桂文樂音源データ
鶴満寺−1
1.TS-02526C2
2.1971.4.28,TBS,国立小劇場,落語研究会第38回
3.21:54
4.ライフ&アート.(第12巻)
5.出囃子 野崎
えー、毎回の、ァッお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、ォッお笑いを申し上げる事に致します。アーッ風邪声(かざごえ)でございまして、誠にお聞きにくいところは、幾重にもお詫びを願っておきます。雪月花と題しまして、ェーッ雪と、ォッ、えぇヘー月の方は、風流人にお任せをいたしまして、まず大衆は、ァーッ(ポン)花でございますな。花の方が、お陽気でございます。ええ。あたくしどもの、ォーッ子供の時分にあの、明治の時代でございましたが、(パサッ)あのーォ桜のォ、咲く時分になるといろんな商売が出てまいりま…。酒貰いなんてー商売が出てきまし…。(ポン)瓢箪かなんかぶらさげて、空の瓢箪を、こっちィコップなんかを持って、向こうから酔払いが来るとダーンと突きあって「いやッどォも。誠に、ア、あいすみませんで、どうもご盛んですなァいつも」「一杯、差上げましょうか」「いー戴きましょう」なんてん。知らない人に、お酒を貰って、これを飲むかと思うと、瓢箪の中へ入れてしまう。また先ィ行っておんなしような事ォ言って、瓢箪が一杯になるとこれを売るてんですがね…。実にがめついじょ商売があるもんでございま…。ついででございますから、アン…ス、花が集って愚痴を言ったていうお古い小噺がございます。これをお土産に申し上げる事にいたしましょ。「おい、上野ォ、しばらくだったな。…… ……俺を見ねえ、忠義の為に皮まで削られてる」酒落た噺がございますな。「チュッ、どうだ一八。鶴満寺はまだか」「(ポン)えー、確かにこの辺だとあたくしは思っとります。え、あ、アーッあすこです。え、あのほら黒い所へねェ、こゥ白いこー、こ雪がこう積もっているよンなってあれが、この花です。えー、えー、あれが鶴満寺。姐さん、鶴満寺ィ来ましたよ」……
6.口調とホールの響き方から、国立小劇場の落語研究会の口演と判定。このテイクの速記が、雑誌「落語界」第22号に掲載されている。
7.TBS R 桂文樂その世界 放送録音 1974.4.7
8.落語研究会の客が初めて聞く噺に耳をそばだてている様子がよくわかる。最晩年のものだが他に音が無く、貴重品としか言い様が無い。ライフ&アートのカセットはこの録音を使っているが、あちこちで細かなカットがある。
鶴満寺・解説
「小言幸兵衛」「品川心中」などと共に、珍品である。TBSラジオの「桂文樂その世界」の最終回で放送されるまで、文樂師のネタにこんな噺がある事さえ知らなかった。殆ど忘れられた様に高座に掛けられることの無かった噺だが、国立小劇場の落語研究会での晩年の録音が残っていて今我々が聞くことが出来るわけだ。噺自体はたいして面白くもないし、文樂師でなければ…、という事も無い噺。只々珍しい噺である。なお、元来の上方の演出で小南師が時々演じていた。
時代設定:お旦遊びの出来たよき時代
舞台:大阪の鶴満寺境内
登場人物:旦那、幇間一八、芸者衆、寺男権助、大和尚
ベストテイク:1本しか無いので…。