にもしない方が、楽でいいや」「何言ってやんだ馬鹿ッ。今までここォ、お袋が来て涙こぼしてたぞ」「ゥフン、色男になりたくねえや」「何が色男になりたくねえんだ」「エヘッ、女を泣かして」「馬鹿ッ。お袋を泣かして喜んでる奴があるかいおい。(ポン)お袋の言うには何をさしても出来ませんから仕方がございませんから遊(あす)ばしときます。そんなこっちゃしょうがありませんよっ。何かその商売でもやって見ィようてぇ気は無いのかい」「商売するには、元手がいるだ」「生意気な事を言いなさんな。元手のいるような商売で、お前なんぞはすぐ損をしちまうじゃねも元手のいらないな、商売を教えてィやるからやってみな」「エヘヘ元手のいらない商売って、えーどんな商売だい」「(ポン)厄払いに行くんだ」「あァ厄払いか。厄払いての伯父さん儲かるかね」……

6.風邪声と言っているが、そう聞こえない。(カット)のところで、明らかに「間へ挟まり  まして」をカットしてある。

7.CS.SOGZ-36 DISC COPY

8.良い時期の録音、与太郎の笑いは文字にしにくいので困る。

厄払い−3

1.TS-02526B1

2.1968.2.2,TBS,「まわり舞台」

3.17:42

4.なし

5.出囃子 野崎

えー、毎回の、ァッ、お運びでございまして、えー、有難く、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、ェッお暇(しま)を頂戴を致します。十人十色なんてぇ事を言いますが落語の方では、馬鹿が大立てもんとなっております「ェェーッ、婆さん来ましたよ。ええ、うちで小言を言うもんだからね、あいつはびくびくして入(へえ)って来やがん。どうした」「ァッハハ、ェッヘヘヘ」「笑ってやがん。(ポン)お前はねぇ、何にもしねぇで遊(あす)んでるてじゃねぇ」「エヘヘッ、エヘヘヘッ、今ね、何をやっても、上手くいかねぇからね、そいから遊(あす)んでます。伯父さんの前だけどねぇ、遊(あす)んでる方が楽でいい」「当り前(めぇ)だ。お袋がここへ来て今まで涙こぼしてたぞ」「ウフフ、色男になりたくねぇ」「(ポン)何が色男になりたくねぇん」「エヘヘ、女を泣かして」「馬鹿ッ。(ポン)お袋を泣かして喜んでる奴があるかいお袋の言うには何をさしても出来ませんから、仕方がございませんから遊(あす)ばしときます、そんなこっちゃしょうがありませんよお前さん何かその商売でもやって見ようてぇ気は無いのかい」「えー商売するには、えー、元手がいるだろう」「生意気な事を言いなさんな。元手のいるような商売で、お前なンすぐ損をしちまうじゃねぇ。元手のいらないな、商売教(おせ)えてやるからやってみな」「ウンフフ、ンフッ元手のいらない商売って、どんな商売だい」「厄払いに行くんだ」「あぁ厄払いか。厄払いての伯父さん儲かるかね」……

6.録音データは不確かなのだが、「まわり舞台」の録音を所持していて、「桂文樂その世界」  で再放送の際『間へ挟まりまして』の復活の為差替えた様に記憶している。

7.TBS R 桂文樂その世界 放送録音 1973.12.30

8.冬場にしか、演じなかった噺なので集めれば毎年一本ずつの「厄払い」が並びそうな気が  する。文樂師匠の与太郎は決して上手くなく、丸で子供そのままだ。

厄払い−4

1.TS-02726D2

2.1968.1.7,TBS,人形町末廣,「日曜寄席」

3.16:39

4.なし

5.出囃子 野崎

ようこその、お運びでございまして、有難く、ァッ、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相、相変わらず、ゥーッ、馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、お暇(しま)を頂戴を致します。落語の方では馬鹿が、(ポン)もう大立てもんでございまして「エェーッ、婆さん来ましたよ。えー、うちで小言を言うもんだからね、えへっうちィ来る時、びくびくして入(へえ)って来やがん。どうした」「アッハハッ、エヘヘヘッ」「笑ってやがん。お前は何にもしねえで遊(あす)んでるてじゃねぇ」「エッヘ、何やっても上手くいかねぇからね、そいから遊(あす)んでます。伯父さんの前たけどねぇ、遊(あす)んでる方が楽でいい」「当り前(めえ)だ。お袋がここィ来て今まで涙こぼしてたぞ」「ゥフフン、色男になりたくねえや」「何が色男になりたくねえんだ」(ポン)「エヘヘッ、女を泣かして」「馬鹿ッ。お袋を喜、おい泣かして喜んでる奴があるか、どうも呆れたねぇどうも。何かその商売でもやって見ようてぇ気は無いのかい」「えー商売するには、えー元手がいるだろ」「生意気な事を言いなさんな。元手のいるような商売したんじゃ、お前なんぞはすぐ損をしちまうじゃねぇ、元手のいらないな、商売を教(おせ)えてやるからやってみな」「ンッフフフッ元手の、いらない商売って、どんな商売だい」「厄払いに行くんだ」「あぁ厄払いか。(ポン)厄払いての伯父さん儲かるかね」……

6.人形町末廣からの生中継。

7.TBS TV 三樂オーシャン日曜寄席 放送録音 野口氏ライブラリー

8.無難だが絶好調ではなく、結構突っ掛かっている。

厄払い−5

1.TS-02807C2

2.1959.12.7,TBS

3.14:52

4.なし

5.出囃子 野崎

えー、ェーッ、ようこその、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、ウーッ、馬鹿馬鹿しい事を申し上げてお暇(しま)を頂戴を致します。十人十色なんてぇ事を言いますが百人が百人みな、(パン)お顔形が変わっております。それに基づいてお気合いてぇものが変わりまして。「ぇぇーっ、婆さん来ましたよ。ヵあいつはねぇ、うちで小言を言うもんだからね、びくびくして入(へえ)って来やがん。どうした」「ァッハハ、ァッフフ」「笑ってやがん。お前は何にもしねぇで遊(あす)んでるてじゃねぇ」「エヘ何やっても上手くいかねぇからね、そいから遊(あす)んでます。伯父さんの前だけど遊(あす)んでる方が楽だ」「当り前(めぇ)だ。お袋がここへ来て今まで涙こぼしてたぞ」「ウフフ、色男になりたくねぇ」「何が色男になりたくねぇん」「エヘヘ、女を泣かして」「馬鹿ッ。お袋を泣かして喜んでる奴があるかいおい。お袋の言うには何をさしても出来ませんから、仕方がございませんから遊(あす)ばしときます、そんなこっちゃしようがありませんよ、何かその商売でもやって見ようてぇ気は無いのかい」「ぇ商売するには、元手がいるだろう」「生意気な事言いなさんな。元手のいるような商売でお前なンすぐ損をしちまうじゃねぇ。元手のな、いらない商売教(おせ)えてやるからやってみな」「ウフフ元手のいらない商売って、どんな商売だい」「厄払いに行くんだ」「あぁ厄払いか。(ポン)厄払いての伯父さん儲かるかね」……

6.口調が速くて喉手術前の録音なのだが、晩年の文樂師をそのままテンポアップした感じで  ある。

7.TBS R 早起き名人会 放送録音 1984.1.28

8.喉手術前とは思えない声で、明るくて楽しい高座である。

厄払い−6

1.TS-02892B3

2.1967.1.2,TBS,人形町末廣(?)

3.15:43

4.なし

5.出囃子 野崎

えー、ェッ、新年おめでとうこざいます。本年も相変わらず、ァッ、どうぞお引立ての程を願っておきます。落語の方は大抵みな、御馴染みでございまして、相変わらず馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、お暇(しま)を頂戴を致します。十人十色なんてぇ事を言いますが百人が百人みな、お顔形が変わっております。それに基づいてお気合いてぇものが変わりまして。「えぇーっ婆さん来ましたよ。えー、うちで小言を言うもんだからね、あいつはびくびくして入(へえ)って来やがん。どうした」「エッヘヘッ、エッヘヘヘヘ」「笑ってやがん。お前はねぇ何にもしねえで遊(あす)んでるって言うじゃ」「エッヘ何やっても上手くいかねぇからね、そいから遊(あす)んでます。伯父さんの前たけど遊(あす)んでる方が楽でいい」「当り前(めえ)だ。お袋が今までここィ来て、涙こぼしてたぞ」「ゥッフフン、ン色男になりたくねぇ」「何が色男になりたくねえんだ」「エッヘェ、女を泣かして」「馬鹿ッ。お袋を泣かして喜んでる奴があるかよう。お袋の言うには何をさしても出来ませんから仕方がございませんから遊(あす)ばしときます、そんなこっちゃしょうがありませんよ。何かその商売でもやって見ようてぇ気は無いのかい」「ェ商売するには、えー元手がいるだろ」「生意気な事を言いなさんな。元手のいるような商売なんお前なんすぐ損しちまうじゃねぇ、元手のいらない商売な、教(おせ)えてやるからやってみな」「アッハハッ元手のいらない商売って、えーどんな商売だい」「厄払いに行くんだ」「あァ厄払いか。(ポン)厄払いての伯父さん儲かるかね」……

6.正月の初席の録音で人形町末廣か鈴本演芸場からの生中継のようである。

7.TBS TV 放送録音 野口氏ライブラリー

8.良い時期の出来の良い録音。

厄払い−7

1.TS-12669A2

2.TBS,不明

3.14:53

4.無し

5.出囃子 野崎

一杯のお運びでございまして、有難く、ァッ、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、ェッお暇(しま)を頂戴を致します。十人十色なんてぇ事を言いますが百人が百人みな、お顔形が変わっております。(ポン)それに基づいてお気合いてぇものが変わりまして。「エェーッ、婆さん来ましたよ。ゥーうちで小言を言うもんだからね、あいつはびくびくして入(へえ)って来やがん。どうした」「アッハハ、エッヘヘ」「笑ってやがん。お前はねぇ何にもしねえで遊(あす)んでるてじゃねぇ」「エヘッ何かやっても上手くいかねぇからね、すいから遊(あす)んでます。伯父さんの前だけどねぇ、遊(あす)んでる方が楽でいい」「当たり前(めえ)だ。お袋がここィ来て今まで涙こぼしてたぞ」「ゥフン、色男になりたくねえ」「何が色男になりたくねえんだ」「エヘヘ、女を泣かして」「馬鹿ッ。お袋を泣かして喜んでる奴があるかい。お袋の言うには、何をさしても出来ませんから仕方がございませんから遊(あす)ばしときます。そんなこっちゃしょうがありませんよっ。何かその商売でもやって見ィようてぇ気は無いのかい」「えー商売するには、えー元手がいるだろ」「生意気な事を言いなさんな。元手のいるような商売じゃお前なんぞはすぐ損しちまうじゃねぇ。元手のいらないな、商売を教えてやるからやってみな」「ァッハハ元手のいらない商売って、どんな商売だい」「厄払いに行くんだ」「あァ厄払いか。厄払いての伯父さん儲かるかね」……

6.録音日は不明だが、TBSのTVの録音。

7.TBS TV 放送録音 岩田氏ライブラリー

8.

厄払い・解説

与太郎と言う人物くらい、噺家によって様々に変化する人物もいないだろう。当代の小さん師の与太郎は本当に涎を垂らして口をポカーンと開いているボーッとした与太郎だし、当代の柳好の与太郎は本人の言う通り日陰でボーッと育ってしまった与太郎だし、志ん生師の与太郎は甚兵衛さんと紙一重の存在だし、圓生師の与太郎はどう見ても馬鹿には見えなかったし、志ん朝師の与太郎はそそっかしい与太郎、と言った具合に噺家の持ち味で色々に変化するのが実に面白い。では文樂師の与太郎はと言うとこれが全く子供そのものなのである。悪戯好きな悪ガキと言った人物である。『酢豆腐』や『やかん泥』の与太郎もそう言った描き方になっている。しかし、誰が演じても愛すべき人物になっており、それ故『大立者』と言われるのではなかろうか。さて、『厄払い』であるが、文樂師の噺の中で『やかん泥』と共に与太郎さんが主人公であり、前述の様に文樂師の与太郎が最も楽しめる噺である。いわゆる言い立ての面白さの噺であると思うのだが、しかし、旧暦から新暦への変化、更に厄払いと言う人物の消滅によって噺の土台が無くなってしまった今、面白い噺でありながら今後は演じにくくなる噺であることは間違いない。

時代設定:電気が通じていることから明治・大正時代であろう。

舞台:与太郎の伯父さん宅、往来、万屋の向いの家。

登場人物:与太郎(25歳)、伯父さん、婆さん(伯母さん)、もう払った家の女、商売人の     厄払い、万屋の向いの家の旦那夫婦(蚤の夫婦)、万屋の向いの家の番頭、万屋の     向いの家の小僧定吉他数名。

ベストテイク:「厄払い…2、…3、…6」いずれも良い出来。

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