三遊亭圓生音源データノート
紺屋高尾−1
1.TS-02515A2
2.(1973.2.8),ニッポン放送
3.24:23
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ェッ、昔とは、色々、ォッものが変わるったァーとょ、申しますが。えー病でさえも、ォーッ、違って参りまして。(白湯を啜る)今増えました病、また、ァー逆に無くなった病気と言うものもありまして。えー昔あって今無いのがあの恋患いと言う。あれは余り聞かない、ようですが。恋の病と言うやはりこのォ、ォーッ美人でなければいけませんでね。幾ら恋患いをしたってあァたァ、カバがベレー帽を被ったような顔じゃァ、えーっ同情もしにくいが、やはりこのいい女で、色の白い所ィ病の為に少ゥしこう青くなりましてね、蛍光灯の様な顔色ンなる。ぇこれへ、鬢のおくれ毛が二三本顔ィぱらっと下がるなんという。誠にどうも色気のあるもんで。もっとも白い顔へ黒い毛が下がるから宜しいんでね。黒い顔へ白い毛が下がる様になったら、タハハッこりゃァもう色っぽくもなんともないン。これを前歯でくわえて向うをこう睨んだ顔色なんてぇのはね、間抜けな人が見るとブルブルッと震えて小便を漏らすてぇますがね、汚い奴ァ無いが。男の恋患いと言うものも、ォッ稀にはございますが。…… ……<坊主に桜>…… ……噺が少し変な事になりましたが。えー、神田の紺屋町と言う昔は、軒を並べて染物屋さんがずらっと、商売をしております。(白湯を啜る)中で吉兵衛さんと言う、らー親方がチャキチャキの江戸っ子で、奉公人の二十五六人もおりまして、商売は、盛んにやっているがここに奉公している久蔵さんてぇ人が、三日ばかり物を食べない只、ウンウン唸って寝ていると言うン。親方が心配でございますから、お玉ヶ池の武内と言う先生を呼んで診てもらう「おーお前はなんだね、近頃珍しい、病気だ。お医者様でも草津の湯でもと言う、惚れた病は治りゃせぬと言うのがお前の病気だな。ゥーン、恋患いをしているだろ、えっ、何をいやいやいや隠してもいかん。……
6.ニッポン放送のスタジオでの録音である。確か初めは正月の特番で放送されているはずである。
7.ニッポン放送 演芸大行進 放送録音 1973.2.8
8.時間の関係で導入部分をはしょっている。
紺屋高尾−2
1.TS-02746B2
2.1968.2.16,NHK,ヤマハホール,東京落語会第104回
3.27:06
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ェッ、只今はこの、オオッ、廓と言う物が、無くなってしまいまして昔は、ウウン、えー、こりゃァもういずれにも、ァーッ、廓と言う物が、ァーございましたもので。えー土地に拠りまして色々その、名称が違いまして、えー江戸では、ァー花魁と申します。ぇー松の位なんと言う、大変に、ェー見識を売りまして。えー、大阪の方へ行きますと、ォッおやまと言いますな。それから、下関では女郎。ぇー、色々、ォー土地に拠って名前の違う所もありますが、ァッ、干瓢と言う所がある。変な名前を付けたもんですね。名の残る名妓と言うものはそう沢山ございませんが、高尾と言う者は、こりゃァ随分ありますね十何代とか有ったそうで。榊原高尾或いは、ァッ紺屋高尾六指高尾、子持高尾なんと言う。神田の紺屋町と言う、軒を並べて紺屋さんがずらりと商売をしている。中で吉兵衛と言うのは、だァー、チャキチャキの江戸っ子でございまして奉公人の十五六人も使い、ぇ商売は盛んにやっておりますがここに、奉公している久蔵さんてぇ人が、塩梅が悪いんで。「どうもォやっぱり餅屋は餅屋だから先生に診せなくちゃいけねぇから。お玉ヶ池の先生が良かろうあっ、えー後でな、手の空いた時でいいから、…おう、いい塩梅(あんべえ)だ先生がお通んなさっ、先生、ちょいと、えーお寄りを願いたいんでいや実はね今、お宅へ迎いにや、上げようと思っていたんでげすが、チュッ、えー久蔵の奴が少し塩梅が悪いんで先生に診て頂きたいんでげすが」……
6.東京落語会の録音である。放送の為に枕をだいぶカットしている様子である。
7.NHK R 古典落語 放送録音 1968.3.12 伊東氏ライブラリー→佐藤氏ライブラリー
8.
紺屋高尾−3
1.TS-02895A1
2.1976.5.12,東宝演芸場,東宝名人会
3.30:01
4.Ca.C18G-0316,PN.(20P-2207),PC.(18P-60015),PC.PCCG-00060(CD)
5.出囃子 正札附
えー、お寒い中を、ォーッ、御贔屓でございまして有難く、ァッ御礼を申し上げまして、もう、ァーッ、我々のお喋りでございまして、別にこれが国の為になると言う程の、決して、ェーッ、大袈裟な物ではありませんが、まァこのォ、ァー、世の中と言うものが、えー色々変って参りますが、病気でさえも昔あって今無くなったとか、逆に増えたと、まァ色んなそのォ、ォーッ、病がございますが。昔ありまして今、ァッとんと聞きませんのがあの恋患いと言う。えー余りあの人が恋患いをしているなんてぇのは、えーありませんが。えー昔はこの恋の病なんと言うやはりこりゃァ美人でなければいけませんで。(白湯を啜る)せっかく患っても、カバがベレー帽を被ってる様な顔じゃァどうも同情がしにくいが、やはりいい女で、色の白い所ィ少しこう青くなりましてね、蛍光灯の様な顔色で。そこへ(ポン)、鬢のおくれ毛が二三本顔ィぱらっと下がるという誠にいいもんで。もっともまァ色の白い所へ黒い毛が下がるからいいんで、黒い顔へ白い毛が下がる様になった日にはもう色っぽくもなんともないン。これを前歯でくわえて向うをこう睨んだ顔色なんてぇのはありませんよ。気の弱い人が見るとブルブルッと震えて小便を漏らすてぇがね汚い奴ァ無いが。男の恋患いと言うものも、これは稀にはございますが。…… ……<坊主に桜>…… ……なんだか噺が変な事になりましたが。えー、神田の紺屋町と申します。軒を並べて、えー染物屋がずらっと商売をしている。上方へ参りますとあれを『こんや』と言いますね。江戸は『こうや』と言う。…… ……<紺屋の明後日>…… ……軒を並べて、紺屋さんがずらっと商売をして中で吉兵衛と言う親方で、奉公人の十五六人も使いまして、なーなかなか商売は、ァーッ、盛んにやってやっておりますが。ここに奉公している久蔵さんと言う人が、二三日物を食べないで寝たっきりと言うので。親方が心配をして、お玉ヶ池の武内と言う先生を呼んで「おー、お前はなんだな診たところ、どこと言って悪い所は無いが。何かこう思い詰めている事がある。お前の病気をぴたっと当てて見よう。お医者様でも草津の湯でもと言うのが病だ」……
6.東宝名人会での録音である。出囃子は別のものをつないである。録音年月日は解説に記載してあるものを転記したが、冒頭の『お寒い中を』と辻褄が合っていない。
7.PN.20P-2207 CT COPY
8.時間の関係で導入部分をはしょっている。
紺屋高尾−4
1.TS-02806B1
2.1961.11(1961.12.6),TBS,「当代十八番集」
3.27:23
4.Cr.CRCY-10065(CD),CRTY-10065(CT)
5.出囃子 正札附
えー、ェーッ、昔からこの、病でも、ォーッ、減った病と増えた病と、色々ございますが。ァーッ、当節まァ、恋患いなんと言う病気は、ぇございません様で。昔は、ァーッ、あったんだそうですが恋の病と言う。こりゃァやはり、ィーッ、美人でなきゃァいけませんでね、せっかく患っても、ァーッ、ブルドックが毛糸のシャッポを被った様な顔では、同情がしにくいがやはりいい女で、色の白い所ィ幾らかこォう、病の為に青みを、持ちましてね、鬢のおくれ毛が二三本顔ィこうぱらりと下がるなんてぇのは大変色っぽいいもので。えー、まァ恋患いと言うと大抵、ェッ婦人の方が多い様ですがまァ男の、恋患いと言う物もありましたが。えー、神田に、紺屋町と申しますが。昔は軒を並べて、紺屋さんがずらっと、商売をしております。染物屋でございますが、えー、中で吉兵衛と言う、親方で、奉公人の、ォッ十五六人も使っておりまして、盛大にやっておりましたがここに、奉公している久蔵さんと言う人が病気だと言うので、「どーも、お医者様に診せなくちゃいけねぇ、お玉ヶ池の先生が良かろう、ァッ、えー慣れていなさるから先生にお願え、おゥ、先生丁度宜しいとこでいいえ今ねぇ、お宅イゥー、伺わせようと思ってたんでいえ久公の奴が塩梅(あんべえ)が悪いんでね」「久蔵さんうーんそりゃァいけない。いや宜しい、えー私が行って診てしんぜるから」……
6.1961年の録音である。晩年のとはかなり口調が異なる。
7.TBS R 早起き名人会 放送録音 1984.1.7
8.口調が早いせいもあるが、枕を短くして全編を喋っている。
紺屋高尾−5
1.TS-02934C1
2.1975.9.8,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第二十四席」
3.60:43
4.CS.SOCZ-122,FCLY-1,FKLY-1(CT),SR.SRCL-3827(CD)
5.出囃子 すががき 受囃子 米洗い
昔からこの名を残すと言う事を申しますが、遊女で名を残しました者も随分ございますが。ま大体あの、花魁と言う者が何時頃から出来た物か、えー伺いますとなかなか古いものだそうで。源平戦いの時に、平家一門は西海のみな藻屑と相成りましたが。まその時に名を惜しみ、恥を知る官女達は海に投じ或いは刺し違えるとか自害をして、ぇ命を絶ちましたが後には夥しい官女達が取り残されまして。これらが、その日のたつきに困ると言う、初めて、春を商ったと申しますが。でこれがまァ、えー始まりだそうで。…… ……<下関赤間神宮〜さぶるこ〜おやま〜八兵衛〜干瓢〜岩亀楼の亀遊〜高尾代々〜紺屋の明後日>…… ……神田の紺屋町と言う。軒を並べて、染物屋さんがずらっと、商売をしておりまして中で吉兵衛と言う親方で、ちゃきちゃきの江戸っ子でございまして奉公人も、十五六人使っていようと言う、なかなか商売は盛んでございますが「おい、お光。おいおい」「はい。なに」「なんだか久公の野郎が塩梅(あんばい)が悪いってぇが。俺は行っちゃァ見ねぇが手前が行くからァ、ンー聞こうと思ってたんだがどうしたんだァ。三日ばかりィ仕事もしねぇん」「駄目なんだよゥ何か蒲団を被って寝ちまっててね。もう言葉を掛けても返事もろくすっぽしないでさァ」(白湯を啜る)「寝たっきりで、どうしたんだ食い物は」「何にも食べないの」「そりゃいけねぇやな。そのまんまうっちゃっといちゃァ困らァな」「だァねあたしもゥ、医者にでも診せてやろうかなと思う」「診せてやろうかじゃァねぇやなァ。そういうとこはお前が気を配って、こっちが言わなくってもゥ診せてくれなくちゃいけねぇや、誰がいい、アーやっぱりィ、お玉ヶ池の先生が慣れてるからいいだろう。アッ、あのう後で、あーあーあーいいよいいよ、先生お通りンなる丁度いい塩梅だ、あっ、ちょいと、先生、すいませんがこちらへえっ、……
6.「圓生百席」の録音。恋患いから入らず、花魁の話題から入る。普段は全く演らなかった『瓶覗き』のくだりをサゲに持って来ている。集英社文庫の「圓生古典落語5」の速記はこの録音に拠っている。
7.CS.SOCZ-122 DISC COPY
8.花魁の持参金はいつもは『三菱銀行の…』となっているのだが、レコードで気が引けたのか『銀行預金で…』になっている。
紺屋高尾−6
1.TS-12520A1
2.(1975.1.16),TBS,TBSホール,ゴールデンワイド・ラジオ寄席
3.25:47
4.なし
5.出囃子 正札附
(「待ってました名人!」の掛け声)えー、色々、ォー、御機嫌を伺っておりまして、えー前方は、ァーッ、都家かつ江さんと言う、女の子が、…女の子と言う程ではございませんが、女の親みたいな方が、大変お陽気に伺いましてまァ唄三味線なぞは、御婦人が、ァッ、お色気があって宜しいでございましょうが。まァ何でも世の中と言う物が、ァーッ、次第に変って参りますが。えー病でさえも変りまして。えー昔から、ァーッ有った病で、無くなったとか或いは逆に増えた病と、色々ございますが。昔あって今無いのがあのう、一つございましてね、恋患いと言う。あの病気は余り、ィッ、近頃聞いた事もありませんが恋の病と言う。やはりこりゃァ患っても美人でなければいけませんでね。カバがベレー帽を被ってる様な顔じゃァ、ァーッ同情がしにくいがやはりこのいい女で、色の白い所ィ病の為に少ゥしこう青味を帯びましてね、蛍光灯の様な顔色ンなるこれへ、鬢のおくれ毛が二三本顔ィぱらっと下がるという誠にいいもんで。もっともまァ色の白い所へ黒い毛が下がるからいい訳で。もう黒い顔へ白い毛が下がる様になった日には、こりゃァいけませんが。こいつを前歯でくわえて向うを見てこォう睨んだ顔色なんてぇのはない、ぇー、気の弱い人が見るとブルブルッと震えて小便を漏らすてぇがね、ンな汚い奴ァ無いが。男の恋患いと言うものも、ォーッ稀にはございますが。…… ……<坊主に桜>…… ……なんだか噺が少し変な事ンなりましたが。神田の紺屋町と言う。昔は、軒を並べて、染物屋さんがずらっと商売をしておりまして中で吉兵衛と言う親方で、ぇー奉公人の十七八人も使おうと言う、チャキチャキの江戸っ子でございますがここィ奉公している、久蔵と言う人がどうも、二三日前から物を食べないと言う。こら親方が心配で。お玉ヶ池の武内と言うお医者様を呼んで診てもらう「さァまァお前は珍しい病気だな。えっ、近頃に無い病だ。お医者様でも草津の湯でもと言う、恋患いだなお前。えっ、いやァアー隠してもいけない。……
6.TBSホールでの公開録音である。
7.TBS R ゴールデンワイド・ラジオ寄席 放送録音 1975.1.16 佐藤氏ライブラリー
8.現在の「爛漫ラジオ寄席」が、「ゴールデンワイド・ラジオ寄席」と言う名称で1974年の10月から始まった。11月の『梅若禮三郎』に続く圓生第2回目の出演である。
紺屋高尾−7
1.TS-12597D3
2.(1965.1.15),TBS,落語名人会
3.26:27
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、ェッ、昔からこの、色々、ォーッ流行り廃りと言う物がございますが、病でさえも、えーそういう、アーッなにがございまして、まァ昔ありました病気で、ェーッ今絶対に無いと言う、病が一つございますが、ァッ何かてぇとあの恋患いと言う、(白湯を啜る)こりゃァもうやはり、患うとしても、ォッ美人で無ければいけませんでね、どうもブルドックが、ァーッ、ベレー帽を被った様な顔じゃァ、折角患っても、ォーッどうもそれ同情がしにくいが。ぇ男の恋患いと言う物も、ォー無いとは、こァ限りませんで、…… ……<坊主に桜>…… ……どうも、オーッ噺が変な事ンなりましたが。神田の紺屋町と申しまして昔は、軒を並べて紺屋さんがずらっと、商売をしてる。中で吉兵衛と言う親方で、奉公人も、ォッ十五六人使っておりまして商売が繁盛しておりますが、「おい、あのゥなにはどうしたい久公の奴は。具合(ぐえェ)が悪いのか」「どうもいけないんだよ親方。寝たっきりでねぇ」「寝たっきりってどうしたん」「何を言っても口も利かないし物を食べないんだよ」「なのうっちゃっといちゃいけねぇやね。医者にでも診せなくちゃァ、えー。お玉ヶ池のアー良かろう良かろう、じゃァなァあの誰か呼…。えっ、オーオ、いい塩梅(あんべえ)だ。先生がおいでなすった。先生。えー、すいませんがちょいといやお宅ィ今ねぇ、誰か使ェを出そうと思ったんですがね久蔵の奴が塩梅が悪いんでね」「久さんうーんそれはいかんどういうフンフン、フン。いや宜しい。アーそれでは、あたしがこれから診てあげるが……
6.時期的に言って丁度晩年への転換期の録音と言える。筋だては「紺屋高尾…4」に近いが、 口調は晩年の物に近い。
7.TBSR 落語名人会 放送録音 都家歌六コレクション
8.都家歌六師が保存されていた放送録音である。保存状態は余り良くなかったが、何と音質改善の過程を経て甦った録音の一つ。
紺屋高尾−8
1.TS-12614A2
2.?,TBS
3.30:46
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、世の中と言う物が、色々変わって参りますが、ァーッ、病でさえも、昔と今と、ォーッ、違う病気が随分ございまして。まァ、増えたものと、ォーッ逆に減った、よう、オーッ病気がございますが。昔あって今無くなった、ァーッ病が何かと言うとあの恋患いと言う。えー今は、アーとんと聞いた事もありませんが、昔は良くあったもんだそうですね恋の病と言う。えこれはやはり、ィーッ美人で無ければいけませんで、色の白い所へ、病のために少ゥしこう、ァーッ、青みを帯びましてね、蛍光灯の様な顔色ンなる。えー、鬢のおくれ毛が二三本顔ィこうパラッと下がるなんという、大変これは色気のあるもので。もっともまァ白い顔のとこへ黒い毛が下がるから宜しいんですが、黒い顔に白い毛が下がる様になった日にはもういけないが、こいつを前歯で咥えて向こうをこう睨んだ顔色なんてぇのはない。間抜けな人が見るとブルブルっと震えて小便を漏らすてぇますがね汚い奴は無いが。えー男の恋患いてぇのはこりゃァ、アーッ患っても汚くていけません髭と言う物が生えましてな、(白湯を啜る)…… ……<坊主に桜>…… ……えー、神田の紺屋町と言う昔は、軒を並べて紺屋さんがずらっと、商売をしておりまして中で吉兵衛さん。親方はちゃきちゃきの江戸っ子で、奉公人の十二三人も使っておりますが。ここに奉公している久蔵さんと言う人が、アーッ具合が悪いと言うので、お玉ヶ池の竹之内と言う、お医者様を呼んで診察をしてもらう「オーッ久さんお前は何だね、珍しい病気だな、アッ。お医者様でも草津の湯でもと言うのがお前の病だ……
6.東海ラジオで放送された音。元の音源はTBSと思われる。
7.東海ラジオ 源兵衛・太助寄席の旅 放送録音 1994.1.2
8.
紺屋高尾・9
1.MD-50004-003
2.不明,客なし
3.41:48
4.Cr.CRCY-10109(CD),CRTY-10109(CT)
5.出囃子 正札附(別録音)
昔からこの、えー遊女で、ェーッ名を残したと言うのが、ァーッ幾らもございますが。勿論今は、ァーッ無くなってしまいましたが。えー、古くはさぶるこなぞと言ったそうで。機宜傾城流れの人と言う。ま昔は卑しい女と言われておりましたがしかし、なかなかどうして、えー立派な、そこに婦人と言うものも、ォッおりましたもので。えー明治の初年に、横浜にこの、高島町の廓と言うものがある。只今の、横浜駅の所でございましょう。あすこに、明治、初年には、廓があった。アー大変盛ったものだそうで。…… ……<岩亀楼亀遊の話>…… ……吉原に三浦屋と言うこれは大店で、ここには高尾と言う婦人がおりますが、えーこの高尾と言う名を付けるには、相当な、素養もありまた器量もいい者で無ければ、そりゃ許さなかったもので。ンー高尾と言うのは十代あったそうですね。…… ……<高尾代々〜紺屋高尾>…… ……えー、このォ、紺屋と言うものは、今は随分少なくなりましたが、あたくしの子供時代には、まだ随分ございましたね、必ずあの瓶と言う物をずうっと、えー並んでおりまして、藍瓶と言いましてね、藍の色をして。で、神田の紺屋町と言う、あすこは、町名の通り軒を並べて、染物屋さんがずらっと、商売をしている。中で吉兵衛と言う親方で、奉公人の十五六人も使っておりまして、江戸っ子の、ちゃきちゃきでございますがここに奉公している、久蔵さんと言う男が、病気だと言う訳で。何しろ寝たっきりと言うんですから、親方も心配で「どうしたんだい。久公の奴は塩梅(あんべえ)が悪いてぇじゃァねぇ」……
6.元音源は不明。スタジオ録音の客なしである。
7.Cr.CRCY-10109 CD COPY
8.
紺屋高尾・解説
「搗屋無間」「幾代餅」そしてこの「紺屋高尾」は、全盛の花魁が職人のもとへ嫁にやって来ると言う点で設定が同じである。それどころか噺の運び、人物設定も全くもって同じなのである。ひょっとすると元は同じ噺で、流派によってその設定を少しずつ変えたものなのかも知れない。事実、この三つの噺をだぶって演じる人はいない様である。とは言え、この様な噺が廓噺の一つとして語り継がれて来たのは、やはり何かそこには意味のある事なのだろう。「花魁を女房にする」と言うのが昔はどう言う意味を持つ事かを考えなければならない。吉原、ましてこの噺に出る三浦屋の様な大見世の松の位の太夫の存在、価値といったものが今の水商売その他の、接客婦(古い言葉だが今風の言葉が思いつない)とは格が全く異なっていた訳であるのだが、実際にどの様な格式があったのかが今となっては良く理解できないのである。現在ではその例も無く、認識が全く不可能である事から、現実感が伴わない部分が生じている事も事実である。「花魁は今のタレントと同じだよ」とおっしゃった方があったが、それもちと無理のある話の様だ。そんな所に一寸考えさせられる事があるのだが、そんな辻褄はどうあれ、あんまり女に縁の無さそうな職人が恋患いをして、何年かの間貯蓄をして、それを女郎買いで一遍に使い、その一途さに打たれた花魁が女房になる約束をする、と言う噺の運びは実に良く出来ていて面白い。噺の名は変わってもそれぞれの演者が各々の個性でくすぐりを考えて味を出しているのが面白く。その事が強いてはそれぞれの噺の特色となっていると言えそうだ。「幾代餅」ではやはり「来年の三月」が耳に残り「紺屋高尾」とは違った印象を与えているのである。この圓生師の「紺屋高尾」にも秀逸なギャグが多い。「背任横領罪で小菅監獄」「開けて見ると三菱銀行の預金で…」などは圓生師としては突飛なギャグであり、何回聞いても笑える。「圓生百席」で「三菱銀行」を入れなかったのはそれなりの憚りがあっての事なのは解るが、ここはやはり「三菱銀行」で無いとおかしさが半減してしまう。尚、この噺はサゲらしいサゲが無いが、「百席」に入っている「瓶覗き」が本来のサゲなのだそうだ。しかも、元はもっとバレだったそうである。
時代設定:江戸時代吉原全盛の頃。三菱銀行は無かったはずだが…。
舞台:神田紺屋町吉兵衛宅、茶店、三浦屋。
登場人物:吉兵衛、その女房、職人数名(松どん、由どん他)久蔵、武内蘭石、三浦屋主人四郎左衛門、三浦屋花魁高尾。
ベストテイク:意外にもホールで演じたものが少なく、ライヴで時間に余裕をもって演じている録音が無い。枕や導入部をはしょってはいるが「紺屋高尾…1、…2、…3」が双璧と言える。