桂文樂音源データ
星野屋−1
1.TS-02595A1
2.68.6.20,TBS,朝日生命ホール,「まわり舞台」
3.21:06
4.CS.SOGZ-34(初出),V.JL-267,VCK-887(CT)
5.出囃子野崎
えー、ェッ、毎回の、ァッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、御馴染みの、ォーッ、お笑いを申し上げることに致します。『悋気は女の慎むところ疝気は男の苦しむところ』なんてぇのがござい…。(パチン)エェーッ、よく旦那様(だーさま)方が、程が宜しいてますがな、程々てぇのがなかなか難しいもんで(パチン)『妬きもちは遠火に焼けよ妬く人の胸も焦がさず味わいもよし』って。ちょいと、オーッ、お楽しみンとこへでもいらっしゃろうなんてぇ時には、この旦那方ァこの寄席をだしに使ったりなんかして噺家こそいい面の皮だよ(ポン)。エェーッ、「おい、羽織を出しとくれ」「羽織をお召しになって、どちらへいらっしゃいますの…………<夜っぴて寝ません〜清も定吉も>…………アッハハッおいでおいで」泣出しちまう。あーどうも、お妬きもちの妬きようが宜しいとこういう具合で、なかなか難しいものだ(パチン)「御新造さん大変でございます」「なんだねこの娘はまあ、表から大きな声を出して。みっともないじゃない」「聞いて参りました。旦那様が又お囲いものなすった、いいえ本当なんですよ、あなたがあんまりね、お人がいいから、いいえ、あのね五重塔の下へね、あの茶店を出してる、なんでもすずし野のお花って言うね、あの茶店を出してる女が、その女をね、旦那様がお囲いなすった」「そんなことってべらべら表へ喋るんじゃありませんよ、えっ、ァー旦那お帰りだよ、あっち行っとい…」「アーッ、今帰って来ました」「お帰(かえ)んなさいまし」「あのぅ、ゥーッ、留守に誰も来なかったか」「どなたもお見えじゃございません」「あァそうか。あのねどうでも構わんがねぇ、えーっ女中をここの部屋へ入れちゃいけないよ。えーあいつどうもお喋りでいけないよどうも」……
6.
7.CS.SOGZ-34 DISC COPY
8.「星野屋」は口演回数も少なかった為もあって、一本しか録音が無い。過去に何回か再放送されたものも全てこのテイクであった。「まわり舞台」の放送録音を所持していたが、レコード化されて『間へ挟まりまして』が復活していた為、差替えた録音の一つである。
星野屋・解説
桂文樂師の珍品ネタと言うと『品川心中』とか『小言幸兵衛』がすぐに挙げられるが、実のところこの『星野屋』も、極めて珍品と言える。上演回数を調べてみても、この『星野屋』と『小言幸兵衛』が同数なのである。それゆえ放送も少なかったようで、手元には、1本しか残っていない。しかし、そのたった1本の音の出来が良いために私自身も、文樂師が余り得意でなく滅多に掛けなかった珍品とは思わなかったのである。噺自体は人情噺のようであり、怪談噺のようで、しかし落ちまで来れば正に滑稽噺。可愛いとは言えぬお花、その母親たる婆ァ。特にこの婆ァに限っては、今輔や当代談志に演らせて見たいと思うがどうだろう。
時代設定:「身投げ」とか「小判」から江戸時代となる。
舞台:星野屋宅を発端にお花宅、吾妻橋、そしてお花宅。
登場人物:星野屋主人、その女房、女中たけ、星野屋の妾・すずし野のお花、お花の母、怪談噺上手重吉。
ベストテイク:どう考えてもこの1本しか無いんですから。でも、この録音を上回る出来のものも期待薄。