三遊亭圓生音源データ
浮世床−1
1.TS-02888C1
2.1973.1.19,NHK,イイノホール,東京落語会第163回
3.24:31
4.東京音楽工業.CR-1442(CT)
5.出囃子 正札附
えー、昔はこの、ォーッ猫の蚤を捕って歩いたという、えー今の時代から考えますと、ァ誠にィッおかしな、ァ稼業で、「猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんてんで。「ちょいと、うちのあのみいちゃんお願いしますよ」これでまァ一ン日の、ォ生活が出来るという、誠にそのじだ、時代はァ呑気でございまして。えー耳の垢の掃除をして歩いたという、商売もあったそうで。耳はあの床屋さんで良くサービスに、えー掃除なぞをしてくれましたがもう近頃は、あんまり耳の方はやりません。その代わりにあのタオルで蒸します。顔を剃ります時に、暖(あった)かいのでこォー巻い、巻いてくれましてありゃ大変宜しいもので。暖(あった)かいのはいいが時々熱い事もありましてね、あたくしの行った床屋で熱いのをのっけられ「あたたっ。熱いなァおい」「どうもすいませんね、何しろ持てるだけ我慢をして持っていたん…」ぇへへっ、いくら熱いったって、置かれた日にはな、堪ったもんじゃありませんが。で昔はこの丁髷という、海苔巻の様な物が真中に載っかっておりました時代で、…… ……<海老患い〜鼻を剃られて蕎麦をくれ>…… ……何商売でも、お世辞のいいと言うのはこれァ得なもので、「あすこの親方は世辞がいいや、なァぇぇ行くてぇとおめぇ、ゥーン何か言う事が乙だからな、なろう事ならあすこを贔屓にしてやろうや」なんてんで、ンぇー若い連中が足が向く訳で「こんちはっ」「おアッ、いらっしゃい。どうしましたいえぇっ、ちっとも顔を見せないじゃねぇ」「うーん見せねえったってえっへっへー、忙しいんだ」「えへへ、忙しい忙しいってこれだろう。えー忙しいのァ。種が上がってるよゥ。駄目だァンとにまァ女ばかり荒らして歩いてるんだよどうもたちが悪いぜ、上がっておいでよようようっ、ようっ、色男おいっ、お上がりよ色男」…… ……<半分やって時間待ち〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜洒落将棋〜煙管)>…… ……サゲ=ああっ!…こりゃいけねぇ俺のは吸口ばかりだよ」……浮世床でございます。
6.東京落語会の録音で、将棋の部分をたっぷり演じている。
7.東京音楽工業.CR-1442 CT COPY
8.1973年3月7日にNHKラジオで放送されたもの。東京音楽工業のテープの方が音質が良く、細かい間が元のままだった為に差替えを行なった。
浮世床−2
1.TS-02593B2
2.(1966.8.23),NHK,505スタジオ,「古典落語」
3.28:23
4.なし
5.出囃子 正札附(テープ)
えー、ェーッ、昔とは、色々この、ォァー世の中と言うものが、変わっておりまして。まァ以前は、ァッ随分、今から思うと妙な商売がありまして。ェッ猫の蚤を捕って歩いたなんという、ォらァどうも、ァーッ今の時代では、ァーとても、思いも付かない商売で。「猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんと言ってね、ぇこれで、一ン日の生活が出来たという。ァー考えて見ると誠にその時分は、ァーッ豊かでございまして。耳の垢の掃除をして歩くという商売もあったそうで。えー耳というものはァ、ァッ人にあの掃除をして貰いますのは大変いい心持ちのもので、これはまァ色々道具によりまして、ェッ値段が変わったそうで。一番高いのは金でございますね、これはまァ当りが宜しいそれから、いくらか安くなりますと、銀。更に下がりまして銅、鉄。最下等は、釘の頭を突っ込んで掻き回すんだてぇますがなこれは少し危ない仕事で。えー昔は、床屋さんなどで良くサービスに、耳は掃除をして呉れたもんで近頃はあんまり耳の方はやりませんが、…… ……<熱い蒸しタオル>…… ……えー、昔はこの丁髷と言う、海苔巻の様な物が真中へあた、この載っかっておりました時代、若い者が大勢床屋で遊(あす)ぼうという訳で。床屋で遊(あす)ぶてぇのはおかしい様ですが、仕事場の奥に四畳半、或いは六畳位な小間がある、えーここに将棋盤に碁盤、貸本という様なものが備え付けてある、暇なれ、連中がここィ皆、ァ集まろうという訳で。でぇ、こっちの方で将棋を指しているその隣で本を読んでいる、また、手空きの人はこの鼻糞を丸めて、ェ丸薬の製造なんぞをしている。中には毛抜きを取り出して髭を抜いてる人がありますがね、こういう仕事は一番無駄な事で、何も床屋へ来て髭を抜かなくたってね、自分の番が来ればやって呉れるからうっちゃっときゃ良さそうなもんで…… ……<髭の『富士山』髭盗み〜姉様の合戦〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜洒落将棋〜王無し将棋)〜半公の夢>…… ……サゲ=いい年増だが夢じゃァ詰まらねぇ」「なん何だ夢の話かいこりゃ」…浮世床でございます。お時間に……
6.505スタジオの収録で、本、将棋、夢の部分を繋げて演っている。
7.NHK R 古典落語 放送録音 日大落研ライブラリー
8.客は余り良くないが調子は上々である。
浮世床−3
1.TS-02727A1
2.1975.前後か?,TBS,鈴本演芸場
3.12:15
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ェーッ、昔から見ると色々この、商売というものも、ァーッ変わってまいりましたが、以前はこのゥ、ァー猫の蚤を捕って歩いたなんという、今から考えると変な商売で、(カット)えー、耳の方はあの床屋さんで良く、サービスに掃除をしてくれたもんで近頃はあんまり耳はやりませんが、(カット)で昔はこの丁髷という、海苔巻の様な物が真中へ一本載っかっているこの時代は、大勢若い者がここで遊ぶ、ァーッ、遊(あす)んでいようという訳で。で床屋で遊(あす)ぶと言うとおかしい様でございますが、仕事場の奥に四畳半、六畳位な小間がありまして、ぇ将棋盤に碁盤貸本という様な物が備え付けてある。ぇこっちでは将棋を指しているその隣で、五目並べ、その隣ではまた本を読んでいる。「おうおうおい、こっちィ来いよおいどうしたい」「えー」「どうしたい」「どうしたじゃねぇやな頭見つくれ」…… ……<半分やって時間待ち〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜洒落将棋〜煙管)>…… ……サゲ=おおっ!…こりゃいけねぇ俺のは吸口ばかりだよこりゃ」…浮世床でございます。
6.改装後の鈴本演芸場の録音で、将棋の部分を演じている。(カット)の所でカットがある模様である。
7.TBS R 早起き名人会 放送録音 1981.3.21
8.寄席で短く演る時のパターンである。一部にカットがあり、よくよく聞くと枕で筋が繋がっていない。収録日は推測である。
浮世床−4
1.TS-02857B2
2.1976.5.16,東宝演芸場,東宝名人会
3.17:30
4.Ca.C18G-0317,PN.20P-2208(CT),PC.18P-60024(CT),PCCG-00068(CD)
5.出囃子 中の舞
えー、お寒い中を、ォーッ、御贔屓(しいき)でございまして有難くァッ御礼を申し上げます。相変わらずもう我々の申し上げる事で、別にこれが国の為になるという程の、(トン)決して大袈裟なものではございませんがまァ、えーなるべくお笑いを頂くというのが我々の方の、こりゃもう一番、大事な事でございますが。えー商売というものは昔からま色々変わったと言いますが、えー以前はこのォ耳の垢の掃除して歩いたなんという、今の時代から考えると妙な商売(ポン)で、耳の垢を掃除する、あるいはこのォ、えー猫の蚤を捕って歩いたなんという、「猫の蚤捕ろォ」なんてんでね。えーこれで一ン日の生活が出来るという。誠に世の中が豊かでございまして。耳の垢の掃除をしたとか、えーこりゃま色々でございますがあのゥ耳は床屋さんへ行くと良く、サービスにやってくれましたもので、ぇ近頃はあんまり耳は、やりませんがタオルで蒸します。…… ……<熱い蒸しタオル>…… ……昔はこのォ、ァ髪結床、床屋さん(ポン)と言う。ぇ頭へこのォ海苔巻の様な物が真中へこう載っかっておりました時代、丁髷と言う。えー表に絵が描いてありまして、海老が描いてあると『海老床』、奴を描いて『奴床』なんという。みんなそこのうちの、ォッこれが目印ンなろうという訳で…… <海老患い> ……今と違いまして、只仕事をするというだけでなく、仕事場の奥に四畳半、あるいは六畳位な小間がありまして、(白湯を啜る)将棋盤に碁盤、貸本という様なものがちゃんと備え付けてあろうと言う訳で、ここィみんな町内の暇(しま)な連中が集まる。「俺はなんだぜ床屋に居るからな、あっ、誰か人(しと)が来たらそこィよこしてくれ」なんてん(ポン)で。でぇー将棋を指したり、パッあるいはこっちの方で五目並べをしているとか、中にはこの鼻糞を丸めて、ェ丸薬の製造なんぞをしたり。詰まらん事をしておりまして。この毛抜きを取り出してまた髭(しげ)を抜く人がある、これは一番無駄な仕事で、何もその、床屋へ来て髭を抜かなくたってね、自分の番が来りゃァやって呉れるんだからうっちゃっとォきゃ良さそうなもんで…… ……<髭の『富士山』髭盗み〜〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜洒落将棋〜煙管)>…… ……サゲ=ああっ!…ォりゃいけねぇ俺のは吸口ばかりだよこりゃ」…浮世床でございますが、お時間が……
6.東宝名人会のトリの録音で将棋の部分を演っている。
7.PN.20P-2208 CT COPY
8.寄席や放送で時間が短い時は大体このように将棋の部分を演る事が多かった。
浮世床−5
1.TS-02900C1
2.1976.7.28,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第九十四席」
3.51:52
4.CS.60AG-555,SR.SRCL-3803(CD)
5.出囃子 米とぎ 受囃子 お土砂
時代によりまして色々な、商売というものが、ァッ変わってまいりますが、昔は随分面白い、ィーッ稼業がありまして猫の蚤を捕ったなんという。今から考えると誠におかしな、商売でございますな。「えー猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんという。「ちょいと。うちの三毛ちゃんお願いしますよ」でこれで、一日の生活が出来るという。誠にどうも、ォッ時代が、ァッ呑気でございますが。えーそうかと思うと耳の垢の掃除をして歩いたなんというのもありまして。耳というものはあれ人(しと)に、取って貰いますと誠にいいもので。こりゃァまぁ料金によりまして色々道具が違ったと言いますが。一番高いのはこの金の耳掻きという。こりゃァ当りがよろしゅうございますから、大変このお高くなる。でその次にいくてぇと、銀になる。それから、更に下がりまして銅鉄、最下等は釘の頭で掻き回すてぇますけれどもこりゃどうも、危ない仕事で、あんまり頼んだ人(しと)が無かった様です。床屋さんというものも良く耳を掃除をしてくれましたが、近頃はあの耳の方は、喧しくなってやりませんが、あのタオルで蒸すという、…… ……<熱い蒸しタオル>…… ……昔はこの丁髷と言いましてね、海苔巻の様な物が真中ィ一本載っかっていようという。これは髪結床と言いまして、表に腰障子がはまっているこれへ絵が描いてある。奴が描いてあって『奴床』とか、あるいは海老を描いて『海老床』、梅を描いて『梅床』なんという。ゥーン何でもその、描いてある絵を、そこのうちの呼名になるという、これならァ字の読めない人(しと)だってね、読み違える事は無いからよろしい訳ですが。…… ……<海老患い〜鼻を剃られて蕎麦を呉れ>…… ……えー床屋というと、仕事場がありまして、その奥に四畳半あるいは六畳位の小間がある。えーここィみんな町中の若い者が、ァッ集まって遊(あす)ぼうという訳で。床屋へ来て遊(あす)ぼうてぇのはおかしい様ですが、将棋盤だとか、あるいは碁盤、貸本なんというものが取り揃えてありますので、ゥェー皆、ぞろぞろ集まって来る。「おう、俺は何だぜ今日は床屋で、遊(あす)んでらァあァ、誰かなァ人(しと)が来たら迎(むけ)えをよこしてくれェ」なんてんで。ンぇーてんでんにここへ集まっちゃァ、色んな話をする、隅の方で、本を読んでいる者がありまた、将棋を指す、五目並べをしている、手空きの人(しと)は鼻糞を丸めて丸薬の製造なんぞをするという訳で。… c ……<世辞床〜半分やって時間待ち〜姉様の合戦〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜洒落将棋〜王無し将棋)〜半公の夢>…… ……サゲ=「ああっ、あいつなら畳屋の職人だ」「ああ(トン)、それで床を踏みに来たんだ」
6.「圓生百席」の録音。これを元にした速記が集英社文庫「圓生古典落語1」に収められている。長演だが煙管の部分が抜けている。この部分は「見せる」部分で、音だけのレコードでは分らない為に省いたのだろうが、せっかくの集大成なのだから、演じておいて欲し かった。
7.CS.60AG-555 DISC COPY
8.
浮世床−6
1.TS-02902D3,VT=TV-39036-2
2.1966.5.7,TBS,鈴本演芸場
3.16:52
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ェッ、昔から見ると色々この、商売というものも、ァーッ変わって参りましたが、以前はこのゥ、ォーッ猫の蚤を捕って歩いたなんという、今から考えると変な商売で、「猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんという。これで一ン日の生活が出来るという。誠にどうもその時分は、ァッ穏やかなもので。耳の垢の掃除をして歩いたという、商売もありますが、えー耳というものはあの、えー、やはりこの金なぞでこうやりますのが一番あれは当りが良ろしいんだそうですね、えー、その時分には料金よりまして色々その、品物が変わりまして、道具が(ポン)、一番高いのが金でこざいましてそれからァーッ、幾らか安くなると銀、更に下がりますと銅鉄、一番ァ安いのは釘の頭を突っ込んで掻き回すんだてぇますがねこりゃァどうも少し危ない仕事で。ぇー耳の方はあの床屋さんで良く、サービスに掃除をしてくれたもんで近頃はあんまり耳はやりませんが、タオルで蒸しますのは…… ……<熱い蒸しタオル>…… ……昔はこの丁髷と言う、海苔巻の様な物がァ真中へこう一本載っかっているこの時代は、大勢若い者がここで遊(あす)ぶ、ぇー、遊(あす)ん(ポン)でいようという訳で。ぇ床屋で遊(あす)ぶと言うとおかしい様でございますが仕事場の奥に四畳半、六畳位な小間がありまして、将棋盤に碁盤貸本という様なものが備え付けてある、こっちでは将棋を指しているその隣で、五目並べ、その隣ではまた本を読んでいる、手空きの人(しと)はこの鼻糞を丸めて、ェ丸薬の製造なんぞをしたりね。中には毛抜きを取り出して髭(しげ)を抜いてる人(しと)がありますが、考えりゃァ一番これが無駄な事で、何も床屋で髭を抜かなくたって、打っちゃっておきゃ良さそうなもんで…… ……<髭の『富士山』髭盗み〜半分やって時間待ち〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜洒落将棋〜煙管)>…… ……サゲ=おおっ!…こりゃいけねぇ俺のは吸口ばかりだよこりゃ」…浮世床でございます。……
6.改装前の鈴本演芸場の録音。
7.TBS TV 放送録音 野口氏ライブラリー
8.1966年の放送でテンポが速い。「おはよう名人会」で放送され映像でも楽しめる。
浮世床−7
1.TS-02915D3
2.1977.1.9,NTV,後楽園ホール,「笑点」
3.10:11
4.なし
5.出囃子 正札附(テープ)
えーっ、昔のこの、床屋というものは、大変賑やかでございまして仕事場の奥に四畳半、或いは六畳位な小間がありましてここで、えー将棋を指すとか五目並べをする、えー本を読む何と言う様な暇(しま)な連中がみんな集まる所で「おい、こうやってぇぼんやり睨めっこをしていたってなかなか番が回って来ねぇやどうだいやるかい」「えー」「いぇ、一番やるかよ」「…何を」「何をってお前、前へ将棋盤が出ていてやるってんだ分ってらァなァ将棋だよ」「挟み将棋」「何を言ってやン…… ……<将棋(駒並べ〜金か歩か〜煙管)>…… ……サゲ=あーっ!…こりゃいけねぇ俺のは吸口ばかりだよこりゃ」…浮世床でございますがお時間でございます。
6.笑点の極く短い時間なので、将棋の部分のみを演じている。
7.NTV 笑点 放送録音 佐藤氏ライブラリー
8.笑点で短い噺を四週続けて演った時の第一回目の録音。
浮世床−8
1.TS-02916C2
2.(1971.9.20),NHK,「お茶の間演芸会」
3.13:51
4.なし
5.出囃子 正札付
えー、昔とこの、えー、色々、ォーッ世の中と言うものが変わって参りましたが、以前は、ァーッ、猫の蚤を捕って歩いたなんという、面白い商売がありまして、「猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんてんで。ンこれで一ン日の生活が出来たと言う誠にどうも、その時分は世の中が、ァーッゆったりしておりましたもので。耳の垢の掃除して歩いたという商売もあるそうで。耳というものは床屋さんであのサービスに良く、やってくれましたが、近頃あんまり耳の方はやりませんが、タオルで蒸すという。あの蒸しタオルというのでこう巻いてくれましてあれは大変、ェーッいいもんで、…… ……<熱い蒸しタオル>…… ……昔はこの丁髷と言う、海苔巻の様な物が真中へこう一本載っておりました時代。えぇ若い者が、ァッ床屋へ集って遊(あす)ぼうと言う。床屋で遊(あす)ぶと言うとおかしい様でございますが、仕事場の奥に四畳半、或いは六畳位な小間がありまして、将棋盤に碁盤という様なものがちゃんと備え付けてある。ここィみんな町内の暇(しま)な連中が集まろうと言う訳で。えー、その当時はこの渡り職人と言いまして、剃刀を一丁持っていればこりゃァもう日本全国どこィでも、商売をして歩けるというので、なかなか腕のいいのもおりましたが仕事天狗と言いましてね、なかなかどうもォりゃ鼻っぱりの強(つお)いのがいたもんで…… <鼻を剃られて蕎麦をくれ〜世辞床〜半分やって時間待ち〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜王無し将棋)>…… ……サゲ=酷い将棋があるもので、浮世床でございますがお時間でございます。
6.枕を結構振り将棋の部分を途中で切っている。
7.NHK TV お茶の間演芸会 放送録音 佐藤氏ライブラリー
8.放送で時間が短い為将棋の部分を演じている。
浮世床−9
1.TS-02923C1
2.(1970.1.21),NHK,「お笑い招待席」
3.19:17
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ェーッ、昔はこの、世の中と言うものが、ァーッ、万事のんびりしておりまして、えー猫の蚤を捕って歩いた商売があったそうで、「猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんという。「うちのちょいとたまちゃんお願いしますよ」なんてんで、これで一ン日の生活が出来たという、まァ考えて見ると誠にィッ、世の中が穏やかでございまして。えー、耳の垢の掃除をして歩いたという、ゥッ、商売もありまして、耳というものはあの人にこう、やって貰いますのは大変ィーいいもので、えー(ポン)以前はこの床屋さんなぞで良くサービスに、掃除をしてくれましたが今は余り耳の方はやりませんが。その代わりにあのタオルで蒸します。(ポン)えー顔を剃る時に、暖(あった)かいタオルでこう巻いてくれましてなあら大変宜しいもので。もっとも暖(あった)かいのはいいが時々熱い事がある、あたくしの行った床屋で熱いのを載っけられて「あたっ。熱いなァ冗談じゃねぇおい」「どうもすいませんね、何しろ持てるだけ我慢をして持ってましたけれども…」いくら熱いったってこっちの顔ィ置かれた日にはたまったもんじゃァないが…。えー昔はこの丁髷という、海苔巻の様な物が、ァ、頭の真中ィ載っておりました時代。えー床屋でみんなこの遊(あす)ぼうと言う訳で。ま床屋で遊(あす)ぶと言うと今の、ォッ、時代から考えておかしい様ですが、仕事場の奥に四畳半あるいは、六畳位の小間が有ります。でェー、ここに将棋盤に碁盤、貸本というような物がちゃんと備え付けてあろうという訳で。しかし、えー…、職人気質と言いまして昔はまあこの、なかなか腕のいい人もいましたが、ォりゃァどうも仕事自慢で、今はあの小さい子供氏は、ァー、危ないから顔を剃らないという、ちゃんと掲示が出ておりますが、(白湯を啜る)昔の職人が見たらさぞ怒るこったろうと思いましてね。ァー以前はなかなか鼻っ張りの強(つお)いもので…… ……<鼻を剃られて蕎麦をくれ>…… ……まあ床屋ァ、申し上げた様にみんな、暇な連中が集まって遊(あす)ぼうという訳で、ぇー色々その癖がありましてね。えー片っぽで、将棋を指しているその隣じゃァ本を読んでいる、向こうの隅じゃァ鼻糞を丸めて、ェー、丸薬の製造をするなんという。…… ……<髭の『富士山』髭盗み〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜洒落将棋〜煙管)>…… ……サゲ=おおっ!…おいいけねぇ俺のは吸口ばかりだよこりゃ」……浮世床でございます。お時間で……
6.
7.NHK TV お笑い招待席 放送録音 佐藤氏ライブラリー
8.時間が半端な為か、枕がいつもと前後して複雑な展開になっている。
浮世床−10
1.TS-02925D2
2.不明,NHK
3.9:15
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ェッ、色々この、ォァー商売と言うものも、えー、以前とは、変わってまいりましたが。昔も随分面白い商売がありまして。猫の蚤を捕って歩くなんという、今の時代考えると変な稼業で。ェッ「猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんてんでね、これで一ン日の生活が出来るという。誠にどうもその時分は、ァーッ世の中が豊かでございまして。耳の垢の掃除をして歩いたという稼業もあったそうで。耳はあの、床屋さんで良くサービスにやって呉れましたが。近頃あんまり耳はやりない代わりにあのタオルで蒸します。…… ……<熱い蒸しタオル>…… ……で昔はこの丁髷と言う、海苔巻の様な物が頭の真中へ載っかっていひいた時代、若い者が大勢この床屋でェッ遊(あす)ぼうという訳で。床屋で遊(あす)ぶと言うと今から考えておかしい様ですが、仕事場の奥に四畳半、あるいは六畳位な、小間があります。え将棋盤に碁盤という様なものがァッ、備え付けてある。ここィみんな暇(しま)な連中が集まって、ェッ一ン日、遊(あす)んでいようと言う訳で。えーっ、その時分には、渡り職人と言いまして、剃刀を一丁持てばこりゃァもう、全国どこィでも、行って飯が食えるという。なかなかどうも腕達者な人もありましたが。(白湯を啜る)どうもその当時は、(ドン)仕事天狗と言いましてね、なかなか鼻っぱりの強(つお)いのがいたもんで…… ……<鼻を剃られて蕎麦をくれ〜世辞床〜半分やって時間待ち〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜王無し将棋)…… ……サゲ=酷い将棋があるもので。…浮世床でございますがお時間でございます……
6.最短時間の録音。
7.NHK R 放送録音 佐藤氏ライブラリー
8.短く演る時のパターン。王無し将棋で切っている。
浮世床−11
1.TS-02991C1
2.不明,TBS,鈴本演芸場
3.13:19
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ようこそ、お運びでございまして、えー色々、ァーッ、御機嫌を伺っておりますが、前方は、ァーッ、都家かつ江さんと言う、女の子が、ァーッ、…ヘッヘッ、女の子と言う程でもございませんが、女の親見たいな方が、大変お賑やかに、ェーッ、伺いまして、まァ唄三味線なぞは、ァー御婦人の方がお色気があって宜しい様でございますが。ま、色々この、(白湯を啜る)商売と言うものも、ァッ昔と違いまして、以前はこの、猫の蚤を捕って歩いたなんという、今の時代考えると面白い商売で。「えー猫の蚤捕ろォ、えー猫の蚤捕ろォ」なんてんでね、でこれで一ン日の生活が出来ようという。誠にまァその時分は豊かでございまして。耳の垢の掃除をして歩いたという商売があったそうで。耳はあの床屋さんで以前は、ァー良く、サービスにやってくれましたが近頃あんまり耳はやりませんが、タオルで蒸します。…… ……<熱い蒸しタオル>…… ……で昔はこの丁髷と言う、海苔巻の様な物が真中へこう載っかっておりまして。えーこの時代には大勢みな、ァー若い者が集まって遊(あす)ぼうという訳で。えー仕事場の奥に四畳半、六畳位な小間がありまして将棋盤に碁盤という様なものが、ここィちゃんと備え付けてあろうと言う訳で。ぇ当時はこの渡り職人と言いまして、剃刀が一丁有ればもう日本全国どこィでも、商売が出来ると言う訳で。なかなか、ァッ仕事の上手い代わりに、アーこの、お天狗てぇ奴でね、ァー仕事天狗は幾らもあったてぇの…… ……<鼻を剃られて蕎麦を呉れ〜世辞床〜半分やって時間待ち〜将棋(駒並べ〜金か歩か〜王無し将棋)…… ……サゲ=酷い将棋があるもので。…浮世床でございますがお時間でございますが……
6.収録年月日が不明だが、1974年頃の録音と思われる。
7.TBS R ラジオ図書館 放送録音 1989.8.20
8.はっきりとデータは不明だが鈴本演芸場の録音に間違いなく、1974年の5月の録音と推測される。
浮世床・解説
圓生の持ちねたは比較的長いものが多かったので、放送等で短く演じなくてはならない時には良くこの「浮世床」が出た。元々伸縮自在の噺であるので、百席の52分と言うのは別にして、短いものは10分そこそこ、長いものでも30分以内で収めていた。将棋の部分を演じた物が多いが、煙管のやりとりへ行くのと、途中で切って半公の夢へ行く演じ方と大きく別けて二つの演り方があった様だ。寄席でもちょいちょい出会った方も多いだろうが、トリの時は余り演じない夢の方へ入る事が多かった様だ。笑いも多く、仕草も多いため、どこで演じても受ける噺であり、無難な噺である。将棋や煙管の仕草はやはり大したもので、現在多くの噺家がこの噺を手掛けているが、殆どが圓生師から教わっているいるか、影響を受けているものと思われる。特に圓生門下の噺家が演じると全くのコピーと言って良い位にそっくりに演じている。その位圓生師の「浮世床」は完成されていると言える。誰でも知っている噺であるが、将棋や煙管の仕草が難しいらしく、ある程度の実力を持った噺家でないと面白くないのも事実だ。「圓生百席」の録音は52分を要する長演であるが、煙管の部分が省略されている。ここは見せる部分で音だけのレコードでは不要と考えたのであろうが、せっかくの全集なのだから分らなくとも入れるべきであったと私は考える。それにしても近頃は美容院なるものが全盛になり、『髪結床』は勿論、『床屋』なる名称も余り聞かれなくなってきた。名前も近頃は『理容館』ならまだしも、『バーバー』等と洒落ているのが多い。しかし、東京ではいまだに「床屋へ行く」と言う表現が主流をを占めているのが救われている。江戸っ子はやはり床屋へ行くのであって、決して散髪に行ってはならないのである。その点、銭湯へ行くことも本当は「湯ゥ屋へ行く」と言うべきで、「風呂屋へ行く」と言ってはいけないのだが、こっちの方が主流になってしまって
いる。「風呂屋へ行く」または「お風呂へ行く」と言うと、私は良く知らないが、別の目的と勘違いされるそうだが、「湯ゥ屋へ行く」と言えばその心配は無いそうである。
時代設定:江戸時代。
舞台:町内の髪結床店内。
登場人物:町内の暇人連中。夢見る半公とすぐ返事をする松公ぐらいしか名前が分らない。
ベストテイク:「浮世床…1」「浮世床…2」の2本があれば、「浮世床」の全ての筋が網羅される。