桂文樂音源データノート

富久−1

1.TS-02601C2

2.1963.2,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし

3.31:15

4.V.JV-90(初出),JV-212,JV-1289,JL-265,SJV-6549,VCK-890(CT)

5.出囃子 野崎

えー、相変わらず、ァッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。えー、ェーッ、昔と只今では全てが変って参りまして、今日では、ァーッ、大変にまた宝籤てぇものが盛んになりましてその昔は、えー富籤てぇものがございまして、えーその頃突き留めが当たれば千両。その頃の千両は大金でございますな。しかし運不運てぇ事を毎度申し上げますが、こりゃいいと悪いじゃ大変な違いで、「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ、どうも、久し振りですなァ。えー何すか、今どちらにいるン」「いぇここィ床店出してるんだよ」「えー床店って、えー何ですか、どういう御商売で」「商売ってねぇ、富の札ァ売ってるんだよ」「え、あなたが、富の札を売ってる。アッハそうですかァ。えーえあなたが富の札ァ売るなんざあいいねぇ。なりのこしらえが粋だね、第一、えっあァた威勢がいいから」「おい相変わらず世辞がいいんだなァおい、店を拡げた(しろた)ばっかりで大した事は無(ね)えんだがね、どうだい一枚でも二枚でも買わねぇか」「えー、戴いてもいいんですがねぇ、どういう事になるんで」「突き留めが当たりゃァ千両だよ」「えー、千両、えー千両なんですか、えー、ぇきっと当たるんすか」「きっと当たるってねぇ、そりゃ誰かには当たるんだよ。二番富が五百両、中富が三百両二百両百両五十両と色々あるんだがどうだい買わねぇか」「えー、戴いてもいいんですがねぇ。えー、どんな、番号が当たるでしょうねぇ」……

6.

7.V.JL-265 DISC COPY

8.

富久−2

1.TS-02595D2

2.56.11.30,TBS,早稲田大学大隈小講堂,「お好み寄席」

3.26:16

4.CS.SOGZ-37(初出),15AG-223

5.出囃子 野崎

一杯のお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。落語の方は大抵みな、お馴染みでございまして。(パチッ)大変に当今ではまた、アーッ、宝籤てぇものが盛んになりましたがその昔は富籤てぇのがございまして、突き留めが当たれば千両。その頃の千両は大金でございますな。運不運てぇ事を言いますけどもいいと悪いじゃァ大変な違いでございまして、「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ。どーも久しくお目に掛かりません今何すか、どちらへ」「あっ、えーっ、今ここへ店を出してる」「えー店を出してるってどういう御商売で」「ぇ富の札ァ売ってるんだよ」「ハァハァあなたが富の札をいいねぇ。あなたが富の札ァ売るなんざあいいなァ。第一威勢がいいからねぇあァたはなりのこしらえが粋だしねぇ」「ンァー相変わらず世辞がいいなァおい、どうだいウー店ェ拡げたばっかりたいしたことはねぇんだが一枚でも二枚でも買わねぇか」「えー戴いてもいいんですがな、どういう事ンなるんで」「突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両。へえっ、当たりますか」「ぇ当たりますかって。誰かには当たるんだ」「あァ、そうですかねぇ」「二番富が五百両、中富が三百両、二百両百両と色々あるんだけどどうだい買わねぇかァ」「ぇ戴いてもいいんですがなァ、えーどんな番号が当たりましょうねぇ」……

6.喉手術前の音である。運不運の件で巻き起こる正体不明の笑いがある。

7.CS.SOGZ-37 DISC COPY

8.喉手術前の音で、太い声であり、また大変テンポが速い。

富久−3

1.TS-02605D1

2.1968.9.20,キング,キング・レコード・スタジオ,客なし

3.32:20

4.K.KR-5075(初出),KR-5121,KR-5221,K18H-5241(CT),KICH-3118(CD),KITH-3118(CT),フェーマスレコードクラブ.NAS-645

5.出囃子 都囃子

昔と只今では全てが変わって参りました。当今ではまた、ァーッ、宝籤というものが盛んになりまして。その昔は、ァッ、富籤てぇものがございまして、突き留めが当たれば千両。その頃の千両は大金でございますな。しかし運不運てぇ事を毎度申し上げますが、いいと悪いじゃぁ大変な違いで、「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ、どうも、暫くですなァ。えー何ですかァ、今どちらに…」「いー今ここィ床店出してるんだよ」「何ですい床店って、どういう御商売で」「ぇー、富の札ァ売ってるんだよ」「あァそうですかァ、あァたが、富の札をォ、アッハハハハどうも。ほーですかァいいねぇあなたが富の札ァ売るなんざあいい第一あァたねぇこしらえが粋だね、えっ、第一あァた威勢がいいから」「おい、相変わらず世辞がいいなァ。店を拡(しろ)げたばっかりでねぇ、大した事は無(ね)えんだが一枚でも二枚でも買わねぇか」「いえ戴いてもいいんですがね、えーどういう事ン」「どういう事ンなるって突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両ねえ、へぇーっ、えーっ、当たりますかねぇ」「当たりますかねぇってお前誰かには当たるんだ。まァー、そうだねぇ二番富が五百両、ヘェ、中富が三百両二百両五十両、ま色々あるんだけど、どうだい一枚でも二枚でも買わねぇか」「えー、戴いてもいいんですがね。えー、どんな番号が、出るでしょうねぇ」……

6.出囃子が都囃子で、口上無しでいきなり本題に入っている。

7.K.KR-5221 DISC COPY

8.丁寧に演じすぎてテンポが今一つになってしまったようである。

富久−4

1.TS-02507C1

2.1968.12.7,TBS,人形町末廣,「土曜寄席」

3.30:39

4.YP.CR18-42(CT)

5.出囃子 野崎

一杯の、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、ゥッ、お馴染みの、お笑いを申し上げる事に致します。昔と只今では全てが変わって参りまして。当今ではまた、アーッ、宝籤てぇものが盛んでございましてその昔は、えー、富籤てぇものがございまして突き留めが当たれば千両。その頃の千両は大金でございますな。毎度申し上げますがこの運不運てぇ事を言いますがいいと悪いじゃァ大変な違いで、(パン)「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ。どっホホホーも、暫くですなぁ。えーいいえ、何すかァ、今ァ、どちらに」「うーん、ここに床店出してるんだよ」「床店って、何ですかァ、どういう御商売」「ンいぇねぇどういう商売ってねぇ、富の札ァ売ってるんだよ」「あなたがァ、富の札をォ。アッハハハハァ、(パン)いいねぇ。あァたが富の札ァ売るなんざあいいねぇ、第一あァたァ威勢がいいからねぇ。なりのこしらえなんぞ乙だからねぇ」「相変わらず世辞だねぇどうも。どうだい、店を拡げてたいしたことはねぇんだが、一枚でも二枚でも買わねぇか」「えぇ戴いてもいいんですがね、どういう事ンなります」「突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両。へえっ、千両当たりますか」「当たりますかってお前、そりゃ誰かには当たるんだよ。ま二番富が五百両、中富が三百両、…ま二百両百両五十両と色々あるんだがどうだい一枚でも二枚でも買わねぇかァ」「えー戴いてもいいんですがね。エッヘヘーッ、どういう番号が、出るでしょうねぇ」……

6.人形町末廣よりの中継の録音である。

7.TBS TV 土曜寄席 放送録音

8.独演会の様に、ゆったりとして、人情噺っぽく演じている。

富久−5

1.TS-02598C2

2.不明(1965年前後),TBS

3.25:16

4.なし

5.出囃子 野崎

一杯の、ァッ、お運びでございまして、間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、ォッ、お笑いを申し上げる事に致します。「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おォ、ァッハどホホうも、これは、久しくお目に掛かりませんなァ。今何すかァ、どちらにィ」「ンーいぇな床店出してんだよ」「床店ってぇ、えー、どういう御商売」「いぇ富の札売ってるんだよ」「あなたが、富の札を。ァッハハハ、(ポン)いいねぇ、えー、あなたが富の札ァ売るなんざァいいな威勢がいいからねぇエヘー第一、なりのこしらえといい」「おっおォい、相変わらず世辞もんだなァおい、店を拡(しろ)げたばっかりで大した事は無(ね)えんだがねぇ、どうだい一枚でも二枚でも買わないか」「うん戴いてもいいんですがね、どういう事ンなります」「突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両。えー、千両、アー、当たるんですか」「当たるんですかって誰かには当たるんだよ。まァ二番富が五百両、中富が三百両二百両百両五十両と色々あるんだけどどうだい買わねぇか」「(ポン)えー、戴いてもいいんですがねぇ、どんな番号が出るでしょうねぇ」……

6.放送時間枠の為に枕がカットされている。

7.TBS R 大晦日お好み寄席 放送録音 1969.12.31 佐藤氏ライブラリー

8.放送は1969年だが、再放送の様で、収録は1965年前後の様である。

富久−6

1.TS-02667A1

2.1970.11.30,TBS,国立小劇場,落語研究会第33回

3.33:36

4.なし

5.出囃子 野崎(ドラ入り)

えー、毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。昔と只今では全てが変わって参りまして、当今では宝、籤てぇものが盛んでございますが、その昔は富籤てぇものがございまして、突き留めが当たれば千両。その頃の千両は大金でございますな。運不運てぇ事を毎度申し上げますが、いいと悪いじゃァ大変な違いで、「おいそこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ。どホホーも、お珍しい。久しくお目にかかりませんが何すか、今どちらに」「いぇーここへンとこ床店出してんだよ」「えー、床店って何ですゥ、どういう御商売です」「エッヘ商売って、富の札ァ売ってるんだよ」「あァたがァ、富の札をーッ、エッヘいいねぇあァたが富の札ァ売るなんざァ、あァたね、なりのこしらえが上手いからそれに第一威勢がいいから」「おい相変わらず世辞もんだなァおい。どうだいおい、店を出して、たいした事はねぇんだが一枚でも二枚でも買わねぇか」「いー戴いてもよござんすがな。えーどういう事ンなります」「ゥーン突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両、エッヘーヘー、エヘヘ、えー、当たるんすか」「誰かには当たるんだよ」「えー」「二番富が五百両、えー中富が三百両二百両百両、五十両と色々あるんだがどうだい一枚でも二枚でも買わねぇかァ」「えー戴いてもよいんですが、どォゆう、番号がァ、出ましょうなぁ」……

6.晩年の音で声に張りは無いが、非常にしっかりした口調で演じている。このテイクはVTRにより生前1回と、他界の後再放送で2回放映されている。

7.TBS TV 落語特選会 放送録音 1978.12.8

8.晩年には珍しい位の出来である。余程体調が良かったのであろう。

富久−7

1.TS-02517D1

2.1960.12.28,TBS

3.25:43

4.Col.FB-7059(初出)

5.出囃子 野崎

えー、ェッ、一杯の、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。落語の方は大抵みな、お馴染みでございまして、昔と只今では全てが変わって参りました。当今では、ァーッ、大変宝籤てぇものが盛んになりましてその昔は、富籤てぇものがございました。(バタン)突き留めが当たりゃ千両。その頃の千両は大金でございますな。あるお客様に伺いましたら、その頃の千両と只今の百万円と丁度、お金の値打ちが同し(おんなし)になるんだそうでございます。しかし運不運てぇ事を言います。いいと悪いじゃ大変な違いで、「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おゃっ、こりゃ何ですか、久しくお目に掛かりませんが、今どちらに」「ンーうん、ここに店出してるんだよ」「あ店を出してるって、どういう御商売」「いぇ富の札売ってるんだよ」「…あァあなたが富の札をいいねぇあなたが富の札ァ売るなんざあいいなァ。なりのこしらえといい粋だから第一あァた威勢がいいからねぇ」「ん、相変わらず世辞もんだなァどうだい、店を拡(しろ)げたばっかり大した事は無(ね)えんだが一枚でも二枚でも買わねぇか」「えぇ戴いてもよござんすがな、エッヘーッどういう事ンなるんです」「突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両ッ、千両当たりますかねぇ」「当たりますかねぇってそりゃ誰かに当たるんだよ」「へえっ、それから」「ま二番富が五百両、中富が三百両二百両百両五十両と色々あるんだけどどうだい一枚でも二枚でも買わねぇか」「えー、戴いてもいいんですがなぁ、どんな番号が出るでしょうねぇ」……

6.1960年の録音と言うデータには疑問がある。声が太く、喉手術前の音のようだ。

7.Col.FB-7059 DISC COPY

8.晩年のものと違い、以前のものはテンポのせいか明るい富久である。

富久−8

1.TS-02859C2

2.1962.11.28,東横劇場,東横落語会第41回

3.28:59

4.CS.50AG-913

5.出囃子 野崎

一杯のお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間へ挟まりまして、ェーッ、相変わらず、ゥッ、御馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。えー、とりわけて、ェーッお詫びを申し上げます事は、えーッ、大変に、ィッ、この、風邪声(かざごえ)でございましてお聞き苦しいところは、幾重にも、ォーッお詫びを願っておきます。えー昔と只今では全てが変わって参りました。えー、当今では、ァーッ大変にこの宝籤てぇものが盛んになりましたが昔は富籤てぇものがございまして。突き留めが当たれば千両。その頃の千両は大金でございますな。しかし運不運てぇ事を言いますが、いいと悪いじゃァ大変な違いで、「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ。どォも、久しく、お目にかかりません。えーっ、何ですかッ、今、どちらに」「ァハッ、ちょいとッ、店ェ出してんだよ」「えっ、お店って、ぇどういう御商売」「ぇー富の札ハを売ってるんだよ」「あァあァたがァ、富の札を、エッヘヘヘ、(手でパン)いいねぇあァたが富の札ァ売るなんざあいいなァッ、えー、あァた粋だからねぇ、なりのこしらえといい、第一威勢がいいや」「おうおい、相変わらず何だなあ、世辞がいいねおい。店を拡げたばっかりでたいした事はねぇんだが一枚でも二枚でも買わねぇか」「いィ戴いてもいいんですがな。どういう事ンなります」「ゥン突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両、へぇっ千両ッ、千両、あ、当たりますか」「いえ当たりますかってねぇ、そらどうだかわからないけどもね、そら誰かには当たるんだ。まァ、あー二番富が五百両、中富が三百両二百両百両、五十両と色々あるんだけどどうだい買わねぇか」「ぇー戴いてもいいんですがな、エッヘッヘ、えー、どォゆう番号がァァーッ出ましょうなぁ」……

6.

7.CS.50AG-913 DISC COPY

8.良い時期の録音で、良い出来である。ただ音質が痩せていてお聞き苦しい。

富久−9

1.TS-02890B2

2.1970.9.7,フジポニー,スタジオ,客なし

3.32:43

4.Ca.AP-1002(初出),C18G-0283,AP.20P-2174(CT)

5.出囃子 野崎(ドラ入り)

えー、相変わらず、ェッ、御馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。十人十色なんてぇ事を言いますが、昔は、ァーッ、大変にこの、ォーッ、富籤てぇものが盛んでございまして。えー、突き留めが当たれば千両。ハーどうも、ほの頃の千両は大金でございますな。運不運てぇ事を毎度申し上げますが、こらァ、いいと悪いじゃ大変な違いで、「おい、そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ、どォも、お珍しい。えーっ何すか、今ァ久しくお目に掛かりませんが、今どこに」「ぇン、ここィ床店出してるんだよ」「床店を出してるって、どういう御商売」「エヘッ、富の札ァ売ってるんだよ」「あァたがァ、富の札をォ。エッヘヘいいねぇあァた(ポン)が富の札ァ売るなんざァ、えー、第一あァた、なりのこしらえが上手くて、い第一威勢がいいから」「おう、相変わらず世辞がいいなァおい、おい、店を拡(しろ)げたばっかりで大した事は無(ね)えんだがねぇ、どうだい一枚でも二枚でも買わねぇかァ」「いえー、い戴いてもいいんですがねぇ、どういう事になります」「突き留めが当たりゃァ千両だね」「千両、へぇ、エヘヘ、ぇ当たるんすか」「当たるんですかって、そりゃ誰かには当たるんだよ。ぇまァー、二番富が、五百両、中富が三百両、二百両、百両五十両と色々あるんだがどうだい買わねぇか」「えー、戴いてもよろしいが。どんな番号が、出るでしょうねぇ」……

6.ポニーの一連のスタジオ録音で、元々VTR用のテイクだが、音のみが発売されている。

7.Ca.C18G-0283 DISC COPY

8.最晩年の録音で、痛々しい位調子の出ない口演。冒頭で、十人十色などと、関係のない事を言ってしまっている。

富久−10

1.TS-02907B1

2.(1967.1.21),TBS,朝日生命ホール,「まわり舞台」特番

  付:芸談,桂文樂・安藤鶴夫・中村勘三郎

3.29:42,芸談 17:03

4.なし

5.出囃子 野崎

一杯の、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、お御馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。昔と只今では全てが変わってまいりまして。当今では大変にまた、アーッ、宝籤てぇものが盛んでございまして。その昔は富籤て言う物がございまして。突き留めが当たれば千両。その頃の千両は大金でございますな。しかし運不運て言う事を毎度申し上げますが、こりゃいいと悪いじゃァ大変な違いで、「そこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ。どッホーも、久しくお目に掛かりませんが、何ですか、今どちらに」「ゥーんここィ、床店を出してるんだよ」「えー床店出してるってどういう御商売で」「ぇ、富の札ァ売ってるんだよゥ」「あなたがァ、富の札をォ、ィッヒヒッいいねぇあなた、富の札ァ売るなんざァ、あァたはね、第一粋だね威勢がいいからねぇ。ンハッいえ本当にお世辞でなく」「相変わらず世辞もんだな、どうだい、こ、店を拡げたばっかりで、たいしたことはねぇんだが、一枚でも二枚でも買わねぇか」「ィー戴いてもいいんですがね、ェどういう事ンなります」「突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両」「二番富が五百両、えーっ、中富が三百両二百両、百両五十両と色々あるんだけどどうだい買わねぇかァ」「えー戴いてもいいんですがねぇ、エッヘヘ、どういう番号が出るでしょう」……

芸談

安藤鶴夫「素晴らしい『富久』を伺ったんですが」文樂「いや」安鶴「お疲れでこざいます」文「どうも有難うございます」安鶴「今朝ァあのゥ。文部省で、文部大臣、からあれですか」文「え」安鶴「芸術祭賞をお貰いになった…」文「え、そうです」安鶴「おめでとうございます」中村勘三郎「本当におめでとうございます」文「有難うございます」……二度目の芸術祭賞でどちらも圓馬師匠のネタ〜上手く出来る時の話〜富久にまつわる芸談〜結婚式の厩火事〜圓馬師の話

6.芸術祭賞受賞記念特番の録音。安藤鶴夫と中村勘三郎との珍しい芸談が貴重。

7.TBS R 放送録音 野口氏ライブラリー

8.落着いた感じの口演で、晩年の良い時期の録音である。

富久−11

1.TS-02941D2

2.1969頃,スタジオ,客なし

3.31:57

4.筑摩書房.古典落語名人会第7巻WFS-8796/9(ビクター製ソノシート4面)

5.出囃子 野崎 受囃子 一つとや

えー、ェーッ、相変わらず、お馴染みの、ァーッ、お笑いを申し上げる事に致します。えー、ェーッ、昔と只今では全てが変わってまいりまして。当今では、ァーッ、大変に宝籤てぇものが盛んになりましたがその昔は、富籤てぇ物がございまして。突き留めが当たれば千両、その頃の千両は大金でございますな。ハァーどうも…「そこィ行くのは久さんじゃないか」「おやっ。どうも久しく、お目に掛かりません、今何ですか、どちらに」「イーここに、床店を出してるん」「あァ床店ってどういう御商売」「エヘッ、富の札ァ売ってるんだよゥ」「あァあァたが富の札を、売ってるアッハッ…(ポン)いいねぇあなたが富の札ァ売るなんざァいいなァ第一ね、なりのこしらえが粋だね、えーっ、第一あァた威勢がいいから」「おい相変わらず世辞がいいなァ。どうだい、店を拡げたばっかりでたいしたことはねぇんだが、チュッ、一枚でも二枚でも買わねぇかい」「ィー戴いてもいいんですがね、どういう事ンなります」「どういう事ンなるっておめぇ突き留めが当たりゃァ千両だよ」「千両。へえー、千両ねぇ。千両ォー、当たるンすか」「当たるんですかって誰かには当たるんだよ。二番富が五百両、中富が三百両二百両百両五十両と色々あるんだがどうだい。一枚でも二枚でも買わねぇかァ」「えぇ戴いてもいいんですが、どういう番号が出るでしょうねぇ」……

6.筑摩書房のスタジオ録音。1969年頃の録音。

7.筑摩書房.古典落語名人会 第7巻 WFS-8796/9 DISC COPY

8.落着いた感じの晩年の口演。

富久−12

1.TS-12513C2

2.?,TBS

3.25:00

4.なし

5.出囃子 野崎

毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます、で相変わらず、ェーッ、お馴染みの、ォッ、お笑いを申し上げる事に致します。この只今では大変にこの宝籤てぇものが盛んになりましたが、その昔は、富籤てぇ物がございまして。(カット)「おいそこィ行くのは久さんじゃないかい」「おやっ。どうも、ァーッ、しばらく。久しくお目に掛かりませんがあァたァ今なんですか今どちらに」「ンー、ここに店ェ出してるん」「えっ、店ェ出してるってどういう御商売」「ヘッ、富の札ァ売ってるんだよ」「あァあなたが、富の札を、ヘヘッいいねぇあなたが富の札ァハハハ、売るなんざァいいねぇ」「店を拡げたばっかりでたいしたことはねぇんだが一枚でも二枚でも買わねぇか」「ィー戴いてもいいんですがね、どういう事ンなるんです」「突き留めが当たりゃァ千両だよ」「えー千両。え千両当たりますか」「そらァどうだか分らないけど。誰かには当たるんだ」「あァ、そうですかねぇ」「そうだねぇ二番富が五百両、中富が三百両二百両百両五十両と色々あるんだがどうだい買わねぇか」「えー戴いてもよォがすがなァ、どういう、エヘッ、番号が当りましょうなァ」……

6.喉手術前後の録音である。他にもかなりカットがある。

7.TBS R 放送録音 須永氏ライブラリー→仲野氏ライブラリー

8.録音データは不明。テンポが早く、喉手術前後、1960頃の録音だろう。

富久・解説

これも得意の幇間ものである。文樂師の他にも古今亭も十八番にしていた為、現在も演り手が多い噺である。文樂師の演出では久蔵が自分の家に駆け戻る辺りの仕草が『見せて』くれた。『つるつる』に次ぐ長さが有り、晩年の録音では枕を切ったりして苦労して放送していた様である。喉手術前の音から順に聞いていくと、晩年は何か人情噺の如くしっとりとした語り口で演じるようになってきている。賛否両論はあろうが、私はそんな時期の肩の力の抜けた文樂師の噺が好きである。

時代設定:富籤てぇものが盛んだった江戸時代。

舞台:鳥越阿部川町久蔵の長屋、日本橋横山町田丸屋、深川八幡境内、鳶頭宅。

登場人物:幇間久蔵、富籤売り文さん、屋根上火事見物茂っさん、田丸屋の旦那、鳶頭、見舞客(山大さん、池田屋さん、坂下さん、万定さん、三河屋さん、加賀屋さん、金十さん、近江屋さん、丹波屋さん、美濃屋さん)、お菊さん、番頭、追抜き火事見物人三人以上、近所の人、深川八幡見物人数名、富札読み上げ人、鳶頭(鳥越阿部川町に住み泥棒呼ばわれする)。

ベストテイク:「富久…4」。「富久…6」「富久…8」。「富久…10」も良い。

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