三遊亭圓生音源データ
小間物屋政談−1
1.TS-02850B2
2.1975.11.28,東横劇場,東横落語会第179回
3.34:27
4.K.KHA-3026,CKS-296(CT),K18H-5202(CT),KICH-3121(CD),KITH-3121(CT)
5.出囃子 正札附
えー、ェッ、「小間物屋政談」と言う、お噺でございますが小間物と申し上げても、今お若い方はお解りがございません何をいったい、商売をする。これはァ御婦人の、主にお使いになる物でございまして、白粉紅櫛口蓋、簪、その他まァ、こう言う物が、欲しいとおっしゃるてぇと、向こうで持って来てくれるというもちろん、店で商ったうちもございますがたいていは、背負小間物と言いまして、荷をこう背負って歩くんですが、まァ流行物なぞがあると、(白湯を啜る)とんだ儲けがあると言うこらァまァ何の商売でも当たり前でこざいますが。「御免下さいまし」「はァい、誰オーオッ、小四郎さんじゃねぇかオーオー、お上りお上り。どうしたい、珍しいね今頃」「えー、ここんとこはすっかりこちらへも御無沙汰を……
6.東横劇場での録音。比較的晩年になってから掛けた噺の様で、1966年以前の口演記録は見当たらない。志ん生師はニッポン放送で「小間物屋小四郎」の演題で放送した。
7.K.K18H-5202 CT COPY
8.
小間物屋政談−2
1.TS-02892A2
2.(1966.7.9),NHK,NHKスタジオ,放送演芸会
3.23:38
4.無し
5.出囃子 正札附
えー、ェーッ、昔と違いましてまァ只今は色々、御商売が増えて参りましたが逆に減った物もございますが、えー小間物屋と言うと、ォーッお若い方は、御存じがございませんがこれは、アーッ御婦人の、ま主に日用品でございますが。えー大きなお店もありましたが、ァーッ背負小間物と言うのが、多くお、ございまして。えーニ尺四方位な薄いこう箱へ、白粉紅、えー油、あるいは櫛口蓋色んな物をまァ、御婦人の、ォッお使いになるものをこの箱をどっさりこう重ねて、大きな風呂敷(ふるしき)で背負いまして、今で言うセールスマンですが昔はまァ、お得意が決っておりましてこれをその背負小間物と言う「御免くださいまし」「誰だいオーッ小四郎さんじゃねぇか、お上りこっちへ。いゃァ今もお婆さんと、ォッ噂をしていたんだがお前はまァ誠に良く働きなさる」「実は、えー今日はお願いがあって伺いました」…… サゲ=「これこれ、左様に喜ぶな。この縁を結んだのは越前守ではない」「へっ、…じゃなん…、それでは一体どなたでございます」「ホホホ、縁を結ぶのは出雲守じゃ」
6.NHKのスタジオでの収録で、途中で子供がブツブツやかましくしている。サゲはこの時だけ変えたらしい。
7.NHK R 放送演芸会 放送録音 1966.7.9 野口氏ライブラリー
8.サゲを変えて演じているが、気に入らなかったらしく、その後はこの形で演じていない。
小間物屋政談−3
1.TS-02913C1
2.1975.10.13,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第七十席」
3.50:30
4.CS.60AG-305,SR.SRCL-3835(CD)
5.出囃子 三下り箱八 受囃子 すいりょう
昔ありまして今無くなった稼業と言う物も随分ございますが、小間物屋と言う物は、当節無い様で。だいたい若い方に聞かれまして「一体小間物てぇのは何です」とおっしゃる。ご存じがございません。えーこれは御婦人の、お使いになる品物を背負って、方々商いに歩きましたもの。えー白粉紅櫛口蓋、あるいは簪。ぇその他にも、色々ォ持ち物なぞを、持って参ります。えーセールスマンでございますが、得意と言う、自分の、ちゃんとお客様は決っていたもので。ぇー仮に五十軒なり七十軒なりお得意がある、えそれへまんべんなく、ちゃァんと、もうあの品が無くなったなと思う時分には、御用伺いに行くと言う訳で。えその他に、何かこういう物が欲しいがと言う話をする。「ハァー左様ですか、えーえーえー、えー何とか致しましょう。あたくしが見(め)っけて参りますから」なんという。やはり、商売商売でそういう穴を知っているんですか、ちゃんと、その品物を、買い届けて持って来るという。えー重宝な物でございますが。大体この背負小間物屋さんと言う。ちゃんと店のあった所もございます。…… ……<小間物屋の解説>…… ……「えー御免下さいまし」「ハァイ、どなた」「へっ、こんちわ」「オー、何だい、小四郎さんじゃねぇかい。アーまァまァいいよ、こっちィお上り」「どうも、御無沙汰ばかり申し上げておりまして何しろ、ォッ、忙しいものでございますからついこちらィも、えーお寄り出来ないと言う様な訳で」「いゃァ結構結構。商売が忙しいのは人間何よりだね、ウーウン。暇じゃァいけませんよ。アー忙しいなら結構ゥーン、何かい、今度はだいぶ儲けたてぇ話だが、そうかい」「ヘッヘッヘッ、えーお陰様でまァ流行物がございましたんで、だいぶ、いい商いもさして頂きましたが、まァ後何か流行るまでは、ゥーン商売の合いの手と言うのでェ格別な事もございませんから……
6.「圓生百席」の録音。サゲは「背負うには及ばん」である。
7.CS.60AG-305 DISC COPY
8.
小間物屋政談−4
1.TS-12570A1
2.1973.5.31,TBS,国立小劇場,落語研究会第63回
3.33:57
4.Te.TETR-20042(CT),TECR-20042(CD)
5.出囃子 正札附
えー、ェーッ、昔この、ォーッあった商売で、無くなった物も随分ございますが、小間物屋と言うものは、お若い方はァーッ御存知がございませんで。えー小間物と申します。まァ御婦人の主に、ィーッえーお使いになる物紅白粉、油、串口蓋、えー簪なんと言うまァ、大抵御婦人の、お使いになる物を、商います。えーこれも店を出していた者とそれから、アーッ方々回る、背負小間物と言いまして、えーあたくしなぞも良く存じておりますがこの位の幅で、背の高さはこんなもんでしょう。えー、四角いんですか一寸こう横の長いのもありましたが、これに色々な物を入れて、この位なかさの物を幾つもこう重ねまして、で風呂敷(ふるしき)包みにして、背負いまして。えー、お得意はまァ大抵決っておりまして、それからそれと、御用を伺って歩こうと言う、まァ今で言う、セールスマンと言うんですか、えー御婦人のお持ちになる物は何でも、商いをしたと言う。えー「人間の猛りまである小間物屋」と言う川柳がございますが。(白湯を啜る)えー猛りと言うのは何だろうと思って、ある方に伺って見たら、張方と言うもんでそうで。あたくしは使った事はございませんが。御婦人がお愛用になるもんだそう。えー、越前は、ァーッ、「越前は一本も無い小間物屋」なんという。何のこってすかあたくしは良く解りませんけれども。まこんな物をその、オーッ方々、売って歩くと言う、「御免くださいまし」「はい誰、オーオー、何だい、小四郎さんかいイー今噂をしてたとこだ、まァまァお上りお上り。やァお前は良く働きなさるねぇ今度は大層、儲かったと言うじゃァねぇかねぇいやァ結構だ」「えーお陰様で流行物で大変儲けさして頂きましたが、まァこの後の、流行物までは一寸合いの手になりますんで、こちらにおりまして、まァまァろくな仕事も……
6.国立小劇場での落語研究会の録音である。TBSのライブラリーからCD化されているが、残念ながらVTRは残っていない様である。
7.Te.TETR-20042 CT COPY
8.晩年はこの型におさまったのであろう、標準と言える口演になっている。
小間物屋政談・解説
講談で演題を「万両婿」言うねたである。圓生全集には六代目の芦州から教わったと書いてあるが、古今亭志ん生師も「小間物屋小四郎」として演じた。いきさつから考えると、この二人の「小間物屋」は元は別の様だ。おそらく志ん生師は一時講釈師となっていた時に覚えたものなのであろう。ところが、講釈の元は人情噺だったそうで、古い「百花園」にも載っている。まあ演り方の違いでこうした噺は講釈にも人情噺にもなると言った好例のようなものである。圓生師は落語として演じたかったようで、サゲを色々と考えたそうである。鈴木みちを氏に相談して演じたのが「小間物屋政談…2」の録音で、「縁を結ぶのは出雲の守じゃ」とサゲているが、面白くもなんともない。後の「背負うには及ばん」の方が酒としては秀逸である。しかし、元々講釈ネタか人情噺であるこの様な噺は、とりたててサゲにこだわる必要は無いと考える。落語の本質は噺を無理なく演出する事にあると思うしその点が講釈と自ずと違って来ると思うのだが……。
時代設定:江戸時代。
舞台:家主源兵衛宅、箱根山中、小田原布袋屋、小四郎宅、江戸南奉行所。
登場人物:相生屋小四郎、女房とき、江戸京橋五郎兵衛町家主源兵衛、若狭屋甚兵衛、女房よし、大岡越前守。
ベストテイク:「小間物屋政談…1」または「小間物屋政談…4」。