三遊亭圓生音源データノート
狐つき−1
1.TS-02923D3
2.(1961.4.6),NHK,スタジオ,客なし,「芸能ホール:圓生五夜第四夜」
3.13:04
4.なし
5.出囃子 正札附
えー、昔から、狐七化け狸が八化けと申します。えー、狸の方が、狐よりも一化け多く、化けますので、利口なのかと思いますがどういうもんですか、まこちらではその狐が利口で、狸は、ァーッ、少々このゥ、ォーッ、滑稽でございまして、ま幾らか馬鹿だと言う。ンー、ところがこの、四国と言う所へ参りますと、これが逆でございますな。狐は馬鹿で狸の方が利口な、動物だと言う。えー、あたくしは子供時代に聞きましたが、四国にはこのゥ、随分色んな狸がいたそうで。徳島の、そばにおりましたこのゥ、お灸をすえて歩いた狸があるそうですが。えー人間に勿論化けて、とこのゥ、灸をおろして貰ってすえると、大変その病に利くと言うんで、えー、皆相当なお礼を出す。から何か物を買いに行って、木の葉やなんかを使うんじゃァ無いそうでちゃんとお金を、渡す。えー、まその時分ですから、それで済んだでしょうが。今だったらどうでしょうかねぇ税務署の方で喧しく言って、えー収入が幾らで、申告をしなきゃァならないなんてぇ事になって、ぇ狸はどうも何番地に住んでいるかそんな事も、なかなかこれ面倒でしょう調べるのが。えー、昔はあの狐つきというものが、良くあった。狐がついて、えー何かもう当人は、一向覚えが無い。で、鼠の天麩羅を食いたいなんて事を言い出したりして。えー、中山の法華経寺へ参りますと、良く、あの狐つきなぞを落とす、えー、ありゃァやっぱりお題目は、何かこう落ちそうな気が致しますね。回りからあのこォずうっと、取り巻いて狐つきを。でここでお経をあげます「妙法蓮華経南妙法蓮華経南妙法蓮華経ドンツクドンツクドンドンツク」ってんで、ヵー狐つきだって落ち着いちゃァいられないから、「コンチキコンチキコンコンチキ」なんてんで。ぇー飛んで行くように思いますが、お念仏や何かじゃやっぱり、具合が悪いてぇますね。「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏ゥ、チーン、南ァ無ゥ阿ァ弥ィ陀ァぶゥつゥ」…狐つきが「もう五六日逗留」なんてんで、逗留をしちゃァいけませんが。でぇー良く、この狐を落とすというには、えーなかなか難しいもんだそうで。有名なこの、学者でございますが昔、えー熊沢蕃山と言う、熊沢次郎左衛門浄海と言うんだそうで。……
6.珍品である。別名『熊沢蕃山』と言う。放送もこの一回しか残っていないと思われる。
7.NHK R 芸能ホール 放送録音 1961.4.6 重富氏ライブラリー
8.珍しい噺であるが晩年にホールで掛けた記録も有り、ライヴ録音も残っている可能性も有る。
狐つき・解説
別名『熊沢蕃山』と言う、大変珍しいねたである。現在、録音もこれ一つしか無い。『狐つき』と言うのは今でも地方には有るのか無いのか分からないが、狐自体が珍しく、珍重されている時代であるので、現実味が薄れてきた。珍しいと言うだけで、そういう意味でも余り面白いものでも無いので、廃れてしまう噺であろう。
時代設定:江戸時代。
舞台:熊沢蕃山塾、兼義親類宅。
登場人物:熊沢蕃山、山崎兼義、兼義親類娘、その両親。
ベストテイク:1本であるので、選択の余地なし。