三遊亭圓生音源データ
心の灯火−1
※宇野信夫作、鈴木みちを脚色
1.TS-02917D2
2.(1965.1.15),NHK,客なし
3.24:43
4.なし
5.出囃子 正札附
当今は、教育が行き届いておりまして、ま今に高校まで、義務教育になると伺っており ますが。江戸時代に庶民の、教育機関としては寺子屋がありましただけで、まそれが為に文字を知らない、無筆と言う者が大層多かったものだそうで。『正札をこれはいくらと恥ずかしい』と言う川柳がありますが、また『串と言う字を蒲焼と無筆読み』。成程『串』と言う字は、口を二っつ重ねてそれへ縦に棒を一本引きますので、ま見た所、鰻の蒲焼に似ているので無筆が蒲焼と読んだんでございましょうが。「今晩は」「誰だ」「わっしでござんす」「アーなんだ、貴様か。表はもう締まりをしたからくぐりから入って来い」「へぇ。表にも裏にも入口はたった一つじゃありませんか。くぐりなんて、一体どこにあるんです」「分からん奴だなァ。戸口の横へ回れば羽目が破れておるから、そっから入って来いっと言うんだ」「ブーッ。この羽目が破れがくぐりですかい、犬だねまるで。えー、葱のいいのがあったから持って来ましたからどうかお漬けの身にでもして下さい」「いやァいつも済まんな。あっそうだ、お前の娘が今しがた迎えに参ったが……
6.宇野信夫作、鈴木みちをの脚色による新作。これが初演の録音である。
7.NHK R 放送録音 1965.1.15 中根氏ライブラリー
8.
心の灯火−2
※宇野信夫作
1.TS-12580C1
2.1976.5.6,CBS・ソニー,スタジオ,客無し,「圓生百席第五十三席」
3.53:04
4.CS.60AG-129,SR.SRCL-3830(CD)
5.出囃子 三社祭
当今はこの無筆と言う言葉が、お分かりがございません。若い方に聞いて見ると「無筆てぇのは何です」ってんで、向こうで怪訝な顔をする。ぇつまり字の読み書きの出来ない者を無筆と言いまして、そうですねぇ大正中頃、あたりまでは確かにありましたね、丸っきり、文字の読めない。まァ噺家とか講釈師とか、えー人様の前でお喋りをするんですからまァ、丸っきり読めないてぇのも、大変これ困るもんで。でそういう人は得て間違えた事を言う。しかし必ず間違えるかと言うとそうでもございませんで。明治時代に邑井貞吉と言う、えー講釈師がありまして今は講談と言いますが昔は講釈師と言ったんで。…… ……<邑井吉瓶の話〜師匠と先生〜講談の悪口〜無筆の講談〜浪曲の悪口〜噺家の間違い〜下座の間違い〜川柳づくし>…… ……まァとにかく、読み書きの出来ないてぇものは誠に、不自由でございましょうが。「はい今晩は」「どなた、オーォ、羅宇屋の源六殿か。アーちとお上がりを」「えーえ有難うございます。やァー今年は、本祭りだからねぇ何とかして、お天気にしてぇと思ってるがなんかどうも危なっかしい空模様だからねぇ……
6.初演から10年余りを経ての再録音で、展開もかなり変えている。
7.CS.60AG-129 DISC COPY
8.
心の灯火・解説
宇野信夫の作による新作人情噺である。どうやら現在録音の残る二回しか演じていない様である。すなわち、1965年のNHKラジオでの初演と、圓生百席に入れた録音であるが、10年の歳月は圓生自身による噺の再構成を経てその構築は大きく変わっている。そのせいなのか、青蛙房の「圓生全集」にも載っていない。百席の録音では後半に効果音楽も入って「圓生名作噺」を思わせる部分もあるが、地の部分を意識して外しており主人公の名前も「先生」「貴様」以外わからないと言う特殊な演じ方をしている。なお、とってつけた様なサゲは、圓生師の創作らしいが、正直なところ余りいただけない。
時代設定:江戸時代。
舞台:先生宅。
登場人物:傘張りを内職にしている先生、羅宇屋の源六、八百屋。
ベストテイク:どちらもスタジオ録音であり、構成か変わっている事もありどちらとも言えないが、一つだけ持つとしたら「心の灯火…2」であろう。