三遊亭圓生音源データ

皿屋敷−1

※六代目橘家圓蔵時代の録音。

1.TS-02736C3

2.1937.3,タイヘイ(SP),スタジオ,客なし

3.4:59

4.タイヘイ.新赤21150(SP)

5.出囃子 なし

えー、ェッ芝居で致しまする幽霊、青い火が先に燃えてあれを俗に幽霊火と言います。見物が、「音羽屋っ」声をお掛けになる。気の早い方は青い火を見ただけで、「音羽屋っ」この間火事を見て「音羽屋っ」てんで、殴られましたが。どこで殺された幽霊も化けるとみんな、ァッ東京弁でがすが、あれ大阪言葉や、なにかじゃ恐くないでしょう幽霊がやさし過ぎてね。「恨めしゅおまっせ。わてほんまに恨めしいんだっせ。生き代わり死に代わり、恨みを晴らさでおきまへんであほらしい」これじゃァどうも凄味が無いン。また下総言葉でもおかしいでしょう。「俺ェ恨めしいだから。ほんにハァ恨めしくて手っこに負えねぇ。生き代わり死に代わり恨みを晴らさでおかねぇぞこのけつめで野郎」幽霊が喧嘩をしそうで。播州姫路の皿屋敷。お菊の、亡霊が今もってここィ出ると評判。土地の若い者が七八人行って見ると成程、お菊が出て一枚二枚とやりますがね、九枚まで聞くとたちどころに死ぬと言うので、六枚位聞いてはみな逃げて来る。とある興行師が「こりゃァ面白い。これを興行にしたらさだめし儲かるだろう」と、願いを上げますと七日間の許可を得ます。さて初日を開けて見ると、いや来るわ来るわ連日満員という。放送局でも、是非中継をしたいと、六日目に全国へ幽霊の実況放送と決まりました。……

6.圓生師唯一のSP盤の録音。戦前の唯一残された音と言ってよい。全篇の速記は都家歌六師の「落語レコード八十年史下巻」にある。

7.NHK・R 落語名人一代 放送録音 1981.8.14

8.放送の実況放送見立てや、効果音、奇妙なピアノ伴奏と、晩年の圓生師からは想像も出来ない内容の録音。生前はひたすら隠し続けて来たと言うが、もっともな事であろう。没後、都家歌六師により、圓生家の保存盤を借用して放送された。

皿屋敷・解説

「圓生百席」をはじめあれだけのレコードを出した人が、ことSP盤に関してはこの「皿屋敷」一枚と言うのは驚きである。古今亭志ん生でも十数枚、桂文樂でも数枚が出ており、柳橋、金馬にあっては百枚を越える数が出ているのにだ。いかに戦前の圓生師に人気が無かったかを示していると言えよう。遺されたこのSP盤にしても決して名誉になるもので無く生前はひたすら隠しに隠していたと言う。「百席」を録音した際の逸話や晩年の圓生師の芸からは全く考えられないような演出がここで聞かれる。キザで決して面白い噺家でなかったと言う圓生師の戦前の芸風をたった一枚のこのSP盤から判断してしまうのは危険かも知れないが、大器晩成あるきっかけで急に上手くなっていったと言われる圓生師の芸の軌跡として貴重な音である。

時代設定:大正・昭和初期、当時の現代。

舞台:播州皿屋敷。

登場人物:お菊、ラジオのアナウンサー、見物人。

ベストテイク:選択の余地なし。

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