三遊亭圓生音源データ

蛙茶番−1

1.TS-02504B1,VT=TV-39035-1

2.1975.1.27,TBS,国立小劇場,落語研究会第83回

3.34:16

4.パイオニア.EE-001(LD),SCHWAN.SRVT-3910(VT)

5.出囃子 正札附

えー、近頃はこのゥ、ァーッ噺家の方で余り、スー芝居と言うものを演らなくなりまして、えー以前は、ァーッ暮れになったりあるいは夏、本職の方が、暇になりまして。「えーどうだいこの折りに一つゥ芝居をやろうじゃァねぇか」なんてな事を言う。えー好きな連中が集まりまして、ぇーお芝居と言う。どうもその役揉めと言う物が出来まして一番先にうるそうございましてね。えー我々はまァ、ァー始終お客様の前へ出て、えー馬鹿げた事を、申し上げている。ぇ芝居をしても、何事も、ォー物が粋にィー「こうしたら」「あァようがしょう」なんてんで、事が滞りなく行くと思うン。ところがそうでないン。えーいよいよ芝居をするとなるとみんな、伊勢屋の若旦那ばかりになりましてね。えー、伊勢屋の若旦那てぇのはつまり、役揉めで愚図愚図言うと言う訳で。こんな役じゃァ出られないとかあれじゃァいけねぇなんてんで。えー、余程もう前になりますが、……  ……<鹿芝居『忠臣蔵』の役揉めの話〜神田立花『白浪五人男』失敗談>……  ……素人芝居と言う物はそういう所が誠に面白い物で。まァ申し上げた様にその、役揉めと言いましてね、こりゃァどうも、頭取やなんかンなる者が困ったもんで、「あのゥ、どうしたんだおい。幕をまだ開けないのか」「へっ、えぇー只今ァ、や、ヘヘッ、支度はもう大抵出来ておりますんで」「出来ていたら開け」「いえ。役者がァ参りませんでね」「役者が参りませんじゃァ困るじゃァないか。それが為に前々から分っているんだから早く、えっ、誰が来ないン」「ぇぇ伊勢屋の若旦那で」……

6.比較的バレであるので、以前は放送でなかなか掛ける事が出来なかったが、近年は問題が無くなっている様だ。「おはよう名人会」で再放送され、VTRで見る事が出来る。

7.TBS TV 落語特選会 放送録音 1975.9.26

8.枕での伊勢屋の若旦那の話が面白い。

蛙茶番−2

1.TS-02885B1

2.1964.1.31,東宝演芸場,東宝名人会

3.27:30

4.Ca.C18G-0313,PN.20P-2204(CT),PC.18P-60012(CT),PCCG-00057(CD)

5.出囃子 正札附

(カット)ェー相変らずでございますが、ぇー素人芝居の、ォッお噺でございますが。まァこのゥ、ァーッ、素人がァー集って芝居をすると言うと、毎度この失敗が、ァッ多いもので。えー噺家の方でも鹿芝居なんと言いまして、以前は良く演りましたもんでございますがまァ近頃は、ぇー余り演りませんのは、ァーどうも近頃あんまり物が高すぎましてね、えー、なかなかお道楽になりませんで。(白湯を啜る)ま勿論、えー普段、ァーお喋りをしている奴が白粉を付けて、ぇー歌舞伎の、ォーッ物真似をしようと言うんですから、こらァもうみんな、ァーッ、素人ンなりましてね。旦那気分で。またいいもんですからねあの楽屋へ座って、ぇー、色々この芝居の鳴物なぞを聞いております。でまァどうしても、ァー金を使わなくちゃァなりませんで。勿論まァ、ァーッ金を使うから向うも演らしてくれる訳なんですが。えー失敗と言うものはもう良くありまして。……  ……<八犬伝失敗談〜大島伯鶴失敗談〜円歌失敗談〜役揉めで勘平式>……  ……で頭取ンなる人は色々骨が折れる「あのゥ、定吉や、おい。あのちょいとこっちへおいで。えぇー今お前使いが無いのかアーじゃァ済まないがちょいとな芝居へ出て貰いたいンだがどうだい」……

6.東宝名人会での録音。出囃子は別の音に差し替えられている。伊勢屋の若旦那の件が割りとあっさり語られている。

7.PN.20P-2204 CT COPY

8.録音年月日に関しては多少の疑問があるが、データに記載してある日付を載せてある。

蛙茶番−3

1.TS-02940C1

2.1976.5.12,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第五十七席」

3.52:19

4.CS.60AG-133,SR.SRCL-3822(CD)

5.出囃子 蛙ひとひょこ 受囃子 蛙ひとひょこ・早め

素人芝居と言うものが、近頃は余りございません様で、以前は随分、我々の方でも、芝居の、ォー物真似を致しましたもので。鹿芝居と言ってね、十二月なんぞになりまして、「どうだい一つゥ、みんなで芝居をしようか」「ハァー、結構ですねぇ是非」なんてな事を言って。随分それ好きな人もありましたが。だいたいこのゥ噺家の顔と言う物は、俳優の方とは一寸違っておりまして、いずれもみんなとぼけた顔が多い。「あの顔へ白粉をつけて、鬘をかぶったら一体どんな事になるか知らん」と言う。色々お客様の方で、恐怖心を抱いたり、或いは興味を覚え、えー、「あいつが演ったら面白いだろう」なんてんでね。つまり、えー、関心しようなんてんじゃァ無いン。おかしいだろうから見ようと言う。で悲劇を演りましても、自然とこれが喜劇になってしまう。そこにこの噺家芝居の、値打ちがあるってぇとおかしい様ですけれども。だから失敗のある方がお客様は、お喜びンなると言うわけで。ぇ毎度その演っては、失敗が多かったもので。それにこのォ、茶番と言う様な言葉も今は、分りませんが昔は、えー劇場以外で芝居をするてぇ事は、許さなかったのかも知れません。ぇそこでこの茶番と言いまして、芝居はちゃんと演る訳なんですが、最後の所へ来て、えーなんかそこで、ぇ洒落を付けるとか、品物を出して、何とかでと言う様な事で、ンー落ちが付きます。そうするとこりゃもう芝居では無い、茶番でございますと言う。一つの逃げでございますね。えぇーだからあのゥ本当の芝居でも、瀬戸物は使えなかったんだそうですが……  ……<張り子の瀬戸物〜寄席の茶番〜初代遊三失敗談〜三代目小さん失敗談〜鹿芝居『忠臣蔵』の役揉めの話〜神田立花『白浪五人男』失敗談〜役揉めで勘平式>……  ……「や、籤引きにしたら良かろう」なんだかんだと、頭取ンなる方は大変でございますよ。「久兵衛さんや、おい」「へぇへぇ」「あのうどうしたんだまだ幕を開けないのかい。お客様はお集まりンなっているんだろう」「えっ、えーお客様はもう一杯でございまして、えーいえいえ、えー万事もう支度は宜しいんでございますけれども、何しろ、肝心の役者が出て参りませんで」「そんな事を言ってちゃァ困るじゃァないかァ。みんなに早く楽屋入りをするようにと、誰なんだい来ないのは」「伊勢屋の若旦那でござ…」……

6.「圓生百席」の録音。例によって枕がたっぷりある。

7.CS.60AG-133 DISC COPY

8.

蛙茶番・解説

いかにも江戸っ子らしいはねっかえりの出てくる噺。芝居噺であり、ちょっとバレなのも今の時代に受ける様だ。今ならなんでもないこの噺も戦争中は立派な禁演落語であり、戦後もなかなかラジオ等で掛けられなかったらしいとの事で、世の中変われば変わるものである。この手の下ねたを下品だと批判する方がよくいらっしゃるが、圓生師のものは決して下品と思わせないのは立派と言えよう。しかしそういうのも我々の麻痺した感性がそう思わせるのかも知れないし、世間一般としては上品とは言えないのかも知れない。しかし、他の演芸と違い、こんな噺でも立派に「名作落語」なんてぇレッテルを貼る事が出来るのが、落語と言う演芸のいいところだと思うのだが…。やはり落語であり、落語以外のなにものでも無いんですよ。わかりますよねぇ、皆さん。

時代設定:江戸時代でしょう。

舞台:ある大店。半次宅。町内の湯屋。

登場人物:大店の芝居の頭取役番頭(名前不明)、久兵衛さん、蛙小僧定吉、舞台番跳ねっ返りの半次、湯屋の番台、熊兄ィ、舞台上の役者衆、感心する観客数名。出て来ないが話題に上る重要人物:伊勢屋の若旦那、仕立屋のみいちゃん。

ベストテイク:国立の「蛙茶番…1」がVTRでも見ることができて最高。

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