三遊亭圓生音源データ

浮世風呂−1

1.TS-02513A3

2.1972.,NHK,505スタジオ(?)

3.17:26

4.なし

5.出囃子 正札附(テープ)

えー、風呂屋さん、湯ゥ屋と言うものが、ァッ、えー昔と、ォー大変違うようで。えー、東京ではァッみんな湯と申しましたが、風呂とは申しません。えー、上方の方へ行くと、風呂屋ってますがね、えー東京では湯ゥ屋ってます。で向こう行って、ェー「湯ゥ行く」なんてったって分りませんで、えー湯ってぇとあの柚と間違えたりなんかして、でそういうような、ァ落語もございますが。式亭三馬の、ォ「浮世風呂」なんという本がございまして、まァアーッ色んな人がこのァお湯ゥへ入るという訳で。でその情景を、(白湯を啜る)書きましたものが、ァー「浮世風呂」でございますが。えー男湯女湯の、…真中の所で、八間と言うものがこう付いておりまして、八角でございますが、でこれへ灯芯がどっさり入って、えーその時分には明るいと思ったんでしょうが、ま今の時代から思えば随分ァーッ暗い訳で。えーお湯ゥ屋の二階なんてぇものがありまして、あたくしは子供の時分に、えーこれは東京じゃァない勿論田舎でございますが、えー二階のあるお湯ゥ屋がございましたン。番台の脇に、梯子が付いておりましてこれを上がると、二階があって、でここで、お湯ゥから上がってくると、向こうでお茶をくれます。勿論まただじゃありませんでね、えー幾らか茶代をやらなくちゃならない。でぇお菓子の箱なんぞがありまして、ここにこう餅菓子なんぞが、並んでお煎餅、或いはラムネなんてぇものがある。でこいつを飲みながら、ぇ将棋を指したりなんかァして、遊(あす)んでいる方もある。…怪しからんのはこのゥ、男湯から女湯を覗く穴てぇのがありましてね、えー、おあしを出すてぇとこれ見せてくれる。……

6.現在調査中だが1972年の録音の筈である。

7.NHK R 放送録音

8.地噺的な噺で、地味な噺の中では比較的良く演っていた。

浮世風呂−2

1.TS-02627C2

2.1976.8.16,TBS,国立小劇場,落語研究会第100回

3.30:48

4.パイオニア.EE-011(LD),SCHWAN.SRVT-3916(VT),Te.TETR-20033(CT),TECR-20033(CD)

5.出囃子 正札附

えー、…「浮世風呂」という、ァー、お噺でございますが。えーこれはまァだん、だいたい、ェッ、音曲噺と言う。昔はこの音曲師というものが、噺家の中におりまして、えー唄を唄うのは、ァッ専門でございますが勿論、ウゥーン、唄だけを唄うから、音曲師と言うんではございません…、やはりィ噺家でございますから、落語が(チャリン)出来なければいけませんので。えーまァ最後の音曲師というと、えー、あれはァ、戦争ォのゥたけなわの頃でございましたか、(白湯を啜る)昭和十九年頃に、亡くなりました、えー柳家枝太郎という人がありましてこの人は、えー音曲師ではございますが、ァーちゃんと寄席のトリをとりまして、えー落語を一席ちゃんと演ってそれから、後で、唄を唄いまして。えー三遊の方では三代目の、万橘という人がありまして、えーこの人なぞはやはり噺は、上手いもんでございましたがまァそれが音曲師の最後だと思いまして。えー只唄だけを唄うんならば、えー音曲師とは言えないんだと言いますが。ゥーンこのまだいたい、昔と違いましてこのゥお湯ゥ屋と申しますが、今ではこっちでも風呂屋なんてぇ事を言いますが、か(パチ)風呂と言うのはあれは関西の言葉で、江戸では湯と言いますね。「おいどうだい一つゥ一っぷろ浴びようじゃねぇか」なんてんで、湯ィ入(へえ)るなんてます。えー上方へ行くと「どや風呂行かんか」なんてんでね。えー向こうじゃァ風呂屋。えー大阪の方へ行って、ェッ『湯ゥ屋』と言ったって昔は分りませんでしたが。えー、そういう、事情がァ違いまして。それからあのゥ中の構造も、関西とこちらでは違う様で、向こうはあの真中にィ、湯舟がありまして、何かあのゥ入る時に段がありましてそれへ足を掛けて、湯舟へお入りになる。でぇ、出てきた人が、みんなその腰、この足を掛けて入る所へ腰を掛けましてね、中のお湯ゥを汲み出しちゃ洗ってるんで、混み合って来るてぇと誠に邪魔っけで困りますんで。入ろうとすると人が一杯こうたかってるんですから。えーこちらではそういう事はありません今ではあのお湯ゥを、……  ……<カラン〜おか湯〜石榴口〜お湯ゥ屋の二階>……  ……ゥーあたくし達は知りませんがその以前にはこの、女湯を覗く穴があったんだそうですがね。怪しからんもんで、えー、(パチ)女湯を覗くてんですからねぇどういう訳なんですか。……

6.レーザーディスク化されており、国立小劇場での高座を見る事が出来る。

7.TBS TV 落語特選会 放送録音 1977.9.3

8.さすがに国立小劇場の落語研究会の高座だけあってたっぷりと演じているが、最後の萬歳の所で小さいがとちりがあるのが惜しい。

浮世風呂−3

1.TS-02667D3

2.1979.1.1,文化放送,松葉屋

3.14:43

4.なし

5.出囃子 中の舞

えー、ェッ、新年、ェッ、おめでとうございましてどうぞまた、本年も相変わらず、ァーッ御贔屓(しいき)を願います。えー、我々の方で、ェーッこの陰気陽気と言う事を良く、ゥ申し上げますが。物の陰陽と言うこれは何にでもありますが。えー、男の方が、ァーッ、陽で、御婦人が陰と言う。えー、お湯ゥへ入りましても、自ずからこの陰陽が別れると言う妙なもので。えーもっともまァこのゥ、ォーッ、銭湯と言うものも昔と今とは大変、形式が変わって参りまして、今はあのカランと言うものがありましてね、あれを押すと、お湯ゥが出水が出るという誠に、衛生的で結構でございますが。以前はあの男湯女湯の間に、湯舟、水舟と言うものが、ありまして、でこれへそのゥ手桶で、汲んで、御自分の使っている桶へこう汲み込んで、でぇお使いになると言う。えー手桶でェ出すのは宜しいんですが、その以前には乱暴なもので自分の使った垢だらけの、桶を中ィ突っ込んでね、(コン)でこれでェえお湯ゥをその汲み出すてぇんですからあんまり、綺麗な仕事じゃありませんで。ぇーそれから、あのゥ無くなりましたのが、石榴口と言うものは、今はどこにもございません。あたくしが子供の時分に田舎の方で一遍、見た覚えがありますが、石榴口と言う。これ何だてぇと、ま早く申し上げるとこの欄間が、ずうっと上から長く延びている様なもん、立ちましてこの胸の辺りまでありました。でそれを潜って、中へお入りンなる……  ……<石榴口の由来>……  ……中へ入りますとこの男の方は、唄を唄いましてね。ゥらー誠に陽気なもんで、もっともどんな声で唄ったって、湯気がもうもうと立ちこめて、申し上げた様に、真っ暗な中ですから、誰がやってるかわらないから、不思議な声を出して唄って、で表へ出ると『今のは俺じゃねぇ』てな顔をしてね、しらばっくれている。……  ……サゲ=背筋へピリピリしみるのが、これが堪えてぇーぇーぇーーたハハハハ、いらりょうかァ」ってそんなに熱きゃ出ちまえばいいのに。「浮世風呂」でございますが、お時間でございまして……

6.吉原松葉屋からの生中継の録音である。

7.文化放送 放送録音

8.枕がいつもと異なり、サゲも途中で切っている。

浮世風呂−4

1.TS-02911D2

2.1976.4.9,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第七十二席」

3.34:16

4.CS.60AG-306,SR.SRCL-3806(CD)

5.出囃子 たぬき 受囃子 月はおぼろに

昔からこの江戸では、湯ゥ屋と申しまして、関西の方では風呂屋と言いますが。江戸では、ま勿論風呂という言葉を使わない事はございませんが、丹前風呂とか、五右衛門風呂なんと言うのもありますが、ぇー銭湯はみんな湯ゥ屋と言いますな。「どうだいおい、一つ湯ィ行こうじゃねぇか」なんてン。お湯ゥへ入る。ェー関西の方では、みな風呂と申します。「どや、風呂行こうか」なんてンで。だいたいこのゥ、構造からして違うようで。関西へ参りますとあのゥ、湯舟が真中に出ておりまして、その回りにずうーっと、段が付いている、これへ足を掛けて、中へお入りンなる。で出て来た人がその縁へ腰を掛けて、お湯ゥを汲出して洗うんですがね、ま洗う方は便利でいいでしょうが、混み合って来ると何だかどうも邪魔っけで、困りますがね、やはり習慣でそうなっておりますが。江戸と言う所からこの東京になりまして、その真中にあるなんてぇのは、ございませんが、こりゃァもう、一方へしゃんと、湯舟という物は付いている。それからあのゥ今はカランと言う物がありまして、押しますとお湯ゥが出る、水が出るという。誠に衛生的で宜しいが、あれになってからはァそんなに古くはございません。明治大正、その時代にはやっぱりあのゥ、中から汲み出しましたン。え女湯男湯ゥの、丁度真中の所に、ぇー湯舟と、上がり湯でございますねおか湯と言いまして、それからあのゥ、水舟がこうその隣にある。手桶でこれを汲み出して、使うと言う訳で。第一あのゥお湯ゥを埋める時が、自分で埋められないン。あの羽目を叩きます。トントーンとこう叩く。そうすると、三助がこの埋めて呉れると言う訳で。勝手にィー温くしちまうなんてぇ訳には、そりゃいきませんで、誠に不便なも……  ……<夜のお湯ゥ〜お湯ゥ屋の二階>……  ……で、ェヘッ、これは極くゥ昔でしょうが、女湯を覗く穴があったそうで。で考えて見ると、怪しからんもんですねぇ、えー、男湯から女湯を、覗くんですから、今そういう物があったらあたくしなんぞは一ン日借りっ切りで、覗いていたいと思いますが。無くなってしまったのは誠に残念な訳で……

6.「圓生百席」の録音。他の録音にある解説や展開を網羅している。

7.CS.60AG-306 DISC COPY

8.

浮世風呂・解説

「浮世風呂」と言うから大阪のねたかと思うと、江戸の噺なのだそうだ。圓生師の他には三代目小さんのSP盤と先年亡くなった雷門福助師の演じたもの位しか残っていないが、圓生が「圓生全集」の解説で述べているように、音曲噺であり、サゲについても特に昔から決まりが無かった様で、構成も地噺的要素が強いため比較的自由だったようだ。地味な噺の割には放送に何回か掛かっており、時間に合わせて自由に演じている様子がうかがえる。毎度ながら、この噺の白眉は、例の女湯を覗く穴の場面で、ここの所では、十八番の「怪しからんもので…」と「テヘヘッ」を聞くことができるのが実に楽しい。

時代設定:江戸時代。

舞台:湯屋の中。

登場人物:湯屋のの中で喋る奴、唄う奴、唸る奴、けしかける奴。湯屋の番頭。吉田屋のお婆さんと松田屋のご新造以外ははっきり名前が分らない。

ベストテイク:肝心のサゲ近くでのとちりが惜しいのだが「浮世風呂…2」であろう。

戻る