三遊亭圓生音源データノート

お化け長屋−1

1.TS-02842A1

2.1962.5.31,人形町末廣,「圓生独演会」

3.47:57

4.AP.KSZ-2084(CT)

5.出囃子 正札附

えー、ェーッ、御用多の中、ァーッお運びを戴きまして有難く、ァッ御礼を申し上げまして。えーいつも、独演会で別に、サービスがございませんので、えー何かと思いまして、ェーーッ、北千住から、人形町まで、ェッ地下鉄を開通を致しまして。えー、本当は明日からと言うのを、ァーッ「独演会があるから是非、今日にしてくれ」と言う。これは独演会のサービスでございます。えーエヘッ、どうぞまァ宜しく、ゥアーッ、お遊(あす)びの程を願いまして。えー、『お化け長屋』と言う、ゥーッお噺でございますが。このォ怪談と言うものを昔から、ァー噺家が良く演りましたものでこりゃまァ大抵、(白湯を啜る)…時期は夏場が多いようで、……  ……<冬のお化けは無い〜幽霊のなり〜大阪弁と下総弁の幽霊〜執念亡念残念〜土橋亭りう馬田舎での失敗談〜貞山が傘で叩かれた話>……  ……えぇーっまた中には、ァアーッ、あいつが臆病だから驚かしてやろうなんてんで、白地の浴衣なぞを被って、暗い所から「うわーっ」なんてんで威かして、「どホホー、おかしかったよえー、アーにオー普段強(つお)がってやがるがあんな強(つお)かねぇのよ。野郎尻餅をついちまいやがってねぇざまはなかったよ」「へえーそうかい。そいつは面白いじゃァ俺も一つやって見ようか」なんてんで、悪悪戯てぇものはいけませんもので。「聞いたかい杢さん。えー、さっきあのここで家主が怒鳴ってやがったの。いやな奴だねぇどうも。こっちも悪いけれどもさァ何もあんなにとろとろ言うには及ばねぇじゃねぇか。『長屋の物置にしよう為にここのうちを建ってあるんじゃァねえ。こんなにィ何だなァ空店に物を放り込んだ奴は調べ上げて、店賃を割り付けて取る』ってやがったねあの爺ィが」……

6.独演会の録音で時間がたっぷりあったのでカット無しでサゲまで演じている。

7.AP.KSZ-2084 CT COPY

8.噺の中に地下鉄の話が出ているが、正にこの日、日比谷線の既開業区間南千住〜仲御徒町に連なる、南千住〜北千住間、及び仲御徒町〜人形町間が開通し、東武鉄道との相互乗り入れ運転が始っている。

お化け長屋−2

1.TS-02849B2

2.1976.3.29,東横劇場,東横落語会第183回

3.34:53

4.K.KHA-3029,CKS-299(CT),K18H-5202(CT),KICH-3128(CD),KITH-3128(CT)

5.出囃子 正札附

えー、…怪談と言うものは(カット)昔から、ァーッ夏に限ったと言う。どう言う訳で、ェーッ怪談を夏に、するのかてぇとあれはやはり、幽霊のォ衣裳の関係だろうと思いましてね。幾ら寒くなったって、どてらなんぞを着てね、襟巻をして暖(あった)かそうな奴がぶくぶく出た日にゃ、そりゃもう見ただけで、エッおかしくなりますからやはり、えー、痩せてこう、ほっそりして、やはり薄着でなければいけませんで。まァ近頃は余り怪談なんと言うものは、演らなくなりましたが。……  ……<寄席の幽霊〜執念亡念残念〜貞山が傘で叩かれた話〜暗くなると寿司を食ったり女の頬を舐めたりする奴の話>……  ……良く人を威かそうなんてんで、白地の浴衣なぞを頭から被って暗い所から「うわっ」なんてんで「ワハハハハ」なんてんで、驚くてぇと「おかしかったよ野郎アー、普段強(つお)がってやがるがねなんのおめぇ、威かしたら一ったまりもねえ尻餅をついて震えてやがんのよ」「エッヘヘッ、そうかいそらー面白かったねえ。えー。じゃ俺もやって見よう」なんてんで、悪い悪戯てぇものはいけませんもので。「杢さん、聞いたかい。えー、あの家主が言ってやがったよ。ンー本当に癪に障る爺ィじゃねぇ。こっちも悪いがさァ、何もあんなにガーガーが鳴り立てる事はねぇやね。えー『長屋の物置にここのうちは建ってあるんじゃァねえ。何だってこんなに無闇に(カット)放り込みやがったン。こんなに荷物を(カット)入れた奴は、調べ上げて、店賃をォ取る』ってやがったねあん畜生」……  ……サゲ=じゃ蟇口なんぞ置いてかねぇ」「置いてくどころじゃ…。アーいけねぇ、さっきの蟇口持ってっちゃったあいつが」……『お化け長屋』で……(拍手〜鞍馬)

6.時間の関係からか前半で切っている。

7.K.K18H-5202 CT COPY

8.(カット)の箇所は、何の為だか鋏が入っている。

お化け長屋−3

1.TS-02773A1

2.1968.8.4,TBS,人形町末廣,「日曜寄席」

3.23:50

4.Col.CHY-9089(CT)

5.出囃子 正札附

えー、昔からこの、ォーッ、怪談と言うものを、夏になりますと良く、ゥーッ演りましたもので。えーあまりこの正月や二月頃に、ェー怪談と言うものは、演らない事になっておりますがあれはそのお化けの、なりの関係じゃァないかと思いますが。寒くなりましても、どてらを引っ掛けて襟巻なんぞをしてね、暖(あった)かそうな奴がむくむく出て来た日にゃァこりゃもう見ただけで、エーッ凄味がなくなりますが、やはりおばちゃんてぇものはあのこう、痩せているところに、エッヘン(咳)値打ちがありまして。『四ツ時に出る幽霊は前座なり』なんと言う、川柳がございますが四ツ時と言う、ま今の時間で言うゥー二十二時でございまして、そんな半端な時間に出る幽霊と言うものはこりゃァまァ、えー寄席で演ります、ゥ前座がこのお化けンなって出ると言う奴で。……  ……<執念亡念残念>……  ……良く白地の、浴衣なぞを頭から被りまして、暗い所から「うわっ」なんてんで威かして、「面白かったよ野郎、尻餅をつきやがってね、アハーン震えてやがんのよ。なんのおめえ普段、強(つお)がってるやァ形ァねぇやな」「えーそうかい。野郎そんなに、憶病かい、アー面白いや。じゃ俺も一つやって見ようか」なんてんで、悪悪戯てぇものはいけませんもので。「杢さん、聞いたかいさっきあの、家主がここで怒鳴ってやがった事。えー。嫌な爺ィだねぇどうも。だこっちも悪いには悪いけどもさァ何もあんなにガーガー、怒鳴り散らす事はねぇじゃねぇ。『長屋の奴はどうもどう言う訳でこの物置ィ、のようにこの空店を使いやがん。こんなに放り込んだ奴はァー調べ上げて、ワ、店賃を取る』ってやがったねあノ爺ィが」……  ……サゲ=じゃ蟇口置いてかねぇ」「置いてくどころじゃねぇ…。アーいけねぇ、さっきの蟇口持ってっちゃったあいつが」……『お化け長屋』でござい……(拍手)

6.放送録音からテープ化している。元のテープの回転が遅いようで、上記タイムは修正後のものである。

7.Col.CHY-9089 CT COPY

8.人形町末廣からの生中継である。元の録音に手を加えていない様で、言い違いがあちこちに聞かれる。

お化け長屋−4

1.TS-02908C1

2.1976.7.29,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第八十席」

3.60:03

4.CS.60AG-312,SR.SRCL-3812(CD)

5.出囃子 弩弓 受囃子 おかしみすごみ

『お化け長屋』と言う、ァー噺でございますが。昔このォーお化けと、幽霊とは違うんだと言うことを、伺った事があるように思いますが。えーお化けと言うのはあれは狐狸、貉なぞが、人を誑かします。で異様な姿になって出るこう言うのがお化けと言って、幽霊と言うのは人間が化ける、ぇその区別が有るんだと言うことを、伺った様に思いますけれどもしかしお化けと幽霊と、やはり混同しておりまして、人間が化けたんでもやはりお化けと言う。子供を威かすのに暗い所から「お化けぇー」なんて「いやーっ」なんてんで、ぇー子供が騒ぐのを、喜んだり何かする。怪談噺と言うものをば、昔は大変演りましたもので、ま大体にィ、今は幽霊が出るなんてぇ事を信じない世の中ンなりまして。じゃ無いんだっと言いながら、やっぱり暗い所から、異様なものが出て来て、出し抜けにこのゥ「ハッ」とする事がありましてね、でそういうのはやはりお化けがあるという意識があるせいでございましょうが。えー怪談を、演って貰いたいなんという田舎なぞへ行きますと、注文なぞをされたもんで。ウーン怪談噺というものは、場内が暗くなりますからな、それでお客が入るんだと言う説もあるんで、えー中には噺はどうでもいいから、暗くなるのを待つなんという、変なその、聞き方があってね。……  ……<暗くなると寿司を食ったり女の頬を舐めたりする奴の話〜寄席の幽霊〜ひょっとこの面での失敗談〜土橋亭りう馬の失敗談>……  ……良くこの人を威かすなんと言って、白地の浴衣なんぞを頭から被りましてね、暗い所から出し抜けに声を掛ける「うわーっ」てんで、向こうが驚く「どッホホーも面白かったよ、アー、なァにあの野郎普段強がってやがるけどもね、意気地がねぇったってよ、一ったまりもなく、尻餅をついてガタガタ震えてやがんのよ」「へぇーそりゃァ面白かったろうゥーン、じゃ俺も一つ野郎威かそうか」なんてんで、良く悪悪戯てぇものを致しますが。「杢さん、聞いたかいさっき、家主がここで怒鳴ってやがったの。えー。嫌な爺ィだねぇ。こっちも悪いには違(ちげ)えねぇけれども、何もあんなにガーガー言うことはねぇじゃねぇ。『長屋の物置にしようと思ってここのうちは建ったんじゃねぇんだ』なんてぇやがん。えぇ。『こんなに物を放り込んだ奴は、調べ上げて店賃を割り付けて取ってやるからそう思え』ってやがる」……

6.「圓生百席」の録音。サゲまで完演している。

7.CS.60AG-312 DISC COPY

8.

お化け長屋−5

1.TS-02925D3

2.(1967.7.2),TBS,落語名人会

3.25:28

4.なし

5.出囃子 正札附

えー、古い川柳に、『四ツ時に、出る幽霊は前座なり』と言う、えー四ツと申しますと、今の時間で言う、ゥー二十二時と言う。まそんな半端な時間に出る、ゥッ幽霊なんてぇのはありませんで。まァ昔から第一、幽霊が有るとか無いとか、色々、オー議論をォッ致しますが、まァこりゃァ、ァーどっちとも言えませんで。(白湯を啜る)しかし、ぇー怪談噺なんと言うものは、大抵ェー夏に限ると言いますが、どう言う訳で、夏だけ、お化けが出るのかと、あたくしも色々考えましたが、あらァなりの関係もあるだろうと思いましてね。えーお化けと言うものはなるべく、痩せている方がなんかこう、凄味がありましてね、えー幾ら寒くなっても、ォーどてらを着て、襟巻かなんかァしてね、むくむくして出て来た日にはどォも見ただけでこりゃァアーおかしくなりますやはりこの、ォーおばちゃんてぇものはこの、えースーッとしている方が、ァッ凄味がありまして。……  ……<執念亡念残念>……  ……「おい、聞いたかい杢さん、さっきあの家主がここで怒鳴ってやがったの、えー。ン当にいめいましいじゃじゃねぇ。何もこっちも悪いには違(ちげ)ぇねぇがあんなに、が鳴り散らす事はねぇやねぇ。『長屋の物置にしようと思ってここのうちは建ったんじゃねぇ。こんなに空店ィ物を放り込んだ奴は調べ上げて、店賃割り付けて取る』ってやがったねあの爺ィが」……  ……サゲ=じゃ蟇口置いてかねぇ」「置いてくどころじゃ…。アーいけねぇ、さっきの蟇口持ってっちゃったあいつは」……(拍手)

6.時間の関係で前半のみの口演である。

7.TBS R 落語名人会 放送録音 細田氏ライブラリー

8.放送録音で、多少音質が良くないが出来の良い高座である。放送枠の関係で枕が少々カットされているようだ。

お化け長屋・解説

名作古典落語。サゲまで演じると長編となるため、多くの場合前半で切ってしまうが、サゲまで演じているものが、2本ある。その内の1本は独演会のライヴ盤であるのが嬉しい。確かにサゲまで演じると非常に長くなる為放送などでは困るのだろうが、後半に緊張感が失せると言う事もなく、むしろ後半の展開が私自身は好きなので後半の入っている録音は、金馬、志ん生のリレーの物と共に是非とも残したい音と言える。『圓生全集』所載の出だしの文句、『毎度この、陰気陽気てぇことを申しますが、陰陽てぇものは…』と言う、良く物真似に使われる一節なのだか、面白いことに現在有る録音の中にこのように始まる録音が無い。なんとも不思議…。さてこの噺はいわゆる典型的な長屋物で、筋も単純で面白く笑いも多いことから、名作古典落語と言ったのだが、これからも末永く生き残る噺であろう。近頃のテレビでも怪談物、怪奇物は必ず当たると言われている。何時の世も信じる信じないは別として『お化け』や『幽霊』は人間の心の隅に生きているものと見える。

時代設定:江戸時代。

舞台:ある長屋、大家は大層意地が悪いらしい。

登場人物:古狸の杢兵衛、青瓢箪に屁をひっかけた様な奴(長屋の入り口に住んでいる)、蟇口を落としてく臆病者、蟇口を持って行って引っ越して来る威勢の野郎、隣のお婆さん、引っ越して来た奴の友達文ちゃん他4〜5名、その親分、横丁の按摩。

ベスト・テイク:問題なく「お化け長屋…1」であろう。

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