桂文樂音源データ
鰻の幇間−1
1.TS-02602A1
2.1962.10,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし
3.21:46
4.V.JV-78(初出),JV-199,JV-1284,JL-260,SJV-6544,VFC-5205,VCK-515(CT),KVF-4705(CT),
VCK-894(CT),VDR-5168(CD),VDR-21011(CD),VICG-15079(CD)
5.出囃子 野崎
えー、ェッ、相変わらず、ゥッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。なに商売でも一つの営業となりますと、これがやさしいという商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、(キリキリ)何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは御婦人の事でございますから、どっかまた楽なとこがございますな。『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇ事を言いますが野だいこてぇのがございます。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっております。もう人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころのように、なれなれしくこういうところ扇を当てまして「ようよう、アハッ、よう。すごい」なんてんで。手前の方がよっぽどすごい位のもんで。お客様を魚にたとえてあるそうで。お宅へ行って引張り出すのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。途中でお客様に逃げられたりなんかすると「あァしまった、釣り落とした」なんてんで酷い奴があるもんで。「ウーどうも岡釣りも楽じゃァないね。だいち魚が出て来ない不景気だな。えー、こういう魔日てぇ奴があるもん、長い月日だ商売の煩いてぇ、おおホおい、案ずる事はない魚が出て来やがン、粋な人だなァ、ハァハァー兜町の人だな。なりのこしらえが違わァ。どうだい安くない上布ですねぇ、いい帯を締めてますねぇどうアーッとアー自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたねぇ。えー、こ、お、おい、また出て来たよ……
6.
7.V.JL-260 DISC COPY
8.
鰻の幇間−2
1.TS-02594C1
2.1967.5.19(1967.6.16),TBS,朝日生命ホール,「まわり舞台第16回」
付:対談、桂文樂・山本文郎アナ
3.21:26,対談 6:16
4.CS.SOGZ-32(初出),15AG-220,SKJZ-17(CT),30KG-144(CT),YP.CR18-41(CT)
5.出囃子 野崎
えー、ェッ、毎回の、ォーッお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、ォーッお笑いを申し上げる事に致します。しかし何になりましても一つの営業となりますと、エーッこれがやさしいという商売はございません(ポン)とりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは、(ポン)御婦人の事でございますからまった、どっかその楽なところがございます。ハァどうもアー、「エヘン」てばもう灰吹きを出しちまう。(パチン)「どうも具合が悪いなどうも」「只今」ってン医者を呼んで来て。医者がひょいっと首をかしげる。もう、オーッ、葬儀社の方ィ、そんなに早かない。そりゃ、ァーェーッ、何商売でも本当に、その道ィ入ります、ゥーどこそこで誰なんと言われるようなたいこもちになるには大変でございます。野だいこてぇなァございます。こういうのはそのどこと、あてどもなくさまよっております。もう人の顔さえ見りゃ(ポン)もう百年も可愛がられた狆ころのよう。なれなれしくこういうところ扇をあてまして「ようよう、アハッ、よう、凄い」なんてんで。手前の方がよっぽど凄い位のもんで。(パン)お客様をさ、魚にたとえてあるそうで、お宅ィ行って引張りだすのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。(ポン)途中でお客様ィ逃げられたりなんかすると「あァしまった。釣り落とした」なんてんで酷い奴があるもんで。「(カサカサ)どうも暑いね。えー、もう岡釣りも楽じゃないね第一魚が出て来ない。不景気だな、えー、海が荒れてる、長い月日だ商売の煩いてぇ奴だよ。こ、オッ、おーエヘヘ案ずることはねえ魚が出て来やがっ、粋な人だなァ。ハアハァー、兜町の人だな。(ポン)なりのこしらえが違わァ、どうだい安くない上布ですねぇ。(ポン)いい帯を締めてますねぇ。エヘ、アハ、アーッとォ、ア自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたねあちらてぇものは、おいまた出て来たよおい……
対談=山本アナ「ここで文樂師匠にちょっとお話しを伺って見たいと思いますどうぞ。 (拍手)師匠、まこれから、だんだん暑くなりますとね」文樂「えっ」山「鰻の厄日のこの土用の日なども参りますし」文「そうですな、えっ」山「ま落語の方にも、鰻が、色々なお噺に登場して参りますね」文「えーそうです。えー、あたくしも鰻は好きでございましてね」……鰻をつかんだ話〜秩父宮御殿場慰問の笑い話
6.
7.CS.SOGZ-32 DISC COPY
8.1967年当時の比較的のった高座である。
鰻の幇間−3
1.TS-02603B1
2.1964.5.31,東宝演芸場,東宝名人会
3.19:51
4.東宝.AX-0089(初出),AP.KSZ-2022(CT)
5.出囃子 野崎
一杯の、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。で相変わらず、ハァ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。しかし何になりましても一つの営業となりますと、これがやさしいという商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは、御婦人のことでございますからどっか(ポン)また楽なとこがございますな。『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇ事を言いますが野だいこてぇのがございます。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっております。もう人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころのように、なれなれしくこういうところ扇を当てまして「ようよう、アハッ、よう。すごい」なんてんで、手前の方がよっぽどすごい位のもんで。お客様を魚にたとえてあるそうで。お宅へ行って引張り出すのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。途中でお客様に逃げられたりなんかすると「あァしまった、釣り落とした」した酷(しど)い奴があるもんで。「どうも暑いねどうもこう暑くちゃしょうがない、だいち魚が出て来ない不景気だな。えー、う、あ、おォホおい、案ずる事はねぇ魚が出て来やがっ、粋な人だなあァ、ハァハァー兜町の人だな(ポン)。なりのこしらえが違わァどうだい安くない上布ですねぇ、いい帯を締めてますねぇどうアーッとアー自動乗っちゃった。すっと乗りましたねぇあちら、お、おい、また出て来たよホホ……
6.
7.東宝.AX-0089 DISC COPY
8.東宝名人会のこの日の客は余り良くないようだ。
鰻の幇間−4
1.TS-02517B1
2.1967.9.24,TBS,人形町末廣,「三楽オーシャン日曜寄席」
3.21:15
4.なし
5.出囃子 野崎(収録の時点でカットされている)
ようこその、ハァお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。しかし何になりましても一つの営業となりますと、(ポン)これがやさしいという商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。(ポン)芸者衆の方もなかなか難しいてますこれは御婦人のことでございますから、どっかまた楽なところがございます。『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇ事を言いますが野だいこてぇなァございます。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっておりますもう人の顔さえ見りゃもう、百年も可愛がられたちんころのように。なれなれしくこういうところ扇をあてまして「ようよう、アハッ、よう、すごい」なんてんで。手前の方がよっぽどすごい位のもんで。(パン)お客様を、魚にたとえてあるそうで。お宅ィ行って引張りだすのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。(ポン)途中でお客様ィ逃げられたりなんかすると「あーしまった。釣り落とした」なんてんで酷い奴があるもんで。「どうも暑いね。え、こう暑くちゃしょうがない魚が出て来ないよ岡釣りも楽じゃないね、えー、魚が出て来ない、うん、海が荒れてるとみえ長い月日だ商売の煩い、あっ、オッ、おおい、案ずることはねえ魚が出て来やがっ粋な人だなァ。ハアハアー兜町の人だな。なりのこしらえが違わァ、どうだい安くない上布ですねぇ。(ポン)いい帯を締めてますねぇ。どうアーッとアー自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたねあちらおおい、また出て来たよォホ……
6.人形町末廣からのTV生中継
7.TBS TV 三楽オーシャン日曜寄席 放送録音
8.この録音は実際にテレビで高座姿を見た時のもの。贔屓目な部分を差し引いてもよい出来だと思う。
鰻の幇間−5
1.TS-02621A1 VT=TV-39031-1
2.1971.7.23,国立小劇場,落語研究会第41回
3.21:40
4.V.VHG-58001(VHD)
5.出囃子 野崎
えー、毎回の、お運びでございまして、有難く、ゥ御礼を申し上げます。えー間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。しかし何になりましても、一つの営業となりますとこれがやさしいという商売はございません。とりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。たいこもち、アーどうもあのくらい難しい商売はないてます(ポン)だいち機転が利かなきゃァ、勤まらない商売だて。芸者衆の方もなかなか難しいて言(ゆ)うがこれは御婦人のことでございますから、どっかまた楽なとこがございますな。『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇま、野だいこてぇのがございます。こういうのはそのどことあ、あてどもなくさまよっておりま。もう人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころのように、なれなれしくこういうところ扇を当てまして「ようよう、よう。すごい」なんてんで。自分の方がよっぽどすごい位のもんで。お客様をその魚にたとえてあるそうで。お宅へ行って引張り出すのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。途中でお客様に逃げられたりなんかすると「あァしまった、釣り落とした」なんてんで、酷い奴があるもんで。「どうも暑いねどうもこう暑くちゃしょうがないねどうも、岡釣りも楽じゃないね。へぇーっと、なんか釣りたいなァ。えー、お、案ずる事はないよ、へへっヘッヘッヘヘ、魔日だと思ったらね、えー、魚が出て来たよ。粋な人だなァー、ハァハァー兜町の人だな。なりのこしらえが違わァ、どうだい安くない上布ですねぇ、いい帯を締めてますねぇ、アーッとアー自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたねぇ、ンハまた出て来たよおい……
6.最晩年の口演で、非常に弱々しい口調である。VHD化されている。
7.TBS TV 落語特選会 放送録音 佐藤氏ライブラリー
8.元のテープの音質が良くない。
鰻の幇間−6
1.TS-02742B2
2.1968.9.8,TBS,「ヒサヤ落語名人会」
3.22:27
4.なし
5.出囃子 野崎
ハァ、ようこその、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。しかし何になりましても、一つの営業となりますとこれがやさしいという商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。あーどうも、芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは、御婦人のことでございますからどっかまた楽なところがございまして。(パチン)『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇ事を言いますが野だいこてぇなァございます。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっておりまして。(ポン)もう人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころのように。なれなれしくこういうところ扇をあてまして「ようよう、アハッ、よう、すごい」なんてん、手前の方がよっぽどすごい位のもんで。(ポン)お客様を魚にたとえてあるそうで。(パチン)お宅ィ行って引張りだすのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。途中でお客様ィ逃げられたりなんかすると「アーしまった。釣り落とした」なんてんで、(ポン)酷い奴があるもんで「暑いねどうも。えー岡釣りも楽じゃないねェ、だいち魚が出て来ないよ。不景気だなァ、えー、海が荒れてる、こういうねぇ長いつ、アッ、オォォおい、案ずることはねえ魚が出て来やがっ粋な人だなァアーッ兜町の人だな。えー、なりのこしらえが違わァ、どうだい安くない上布ですねぇ。(ポン)いい帯を締めてますねぇ。えーアファ、アーッとアー自動車へ乗っちゃった。…すっと乗りましたねぇ。(ポン)おホ、おいまた出て来たよアハハ……
6.
7.伊東清氏ライブラリー→佐藤氏ライブラリー
8.悪い出来ではないが、客にはまっていない様で乗りが悪い。
鰻の幇間−7
1.TS-02900B2
2.(1966.5.20),TBS,東商ホール,「落語名人会」
付:対談、桂文樂・アナ
3.20:32,対談 7:05
4.なし
5.出囃子 野崎
毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。相変わらず、ァーッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。しかし何になりましても一つの営業となりますと、これがやさしいていう商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、(ポン)何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。(ポン)たいこもち、ァーどうもあの位難しい商売は無いてぇます。(ポン)第一もう、ォーッ芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは、御婦人のことでございますから、どっかまた楽なとこがございます。(ポン)『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇ事を言いますが野だいこてぇのがございます。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっ(ポン)ております。もう人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころの様に、なれなれしくこういうところ扇を当てまして「ようよう、アハッ、よう。すごい」なんてんで、手前の方がよっぽどすごい位のもん…。(ポン)お客様を魚にたとえてあるそうで。お宅へ行って引張り出すのを穴釣りとか言うんだそう(ポン)。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。(ポン)途中でお客様に逃げられたりなんかすると「あァしまった、釣り落とした」なんてんで酷い奴があるもんで。「どうも暑いねどうもえー。岡釣りも楽じゃァないね。長い月日商売の煩いてぇ奴だよこういうそのね。お、おっホホおい、案ずる事はねぇ、魚が出て来やがン、粋な人だなァーハァハァー(ポン)兜町の人だな、えっ。なりのこしらえが違わァ。どうだい安くない上布だねぇ、(ポン)えー、いい帯を締めてますねぇどうアーッとアー自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたねェ。アッハハハ、また出て来たよ(ポン)……
対談
アナ「どうも師匠お疲れ様でござい…。あのう今の鰻の幇間でですね」文樂「はあ」ア「やはり一番難しい所って言うとどういう所で…」文「一番、自分が…、苦心をしたって言う所はですね……お膳の並び〜ただ新香〜値段〜馬樂が明治四年の銀貨を出した〜札の大きさ〜十円の価値〜おしめを干すくすぐり〜質問・何時から噺家か〜好物
6.対談が面白い。
7.TBS R 落語名人会 放送録音 野口氏ライブラリー
8.この時期にしては、余り良い出来と言えない様だ。
鰻の幇間−8
1.TS-02926A1
2.1964.8.14,NHK,ヤマハホール,東京落語会第62回
3.20:49
4.Po.20CN-6563(CT)
5.出囃子 中の舞
お暑い所を、ァッ、一杯のお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、エェーッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。エェーッ、風邪声(かざごえ)でございまして、お聞き苦しい所は、ァーッ幾重にもお詫びを願っておきます。しかし何商売でも一つの営業となりますと、これがやさしいという商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは御婦人のことでございますから、またどっか楽なとこがございます。(バラッ)この旦那様(だァさま)はこういう事がお好きだな。それに基づいた、お話しを申し上げて、御機嫌を取り結ぶ野だいこてぇなァございますな。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっております。もう人の顔さえ見りゃもう、百年も可愛がられた狆ころのように。なれなれしくこういうところ扇をあてまして「ようよう、アハッ、よう、すごい」なんてんで。手前の方がよっぽどすごい位のもんで。お客様を魚にたとえてあるそうで、お宅ィ行って引張りだすのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取りな、取り巻くのを岡釣りてんだそうで。(ポン)途中でお客様ィ逃げられたりなんかすると「アーしまった。釣り落とした」なんてんで(ポン)、酷い奴があるもんで「どうも暑いねどうも、こう暑くちゃしょうがない魚が出て来ない、不景気だな、えー、海が荒れてると長い月日だ商売の煩いてぇヘッ、オッオホィ、案ずることねぇ魚が出て来やがった粋な人だ。ハアハアー兜町の人だなァなりのこしらえが違わァどうだい安くない上布ですねぇ。いい帯を締めてますねぇ。どうです、アーッとー自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたね、ォーッまた出て来たよおホホイ……
6.東京落語会の録音。出囃子が中の舞であるのが珍しい。
7.Po.20CN-6563 CT COPY
8.1964年の録音としては、調子の良い高座とは言えない様である。
鰻の幇間−9
1.TS-02940B1
2.1969頃,スタジオ,客なし
3.23:33
4.筑摩書房.古典落語名人会第6巻 WFS-8788/90(ビクター製ソノシート3面)
5.出囃子 野崎 受囃子 夜桜
えー、相変わらず、ゥッ、お馴染みの、お笑いを申し上げる事に致します。しかし何商売になりましても一つの営業となりますと、これがやさしいていう商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは、御婦人のことでございますから、どっかまた楽なとこがございます。『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇ事を言いますが野だいこてぇなァございます。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっております。もう人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころのように。なれなれしくこういうところ扇をあてまして「ようよう、よう、すごい」なんてんで。手前の方がよっぽどすごい位のもん。お客様を魚にたとえてあるそう。お宅ィ行って引張りだすのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りってん。途中でお客様ィ逃げられたりなんかすると「アーしまった。釣り落とした」なんてんで酷い奴があるもんで「どうも暑いね、どうもこう暑くちゃしょうがない、第一ね、魚が出て来ない、不景気だな。海が荒れてると見えて長い月日だ商売の煩いてぇ奴なんだよ。ねぇ、こォ、オッ、オッホおい、エヘッ案ずることはねぇ魚が出て来やがった。粋な人だなァハアハアー兜町の人だな。なりのこしらえが違わァどうだい安くない上布だねぇ。いい帯を締めてますねぇ。どうもアーッとーアー自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたねぇ、オッホおい、おいまた出て来たよオッホホィ……
6.筑摩書房の古典落語名人会は、1969年7月から翌4月にかけて発売された。従って、1969年の録音と思われる。
7.筑摩書房.古典落語名人会第6巻 WFS-8788/90 DISC COPY
8.1969年の録音としては、口調もしっかりしており、良い出来と言える。一連の筑摩の録音は、ソノシートがビクター製との事で、1962〜1963年のスタジオ録音を転用しているものと考えていたが、このシリーズを所持していた飯島氏の指摘で別の録音であることが判明した。
鰻の幇間−10
1.TS-12547B2
2.?
3.23:33
4.なし
5.出囃子 野崎
ようこその、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。エエーッ、風邪(かざ)声でございまして、お聞き苦しい所は幾重にも、ォーッ、お詫びを願っておきます。相変わらず馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、お暇を頂戴を致します。しかしかし何になりましても一つの営業となりますと、これが易しいて言う商売はございませんとりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。野だいこてぇなァございます。こういうのはそのどことあてどもなくさまよっておりますもう人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころのように。なれなれしくこういうところ扇をあてまして「ようよう、よう、すごい」なんてんで手前の方がよっぽどすごい位のもん。お客様を魚にたとえてあるそうで。お宅ィ行って引張りだすのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りてんだそうで。途中でお客様に逃げられたりなんかすると「アーしまった。釣り落とした」なんてんで酷い奴があるもんで。「どうも、岡釣りも楽じゃァないね。第一魚が出て来ない不景気だな。えー、オッ、オホッおい案ずることはねぇ魚が出て来やがっ…。粋な人だなァ。ハアハア兜町の人だな。えー、なりのこしらえが違わァどうだい安くない上布ですねぇ。いい帯を締めてますねぇ。どうもアーッとアー自動車へ乗っちゃった。…すっと乗りましたねぇあちらとてぇものは、オッおいおいまた出て来たよおい……
6.音質から言ってテレビからの録音。口調がまだ勢いのある頃の録音で喉手術後のものと思われる。従って、1960年前後の録音と察する。場所は人形町末廣の様である。
7.TBS TV 放送録音 光井氏コレクション
8.口調にまだ勢いがあり、多少のはしょりがあるものの18分で演じている。声質は晩年のそれに近く、快演である。
鰻の幇間−11
1.TS-12627D2
2.不明,TBS
3.20:11
4.なし
5.出囃子 野崎
相変わらず、エーッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。しかし何になりましても一つの営業となりますと、これがやさしいて言う商売はありませんとりわけてこの芸人仲間で、何が一番難しいてぇと幇間だそうですな。芸者衆の方もなかなか難しいてますがこれは御婦人の事でございますから、どっかまた楽なとこがございますな。『たいこもちあげての末のたいこもち』なんてぇ事を言いますが野だいこてぇなァございますこういうのは、どことあてどもなくさまよっておりますもう、人の顔さえ見りゃァもう百年も可愛がられた狆ころのように、なれなれしくこういうところ扇をあてまして「ようよう、ァハッ、よう、すごい」なんてんで、手前の方がよっぽどすごい位のもん。お客様を魚にたとえてあるそう。お宅ィ行って引張りだすのを穴釣りとか言うんだそうで。表で取り巻くのを岡釣りってぇんだそう。(白湯を啜る)途中でお客様ィ逃げられたりなんかすると「アーしまった。釣り落とした」なんてんで酷い奴があるもんで「どうも、岡釣りも楽じゃァないね。第一魚が出て来ない不景気だな。えー、海が荒れてると長い月日だ商売の煩いてぇ奴だよこう言うその魔日てぇ奴がねぇ、オッホホおい、案ずることはねぇ魚が出て来やがン。粋な人だなァ兜町の人だな。なりのこしらえが違わァどうだい安くない上布ですねぇ。いい帯を締めてますねぇどうもアーッとォあ自動車へ乗っちゃった。すっと乗りましたねぇあちらてぇものオッホおいまた出て来たよオッホ……
6.喉手術後、1960年頃の録音と思われる。細かいところで晩年との言い回しが異なっている。番組ではこの後対談が行われている。
7.TBS 岩田氏ライブラリー
8.
鰻の幇間・解説
幇間ものは文樂師が最も得意とした噺だが、「鰻の幇間」はその中でも傑作である。私なぞ、幇間のイメージがそのまま文樂師にダブっているのも、テレビで観た『ようよう、すごい』などという仕草が強烈な印象として残った為と思われる。騙す積りで騙されるというのは何時の世でも通用するし、幇間はいなくなっても幇間もどきの人は存在するから、今後も生き続ける噺であろう。昔は羊羹を餌に穴釣りに行く件も演っていた様で、筑摩書房の「古典落語」にも速記が載っているが、現在の所その部分が入っている録音は無い。時代設定:自動車が出て来るので明治末期か大正時代。
舞台:夏の東京。お日様がカーッと照りつける路上から鰻屋。二階の座敷の床の間には偽物の応挙の虎が掛かっている。
登場人物:幇間一八、兜町らしき人、先のとこの人、手習いしていた子供、七年も勤めている女中、下足番。
ベストテイク:「鰻の幇間…2」「鰻の幇間…4」が双璧。喉手術前の録音は、TBSに残っている。その喉手術前の音がコロムビア盤 FZ-7001として出ていたが、途中から収録されていて枕が無い為、現在保留としている。