三遊亭圓生音源データ

三年目−1

1.TS-02506A2

2.(1968.8.9),TBS,「まわり舞台」

3.26:22

4.無し

5.出囃子 正札附

毎度この、ァーッ陰気陽気と言う事を、申し上げますがこの、ォーッ物にはも、ェーッ陰陽と言うものは、こりゃ必要でございまして、ちょっと手を出しまして上を向けると陽ンなる。でこれを伏せると陰になりまして。喧嘩と言うものはァッ陽なもので、収める時は陰の手を持っていかないとどうしても喧嘩の収まりがつかないと言う「まァまァおよしなさいよまァ、お互いにつまらないよ腹を立った所で、まァまァとにかく、あたしが顔の立つ様にまァまァまァまァ任して」陰の手で伏せて行くと喧嘩が収まりますがね、逆にあの手を上へ向けちゃおかしい様で「まァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかくまァ、とにかくやった方がいいよ」なんてんで、何だ喧嘩を、ァッ大きくしてる様で。えー何事にも陰気陽気がありますが。あのォ、幽霊と言うあれはまァ陰気でございます。えー、後ろにこの絵に描きますと柳を描く。柳と言う物は陽木、その前へ、陰気な幽霊が出ると言うのがつまり釣り合いでございます。幽霊と言うと前へ手を下げてこう言う形で、「恨めしい」てんで出る。えー、向こうを向けると「こわめしい」なんてんで、何だ強飯を貰いたそうで。あんまり手を上げるとお化けがふざけてる様で、下へ下がり過ぎるとだらしがないこりゃまァ中へんがこりゃ形がいい。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと凄味がありまして、ありゃァまァその音羽屋調子なんと言いましてね、えーっ、東京の言葉が一番いい。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………しかしまァこの、ォーッ幽霊なんてぇ物は無いと言います。あれはこちらの神経で拵えて見るもの、「ンな馬鹿な物は無い」と言う方もあり「いやそうでない、霊と言う物があり本当に幽霊はある」とおっしゃる方もございますが。(白湯を啜る)幽かな御霊と書いて幽霊と読むと言うから、まァ、アーッ、はっきりとは無いが、薄くぼんやりとあるとでも言っておくこりゃァまァ一番幽霊らしい所で。…………<結婚詐欺仲人夫婦喧嘩露見>…………しかしまァ何でも、家庭と言う物は円満に限ります。えー「あすこのうちは夫婦喧嘩ばかりしている」なんてぇのは嫌なもんで。ま御夫婦仲のいいのは結構ですが、しかしこれは、アーッ、お二人だけにして頂きたいんですがね。どこまでも延長されてね、辺り構わず、でれでれでれでれされた日にゃァもう、回りの者は大抵当てられる。えーこう言う人が、えー寄席へなんぞいらしたって噺家の顔なんぞは丸っきり見ないでね、二人でにやにやして顔ばかり見合わせて。…、なんてね、そんな事をして上から見ているのは嫌なもんですからねこりゃ。その方ばかり気にして噺を間違いちまったりなんかァする事がある。えー仲のいい御夫婦で、おかみさんがどっか具合が悪いなんてんで寝込んだ日にゃァ、御亭主は枕許を離れない「今日はどうだい、少しは加減がいいかえっ。一ン日も早く良くなってくれなくちゃァあたしは自分が、患っているよりも辛くていけないから、……

6.通常枠の放送で、程よく枕を振って噺に入っている。

7.TBS R まわり舞台 放送録音 1968.8.9

8.

三年目−2

1.TS-02533C2,VT=TV-39026-2

2.1975.8.27,TBS,国立小劇場,落語研究会第90回

3.29:42

4.パイオニア.EE-008(LD),SCHWAN.SRVT-3920(VT)

5.出囃子 正札附

えー、ェッ、毎度この、ォーッ、陰気陽気と言う事を申します。陰陽と言うこれはまァ、手の裏を返して、ェッ陰気陽気があると言いますが上を向けて陽、これを伏せると陰になりまして。喧嘩は陽でございますから、収める時はどうしてもこの陰の手でないと収まりが付かないと言う「まァまァまァお止しなさいよまァ、お互いに詰まらない腹を立った所でまァまァまァ、とにかく、あたしが顔の立つ様にまァまァまァーまァ、任しときなさい」陰の手でこう伏せて行くから喧嘩が収まるが、ェ上を向けるとおかしくなりまして「まァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかくまァ、まァやった方がいいや」なんてな事で、何か喧嘩をおやかしてる様で。えー幽霊と言うこれはまァ陰気な物で、絵に描きまして後ろに、ィッ柳と言う物を描く。柳に幽霊と言う。えー陽木の前へ陰気な幽霊が出ると言うのが釣り合いだそうでこういう手をしてね、陰の手つきで「恨めしい」、こっちを向けると「こわめしい」なんてんでね強飯を貰いたそうで。あんまり上げるとお化けがふざけてる様で、下へ下がっちゃァなんかだらしがないから、まァこら中へんが一番形がいい様で。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと、凄味がありましてね、こりゃァ東京の言葉が一番いいと言う。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………えーまァこの幽霊なんてぇ物は無いと言う。ああ言う物はこちらの神経で、拵えて見るもん、「ンなァ馬鹿な物は無い」と言う方もあれば「いや、霊と言う物があって本当にある」と言う方もありますが。(白湯を啜る)幽霊とは幽かな御霊と書くと言うから、まァはっきりとは無いが薄くぼんやりとあるとでも言っておくのが一番幽霊らしい所で。…………<虱が仏>…………あんまり噺家の言う事を、…テヘッ、…あんまり当てにしちゃいけません。しかし、えーたとえああ言うものでも、余り残酷な事をすると、気が残ると言う。えーまして、人間でございますから、えー恨めしいとか、やれ悔しいとか、あいつに取っ付いてやろうなんてぇと、まァその気が出ると言うのはこれはまァ嘘では無いかも知れませんが。まァ何にしてもこの、家庭は円満で無ければいけませんでね。アー「あすこのうちは始終夫婦喧嘩ばかりしているよ」なんてぇのは嫌なもんで。お仲のいいのは結構ですけれども、まァこれはお二人だけにして頂きたいんでな仲のいいと言うのは。どこまでも延長されて、もう辺り構わず、でれでれでれでれしてね、えー、傍迷惑ですよゥ。こう言う人が、…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………ウーン、そう言う仲のいい御夫婦で、おかみさんの方がどっか具合が悪いなんてんで寝込んだ日にゃァ御亭主は枕許を離れませんよ「どう、どうしたい、えー少しは、具合がいいかい今日は、えっ。一ン日も早く良くなっておくれお前が患っているとねぇあたしはもう自分が、病気をしているよりも辛くていけないから、……

6.国立の録音でVTRでも楽しめる逸品。

7.TBS TV 落語特選会 放送録音 1975.10.24

8.この口演の席に居合わせた私は、「虱が仏」にまんまとはまってしまった。

三年目−3

1.TS-02602D1

2.ビクター,ビクター・スタジオ,客なし

3.24:30

4.V.JV-126,JV-1294,SJV-6554,VCK-528(CT),VCK-3166(CT)

5.出囃子 どうぞ叶えて

陰気陽気と申しますが物の陰陽と言う物は色々ございますが。幽霊と言うとこらァまァ陰気な物で、絵に描きまして後ろに柳を描く。柳に幽霊と言う。こりゃ付きもんでございますが陽木の前へ、陰気な幽霊が出ると言う、つまり釣り合いでございます。幽霊は大抵前へこう手を下げまして陰の手つきで、「恨めしい」てんで出る。もっともあの、ァーッ、幽霊の言葉は、音羽屋調子と言いまして、東京の言葉が、ァッ、一番いいそうで。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと、凄味がありますが。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………まァ幽霊と言う物は無いと申しますがああ言う物は、こちらの神経で拵えて見るもん、「ンな馬鹿な事は無い」と言う方もあれば「いやそうでなく、霊と言う物があって本当にある」と言う方もございますが。幽霊とは幽かな御霊と書いて幽霊と読む、まはっきりとは無いが薄くぼんやりあるとでも言っておくのがこらまァ一番幽霊らしい所で。まァ何にしても御家庭と言うものは円満で無きゃァいけませんで。「あすこのうちはどうも夫婦喧嘩ばかりしている」なんてぇのは嫌なもんで。まァお仲のいいのは結構ですが、これもあんまり良すぎて、朝から晩まで、ェッ、でれでれでれでれされていたら、えー回りの者は大抵当てられますから。こう言う仲のいい御夫婦で、おかみさんがどっか具合が悪いと、寝込んだ日にゃァ大変で。御亭主は枕許を離れませんよ。「どうだい今日は、少しは加減がいいかい、えっ。まァ一ン日も早く良くなってくれないとあたしは自分が患ってるよりも、辛くていけないから、……

6.ビクターでスタジオ録音したもので初期の落語LPである。ビクターから東横落語会のテープが出てから廃盤になって久しい。

7.V.JV-1294 DISC COPY

8.

三年目−4

1.TS-02640D1

2.(1977.11.24),TBS,TBSホール,爛漫ラジオ寄席

3.26:32

4.無し

5.出囃子 正札附

えー、ェッ、毎度この、陰気陽気と言う事を申しまして。えー物の陰陽と言うこりゃァまァ何にでもありますが、ちょっと手を出して、ェッ上を向けて陽になってこれをその伏せると陰になると言う。喧嘩は陽でございますから、収める時はどうしても陰の手を持っていかないと喧嘩の収まりがつかないと言う「まァまァまァおよしなさいよまァ、お互いに腹を立ったとこでしょうがないやまァまァまァ、とにかく、えーあたしが顔の立つ様にするからまァーまァまァ」なんてんで。でこの、手でこう伏せて行きますと、喧嘩が自然に収まる。これ逆に上へ向けるとおかしくなる「だァーまァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかくまァ、アーやった方がいいよ」なんてんで、何だ喧嘩をおやかしている様で。えー何事にもこりゃァ、ァッ陰陽があると言いますが。ンー、幽霊と言うあれはまァ陰気なもので、絵に描きまして後ろに柳を描く。柳と言う物が陽木でその前へ、陰気な幽霊が出ると言うこれがつまり、ェッ陰陽の釣り合いだと言いますが。えー幽霊と言う物は、(白湯を啜る)あれはまァやはり東京の言葉が一番いい様でございましてね、凄味がある。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇとね、なんとなく幽霊が物凄い。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………まァ幽霊なんてぇ物は無いと言う。ああ言う物はこちらの神経で拵えて見るもの、えー「そんな馬鹿げた物は無い」なんと言う人もあり「いやそうでない、霊と言う物があって本当にある」と言う方もございますが。えー幽かな御霊と書いて幽霊と読む、だからまァはっきりとは無いが、薄くぼんやりとあるとでも言っておくのが一番幽霊らしい所で。…………<虱が仏>…………まァ何にしても、御夫婦仲と言う物は、えー円満な方がいい。えー「あすこのうちは夫婦喧嘩ばかりしている」なんてぇのは嫌なもんで。お仲のいいと言うのは大変結構ですが、ただしあれはお二人だけにして頂きたい仲のいいのは、えー辺り構わずね、どこまでも延長して、でれでれでれでれされた日にゃァね、見てぇる者は大抵どうも当てられるますからねぇ。こう言う人がこう言う、…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………そう言う仲のいい御夫婦で、おかみさんの方がどっか具合が悪いなんてんで寝込むと、御亭主の方は枕許を離れない「どうした加減がいいかい少しは。お前がね早く良くなってくれないとあたしは自分が患っているよりも辛くていけないから、……

6.TBSホールでの公開録音のもの。「虱が仏」の受けは余り良くない。

7.TBS R 爛漫ラジオ寄席 放送録音 1977.11.24

8.

三年目−5

1.TS-02668D1

2.1975,(1978.3.30),ABC,大阪厚生年金会館中ホール

3.19:34

4.無し

5.出囃子 正札附

えー、ェッ、陰気陽気と言う事を良く、ゥーッ、申し上げますが。物の陰陽と言うこれはもう、ァーッ何にでもございますが、ちょっと手を出しまして上を向けて陽、これをその伏せると陰になると言う。喧嘩と言う物はあれは陽でございますから、収める時は陰の手を持って行かないと喧嘩の収まりがつかないと言う「まァまァまァおよしなさいよまァ、お互いに腹を立ったとこでしょうがないまァまァまァとにかく、えー顔の立つ様にするからまァまァまァ任して」陰の手で伏せて行くと、喧嘩が収まる。逆に上へ向けるとおかしくなりましてね「まァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかくまァ、まァ、ァーッやった方がいいよ」なんてな事を言って、何か喧嘩をおやかしている様で。えー、幽霊と言うあれはまァこの陰気なもので、後ろに柳と言う物を描きまして。柳に幽霊と言う。陽木の前へ陰気な幽霊が出ると言うこれが釣り合いでございまして。こう言う手をしてね、「恨めしい」、こうやるから「恨めしい」、こっちを向けると「こわめしい」なんてんで、強飯を貰いたそうで。まァ何にしてもこの、家庭と言う物は円満でなければいけませんで、「どうもあすこのうちは、ァッ夫婦喧嘩ばかりしている」なんてぇのは嫌なもので。えー御夫婦仲のいいてぇのは結構ですが。(カット)まァそう言う仲のいい御夫婦で、おかみさんがどっか具合が悪いてんで寝込んだ日にゃァ大変で、御亭主は枕許を離れない「今日はどうだい、少しは加減がいいかねえっ。いやお前がね、患っているのはあたしは自分が、エーッ悪いよりもどうにも、ためアーたまりませんよ。……

6.圓生師大阪での口演である。1975年の大阪での独演会の録音とのことである。上方のどっしりした正札附に乗って登場するが、東京と違って余り受けていないのが良くわかる。枕にカットが幾つかある模様だが、(カット)以外は確証できなかった。大阪在住の知人より譲られた録音だが、同じ録音を尾方さんからも頂いた。データはそれに拠っている。

7.ABC R 演芸大劇場 放送録音 1978.3.30

8.

三年目−6

1.TS-02938C2

2.(1961.5.11),TBS

3.26:52

4.無し

5.出囃子 正札附

えー、エーッ毎度この、陰気陽気と言う事を、ォッ申し上げますが、物の陰陽と言う物は、手の裏を返してあると良く言いますが。上を向けると陽になりましてこの、ォッ手を伏せると陰になる。喧嘩は陽でございますから、収める時はどうしても陰の手を持って行かないとありゃァ具合の悪いもので「まァまァおよしなさいよまァ、つまらないよお互いに腹を立った所でまァとにかくあたしが、顔を立つ様にするまァまァまァまァとにかく任して」陰の手で伏せるから喧嘩が収まりますがあれ逆に上を向けちゃおかしい「まァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかく、まァ腹が立つからおやりよ」なんてんでね。喧嘩を大きくしている様で。えー、何事にもまァこれ陰気陽気はあると申しますが。幽霊と言う、あれはまァ陰気なものでございますが、後ろに柳と言う物を描きます。柳に幽霊、えーこりゃまァ付きもんですね、鰌に、えー牛旁、噺家に借金なんと言うみんなこりゃ付きもんになっておりまして。えー、幽霊という、「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと凄味がありますが、…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………しかしまァ、この幽霊なんてぇ物は無いとおっしゃいますが、ああ言う物は、神経で拵えて見るもの、「ンな馬鹿な事は無い」と言う方もあれば「いや、霊と言う物があって本当に幽霊はある」と、言うお説もございますが。えーまァ幽かな御霊と書いて幽霊と読むと言うから、はっきりとは無いが、薄くぼんやりあるとでも言っておくのがこりゃまァ一番幽霊らしい所で。…………<虱が仏>…………ンーまァ何にしてもこの、家庭と言う物は円満で無きゃァいけませんが。まァ御夫婦仲のいいと言うのはな、大抵結構なもんですがあいつも良すぎて、朝から晩まで二ァ人が、でれでれでれでれされていた日にゃァ、えー、当人同志はいいが回りの者は大抵こりゃ迷惑な話で当てられますからね。こう言う仲のいい方が寄席へ来たって…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………こう言う、仲のいい御夫婦でおかみさんがどっか具合が悪いなんてんで寝込んだ日にゃァ大変ですよ。御亭主は枕許を離れない「今日はどうだい、少しは、加減がいいかい、えっ。お前がねぇ一ン日も早く良くなってくれなきゃァ、あたしは自分が患っているよりも、辛くていけ ネいから、……

6.1961年の録音で、口調が少し早い。「早起き名人会」で二回放送されたが、同じ音源を夫々違う部分をカットして放送されたため2つの録音を編集して復元した録音であるのでご注意願いたい。

7.TBS R 早起き名人会 放送録音 1987.9.5,1981.9.5

8.

三年目−7

1.TS-02883B2

2.1977.3.29,東横劇場,東横落語会第195回

3.25:05

4.AP.KSZ-2040(CT)

5.出囃子 正札附

えー、ェッ、毎度この陰気陽気と言う事を、ォッ申しますが、物の陰陽と言うこれは、ァッ手を返して、陰気陽気があると言いますが上を向けて陽になる、これを伏せると陰になりますが、喧嘩と言う物は陽でございますから、収めるにはどうしても陰の手を持って行かないと具合が悪いと「まァまァまァおよしなさいよまァお互いに腹を立った所でしょうがないまァまァまァ、とにかく、えーお互いに顔の立つ様にまァまァまァまァ任して」陰の手でこう伏せていくから喧嘩が収まる。えー上を向けるとおかしくなりまして「まァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかく、とにかくまァ、アーッやった方がいいよ」なんてな事…。何だか喧嘩を大きくしている様で。えーこう言う所にやはり陰気陽気があると言いますが。幽霊と言う、こらァまァ陰気なもので、絵に描きまして後ろに柳を描く。柳と言う物は陽木でございますから、前へ陰気な幽霊が出ると言うこれがその陰陽の釣り合いだと言う。こう言う手をしてね、これは陰の手つきで「恨めしい」てんで出る。こっちを向けると「こわめしい」なんてんでね、強飯を貰いたそうで。あんまり上げるとお化けがふざけてる様で。下に下がっちゃァ何かだらしがないからまァこりゃ中へんが一番形がいい様で。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと、凄味がありましてね。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………えーまァ幽霊なんてぇ物は今の時代は、ァッ、本当に信用する方はございません無いと言う。あんな物は神経で、えー勝手にこちらで幽霊を拵えるもんで、「ンな馬鹿な事は無い」とおっしゃる方もあり「いやそうでなく、本当に霊と言う物があってある」と言うお説もございますが、幽霊とは幽かな御霊と書くから、えーはっきりとは無いが薄くぼんやりあるとでも言っておくのがこらまァ一番幽霊らしいとこで。えー何にしても、家庭は円満で無ければいけないと言いますが、あすこの御夫婦は仲がいいと言うのはよろしいが、どうも、ァー朝から晩まで喧嘩をしているなんてぇのは嫌なもんで。えーま御円満は結構なんですが、ただしィお二人の時だけにして頂きたいんでね。えーどこまでも延長して、辺り構わずでれでれでれでれされていた日にゃァね、回りの者は大抵当てられる事がある。えー寄席へ来たってあァた…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………えーまァそう言う、仲のいい御夫婦で、(白湯を啜る)おかみさんの方がどっか具合が悪いてんで寝込んだ日にゃァ大変。御亭主は枕許を離れません「今日はどうだ、加減がいいかい。お前が患っているとあたしは自分が悪いよりも辛いから、……

6.東横落語会の録音。別の日の録音も出ている。

7.AP.KSZ-2040 CT COPY

8.

三年目−8

1.TS-02818D1

2.1964.9.18,NHK,ヤマハホール,東京落語会第63回

3.28:59

4.Col.FS-7155,COCF-12944(CD)

5.出囃子 正札附

えー、相変わらず、ェーッ噺家のお喋りでございまして、別にまァ教育の足しになる様な事は、ァーッ決して申し上げる訳はございませんで。まァ、アー昔から、良くこの陰気陽気と言う事を申します。物の陰陽と言う物は、えー手の裏を返すうちに、ェーッ自然とございまして上を向けると陽になる。でこれをその伏せると陰になりますが、喧嘩と言う物は陽なものですから、収める時にはどうしても陰の手を持って行かないと喧嘩の収まりがつかないと言う「まァおよしなさいよまァ、お互いに腹を立った所でしょうがないまァとにかく、あたしが顔の立つ様にまァまァまァまァとにかく任して」陰の手で伏せていくと喧嘩が収まる。逆に上を向けるとおかしい様で「まァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかくまァ、とにかくまァ腹が立つからやっちまえ」なんてんで。喧嘩をかえって大きくする様で。えーまァそう言う所が陰気陽気でございまして…………<祭の陰陽〜土左衛門の陰陽>…………幽霊と言う物は、こらァまァ陰気なもので、絵に描きまして後ろに柳を描く。(白湯を啜る)柳に幽霊と言う、陽木の前へ、陰気な幽霊が出ると言うのが釣り合いでございます。前の所へこう手を下げて、こりゃ陰の手つきで「恨めしい」てんで出る。でェこうやるから「恨めしい」向こうを向けると「こわめしい」なんてんで、強飯を貰いたそうで。あんまり手を上げるとお化けがふざけてる様で。下に下がっちゃァだらしがないからまァこの中へんが一番形がいい様で。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと、凄味がありまして。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………しかしまァ幽霊なんてぇ物は無いと申しますがああ言う物は、こちらの神経で勝手にそう言う物を、えー幻で見るン、「ンな馬鹿な事は無い」とおっしゃる方もあれば「いやそうでない、霊と言う物があって本当に幽霊はある」とおっしゃる方もございますが。幽かな御霊と書いて幽霊と読むから、まァはっきりとは無いが、薄くぼんやりあるとでも言っておくのがこらまァ一番幽霊らしい所で。えー何にしてもこの家庭と言うものは円満で無くちゃァいけませんで、「どうもあすこのォうちは何だねぇのべつに夫婦喧嘩ばかりだよ」なんと言う。ァ誠に嫌なもんで。えー御夫婦仲のいいと言う事は大変いい、こりゃ結構ですが、これもあんまり良すぎましてね、朝から晩まで二ァ人がでれでれでれでれされていた日にゃァ、ァー当人同志はいいでしょうが、傍にいる者は大抵これ迷惑でね、当てられますよ。こう言う仲のいい方が寄席へ来たって…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………えー御夫婦仲のいい、まァ、奥さんの方がどっか具合が悪いと、って、アー寝込んだ日にゃァ大変で。御亭主の方は枕許を離れないという「どうしたい、少しは加減がいいかい今日は、えっ。えー、お前が患っていられるのはあたしはもう自分が悪いよりも、辛くていけないから、……

6.東京落語会では2回口演しているが、これは1964年の録音である。

7.Col.FS-7155 DISC COPY

8.

三年目−9

1.TS-02871B2

2.1970.6.19,NHK,イイノホール,東京落語会第132回

3.30:29

4.Po.CN-6515(CT),POCN-1011(CD),NHKサービスセンター.JK-3111

5.出囃子 正札附

毎度この、ォッ陰気陽気と言う事を、ォッ申し上げますが、物の陰陽と言うこれゃァまァ色々ございますが。えー手の裏を返しても、ァーッ陰気陽気があると言う。上を向けて陽でございましてこれをその伏せると陰になると言う。喧嘩と言う物は陽なもので、収める時は陰の手を持って行かないと喧嘩の収まりがつかないと言う「まァまァまァおよしなさいよまァ、お互いにつまらない腹を立った所でまァまァとにかく、あたしが顔の立つ陽にまァまァまァまァ任して」陰の手で伏せて行くと喧嘩が収まりますが、逆に上を向けるとおかしくなる「まァまァまァまァ腹も立つだろうがとにかくまァ、まァやった方がいいよ」なんてんでね。喧嘩をおやかしてる様で。…………<女郎買いの陰陽>…………えー、幽霊と言う物は陰気なもので、後ろに柳を描きます。柳に幽霊と言う、陽木の前へ、ェッ陰の幽霊が出ると言うのが釣り合い。えー、前へこう手を下げましててね、「恨めしい」てんで出る。こっちを向けると「こわめしい」なんてんで、強飯を貰いたそうで。あんまり手を上げるとお化けがふざけてる様で。下に下がっちゃァだらしがないまァ、中へんが一番形がいい様で。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと凄味がありますが。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………えーしかしまァ幽霊なんてぇ物は無いと言います。あんな物は神経で、拵えるて見る物、「ンな馬鹿な物は無い」と言う方もありいや、(白湯を啜る)「霊と言う物があって本当にある」とおっしゃる方もございますが。幽かな御霊と書いて幽霊と読むからまァ、はっきりとは無いが、薄くぼんやりあるとでも言っておくのが一番幽霊らしいと言う所で。えー「まァンなもなァ無いよ」なんてんで、威(え)張っている方が、暗い所で、白い物がふわふわっと来たりなんかァする「オーホホホホホ」なんてんでね、驚いたり何かしますが、無いてんで威張っていたら何も驚く事も無いんですがまァそういう所がおかしな物で。…………<虱が仏>…………しかしまァ、えー家庭と言うものはこりゃァ円満で無ければいけませんで、えー「夫婦喧嘩ばかりしてあのうちはどうも、実に嫌だね行って見ると」なんと言う。まァ、お、お仲のいいと言うのは大変結構で。ただまァこれはお二人だけの時にして頂き スいんですがね、二人だけなら何をしたって構いませんが、どこまでもこれを延長して、辺り構わず、えーでれでれでれでれされた日にゃァ、見ている者は大抵当てられますからねぇ。…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………えー、おかみさんがどっか具合が悪いなんと言って寝込んだ日にゃァ大変で。御亭主は枕許を離れません「どうだ、加減がいいかい少しは、そうかい。アーお前さんがね患っていられ、いられるとあたしはもう自分が悪いと言うよりは、えー、辛くていけないから、……

6.「三年目…8」の6年後の口演である。

7.Po.CN-6515 CT COPY

8.

三年目−10

1.TS-02908D1

2.1975.2.10,CBS・ソニー,スタジオ,「圓生百席第十四席」

3.35:28

4.CS.SOGZ-112,FCLY-1,FKLY-1(CT),SKJB-19(CT),22KG-159(CT),SR.SRCL-3839(CD)

5.出囃子 どうぞ叶えて 受囃子 寝鳥

昔からこの何事も陰陽と言う事を申します。陰気陽気、これはちょっと手を出して、上を向けますと陽になり、伏せると陰になると言う。え喧嘩と言う物はあれは陽でございますから、陰の手で、「まァまァまァまァまァまァ」てんでこの伏せていきますと、喧嘩が収まる。でぇ手を上を向けて、やるてぇとなんかおやかしている様で。やはりそう言う所が陰気陽気と言う訳でございますが。…………<土左衛門の陰陽>…………幽霊と言う物は陰気なもので、後ろに柳と言う木をを描きます。柳は陽木で、その前へ、陰気な幽霊が出ると言うのがこれが釣り合いなんだそうで。どこの幽霊でもたいてい東京弁がいい。えー、手をこの陰にしましてな、前の所ィ、でこれ朦朧と現れると言う。「生きかわり死にかわり、恨みをはらさで、おくべきか」なんてぇと、大変凄味がある。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎〜結婚詐欺仲人夫婦喧嘩露見>…………えーまァ何にしても、御夫婦仲がいいと言う、こりゃァ大変結構な事で、えー聞いたって「あすこのうちはどうも夫婦喧嘩ばかりしている」なんてぇのは嫌なもん。御円満と言う事は大変いい訳ですがね、ただしこらァお二人だけならよろしいんですが、どこまでも延長してね、辺り構わず、でれでれでれでれされた日にゃァ、エーッ端の者は大抵当てられますから。…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………えーそう言う仲のいい御夫婦で、おかみさんがどっか具合が悪い、やれ病気だてんで寝込んだ日にゃァ、御亭主は枕許を離れないと言う訳で。「どうしたい、今日は少しは、具合がいいかね、えっ。早く良くなってくれなくちゃァいけませんよゥ。お前が悪いと、あたしは自分が患っているよりも辛くていけないから、……

6.「圓生百席」の録音。これを元にした速記が集英社文庫「圓生古典落語3」に収められている。

7.CS.SOGZ-112 DISC COPY

8.

三年目−11

1.TS-02909D1

2.1971.10.29,東横劇場,東横落語会 第130回

3.30:38

4.日本オーディオ.NRC-1001(CT)

5.出囃子 正札附

えー、ェーッ、御用多の中を、御贔屓でございまして有難く、ァーッ御礼を申し上げまして。えー、今晩は、二席、ィーッ申し上げまして、先へ、『三年目』と言う、えーお噺でございますが。これは余り、えー仲間でも演る者が、ァーッ、ございませんで、名人と言う名前の残っております。四代目の、ァーッ橘家圓喬と言う、師匠が、この『三年目』を、ォーッ得意にしておりまして、ま当時他に演り手がございませんで、えー圓喬師が亡くなりました後、先代の、ォーッ圓生が、えーこれを、ォーッ演っておりまして、であたくしもそれを聞いて覚えておりましたので、えー、親父の物で、あたくしは生きてる間は親父の物を一っつも演りませんで、なるべく他の噺をして、一緒に演るとこっちの拙いのが目立っていけませんから、えー、ェーッ演らない様にしておりましたが死んで、丁度、えー一年でございますかその時に、『三年目』をあたくしが、(白湯を啜る)えー初めて、ェッ演りましたもので。えー、まァこの、陰気陽気と言う、ウーン陰陽と言うこらもう何にでもございますが。手を出しましても上を向けて陽になるこれをその伏せると陰になると言いますが。…………<喧嘩陰陽>…………でぇ幽霊と言うこれはまァ、陰気なものでございますが、絵に描きまして後ろに柳と言う物をを描く。柳に幽霊と言う、陽木の前へ陰気な幽霊が出ると言うこれがまつまり陰陽の釣り合いで、…………<恨めしいこわめしい>…………「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと、凄味がありましてね。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………こりゃァまァ幽霊なんてぇ物は無いと言います。ああ言う物はこちらの神経で拵えて見る物、「ンな馬鹿な物は無い」と言う方もあれば「いやそうでなく、霊と言う物があって本当にある」とおっしゃる方がありますが。…………<虱が仏〜気が残る幽かな御霊>…………ま何にしてもこの、家庭の円満と言うのは誠に結構なもので、「あすこのうちはどうものべつに喧嘩ばかりしている」なんと言うのは、誠に嫌な物で。御夫婦仲のいいのは大変結構ですが。アーン、ただしこれはまァお二人だけにして頂きたいのでね。えーどこまでもこれが延長して、辺り構わず、フッでれでれでれでれされた日にゃァ、アー見ている者は大抵当てられますからねぇ。…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………えそう言う仲のいい御夫婦で、おかみさんがどっか具合が悪いなんてんで寝込んだ日にゃァ、アー御亭主は枕許を離れない「どうだ、今日は少しは加減がいいかい、えっ。いやお前が悪いとあたしは自分が患っているよりも辛くていけませんから、……

6.東横落語会の録音。五代目の圓生と四代目の圓蔵の追善公演の折のもので、当日はもう一席「首提灯」を演じている。そのためか冒頭で、「三年目」が由緒あるものである事を語っている。安売りテープにのみ入っている珍品。

7.日本オーディオ.NRC-1001 CT COPY

8.

三年目−12

1.TS-12674B1

2.?

3.25:26

4.無し

5.出囃子 正札附

昔から、陰陽と言う事を申しますが、陰気陽気と言う物はこらまァ、何にでもございます。え手を上を向けると陽になり、これをその伏せると陰になるなぞと、ォッ良く申しますが。物の陰陽と言う物は、一寸した所にありますが。ウーン、お祭りなんと言う物はありゃァ、ァッ陽気なもので。でこの話をするにもやはり、陽気に、話を持っていかないと行く気にならない。…………<祭り陰陽>…………幽霊と言うこれはまァ、言うまでも無く陰気なもので、後ろに柳を描きますが柳に幽霊。陽木の前へ、陰気な幽霊が出ると言うこれが釣り合いでございますが。しかし幽霊なんてぇ物は無いと申しますが。ああ言う物は、こちらの神経で拵えて見るもん、「ンな馬鹿な物は無い」と言う人もあり「いやそうでない、霊と言う物があって本当に幽霊はある」とおっしゃる方も、ございますが。幽かな御霊と書いて幽霊と読む。アはっきりとは無いが薄くぼんやりあるとでも言っておくのがこらまァ市場幽霊らしいとこで。何にしても、家庭は円満でなければいけません。「どうもあすこのうちはのべつに夫婦喧嘩ばかりしている」なんてぇ嫌なもんで。えー御夫婦仲のいいのは、結構で、すけれども。これはやはり、お二人だけの時にして頂きたいんですがねぇ。こりゃァもうどこまでも延長して、辺り構わずでれでれでれでれされた日にゃァ、回りの者は大抵もうそれ見ちゃいられませんからな。…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………アーやはり、えー御夫婦仲のいいと言うのは結構ですが。おかみさんがどっか具合が悪いなんてんで、寝込んだ日にゃァ大変で、御亭主は、ァッ枕許を離れない。「今日はどうだい、少しは加減がいいかね。お前が患っていられるとあたしは自分が悪いよりも、辛くていけない。……

6.録音日その他は不明の放送録音。

7.都家歌六コレクション

8.

三年目−13

1.TS-12682B2

2.?,鈴本演芸場(?)

3.23:48

4.無し

5.出囃子 中の舞

えー、ェッ、御用多の中を、ァーッ御贔屓でございまして有難く、ォッ御礼を申し上げまして。色々、オーッ御機嫌を伺っておりますが、えー前方は漫才でございます。照代に三球と言う、えー誠に、ィーッ品(しん)も良し、息の合いましたいい漫才で。えー二ァ人は楽屋へ入りましても、ォーッなかなか仲がいい様で。煙草を半分ずつ吸ったりなにかしてね。大変お仲がいいから聞いて見たら、本当は御夫婦だそうで。夜は一緒に寝たりなんか致しまして。…フッ、どう、怪しからんもんで何怪しからん…。えー陰気陽気と言う事を申しますが物の陰陽と言う、手の裏を返して、えーこれはございくして上を向けて陽、伏せると陰になると言う。…………<喧嘩陰陽>…………幽霊と言うとこれはもう、オーッ陰気でございますが、絵に描きますと後ろに柳と言う物をを描く。えー陽木の前に陰気な幽霊が出ると言う、(白湯を啜る)あれがつまり、えー釣り合いだそうで、…………<恨めしいこわめしい>…………「生きかわり死にかわり、恨みをはらさでおくべきか」なんてぇと、凄味がありましてね。…………<大阪言葉〜下総言葉のけつめで野郎>…………まァ幽霊なんてぇ物は無いと言いますがあれはこちらの神経で拵えて見る物、「ンな馬鹿な物は無い」と言う方もありいや、霊と言う物がある。えー「幽霊はあるんだ」と言う方もございますが。幽かな御霊と書いて幽霊と読むからまァ、えーはっきりとは無いが薄くぼんやりあるとでも言っておくのが一番幽霊らしい所で。エッヘッ、ま何にしてもこの、家庭は円満でなければいけませんで、「どうもあすこのうちは夫婦喧嘩ばかりしている」なんてぇのは嫌なもんで。お仲がいいのは結構でございますがもっともこりゃァ、お二人だけにして頂きたいので。(白湯を啜る)どこまでも延長してね、辺り構わずでれでれでれでれされた日にゃァ、回りの者は大抵当てられますからね。…………<寄席でベタベタ噺間違え>…………でこの言う仲のいい御夫婦で、おかみさんがどっか具合が悪いと寝込んだ日にゃァ、御亭主は枕許を離れない「今日はどうだい、少しは加減がいいかい。お前が患っているとあたしは自分が悪いよりも辛くていけない、……

6.データ不詳だが、1975年頃の鈴本演芸場の録音の様である。

7.東海ラジオ 源兵衛太助寄席の旅 放送録音 1996.8.25 園部氏ライブラリー

8.

三年目・解説

仲間が集った席である時、「落語ン中に出てくる女で一番いい女ってのは誰でしょうねぇ」と言ったらある人が声を大に「そりゃ『短命』の女ですよゥ」とおっしゃった。確かに『短命』の女は亭主を三人も過労死(いや腎虚と言った方が適切だろうが)させているからアレの方では素晴らしいものがあるに違いなかろう。容貌だけ言ったら力を込めて言う「いーィ…イーっ女」は沢山出て来るが、いわゆる「かわいい女」と言う類での代表格によくこの「三年目」の女房が引き合いに出される。今やもうどこにも見つけられなくなってしまった様な女性である。余計な事を言うとやれセクハラだ女性蔑視と言われるので内緒にしておいて欲しいが、この「三年目」のサゲも昔と今では笑いの内容が変わっている様だ。今の女はきっとサゲを聞いてかわいいなんて思わないで「馬っ鹿見たい」で済ませてしまうのに違いない。「三年目」の女房が女の鏡とは思わないが、そんなかわいさを持っていて欲しいと思うのは男の本音だろう。「厩火事」のお崎さんを質を悪くしたみたいな女が多い中、「かわいい女」は今や貴重な存在となりつつある様だ。

 「三年目」と言う噺は、実際には20分程度の短い噺であるので、圓生師は陰陽の枕から幽霊の枕を振る事により25分程度の長さに調整している。「虱が仏」の話を入れて30分になる。この「虱が仏」の話を最初に聞いた時にまんまと引き込まれてしまった経験がある。国立の研究会の席だったので雰囲気が真面目なので全員が思いっきり罠にはまってしまった様である。その時の雰囲気は残る録音とVTRでも察しがつくと思う。「虱が仏」の入る他の録音がそれ程でもない事からも、この時の口演は圓生師にとってはしてやったりと言う感があったことだろう。

時代設定:江戸、または明治。

舞台:察するところ大店だろう。

登場人物:仲のいい夫婦の亭主、死に別れの女房、後添えの女房、その子供。

ベストテイク:「三年目−2」。国立での録音で、極めて標準的な枕の構成であり、出来も良い。

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