桂文樂音源データ
野ざらし−1
1.TS-02557A3
2.不明(喉手術前),TBS
3.15:50
4.なし
5.出囃子 野崎
一杯のお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、馬鹿馬鹿しい事を申し上げてお暇(しま)を頂戴を致します。『釣れますかなどと愚かが二人寄り』エェーッ、釣りのお好きな方が表へお歩きになってると、表がこの一面の海に見(め)えるてますな。向こうから来た方がみなさかな、魚に見えるてー。(ポン)酷いもんで、「アァーッ鯛が来やがった鯛が。ああいうのが鯛だね、(ポン)えーっ、エヘッ後は鰹鰹ッ、(ポン)エヘッ噺家なんぞはダボ鯊だ」っていい気なもん。その昔ある方が、ァーッ、世の中で一番、馬鹿げた形を描いてくれと絵師に注文を致します。絵師がどういうものを描くかと釣りをしてるとこを描いたてン。その上の馬鹿はって釣りを見てる方だってこれは馬鹿かも知れませんな。何時釣れるか分らない。(ポン)ハァどうも大きな荷物をしょいましてな、土用の内日中に、ハッ汗をたらたらたらたらたらして、人の釣ってんのをこの夢中ンなって見てる方がちょいちょい見受けますからな「おぉーっ押しちゃいけないよーおいだめだよ…… ……<あたくし急ぐんですが〜けちなおかず>…… ……エヘッ一つ戴きます」酷い奴があるもんで。まるで夢中でございます「先生開けておくんねぇ、(トントントントン)先生開けて」「おい騒々しいねどうも、ご隣家の八つぁんだろっ。今開けますよどぅドンドン叩いちゃいけません今開けるってんだよこの…… ……サゲ=…あたくしはねぇなかで新朝て言(ゆ)う幇間だよ」「なに幇間だぁっ!ハァしまった昼間のは馬の骨であった……(拍手)
6.正に珍品。きちんとサゲまで演じている。
7.仲野氏ライブラリー
8.ラジオの音をマイクで拾っているので、音は非常に貧しく、音飛びもあるのだが、鑑賞には耐える。これはコレクターズアイテムである。
野ざらし・解説
正に珍品。残っているらしいと言う噂はあったが、本当に有るとは…。しかし、録音状態はお世辞にも良いとは言えず、音飛びがあるし、所々聞き取りにくい。我々の手元にあるのは色々な経路を経てきたものなので、原盤はもう少し良い状態であることも察せられるが、元々どこから出たものか不明なので何とも言えない。完全なコレクターズ・アイテムであり、いわゆるテープマニアが珍ししがって喜ぶ音源。「野ざらし」は文樂師が演じるとこの様になっているのだが、別段文樂師らしい所も無し、でも、オクラにしてしまう程の未完成の品物ではない。きっと、文樂師は自分ではそんなにまずいとも思ってはいなかったのだが、自分らしい所が無く、柳好、柳枝と言った面々に譲ってしまったのであろう。面白いのは、完全にサゲまで演じている事で、サゲまで演じた「野ざらし」は現在でも貴重である。
時代設定:明治時代。
舞台:長屋、釣場。
登場人物:先生、八五郎、呆れる釣り人数名、幇間新朝。
ベストテイク:選択の余地無し。