三遊亭圓生音源データ

火事息子−1

1.TS-02513B1,VT=TV-39030-3

2.1972.2.29,TBS,国立小劇場,落語研究会第48回

3.32:08

4.なし

5.出囃子 正札附

えーっ、昔からこの、火事は、ァッ江戸の名物としてありまして。えー『火事喧嘩、伊勢屋稲荷に犬の糞』なんと言う。どうも、アー江戸てぇ所は妙な名物がありまして。えー、火事と言うと、こりゃァまあ、ァー、今と、違いまして昔は大変この江戸は火事早いてぇ事を言う。ま火事の無いてぇ事はかいって不思議だったそうですね。「今夜はねえじゃァねぇかどうも変な晩だ」なんてんでね。えぇ別に火事が無いからおかしいてぇ訳はありませんが。でェどうしてそう火事が多いのかと言うと、江戸っ子てぇものはどうもそのしまりがありませんでね、後の始末をしないんで、「おーおーおい。そこォもうよいいよォーまァいいいい加減にしとけよ」なんてんでね。いい加減てぇ奴がいけませんで…………<半鐘の説明〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………えー、神田辺の、質屋の若旦那でございますがもう小さい時から火事が好きで。(白湯を啜る)買ってくる玩具てぇと梯子とか纏とか、ォーそんな物しか他の物は買わないと言う。これが段々大きくなると、ハァもう半鐘の音を聞くてぇと、うちには姿を見せない。ハァ飛んで行くんですがこりゃァもう親御とした日(し)にゃァ心配で「おい、あの、何だ火事がある様だが伜はどうしたい。えっ、いるかい、寝ているアーアーアーそうかい。そりゃァまァいい塩梅だ。えー時に火の手はどっちだ」なんてんで。もう火事よりは伜の方を先ィ気にすると言う。……

6.国立小劇場、落語研究会の録音。「おはよう名人会」で再放送され、映像でも楽しむ事が出来る様になった。

7.TBS TV 年忘れ名作寄席 放送録音 1972.12.30

8.折れ釘にぶるさがる恰好などVTRで見ると一層おかしい。

火事息子−2

※古今亭志ん朝/火焔太鼓…3より続く

1.TS-02646A2,VT=TV-39122-4

2.(1978.1.2),NHK,本牧亭

3.33:21

4.NHKVOOK.JAM-0127(8mmVTR)

5.出囃子 正札附

えーっ、昔このォ、ォーッ江戸と申しました時代、えー名物に、ィーッ火事と言う物がありまして。ァーどうも火事と言う物は誠に嫌なもんでございますが。何でそんなものが、ァー名物にィ、なったのかと言う。まァ江戸は火事早いてぇ事を良く言いますが、えー言えばそのつまりィ、しまりが無い訳でね。エーッ、ぞろっぺえな所があって「おーおーおう。早くしろ早くしろいまァまあいいよいいよ。まァいい加減にしとけ」なんてな事を言ってね。えぇいい加減てぇのはいけませんで。…………<飛び火〜半鐘の説明〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………えー、神田辺のこれは質屋の若旦那でございますが、もう小さい時から火事が好きで、(白湯を啜る)買ってくる玩具てぇのは大抵決ってぇる梯子だとか纏だとか、そんな物しか買わないン。ぇこれが段々大きくなてぇと、ホりゃァもう火事だってぇと、目の色を変えて飛び出して行くてんですから。でこうなると親御さんの方では、もうさか火事よりはせか伜の方が気になる。ジャーンと言う、半鐘の音を聞いて「あん、何は、あ、伜はどうしたい。寝ているかい、え、あ寝ているアーアーアー。じゃ音のしない様にそおっとして。時に火の手はどっちだ」なんてんでね。もう火事よりは伜の方が気になると言う訳で。……

6.本牧亭での公開録画。録画は着物姿の綺麗どころを仕込んで暮に行われている。古今亭志ん朝が火焔太鼓を演じた後、圓生師が上っている。

7.NHK TV 放送録音 1978.1.2

8.

火事息子−3

1.TS-02605A2

2.1977.11.28,TBS,国立小劇場,落語研究会第115回

3.34:05

4.Schwan.SRVT-3913(VT)

5.出囃子 正札附

えーっ、ェッ、昔からこの江戸の名物と申しまして、えーっ、『武士鰹大名小路生鰯、茶店紫火消し錦絵』と言う。ゥえーまだ、ァー追加がありまして、『火事喧嘩伊勢屋稲荷に犬の糞』なんと言う。どうもあんまりいい名物じゃありませんが。ええー江戸は火事がこの多いと言う。ゥーどういう訳でそんなに火事があったのかてぇと、ァーつまりまァ、しまりがないんでね、ウーァいい加減にするてんで「おーおーおうもういいよいいよゥいい加減しィハーもう早く切り上げろい」なんてんでね。で火の元をいい加減にするから、従ってこの火事と言う物がありますが。…………<半鐘の説明〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………これは、神田辺の質屋の若旦那で、もう小さい時から、買ってくる玩具と言えば梯子とか纏、そんな物しか買いません。ぇ段々大きくなるにつれて、もう、半鐘の音を聞くてぇと目の色を変えて表へ飛び出そうと言うんで。今度はもう火事より親御の方はせ、伜の方が心配で「あっ、半鐘が鳴った様だが、伜はどうしたい。えっ、寝ているアーアーアー、じゃァあの、ォ、閉めてね、ァなるたけ聞こえない様に、ィ何して。ゥーッ時に火の手はどっちだ」なんてんでね。もう火事よりは伜の方が気になると言う。……

6.国立小劇場、落語研究会の録音。「火事息子…1」より5年後の再演である。

7.TBS TV 落語特選会 放送録音 1978.2.4

8.

火事息子−4

1.TS-02746A2

2.1977.1.21,横浜市教育文化センター,横浜落語会第4回

3.40:28

4.To.TY-60025,ZF23-315(CT)

5.出囃子 中の舞

えーっ、火事息子と言う、ェー、お噺でございますが。えー、火事と言うと、今でもございますが、ァー、大火だなんと言いましても、二十軒とか三十軒。えーっまァその大きさも違いましょうが昔はもう、大火なんてぇと、ゥーン大変なもので、えー江戸の半分位は、ァッ焼けてしまうとか三分の二が焼けたと言うそれで、初めて、大火と言うので。えー今のあんなものは、ァーッぼやに少し毛が生えた様なもんで。ヘッヘェーそんな事を言うと、怒られるかも知れませんが。昔はこのォー、火事喧嘩伊勢屋稲荷に犬の糞なんと言う、江戸の名物でございますがどうも余り、エエーンいい名物は有りませんが。火事がどうしてそんなに江戸に多かったのかと言うと、まこれは言えば、締まりが無いんですね、えぇー後始末が悪いんで「おーおーおう。もう早くしろよおいおいまァいいよいいよンな事はァもういい加減にしとけよ」なんてんでね。えー火の元をいい加減にする。でこれがその火事の元ンなると言う。そこでまァ江戸は火事早いなんてぇ事を言いまして。…………<半鐘の説明〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん〜湯文字の呪い〜飛び火>…………ところがこの、神田辺の、質屋の若旦那でございますが、どういう訳かもう生まれつき、火事が好きなん。で小さい時から買ってくる玩具は、ぇー纏だとか梯子だとか、そんな物しか買って来ないと言う。ゥァー段々年頃になると、ホォー火事ってぇと目の色を変えて飛び出して行くという。親御の方はもう火事より伜が心配で「あ、あの。半鐘を打っているが、伜はどうしたいいるかい。寝ているアーアーじゃ、あのゥ、音のしない様に静かにして寝かしておきなさい。えぇー時に火の手はどっちだ」なんてんで。もう伜の方が心配になるという。……

6.横浜落語会の録音。時間がたっぷり有った様で、枕が長い。

7.To.TY-60025 DISC COPY

8.湯文字の呪いの話は珍しい。

火事息子−5

1.TS-02747A2

2.1968.3.17,TBS,人形町末廣,「日曜寄席」

3.23:48

4.なし

5.出囃子 正札附

えーっ、ェーッ、色々この、昔から、ァーッ、道楽と言うものがございますが。以前ェーッ、火事道楽と言うのが、ァッありましたそうで。(白湯を啜る)火事をその楽しみにすると言うとォーッおかしい様でございますが。まァこのォ江戸は、アーッ火事の名物としてありまして。その時分は半鐘と言う奴で『ジャーン』てんでぶつかる…………<吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………えー、神田のこれは、質屋の若旦那でございますが(白湯を啜る)生まれつきどォーも火事が好きで、ぇ子供のうちから、買ってくる玩具も、梯子とか纏とかそんなもんしきゃァ買わない。えー大きくなると、もう火事てぇとうちに姿が見(め)えなくなると言う。親御の方は心配でございまして『ジャーン』と、半鐘の音を聞いて「おい、あのゥ伜はどうしたい。えっ、寝ているアーアーそうかい。そりゃいい塩梅だ、あッ。えぇー、時に火事はど、どっちの方だ」なんてんで。もう火事よりは自分の伜の方を気にすると言う。……

6.人形町末廣からの生中継で放送されていた「日曜寄席」の録音。

7.TBS TV 日曜寄席 放送録音 伊東氏ライブラリー→佐藤氏ライブラリー

8.短い時間の中、細かな説明を省いて見事に縮めている。

火事息子−6

1.TS-02818D2

2.1959.12.30

3.36:41

4.Col.FS-7156(Cut有り),CPY-9019(Cut有り)(CT),Cr.BCD-7(CD),Cr.BCT-1115(CT)

5.出囃子 中の舞

えーっ、ェーッ、火事息子と言う、まお道楽と言うものは色々、ォーッございますが、昔はこの火事を道楽にしたと言う、今から考えるてぇと、ォー何かま嘘の様でございますが。まァ“火事は江戸の華”と言う、(白湯を啜る)譬えがございますが、えー江戸は火事早いてぇ事を言いましてなまァ、こりゃァどういう訳で、ェー火事が多いかてぇと、江戸っ子てぇ奴がどうもそのォ、オー締まりがありませんでな。「何だいおーおうおいまァいいよいいよォもういい加減にしとけよそんな所はよゥ」なんてんでね。このいい加減てぇ奴がいけませんでね。火の元なぞはもうぞろっぺえにする、もう毎晩の様に火事がありますのでこいつをまた、ァーッ見物をするのを楽しみにしてね、えー刺子っこから、えぇっ、草鞋、もう提灯何でもこの枕許ィずらりと並べて、火事のあるのを待っている奴がありましてね。ぇーその時分はこの半鐘、…………<遠い火事小便して寝よう〜吉原見当有難てぇ〜昼の火事の身なり〜野次馬池でえへん>…………えーこれは神田辺の、質屋の若旦那でございますがもォう、生まれついてこの火事が好きでございましてね。ハァー買ってくる玩具が、纏とか、えー或いは梯子だとか、そんなものしきゃァ買わない。これから大きくなるに従って、段々これがこう薬が強(つお)くなりまして、もう火事てぇとすぐに、いなくなっちまうんで。お父っつぁんがそうなると御心配でな。『ジャーン』てんで半鐘の音を聞くと「おい、あのゥ伜はどうしたい。ええ伜は」「えー、お休みでござい…」「ああ寝ているかいアーいい塩梅だ、えー、時に火の手はどっちの方だ」なんてんでね。もう火事はどうでもいい伜さんの方が、心配で先ィ聞くと言う訳で。……

6.1959年の録音で、枕の小噺の構成が後年の物と少々異なっている。コロムビア盤では1955頃の録音とされてあり、枕にカットがあるほか、出囃子も差し替えてあった。

7.Cr.BCD-7 CD COPY

8.

火事息子−7

1.TS-02843D3

2.1958.5.27,TBS

3.18:26

4.なし

5.出囃子 正札附

えーっ、ェーッ色々この、お楽しみと言うものが、ァーッございますが。昔はこの火事が道楽だなんと言う、ァーッ今から考えるとおかしい訳でございますが。火事道楽なんと言う。えーっその時分は、ァーッ申し上げるまでもございませんが、半鐘と言うものを打ちまして、…………<半鐘の説明〜野次馬蔵に火が回って『しめた』>…………えぇー、神田辺の、質屋の若旦那でございますがこの方が至って、火事が好きでございまして。(白湯を啜る)子供のうちからもう買ってくる玩具が、梯子だとか纏だなんてぇものばっかり、ゥーそのうち段々大きくなると、火事がもう、ォーッ滅法好きですからな、ォーッすぐに表へ飛び出してっちまう。ハァーどうも、自分もどうかして、火消しになりたいと言うので、町内の鳶頭ン所ィ……

6.1958年の録音で口調が速い。構成が後年の物と少々異なっている。

7.TBS R 放送録音 早起き名人会 1985.9.14

8.口調が速いとは言え、随分短く演じているが、カット等の手が加わっているのかも知れない。

火事息子−8

1.TS-02853B1

2.1976.2.27,東横劇場,東横落語会第182回

3.30:00

4.K.KHA-3029,CKS-299(CT),K18H-5210(CT),KICH-3118(CD),KITH-3118(CT)

5.出囃子 正札附

えーっ、昔は、『火事は江戸の花』なんてぇ事を言いまして、余りどうもいい花じゃァありませんが。あれは本当は火消しを褒めた言葉だと言いますが。えー『火消しは江戸の花』と言ったのが、でこれがまァ、あんまり長いからと言うので、ェーッ『火事は江戸の花』と言ったと言いますがまァどちらにしても、嬉しいもんではございませんが昔はまァ随分、火事道楽なんてぇのがあったてぇますが、詰まらん事を道楽にしたもので。江戸は火事早いてぇ事を言いますがまァ非常に、多かったもので。まァ今はァ二十軒三十軒と焼けますと、ォー大火だなんと言って新聞に出ておりますが、昔はもうそんなものは、ァボヤに毛の生えた様なもんで、えー二三十軒位は余り珍しくはない。そうでしょう、神田で火事があるってぇと、もォう日本橋辺りの火とは荷物を片付けたってますから。フフッ、何時焼けて来るか分らないんですから。…………<飛び火〜トントン屋根屋〜馬の見回り役〜半鐘の説明〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………神田辺のこれは、質屋の若旦那ですが(白湯を啜る)もう子供の内から火事が好きで好きでしょうがない。買ってくる玩具てぇと、纏とか梯子とかそんな物しか買わない。ゥえー大きくなると、もう火事だってぇと、うちには姿が見えないゥらーもう、親御は心配でございますから「あっ、今半鐘を打った様だ、伜はどうしたい、えっ、いるかい、寝ているアーアー、じゃ、なるたけこう聞こえない様にしてアーアー。えぇーっ、時に何かい火の手はどっちだい」なんてんでね。もう火事よりは伜の方が気になると言う訳で。……

6.東横落語会の録音。枕が丁寧である。

7.K.K18H-5210 CT COPY

8.記録を見ると、晩年は冬になるとほとんど毎年どこかの会か放送で掛けている。会による違い、年を追うごとの違いを聞き比べると面白い。

火事息子−9

1.TS-02879B1

2.?(1975前後),東宝演芸場,東宝名人会

3.28:15

4.Ca.C18G-0313,PN.20P-2204(CT),PC.18P-60012(CT),PCCG-00056(CD)

5.出囃子 正札附

お寒い折りでございますが、御贔屓(しいき)を戴きまして有難く、ァッ、御礼を申し上げまして。えー、色々この、流行り廃りと言う物がありますが、えー、昔はこの、江戸では火事と言うものを大変、えぇ流行るてぇのはおかしゅうございますが、火事を楽しむ人がありましてね、ウーン今だってもう時々その、ライタで無闇に火を付けたり何かする様な、あれはまァ少々狂っておりますが。ンー昔はその火事を、楽しむと言う。えー江戸はまた火事早いなんてぇ事を言いますがどうしてそんなに、火事が多かったかてぇと、つまりましまりが無いんですね。えー物が、いけぞんざいで「おーおーおう。早くしろ早くしろい、もいいよいいよいい加減にしとけよ」なんてんでね。ぇこのいい加減てぇのがいけませんで。火の元を、おろそかにしますから、火事と言うものができる。ァーもう好きな方は枕許ィ刺子っこから草鞋まで揃えて。…………<半鐘の説明〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………これは神田辺の、質屋の若旦那で、もォう小さい時から火事が好きで、買ってくる玩具と言えば梯子とか纏とか、そんな物で、(白湯を啜る)これが段々大きくなると、ハァもう火事だってぇと目の色を変えて飛び出しちまってね。エーッなかなか帰らないと言う親御の方は心配でございますから「おい。何か半鐘が鳴る様だ、伜はどうしたい。えっ、うちにいる、寝ているアーアーアーそう、じゃなるたけこう閉めて、音の聞こえない様にして、ぇぇ。えーっ、時に火の手はどっちだ」なんてんで。もう火事はそっちのけで、伜の方が先へ気になると言う訳で。……

6.東宝名人会での録音である。データ不詳だが、1975年前後の収録と思われる。

7.PN.20P-2204 CT COPY

8.寄席でトリの時、持ち時間30分として、おおよそこの様な演じ方をしたものと思われる。

火事息子−10

1.TS-02918D2

2.?,文化放送,スタジオ,客なし

3.21:15

4.なし

5.出囃子 正札附

昔からこの、火事は江戸の、名物と言いまして、『火事喧嘩、伊勢屋稲荷に犬の糞』なんと言う。あまりどうも、ォッ結構な名物ではございませんで。まァ火事と言うものは、今でもございますが昔はもう、こりゃァもう、江戸の名物と言う。チュッ、ウーンその位数が、ァー多かったもので。で火事道楽と言いまして好きな方は、刺子っこから、手鍵、草鞋までちゃんと枕許に、用意をしてあろうという。その当時は半鐘でございまして。ジャーンてんでぶつかる…………<遠い火事小便して寝よう>…………ウーンこれは神田辺の、質屋の若旦那でございますが、もォう小さい時から火事が好きでしょうがない。買ってくる玩具が、纏だとか、えぇー梯子だとかそんな物しか買わない。段々大きくなるに従って、火事てぇと、うちにはいませんで。ジャーンと、音がするてぇと、もう姿が見(め)えない。さこうなるてぇと親御の方では、伜の方がも火事より気になるから「あっ、あのゥ、ォッ火事の様だが伜はどうしたい。寝ているアーァ、そうかいそれはまァまァ良かった、でぇ時に火の手はどっちだ」なんてんで。伜の方を先ィ聞くと言うという様な訳で。……

6.文化放送の録音だが、客なしのスタジオ録音である。枕を短くして時間調整している。

7.文化放送 演芸名人二十六夜 放送録音

8.

火事息子−11

1.TS-02931C1

2.1975.10.15,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第五十六席」

3.46:32

4.CS.60AG-132,22KG-167(CT),SR.SRCL-3819(CD)

5.出囃子 木遣りくずし 受囃子 浅妻船

人には色々この楽しみと言うものがありますが、ぇー昔は道楽と言いました。ま今はそういう言葉を使うと、大変、ンー相手に悪い様ですからこのゥ、趣味と言いますが、まどっちにしたって同し様なもんですが。以前は火事道楽なんと言いましてね、火事を楽しんだ人がある。どォも今から考えると変な道楽で。えーもっとも江戸と言う所は火事が名物で。『火事喧嘩、伊勢屋稲荷に犬の糞』なんと言いまして、こりゃァまァ江戸の名物になっている。−どういう訳で、そんなァー火事はァ多かったのかと言う。…………<飛び火〜江戸の消防方法〜半鐘の説明〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………ぇこれは神田辺の質屋の若旦那で、もう小さい時から火事が好きでしょうがない。買ってくる玩具が、大抵梯子とか、或いは纏といった様なもん。ぇそんな物しきゃァ玩具も買わないような。えー大きくなるに従って、もう半鐘の音を聞くてぇと、うちを飛び出して行く。ダー親御の方では心配でたまりませんで。半鐘を「おーおう、伜は。えっ、寝ているかい。アーアーアーアーそうか。まァまァまァ良かった。えぇー時に何かい火事はどっちの方だ」なんてんで。ぇ火事よりは伜の方が気になるという様な訳で。……

6.「圓生百席」の録音。これを元にした速記が集英社文庫「圓生古典落語4」に収められている。

7.CS.22KG-167 CT COPY

8.枕などで色々と解説沢山になっており、その分時間がかかっている。

火事息子−12

1.TS-02981A3

2.1970.2.20,NHK,イイノ・ホール,東京落語会第128回

3.26:09

4.なし

5.出囃子 正札附

えーっ、江戸と申しました時代、えぇ名物が、ァーッ『火事喧嘩、伊勢屋稲荷に犬の糞』と言う。どォも、アーッ余り、自慢の出来ない、エーッ名物でございまして。まァ火事と言うものも、えー今でも、ォーッございますが昔はまァ江戸は、火事早いなんと言う。ゥどういう訳でそう江戸に火事が多かったのかと言う、まつまりィ、ェッ締まりが無いんでございましてね。ゥえー物をその、やりっぱなしと言う奴で「おうおうおい。まァいいよいいよお前アーアーアーいい加減にやっとけよそんなとこは」なんてんで。このつまりいい加減てぇ奴がいけませんで。えぇー火の不始末からァッ毎晩火事があると言うまた、このかねを火事を大変楽しんだ人がありましてね、火事道楽なんと言う。枕許ィ、刺っ子から、手鍵、ォーッ草鞋まで揃えてありまして『ジャーン』てんでぶつかるてぇと…………<吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………えぇーこれは神田辺の、質屋の若旦那でございますがもォう、小さい時から火事が大変好きで。買う玩具てぇと、も決っておりまして梯子だとか纏だとか、そんな物しきゃ買わないこれが、大きくなってくるともう、火事てぇと目の色を変えて飛び出すと言う。さあ親御の方ではもう火事よりは伜の方が心配で。『ジャーン』と半鐘の音を聞くと「おい、あの、伜はどうした。えっ、いるかいうちに。寝ているアーアーアー。そうか。それは良かった、あーァ、えぇー、時に何かい火事はどっちの方だ」なんてんで。もォう火事よりは伜の方が気になると言う訳で。……

6.イイノ・ホールでの東京落語会の録音。

7.NHK R 古典落語 放送録音 1970.3.31 佐藤氏ライブラリー

8.「エーッ」とか「アーッ」が随分多い録音である。

火事息子−13

1.TS-12574D1

2.?,NHK

3.29:34

4.なし

5.出囃子 なし

えー、昔からこの、名物と言う物が色々ございますが。東京が、ァーッ江戸と申しました、時分の名物に、えーっ、武士鰹、大名小路、生鰯、茶店紫火消し錦絵と言う。これが江戸の名物でございましてまだ、ァーッこの他に追加がありましてね。火事喧嘩、伊勢屋稲荷に犬の糞と言う。どうもあんまり、エーッいい名物じゃありませんでね。ワンワンの肥料なぞが中に入っておりますが。えー、火事と言う物が、これが江戸の名物になりましたがどうもあんまりいい名物じゃァありません。えーっ大事な物をそのまま、ァーッ根こそぎ無くなってしまおうと言う訳で。で、どういう訳でこれが名物なのかてぇと、江戸は火事速いてぇ事を言いましたがどうも、大変火事が多かった物。ま一晩に、ィーッ必ず火事が無いてぇ事はございませんで。そそっかしい人なんぞは、ァーッ急いで駆け出して火事を越しちゃったりなんかァしてね、「ハァー エッ」なんてんで威勢良く駆け出してるうちに、ィッ火事が後ろんなっちゃって「おいおいおう待って待っておう」「えー」「待てよ」 「なんだ」「ゥ通り越しちゃったじゃねぇか後ろだよ」「あいけねぇあんまり急いだもんだから後ろンなつちゃった。後ろィ帰(けえ)ンのは面倒臭ぇから立ってよう」「立ってたってしょうがねぇやな」「いいよゥ待ちゃァ向こうへまた出来らァな」なんてんで。ぇ新規に火事が、ァッ出来るのを待つなんという馬鹿な話で。まこれは嘘の様でございますが本当にそう言う事がありまして。えー第一、火事の好きな方てぇと、こりゃァもう、オーッ枕元へ、 道具をすっかり並べましてね、まず刺っ子、頭巾、手鍵、こりゃァもう色んな物が、草鞋まで揃えてありまして。…………<半鐘〜遠い火事小便して寝よう〜吉原見当有難てぇ〜野次馬池でえへん>…………えぇーこれは、神田辺の、質屋の若旦那でございますが、生まれつきどうも大変火事が好きで。子供のうちから買ってくる玩具が、梯子だとか、纏だとか、もうそんな物ばかり。火事道具を集める。でこれが大きくなってくると、えー火事が好きでございますから、もう半鐘の音を聞くと姿が見(め)えない。火事場へ飛んでいっちまう。さァ親御はご心配でございましてどういう間違いが無いとも限らないと言うので、半鐘の音を聞くと「おい、火事じゃないかい伜はどうしたい、いるかい」「えー、お休みンなって」「アーそうかい。それはいい塩梅で、えぇー、ところで何かい、えー火事はどっちの方だい」なんてんでね。もう火事よりは自分の伜の方を先に気にすると言う訳で。……

6.都家歌六師のコレクションから復刻した音だが音質が悪い。

7.NHK R 放送録音 都家歌六コレクション

8.

火事息子−14

1.TS-12683A1

2.?,鈴本演芸場(?)

3.24:53

4.無し

5.出囃子 中の舞

えー、ェッ、ようこそ、ァーッお運びでございまして、えー色々、ォーッ御機嫌を伺っておりますが、前方は漫才でございまして、照代・三球と言う、ア誠に、エーッ息も合いまして、えー品のいい漫才でございまして。二ァ人は楽屋へ入ってもなかなか仲もいい様で、煙草を半分ずつ吸ったりなにかしておりまして。あんまり仲がいいから聞いて見たら、ァーッ本当は御夫婦だそうで、夜は一緒に寝たりなんか致しまして。ェヘッ、怪しからんもんで、何怪しからん事は無い。色々お楽しみと言う物がございますが。昔はこの、ァーッ火事を道楽にしたんと言う今から考えると、おかしい様でございますが。(白湯を啜る)火事道楽と言う人は随分ありましたもん。えーもっとも火事は江戸の名物と言いましてね。『火事喧嘩、伊勢屋稲荷に犬の糞』なんと言う。こりゃァ江戸の名物だてぇますが。えー隣に赤ちゃんが泣き出すと言う様な訳で。えーこりゃまァ噺の他でございますが。まとにかく、ウー火事がどうしてそんなに江戸に多かったのかてぇとつまりまァ、しまりが無い、ぞろっぺぇてぇ奴でね「おうおうおーい。何をいいよいいよまァおりゃァかまァなんだないい加減にしておけ」なんてな事を言う。ウいい加減てぇ奴がいけませんで。え不始末な所から、火事と言うものはもう毎晩の様で。火事の無い時はおかしかったそうで「どうも今夜火事が無えなァえー、変な晩だな」なに別に変な事は無いが。でその頃は半鐘と言いまして、今のお若い方は半鐘の打ち方なんてぇものは、御承知が無いでしょうが、…………<半鐘の説明〜遠い火事小便して寝よう〜吉原見当有難てぇ〜野次馬蔵に火が入って「しめた」>…………えー、これは神田辺の質屋の若旦那で、ございますがどうも小さい時から火事が好きで、買って来る玩具がと言うと纏とか、えーあるいはまた梯子なんと言うそんな物しか買わない。段々大きくなると、ハー火事が好きで、半鐘の音を聞くてぇともううちにはおりませんで、「伜はどうしたい、えっ。いないかい困ったな」なんてんで親御の方は心配でございますから、こうなるともう火事より伜の方「あっ、あのう伜はどうした寝ている、あーあー、いやァ火事の様だか、寝ていりゃいいがまァまァとにかく、えーどっちの方角だか見ておくれ」なんてんで、もう伜さんの方を気にすると言う様な訳で。……

6.収録場所は鈴本演芸場の様である。寄席でのトリでの口演である。

7.東海ラジオ 源兵衛太助寄席の旅 放送録音 1996.12.1 園部氏ライブラリー

8.

火事息子・解説

『火事息子』なんと言う、この題の付け方が私は好きですねぇ。いかにも落語らしい題名じゃないですか。現代の言葉で言えば『火事オタク』とでも言うんでしょうが。何年何月何日の火事は何が原因でどの位焼けたか…、なんて帳面につけて研究してたりして…。仲間が集ってサークル誌でも出してるかも知れません。元々この火事息子を持った親の情愛なるものを描いた落ちのある人情噺と言った趣のある噺。『番頭さんの顔に泥を塗った』とか、『猫婆ァ』『箪笥ごと捨てろ』など気の利いたギャグを飛ばしながら聞かせる圓生師ならではの十八番と言えよう。近頃は余り大きな火事も無いようだが、江戸っ子でなくとも火事と聞いて出掛ける野次馬がいる限りこの噺も共感を持って伝えられて行くであろうと思う。

時代設定:江戸末期。

舞台:神田辺の質屋。

登場人物:神田辺の質屋の主、猫婆ァ、“火事息子”藤三郎、泥塗られ折釘番頭、余計な事を 言う小僧定吉、火事見舞い連。

ベストテイク:『火事息子…4』が時間もたっぷりしておりベストか。『火事息子…1』『火事息子…3』の国立の落語研究会のものも良い。特にVTRで見れる『火事息子…1』は番頭の折釘にぶるさがる格好など音だけではどうにもならない箇所がありこれは特別である。

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