桂文樂音源データノート
かんしゃく−1
1.TS-02601C1
2.1962〜3,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし
3.15:33
4.V.JL-259
5.出囃子 野崎
えー、相変わらず、ェッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。えー、お金持ちてぇものは、我儘だとおっしゃった方がございます。金持ちだから我儘で、貧乏人は我儘でないと決っておりませんしかし御裕福な方と言うものは、体に余裕てぇものがございますから、お間がございますれば結構な書物にお目をお通しになる土台が教育のおありンなる、その上またご勉強でございますから、益々頭が進んでまいりますさァ人の事が気に入らない、まだろっこしい「何だあれっぱかりの仕事を大勢掛かってやってやがって実に情け無い奴だ、俺がやりゃ、一人でやってしまうんだけども」なんてぇのがこの癇癪の固まりこの癇癪の固まりを、ほぐす役が、奥さんの役でございまして誠に御婦人はご損でございます。家にあっては親に従い嫁しては夫に従い老いては子に従いと、昔はこういう事を申しておりました。夏のお話しでございまして、自家用の自動車かなんかへ乗ってブーブーーーーーブースーーッ。「おかァーイ。…おかァーイ。…おかィ」「おいおい、いいんだいいんだ。開けろ開けろ。おい、こらあッ。おい、こらあッ」「はァ、おかいり、おかいり、おかいり遊べ、おかいり遊べ、おかいり遊べ」「お前達は何をしとったみんな寝とったのか。みんな昼寝、しとったのではなかろう。さっきから、崎村がおかいりおかいりってるのがわからんのか、馬鹿。おい凸山、何だこの入り口ィ箒を立て掛けて、掃除をしたのはわかっとる。……
6.
7.V.JL-259 DISC COPY
8.
かんしゃく−2
1.TS-02593D1
2.1956.7.14,TBS,鈴本演芸場,「東西寄席風景」
3.13:22
4.CS.SOGZ-31(初出),15AG-219,SKJZ-16(CT)
5.出囃子 野崎
毎回の、ァッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、お笑いを申し上げる事に致します。えー、ェーッ、お金持ちてぇものは我儘だてぇ事をおっしゃった方がございます。金持ちだから我儘で、貧乏人は我儘でないと決っておりませんしかし御裕福な方と言うものは、体に余裕てぇものがございますから、お間がございますれば結構な書物にお目をお通しンなる土台が教育のおありんなる、その上またご勉強でございますから、益々頭が進んでまいります。さァ人の事が気に入らない、まどろっこしい「何だ、あれっぱかりの仕事を大勢掛かってやってやがって実にどうも情け無い奴だ、俺がやりゃァ一人でやってしまうんだけども」なんてぇのがこの癇癪の固まりこの癇癪の固まりを、ほごす役が、奥さんの役でございまして。誠に御婦人はご損でございます。夏のお話しでございまして自家用の自動車かなんかでもってブーブーーーーブーースーッ。「おかァーイ。おかァーイ。おかァー」「おいおい、いいんだいいんだ、開けろ開けろ。おいこらッ。…おい。こらッ」「あっ、おかいり、おかいり、おかいり遊ばせ、おかいり遊ばせ、おかいり遊ばせ」「(トン)お前達はみんな寝とったのか。みんな昼寝(しるね)しとったんでなかろう、さっきから崎村がおかいりおかいりったのがわからんのか。馬鹿。おい凸山ッ、何だこの入り口ィ箒を立て掛けて掃除をしたのはわかっとる……
6.「我儘」は殆ど「わあまま」に聞こえる。
7.CS.SOGZ-31 DISC COPY
8.かんしゃくに関しては喉手術前のものは、怒鳴る迫力があっていい。
かんしゃく−3
1.TS-02526B2,VT=TV-39036-3
2.1970.7.23,TBS,国立小劇場,落語研究会第29回
3.15:35
4.なし
5.出囃子 野崎(ドラ入り)
えー、お暑いところを、ようこその、ォッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、ハァ、お笑いを申し上げる事に致します。えー、かんしゃくと申しまして、これは、ハァ、益田太郎冠者の、明治の新作でございまして。お金持ちてぇものは、我儘だてぇ事をおっしゃった方がございます。金持ちだから我儘で、貧乏人は我儘でないと決っておりませんしかし御裕福な方というものは、(ポン)体に余裕がございますから、お間がございますれば結構な書物にお目をお通しンなる。土台が教育のおありンなる、その上またご勉強でございますから、益々頭が進んでまいります。さァ人の事が気に入らない、まどろっこしい、「何だあれっぱかりの仕事を大勢掛かってやってやがって実にどうも、情け無い奴だ俺がやりゃァ、一人でやってしまうんだけども」なんてぇのはこの癇癪の固まりこの癇癪の固まりを、(ポン)ほぐす役が、奥さんのやく、役でございまして、誠に御婦人はご損でございます。家にあっては親に従い嫁しては夫に従い老いては子に従いと、昔はこういう事を申しておりま…。(ポン)夏のお話しでございます。自家用の自動車かなんかでもってブーブーーーーブーー、スーーッ。「おかァーイ。……おかァーイ。……おかァ」「おーいおい、いいんだいいんだ。開けろ開けろ。おい、こらあッ、おい、こらッ」「あっ、おかいり、おかいり、おかいり遊ばせ、おかいり遊ばせ、おかいり遊ばせ」「(トン)お前達は何をしとったみんなで昼寝しとったのか。みんな昼寝しとったのでなかろう。さっきから崎村がおかいりおかいりってもわからんのか、馬鹿!。おい凸山、何だその、入り口ィ箒を立て掛け…、掃除をしたのはわかっとる。……
6.国立小劇場、落語研究会の録音である。「おはよう名人会」で放映された。
7.TBS R 桂文樂その世界 放送録音 1973.12.2
8.晩年の口調には、この噺は合ってない。怒鳴る迫力にどうしても欠ける。
かんしゃく−4
1.TS-02586D3
2.1969.8.16,TBS,人形町末廣,「三樂オーシャン土曜寄席」
3.15:01
4.なし
5.出囃子 野崎(鼓入り)
一杯の、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、お笑いを申し上げます。こん、ゥーン、今日の申し上げる、落語は『かんしゃく』と申しまして、明治の新作でございまして、これは益田太郎冠者の作でございまして晩年の、これが新作でございまして。お金持ちてぇものは我儘だてぇ事をおっしゃった方がございます。金持ちだから我儘で貧乏人は我儘でないと決っておりませんしかし御裕福な方というものは、体に余裕てぇものがございますから、お間がございますれば結構な書物にお目をお通しンなる。土台が教育のおありんなる、その上またご勉強でございますから、益々頭が進んでまいります。さァ人の事が気に入らない、まどろっこしい「何だあれっぱかりの仕事を大勢掛かってやってやがって実にどうも、情け無い奴だ俺がやりゃァ、一人でやってしまうんだけども」なんてぇのが、この癇癪の固まりこの癇癪の固まりをほごす役が、奥さんの役でございまして。誠に御婦人はご損でございます。家にあっては親に従い嫁しては夫に従い老いては子に従いと(パン)、昔はこォいう事を申しておりま…。夏のお話しでございます。(ポン)自家用の自動車かなんかでもってブーブーーースーーーッ。「おかァーイ。おかァーイ。おか」「おいおい、いいんだいいんだ、開けろ開けろ。おい、こらッ。おい。こらッ」「あっ、おかいり、おかいり、おかいり遊べ、おかいり遊ばせ、おかいり遊ば」「(トン)お前達は何をしとった、みんな昼寝しとったのか。みんな昼寝しとったんでなかろう、さっきから崎村がおかいりおかいりったのがわからんのか。馬鹿。おい凸山ッ何だこの入り口ィ、箒を立て掛けて、掃除をしたのはわかっとる。……
6.出囃子に珍しく鼓が入っている。
7.TBS TV 放送録音 三樂オーシャン土曜寄席 佐藤氏ライブラリー
8.晩年のものであるが、始めの方はそうでもないがすぐに調子が上がって来て、結構迫力がある。
かんしゃく−5
1.TS-02714D4
2.1965.9.17,NHK,ヤマハホール,東京落語会第75回
3.14:20
4.Po.MF-4079,CN-6540(CT)
5.出囃子 野崎
ようこその、ォッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申しあげます。相変わらず、ハァ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。(カット)金持ちだから我儘で、貧乏人は我儘でないと決っておりませんしかし御裕福な方というものは、体に余裕てぇものがございますから、お間がございますれば結構な書物にお目をお通しンなる、土台が教育のおありンなる、その上またご勉強でございますから、(ポン)益々頭が進んでまいります。さァ人の事が気にいらない、まどろっこしい、「何だあれっぱかりの仕事を大勢掛かってやってやがって実にどうも、情け無い奴だ俺がやりゃァ、一人でやってしまうんだけど」なんてぇのはこの癇癪の固まりこの癇癪の固まりを、ほごす役が、奥さんの役でございますて、誠に御婦人はご損でございます家にあっては親に従い嫁しては夫に従い、老いては子に従いと、昔はこういう事を申してお…。夏のお話しでもっ(ポン)て自家用の自動車かなんかでもってブーブーーーブーースーーッ。「おかァーイ。おかァーイ。おかァ」「おーいおい、いいんだいいんだ。開けろ開けろ。おい、こらあッ、おい、こらッ」「はっ、おかいり、おかいり、おかいり遊ば、おかいり遊ば、おかいり遊ば」「(トン)お前達は何をしとったんだみんな寝とったのか。みんな昼寝しとったンでなかろう。さっきから崎村がおかいりおかいりってのがわからんのか、馬鹿。おい、凸山ッ、何だ入り口ィ箒を立て掛け…。掃除をしたのはわかっとる、……
6.データは不明なのだが、東京落語会では一回しか口演していないので判定。但し、このテイクは頭の部分が差し換えてある、不完全なテイクである。2行目の(カット)の所まで他の音をくっつけてある。原テープに支障があったと思われる。ちなみに受けの部分も差し換えてあり、追い出しをつないである。
7.Po.MF-4079 DISC COPY
8.上記の問題が無ければ、迫力があるのでベストテイクだったろう。
かんしゃく−6
1.TS-02906D3
2.(1966.6.12),TBS
3.14:29
4.なし
5.出囃子 野崎
ようこその、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。お金持ちてぇものは我儘だてぇ事をおっしゃった方がございます。金持ちだから我儘で貧乏人は我儘でないと決っておりませんしかし御裕福な方というものは、体に余裕ていうものがございますから、お間がございますれば結構な書物にお目をお通しンなる。(ポン)土台が教育のおありんなる、その上またご勉強でございますから、益々頭が進んでまいります。さあ人の事が気にいらない、まどろっこしい「何だあれっぱかりの仕事を大勢掛かってやってやがって実にどうも、情け無い奴…俺がやりゃァ一人でやってしまうんだけども」なんてぇのがこの癇癪の固まり。この癇癪の固まりをほごす役が、奥さんの役でございまして。誠に御婦人はご損でございます家にあっては親に従い嫁しては夫に従い老いては子に従いと(パン)、昔はこういう事を申しておりま…。夏のお話しでございます。(ポン)自家用の自動車かなんかでもって、ブーブーーーブーースーーッ。「おかァーイ。おかァーイ。おか」「おいおい、いいんだいいんだ開けろ開けろ。おい、こらッ。おい、こらッ」「あっ、おかいり、おかいり、おかいり遊べ、おかいり遊ば、おかいり遊ば」「(トン)お前達は何をしとったみんな寝とったのか。みんな昼寝しとったんでなかろう、さっきから崎森がおかいりおかいりったのが、わからんのか。馬鹿。おい凸山ッ、何だこの入り口ィ箒を立て掛けて、掃除をしたのはわかっとる。……
6.枕の導入の部分がカットされているようだ。
7.TBS R 放送録音 野口氏ライブラリー
8.元気一杯の高座。この時期の口演では調子が上々で、迫力満点である。
かんしゃく・解説
益田太郎冠者の作による明治の新作である。文樂師の噺の中で唯一と言ってよい新作らしい匂いのする噺。癇癪持ちの御主人が主人公であり。その御主人が徹頭徹尾怒鳴るのが面白い訳なので、体調の良い頃の録音がベストと言うことになるのだが、喉手術後の録音は一長一短で決定版がない。むしろこの噺だけは、喉手術前の太い声のほうが噺に合っているようにも思えるのである。『馬鹿ァーッ』などおよそ文樂師らしからぬ発言で、その辺が実に楽しいのである。
時代設定:明治時代。夏のお噺。
舞台:さる大家の自宅。その女房の実家。
登場人物:旦那、女房静子、運転手崎村、書生凸山他一名、女中供(御飯炊き共三人)、客人山田君、静子の父親、静子の母親、送り人中村さん。
ベストテイク:「かんしゃく…2」。前述の通りこれは喉手術前の音である。喉手術後の物は5と6がそれぞれ良い出来だが、傷やカットがある。