桂文樂音源データ

心眼−1

1.TS-02602A2

2.1962〜3,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし

3.21:08

4.V.JV-78(初出),JV-1284,JL-260,SJV-6544,YP.CR18-26(CT)

5.出囃子 野崎

えー、相変わらず、ァッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。えー、『盲人の夢姿を見ず聾ゥの夢声(こい)を聞かず』とか言います。そこへまいりますると中年から、この不自由になられた方というものは人一倍夢を見る、また見聞きを致すそうでございます。もっともそのわけで聞いた事もあり、見た欲もありますからその理屈でしかし盲人のお話しを伺ってると不思議な事をおっしゃってらっしゃる方がございます。どうも目開きは不自由でいけないってン。ェッ、暗闇ィ行ったら形無しだとおっしゃったそうで。尋常に杖を突いて歩いてこそ誠に見良いものでございますが、中には小僧按摩かなんかァ杖を担いで、鼻唄ァ歌って歩ってるのがおります。しかし心眼とか言いまして心の目で見るからその割合に、間違いてぇものが無いんだそうでございます。「おや、お帰(かい)ンなさい。お前(まい)さん、大変あ、思ったより帰りが早いようだけども、横浜もあんま大した事が無かったと見(め)えますね」「あーっどうも、驚いたよどうも、いずこも同じだねェ、うーん、夜ねェ遅くまで、流して歩ってるんだけど丸っきり療治が無いン、あァ、あんまり大した事も無いからね、そいから諦めてェ帰って来ちゃった」「そら仕方がありませんどこが景気が良くってどこが、えー悪いてぇわけじゃ無い世間一帯が不景気なんだからまたお前さん景気のいい事もあるんだから、仕方が無いからこっちでぽつぽつ稼ぐんですね。おや、どうしたの。大変顔の色が、悪い様だけども……

6.

7.V.JL-260 DISC COPY

8.

心眼−2

1.TS-02591D2

2.1957.9.10,TBS,TBSスタジオ,「落語独演会」

3.18:45

4.CS.SOGZ-27(初出),15AG-215

5.出囃子 野崎

ようこその、ァッ、お運びでございまして、有難く、ァッ、御礼を申し上げます。相変わらず、ァッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。盲人のお話しを伺ってると不思議な事をおっしゃってらっしゃる方がございます。どうも目開きは不自由でいけないって、ェ暗闇ィ行ったら形無しだとおっしゃったそうで。しかし心眼とか言いまして心の目で見るから、エエーッ、その割合に間違いてぇものが無いんだそうでございます。「おや、お帰(かい)んなさい。お前(まい)さん大変思ったより帰りが、早いようだけども、横浜ももあんまり大した事がなかったと見(め)えますね」「ハッ、ァハハ、あァどうもいずこも同じだねェ。えーなにね、夜ねェ、遅くまで流して歩ってるんだけど丸っきり療治が無いンで、あァあんまり大した事も無いからそいからね、諦めて帰(かい)って来ちゃった」「そらァ仕方がありませんどこが景気が良くってどこが悪いてぇわけじゃ無い、世間一帯が不景気なんだからまたお前(まい)さん景気のいい事もあるんだから、仕方が無いからこっちでぽつぽつ稼ぐんですね。おや、どうしたの。大変顔の色が悪い様だけども……

6.枕が簡素になっているが、放送時のカットかも知れない。喉手術前の音である。

7.CS.SOGZ-27 DISC COPY

8.喉手術前の音で、大変太い声である。

心眼−3

1.TS-02505C3

2.1968.6.29,TBS,人形町末廣,「TBS名人会」

3.20:07

4.なし

5.出囃子 野崎

一杯の、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、アッ、お馴染みの、お笑いを申し上げる事に致します。心眼という外題でございましてこれは、ご案内の通り、三遊亭圓朝師匠の(パン)、晩年の作だそうでございます。御自分の一番、ァーッ、裾弟子に圓丸てぇのァございます。この方ァ盲人でございまして、(パン)あたくし前座時分によく、ゥッこの楽屋へ来て、ヘーッ、手を取って、この舞台へこの、上げたりなんかした事ございます。娘さんが手引きでもって、でこの、ォーッ、圓丸さんが、「師匠こういう悔しい事がございました」と言って、自分が、話をしたらば、ゥー、少し経ったらば、ァー師匠が、心眼という噺を、ェこさえたんだそうでございます。ただ、あたくしはそれを、お取次ぎするゥ、だけでございます、どうぞ、えー、ごゆるりと、一席おつきあい下さいまするよう。えー、『盲人の夢姿を見ず聾ゥの夢声(こい)を聞かず』とか言います。そこへまいりますると中年からこの不自由になられた方というものは、(ポン)人一倍夢を見る、また見聞きを致すそうでございます(ポン)。もっともそのわけで聞いた事もあり、見た欲もあるからその理屈でしかし盲人のお話しを伺ってると、(ポン)不思議な事をおっしゃってらっしゃる方がございます。どうも目開きは不自由でいけないってン。暗闇ィ行ったら形無しだとおっしゃったそうで。ェ尋常に杖を突いて歩いてこそ、誠に見良いもの中には小僧按摩かなんかが杖を担いで、鼻唄ァ歌って歩ってるのがあります。しかし心眼とか言いまして、心の目で見るから、その割合にその間違いてーものが無いんだそうでございま…。(パン)「おや、お帰(かい)ンなさい。大変、帰りが遅いようだったけども、横浜ァあんまり大した事が無かったと見(め)えっすますね」「驚いたねぇ、はあっ、夜ねェ、遅くまでぇっ、流して歩ってるんだけど、丸っきり療治が無いン、あァあんまりね大した事も無いからねそいから、諦めてェ帰って来ちゃった」「そらァ仕方がありませんどこが景気が良くってどこが悪いてぇわけじゃ無い、世間一帯が不景気なんだから、またお前さん景気のいい事もあるんだから、仕方が無いからこっちでぽつぽつ稼ぐ。どうしたの。どうしたんだい。大変顔の色が悪い様だけども……

6.人形町末廣からのTV生中継の録音。枕に噺の由来が入っている。

7.TBS TV TBS名人会 放送録音

8.当日は、体調が悪かったのだろう、息切れが甚だしい所があり、部分的なのだが痛々しい箇所があるのが残念だ。「大変帰りが遅い」となっているが、珍しく言い違いの様である。

心眼−4

1.TS-02509A3

2.(1967.12.30),TBS,「落語への招待」

3.20:27

4.なし

5.出囃子 野崎

えー、毎回の、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。この心眼と言う、ウーッ、落語は、ご案内の通り、ェーッ、圓朝師の、ォーッ、晩年の作だそうでございます。ご自分のお弟子に、えー、盲人で音曲師でございまして、えぇ圓丸というのがございまして。えー、これは、ァーッ、あたくしが前座時分に、まだ存命でおりまして、手を取って舞台へ上げたりなんかした事ォございます。この圓丸という末のお弟子が、エエーッ、圓朝師に、こういう、悔しい事がございましたと言って、話をしたのを、この圓朝師が、ァッ心眼と言う落語に、えー纏めたんだそうでございます。ェただあたくしは、ァそのお取次ぎをするだけでございます。(ポン)どうぞ、ォッ一席おつきあいの程を願っておきます。『盲人の夢姿を見ず聾ゥの夢声(こい)を聞かず』とか言います。そこへまいりますると中年から、(ポン)この不自由になられた方というものは人一倍夢を見る、また見聞きを致すそうでございます。もっともそのわけで聞いた事もあり、見た欲もありますからその理屈でしかし盲人のお話しを伺ってると、(ポン)その昔不思議な事をおっしゃってらっしゃる方がござい…。どうも目開きは不自由でいけないってン。(ポン)暗闇ィ行ったら形無しだとおっしゃったそうで。で尋常に杖を突いて歩いてこそ誠に見良いもの中には小僧按摩かなんかが、(ポン)杖を担いで、鼻唄ァ歌って歩ってるのがおります。しかし心眼とか言いまして、心の目で見るから、その割合に間違いてぇものが無いんだそうでございます。(ポン)「お帰(かい)んなさい。お前(まい)さん大変、思ったより帰りが早いようだけども、横浜ァあんまり大した事もなかったと見(め)えますね」「ハァアッハ、驚いたよ。ハァー、いずこも同じだねェ。夜ね、遅くまで流して歩ってるんだけど、丸るっきり療治が無(ね)えんだ、あーそいから、余り大した事も無(ね)えからね、そいから諦めて帰(かい)って来ちゃった」「そらァ仕方がありませんどこが景気が良くってどこが悪いてぇわけじゃ無い、世間一帯が不景気なんだからまたお前(まい)さん景気のいい事もあるんだから、仕方が無いからこっちで、ぽつぽつ稼ぐんですねぇ。どうしたの。顔いの色、色が悪い様だけども……

6.

7.TBS R 桂文樂その世界 放送録音 1974.3.24

8.このテイクも、息切れが甚だしい所がある。聞く分には大した事の無い噺だが、演じるのは辛い噺なのだろうか。

心眼−5

1.TS-02715A3

2.1965.8.13,NHK,ヤマハホール,東京落語会第74回

3.20:07

4.Po.MF-4078(初出),CN-6503(CT)

5.出囃子 野崎

毎回の、ァッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間に挟まりまして、相変わらず、アーッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。心眼という、イィッ言いましてこれは、えー、三遊亭圓朝師の、晩年の作でございます。あの、門弟の一番裾の、お弟子さんに圓丸てぇ方ァございます。これは盲人でございまして、エヘッ、娘さんが、ァーッ、介添えで良く、ァーッ、舞台へ上がった、あァ楽屋であたくしも働いておりました小僧時代でございますが。この圓丸と言う人が師匠に向って、ェーッ、「師匠あたくしはこういう悔しい事がございました」と言って、あのゥ、圓朝師に話をしたのを、即座に、この、ォッ、心眼ていう噺に纏めたんだそうでございます。ただあたくしはそれを、お取次ぎするだけでございまして、どうぞ一席おつきあいの程を願っておきます。(拍手)『盲人の夢姿を見ず聾ゥの夢声(こい)を聞かず』とか言います。そこへまいりますると中年から、この不自由になられた方ていうものは人一倍夢を見る、(パン)また見聞きを致すそうでございもっともそのわけで、聞いた事もあり見た欲もあるからその理屈でしかし盲人のお話しを伺ってると(ポン)、不思議な事をおっしゃってらっしゃる方がございます。どうも目開きは不自由でいけないってン。暗闇ィ行ったら形無しだとおっしゃったそうで。ェ尋常に杖を突いて歩いてこそ誠に見良いもの中には小僧按摩かなんかが杖を担いで、鼻唄ァ歌って歩ってるのがあります。しかし心眼とか言いまして心の目で見るから、その割合に間違いてーものが無いんだそうでございます。「おや、お帰(かい)ンなさい。お前たい、お前さん大変帰りが早いようだけども、横浜もた、大した事も無かったと見(め)えますね」「あァっ、アハッ、驚いたよどうも。いずこも同じだねェ。いえねェ、夜遅くまで流して歩ってるんだけどねェ、丸っきり療治が無いンだよ、あァそいからね、大した事も無いからね、諦めて帰って来ちゃっ」「そら仕方がありませんどこが景気が良くってどこが悪いてぇわけじゃ無い、世間一帯が不景気なんだからまたお前さん景気のいい事もあるんだから、仕方が無いからこっちでぽつぽつ稼ぐんですね。おや、どうしたの。大変顔の色が悪い様だけども……

6.東京落語会では、1961.11.24(17回)、1965.8.13(74回)、1970.8.14(134回)の3回口演じているが、このテイクは口調から、1965.8.13の録音と判定した。

7.Po.MF-4078 DISC COPY

8.この録音は息切れも少なく、良いコンディションである。

心眼−6

1.TS-02916A1

2.(1968.11.21),TBS

3.21:07

4.なし

5.出囃子 野崎

えー、かわるがわる、お目通りを致しまして、相変わらず、ァッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。えー、落語の方は大抵みな、ァッ、お馴染みでございます。『盲人の夢姿を見ず聾ゥの夢声(こい)を聞かず』とか言います。そこへまいりますると中年からこの不自由になられた方というものは、人一倍夢を見るまた見聞きを致すそうでございます。もっともそのわけで聞いた事もあり見た欲もあるからその理屈(ポン)でしかし盲人のお話しを伺ってると、不思議な事をおっしゃってらっしゃる方がございます。(ポン)どうも目開きは不自由でいけないって。暗闇ィ行ったら形 無しだとおっしゃったそうで。尋常に杖を突いて歩いてこそ誠に見良いもの中には小僧按摩かなんかが杖を担いで、鼻唄ァ歌って歩ってるのがおります。しかし心眼とか言いまして、心の目により、見るからその割合に間違いてぇものが無いんだそうでございます。「おや、お帰(かい)んなさい。お前(まい)大変、大変、思ったより帰りが早いようだけども、横浜ァあんまり大した事もなかったと見(め)えますね」「アッハどうも、驚いたよどうも。いずこも同じだねェ。あァ夜ね、遅くまで流して歩ってるんだけど、丸っきり療治が無(ね)えんだあァ余り大した事も無(ね)えから、そいからね、諦めてぇ帰(かい)って来ちゃった」「そらー仕方がありませんどこが景気が良くってどこが悪いてぇわけじゃ無い、世間一帯が不景気なんだからまたお前(まい)さん景気のいい事もあるんだから、仕方が無いからこっちでぽつぽつ稼ぐんですねぇ。おや、どうしたの。大変顔の色が悪い様だけど……

6.TBS Rの公開録音の音。

7.TBS R 放送録音 野口氏ライブラリー

8.この時期としては、大変良い出来である。息切れも少ない。

心眼−7

1.TS-12549A3

2.1969.1.22,TBS,国立小劇場,落語研究会第11回

3.21:16

4.なし

5.出囃子 なし(拍手のみ)

毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、ァッ、お馴染みの、ォッ、お笑いを申し上げる事に致します。えー、ェーッ、この『心眼』と言うお笑いは、(パン)えー三遊亭圓朝師の、晩年の作だそうでございます。(パン)ぇー御自分のお弟子に、圓丸と言う音曲師がございました。ぇこれは一番裾弟子でございまして、あたくしが前座時分に、ェーッ、あの存じております。良く手を取って、舞台へ上げた事がございます娘さんが手引きでございまして。この、ォーッ圓丸さんが、ァッ、師匠に向って「師匠こういう悔しい事がございました」っと言って、話をしたら、ぇぇーっ圓朝師が、ァーこの『心眼』と言う噺を、ぇーこさえたんだそうでございます。ただあたくしは、そのお取り次ぎをするだけの事でございます。一席、ァーッ、お付き合いの程を願っておきます。『盲人の夢姿を見ず聾ゥの夢声(こい)を聞かず』とか言います。そこへ参りますると中年からこの不自由になられた方と言うものは、(パン)人一倍夢を見る、また見聞きを致すそうでございます。もっともその訳で聞いた事もあり、見た欲もあるからその理屈でしかし盲人のお話しを伺ってると、不思議な事をおっしゃってらっしゃる方がございます。どうも目開きは不自由でいけないって。暗闇ィ行ったら形無しだとおっしゃったそうで。尋常に杖を突いて歩いてこそ誠に見良いものでございますが中には、小僧按摩かなんかが杖を担いで、鼻唄ァ歌って歩ってるのがあります。しかし心眼とか言いまして、心の目で見るから、その割合に間違いてぇものが無いんだそうでございます。「おや、お帰(かい)んなさい。エヘッお前(まい)、大変帰りが早い様だったけども、横浜ァ、あんまり大した事もなかったと見(め)えますね」「アッハハ、驚いたよ、うーん。いずこも同じだね。えー、あァ。夜ね、遅くまでなァ流して歩ってんだけど、丸っきり療治が無いんだあァ余り大した事も無いからね、そいから諦めてェ帰(かい)って来ちゃった」「そらァ仕方がありませんどこが景気が良くって、どこが悪いてぇ訳じゃ無い、世間一帯がまた不景気なんだからまたお前(まい)さん景気のいい事もあるんだから、仕方が無いからこっちでぽつぽつ稼ぐんですねぇ。おや、どうしたの。大変顔の色が悪い様だけども……

6.国立小劇場での落語研究会の録音である。落語研究会ではこの一回しか口演していない。

7.TBS TV 放送録音 お待ちかね名作寄席 1969.5.25 仲野氏ライブラリー

8.この時期としては、まあまあの出来である。

心眼・解説

お恥ずかしい話だが、私が落語を聞き始めた頃、『景清』と『心眼』を混同していた。盲人が目が開きますようにと信心する噺である事は同じなのだが、目出度く開く『景清』結局開かない『心眼』、今考えればサゲはおろか、筋立ても違うのにである。それに、同じ盲人でも定次郎と梅喜では性格がまるで違う。その頃から20年たった今、勿論2つの噺を混同する事はないが、『景清』を聞くときに『心眼』を、『心眼』を聞くときには『景清』を思い起こしてしまうのはどうしたことだろうか。ところで、この『心眼』と言う噺は聞いているぶんにはそう辛い噺と思えないのだが、残されている録音を聞いていると、意外に文樂師の呼吸の乱れているものが多い。演じるほうから見ると、辛い噺なのであろうか…。

時代設定:横浜まで汽車が通っているのだから、明治5年以降。

舞台:梅喜宅(茅場町の薬師さま、馬道から仲見世、富士横町富士下の「釣堀」)

登場人物:鍼医梅喜、『人なし化十』女房お竹、馬道の上総屋の旦那、俥に乗った芸者、女乞食、小春姐さん。

ベストテイク:「心眼…5」。

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