桂文樂音源データノート

船徳−1

1.TS-02601D1

2.1962.7,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし

3.21:51

4.V.JV-60(初出),JV-199,JV-1161,JV-1282,JL-258,SJV-6542,VFC-5205,VCK-513(CT),

KVF-4705(CT),VCK-889(CT),VCK-3166(CT),VDR-5021(CD),VDR-21010(CD),VICG-15078(CD),実業之日本.JN-203

5.出囃子 野崎

えー、ェッ、昔は、ァッ、お道楽が過ぎますてぇと、ゥッ親類協議の上、エーッ勘当てぇ事ンなりまして、船宿の二階に、ィーッ、厄介ンなってるなんていう図は、アーッ、あったんだそうでございます。「若旦那御退屈でござんしょう」「エッヘヘッ、いい心持ちだよ」「あァたねぇ幾日何十日あたくしの方おいでになっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねあァただって何かやらなきゃいけないでしょう」「あっ、色々心配をかけたがねぇ今度は(こんだ)あたしはもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしゃうちの商売ンなるよ、船頭ンなるよ」「けどあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭なんぞになれやしません」「なれやしねえったってみんなやってんじゃねぇか同し人間じゃねえか、俺やって見るよ」「やって見るてあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「だけどお前がならせなきゃ他行ってなるよ俺は」「そりゃたってなりたいてぇものを無理に止める手も無いんですがね。あァたァやれますか」「こうしとくれっ、店の若い者を呼んどくれ、あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「えー散財をするってますが入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「ェヘどうもあァたの言う事は、締まらないねどう」「こうしとくれ。みんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.

7.V.JL-258 DISC COPY

8.

船徳−2

1.TS-02594C2

2.1962.6.29,TBS,TBSスタジオ,「お茶の間寄席」

3.20:40

4.CS.SOGZ-33(初出),15AG-221,FCLL-2,SKJZ-18(CT),FKLH-2(CT),30KG-144(CT),

  YP.CR18-1(CT)

5.出囃子 野崎

相変わらず、エーッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと親類協議の上、勘当てぇ事ンなりまして、お出入りのこの船宿の二階に厄介ンなってるなんてぇのはこのよくある型でございまして「若旦那御退屈でござんしょう」「アハハハハーッ、いい心持ちだよ」「あァたねぇ幾日何十日ねぇあたくしンとこおいでになっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇあァただって何かやらなきゃいけないでしょ」「あっ、色々心配かけたがねぇ今度は(こんだ)あたしゃもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしうちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「ンヘッヘッあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体でね、船頭ンなんざァなれやしません」「なれやしねぇったって同し人間じゃねぇか、みんなやってんじゃねぇかオー俺やって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、えー素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンなお前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「そりゃたってなりたいてものを無理に止める手も無いんですがあァたやれますか」「こうしとくれ、店の若い者を呼んどくれよ。あたしが仲間ァ入った印にねぇ、ターッとあたしがここで散財をするから」「えー、散財をするってますが入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「ヘッどーもね、あァたの言う事は締まらないねどぅ」「こうしとくれみんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.ビクターのスタジオ録音の直前のライヴテイクに当たる。

7.CS.SOGZ-33 DISC COPY

8.「船徳−1」と「−2」は、文樂師のスタジオ録音とライヴ録音を比較するのに格好の材料と言える。1960年代前半の録音は意外に少ないが、喉手術後の明るい声で張りがあって、テンポがあるので、本当の意味での全盛期はこの頃なのかも知れない。

船徳−3

1.TS-02561D1

2.1967.6.16,NHK,ヤマハホール,東京落語会第96回

3.21:37

4.NHKサービスセンター.JK-3012(初出),Po.MF-4002,CN-6040(CT),CN-6502(CT)

5.出囃子 野崎

毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、ァーッ、お笑いを申し上げる事に致します。昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと、親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして、お出入りの船宿の二階に厄介ンなってるていう図があったんだそうでございますな。(パチン)「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハハハッ、エヘッ、いい心持ちだよ」「あァたねぇ、エッヘヘヘッ、幾日何十日ね、あたくしンとこおいでになっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇ、あァただって何かやらなきゃいけないでしょう」「あっ、色々心配をかけたがねぇ今度は(こんだ)あたしはもォう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしはねぇうちの商売ンなるよ、船頭ンなるよ」「エッヘヘヘッあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなね、か細い体で船頭なんだァなれやしません」「なれやしねえったって同し人間じゃねぇか、みんなやってんじゃねぇか俺ァやって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「で、お前がならせなきゃ他行ってなるよ俺は」「そりゃァねぇたってなりたいてぇものを無理に止める手も無いんですがあァたねぇやれますか」「こうしとくれッ、店の若い者を呼んどくれよあたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「えー散財をするってますが、ぇー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「アッハハハハどうも、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれ。みんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.東京落語会では2回の口演記録があるが、口調から1967年のものと判定した。

7.NHKサービスセンター.JK-3012 DISC COPY

8.文樂師の東京落語会の口演は概して出来が良いが、これも時期的にも調子の乗ったものである。

船徳−4

1.TS-02505D2

2.1968.7.20,TBS,人形町末廣,「TBS名人会」

3.22:26

4.なし

5.出囃子 野崎

えー、お暑い所を、ようこその、ァッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みの、ォーッ、お笑いを申し上げます。昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして。(パチン)お出入りの船宿の二階へ厄介ンなってるていう図が、アーッ、(ポン)、随分あったんだそうでございますな「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハハハハーッ、いい心持ちだよ」「エッヘヘヘヘヘあァたねぇ幾日何十日ねぇ、あたくしンとこおいでになっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇあァただって、何かやらなきゃいけないでしょ」「あぁ、色々心配かけたがねぇ今度は(こんだ)もう、あたしゃもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしはね、うちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「ゥッハハハハハッあァた、馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭ンなんぞになれやしません」「なれやしねぇったって、同し人間じゃねぇかァみんなやってんじゃねぇかおォやって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡にねぇ、ヵッ涼しくっていい、さて商売となって本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンお前がならさなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「そらァねぇたってなりたいてものを無理に止める手も無いんですがねぇ、あァたやれますか」「こうしとくれ、店の若い者を呼んどくれよあたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッと、あ、あたしがここで散財をするから」「ぇ散財をするってますが、(パン)入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ、(パン)お前が一時立替えるん…」「アッハハハどーもねぇ、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれみんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.人形町末廣からの生中継である。

7.TBS TV TBS名人会 放送録音

8.実際にテレビで高座を見ながらの録音で、煙草のやりとりや蝙蝠傘の仕草が今もありありと思い起こす事が出来る。どうしても贔屓目になるが、このテイクは捨てる事の出来ない録音である。良い出来だ。

船徳−5

1.TS-02525A2

2.不明(喉手術前),TBS

3.20:48

4.なし

5.出囃子 野崎

一杯のお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。えー、相変わらず、ァッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。道楽とは道を楽しむと書くそうですが、中にはこの道に落ちると書く道落があるしかし大抵もうお若いうちは、御婦人をお愛し遊(あす)ばすてぇ事に大抵はもう止めを刺しておりますな。昔はあんまり道楽をいたしますと、えーっ、親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして、出入りの船宿の二階へ居候をしてるなんていう形は、よくあったもんだそうでございます。「若旦那御退屈でござんしょう」「ハッハッ、いい心持ちだよ」「あァたねぇ、幾日何十日ねぇあたくしンとこおいでになっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇあァただってねぇ、何かやらなきゃいけないでしょう」「あっ、えー色々ね心配かけたがねぇ今度は(こんだ)もうあたしはもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたての」「とにかくあたしゃねぇ、うちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「ンヘヘッあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体でね、船頭なんざァなれやしません」「なれやしねえったって、同し人間じゃねぇかみんなやってんじゃねぇか俺ァやって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に、夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンで、お前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「えーそりゃァねぇたってなりたいてぇものを無理に止めるていう手も無いんですがね、あァたやれますか」「こうしとくれッ、店の若い者呼んどくれ、あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「えー散財ってますが、…入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。(ポン)お前が一時立替えるんだよ」「エッどっホホーもね、あァたの言う事は締まらないねどう…」「こうしとくれみんなあたしの事をね、エッヘエッヘ(咳)、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.テンポの速い、喉手術前の録音である。

7.TBS R 桂文樂その世界 放送録音 1974.1.6

8.喉手術前の口演であるが、余り色悪な感じがしない。

船徳−6

1.TS-02612C2

2.1970.8.31,東横劇場,東横落語会第106回

3.24:02

4.To.TY-40067(初出),ZA-2037(CT)

5.出囃子 野崎

毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして、相変わらず、ァッ、お馴染みのお笑いを申し上げます。昔はお道楽が過ぎますてぇと、親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして。お出入りの船宿の二階に厄介になってるなんてぇ図はあったんだそうでございますな。「若旦那御退屈でござんしょう」「エッヘヘッ、いい心持ちだよ」「アッハハハハあァたねぇ、幾日何十日ねぇあたくしンとこおいででんなっても構わないんですがお身の為に良くないからねぇ。あァただって何かやらなきゃいけないでしょ」「あ色々心配かけたがねぇ、今度は(こんだ)もうあたしゃもう覚悟を決めました」「(ポン)何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしはうちの商売ンなるよ、船頭ンなるよ」「アッハハハハハあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭ンなんぞはなれやしません」「なれやしねぇったって、同し人間じゃねぇかァみんなやってんじゃねぇかおォ俺やって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくっていい、さて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンでお前がならせなきゃ俺は他行ってなるよ」「ゥンそらたってなりたいてぇものを無理に止める手も無いんですがあァたねぇやれますか」「こうしとくれ、えーあのゥ店の若い者を呼んどくれよ、あたしがね、仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「ぇ散財をするってますが、えー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだ…」「ヵッハハハどホホーも、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれみんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。(パン)……

6.晩年の記録で、口調がゆっくりである。

7.To.TY-40067 DISC COPY

8.晩年にしては出来の良い高座だが、煙草のやりとりなど息切れがみられる。

船徳−7

1.TS-02733A1

2.1953〜1954頃,TBS

3.20:11

4.なし

5.出囃子 野崎

ようこその、ァッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、アーッ、馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、お暇(しま)を頂戴を致します。道楽とは道を楽しむと書くそうですが、中にはこの道に落ちると書く道落がある。しかし大抵もうお若いうちは、御婦人をお愛し遊(あす)ばすてぇ事に大抵はもう止めを刺しておりますな。その昔はあんまり道楽が過ぎますと、エェーッ、親類協議の上、えー勘当てぇ事ンなりましてお出入りの、この船宿の二階に厄介になってるなんてぇのは、この、(ポン)ォーッ、明治時代までにはあったんだそうでございます。「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハッハッハ、いい心持ちだよ」「エッヘあァたねぇ、幾日何十日、ァわたくしンとこへおいでになってもねぇ、構わないんですがね、お身の為に良くないからえーあァただって何かやらなきゃいけないでしょう」「あっ、色々心配かけたがねぇ、えーあたしももう今度は(こんだ)もう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしはうちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「ンフフッあァたねぇ、馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体でね、船頭なんざァなれやしません」「なれやしねえったって、同し人間じゃねぇかみんなやってんじゃねぇかァ、俺やって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンでもお前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「えーそりゃァねぇたってなりたいてぇものを無理に止めるという手も無いんですがねあァたねぇ、やれますか」「こうしとくれッ、店の若い者呼んどくれよ、あたしが仲間ァ入った印、印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「…えー散財をするってますが、入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「ァハッ、どっホホーもね、あァたの言う事は締まらないねどう…」「こうしとくれみんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.喉手術前の録音である。間の詰まった速いテンポである。

7.TBS R 早起き名人会 放送録音 1981.7.25

8.喉手術前の口演である。「船徳−5」と異なり色悪な感じがする声質である。

船徳−8

1.TS-02857C2

2.1961.9.29,東横劇場,東横落語会第33回

3.21:48

4.CS.50AG-913(初出)

5.出囃子 野崎

えー、毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。道楽とは道を楽しむと書くそうですが、昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと、親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして。ァお出入りのな、船宿の二階に厄介になってるなんてぇ図は、エェーッ、どうもざらにあったんだそうでございますな。「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハハハッ、いい心持ちだよ」「あァたねぇ、エッヘヘ幾日何十日ねぇ、あたくし供おいでンなっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇあァただって何かやらなきゃいけないでしょ」「あー、随分色々心配かけたがねぇ今度は(こんだ)あたしは覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたってのは」「とにかくあたしはうちの商売ンなるよ、船頭ンなるよ」「ェッヘあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体でね、船頭ンなんざなれやしません」「なれやしねぇったってみんなやってんじゃねぇか同し人間じゃねぇか、おォ俺ァやって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、ぇそのねぇ素人(しろと)料簡にねぇ夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンお前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「ゥーそらねぇたってなりたいてぇものをねぇ無理に止める手も無いんあァたやれますか」「こうしとくれ、店の若い者を呼んどくれよ、あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「ぇー、散財をするってますが、えー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ、お前が一時立替えるんだよ」「どホホホーも、あァたの言う事は締まらないねどうも」「こうしとくれみんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.

7.CS.50AG-913 DISC COPY

8.良い時期の高座だが、音質の痩せているのが惜しまれる。

船徳−9

1.TS-02888A3

2.1967.7.9,TBS,人形町末廣,「三樂オーシャン日曜寄席」

3.21:07

4.Co.FS-7157(初出),COCF-12945(CD)

5.出囃子 野崎

えー、ヘッ、※昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして、船宿の、ゥウーン二階に厄介ンなってるなんてぇ図があったんだそうですな。(ポン)「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハハーッ、いい心持ちだよ」「ェあァたねぇ、エッヘヘーッ、幾日何十日ね、あたくしンとこおいでになっても構わないんですがねお身の為に良くないからねぇ何かあァただって、やらなきゃいけないでしょう」「あっ、色々心配かけたがねぇ、今度は(こんだ)もうあたしはもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めた…」「とにかくあたしはうちの商売ンなるよ、船頭ンなるよ」「アッハハあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭なんざァなれやしません」「なれやしねえったって、同し人間じゃねぇかみんなやってんじゃねぇか俺ァやって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、えー素人料簡に、夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「で、お前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「そらァねぇたってなりたいてものを無理に止めるても無いんすがあァたねぇ、やれますか」「こうしとくれッ、店の若い者を呼んどくれよ、あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「えー散財をするってますが、入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだ」「アッハハッ(パチン)どうもね、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれ。みんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.※印の所で、別音源を継ないである欠陥音源である。しかし、口上の部分が抜けただけなので余り問題は無い。

7.Co.FS-7157 DISC COPY

8.音質が余り良くなく、上記の欠陥も有るため、時期的には良い筈であるが今一つピンと来ない録音である。

船徳−10

1.TS-2890B1

2.70.5.18,フジポニー,スタジオ,客なし

3.22:59

4.Ca.AP-1002(初出),C18G-0281,PN.20P-2172(CT),PC.20P-2584(CT),PCCG-00029(CD)

5.出囃子 野崎(ドラ入り)

えー、ェッ、昔は、お道楽が、あんまり過ぎますてぇと親類協議の上、勘当てぇ事ンなりまして。お出入りの船宿の二階に厄介になってるなんていう図は、ァーッ、あったんだそうでございます。「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハハハハッ、いい心持ちだよ」「あァたねぇエッヘ幾日何十日、あたくしンとこおいでになっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇ、何かあァただってやらなきゃいけないでしょ」「あァ、色々心配かけたがねぇ、今度は(こんだ)あたしゃもう覚悟を決めますた」「何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしはね、うちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「ゥッハハハハハッあァたね、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭ンなんざァなれやしません」「なれやしねぇったって、同し人間じゃねぇかァみんなやってんじゃねぇかウーやって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に、夏ンなって涼しくっていい、さて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くからって」「ンお前がならさなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「そらァたってなりたいてものをねぇ無理に止めるっていう、ても無いんですがねぇ、あァたやれますか」「こうしとくれ、店の若い者を呼んでおくれよ。あたしがね、えー、ここ、この仲間ァ入った印にパーッとあたしがここで散財をするから」「えー散財をするってますが、入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ、お前が一時立替えるんだよ」「アッハハハハどうもね、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれみんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.ビデオ用の録音である。出来が余り良くなかったのでビデオでの発売を控えたものと思われる。1987年になってようやく発売の予告がされたが中止になってしまった。

7.Ca.C18G-0281 DISC COPY

8.晩年の口演で、口が回らず痛々しい部分が多々ある。煙草盆や蝙蝠傘の仕草はビデオで見たいものである。

船徳−11

1.TS-02891B1

2.1966.7.10,TBS,スタジオ,客なし,「日曜寄席」

3.21:21

4.なし

5.出囃子 なし

えー、相変わらず、ェッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと、親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして、(ポン)船宿の二階に居候をしてるなんてぇ図があったんだそうでございます「若旦那御退屈でござんしょう」「(パチッ)アッハハッ、いい心持ちだよ」「あァたねぇ、幾日何十日ねぇあたくしんとこおいでになっても構わないんですがねお身の為に良くないからねあァただって、何かやらなきゃいけないでしょ」「あっ、色々心配をかけたがねぇ今度は(こんだ)あたしはもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めた」「とにかくあたしゃねぇ、うちの商売ンなるよ船頭ンなりますよ」「アハハハハ、冗談言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭なんざァなれやしません」「なれやしねえったって、同し人間じゃねえかみんなやってんじゃねぇか俺ァやって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、そらァねぇ素人料簡に、夏ンなって涼しくっていいさて商売となって本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「だけどお前がならせなきゃ、他行ってなるよ俺ァ」「うーん、そらァねぇ、たってなりたいてぇのを無理に止める手も無いんですがね。あァたやれますか」「こうしとくれッ、(ポン)店の若い者を呼んどくれよ、あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで今散財をするから」「えー散財をするってますが、えー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「アハハどうもね、あァたの言う事は締まらない」「こうしとくれみんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよゥ……

6.日曜寄席の録音だが珍しくスタジオ録音で客なしである。

7.TBS TV 日曜寄席 放送録音 野口氏ライブラリー

8.客がいないせいもあり、呼吸が乱れるのが少々目立つ。

船徳−12

1.TS-02920A2

2.(1967.7.7),TBS,朝日生命ホール,「まわり舞台」

  付:対談,桂文樂・山本文郎アナ

3.21:48,対談 3:41

4.なし

5.出囃子 野崎

一杯の、ォッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。相変わらず、お御馴染みの、ォッ、お笑いを申し上げる事に致します。昔は、ァッ、あんまりお道楽が過ぎますてぇと親類協議の上、勘当てぇ事ンなりまして、お出入りの船宿の二階に厄介ンなってるていう図はあったんだそうでございますな。(パン)「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハハハッ、いい心持ちだよ」「アッハあァたねぇ、幾日何十日ねぇ、あたくしンとこおいでになっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇあなただって何かやらなきゃいけないでしょ」「色々心配かけたがね今度(こんだ)ねぇ、あたしゃもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたってのは」「とにかくあたしはね、うちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「アッハハハッあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体でね、船頭ンなんざァなれやしません」「なれやしねぇったって、同(おんな)し人間じゃねぇかァみんなやってんじゃねぇかァ俺やって見るよ」「やって見るとねぇあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に、沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「お前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「ぇーそりゃねぇ、たってなりたいてぇものを無理に止める手も無いんすがねぇあァたやれますか」「こうしとくれ、店の若い者を呼んどくれよ。あたしが仲間ァ入った印にねぇ、ターッとあたしがここでひとつゥ散財をするから」「ぇー、散財をするってますが、ぇー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「ァッハハッ、どうもね、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれ、みんなねぇあたしの事を『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

  対談

拍手……山本アナ「えぇっ、桂文樂さんの船徳でございました。ここで、文樂師匠に一寸、お話しを伺ってみたいと思いますけどお客様いかがでございましょうか宜しゅうございましょうか。どうぞ、どうもお疲れ様でございました」文樂「どうも、ぇへっ」山「いやァ師匠あのゥ、今日も汗びっしょりで熱演してくれましたが」文「( にかぶって)ぇー、ェッヘヘ、いえいえ」山「このォ船徳というお噺を伺うと、まあたくし供も、暑ゥい夏がやってきたなと蝉の声が耳に響いて来る感じなんで……橘家三好の船徳の話〜船宿のおかみの演出〜釣りに行って研究

6.晩年の良い時期の録音。この年の夏のこの噺の録音は多い。

7.TBS R まわり舞台 放送録音 野口氏ライブラリー

8.「船徳−3」と「−9」が、同じ年の同じ時期に録音されている。特に「−9」は2日違いの放送である。

船徳−13

1.TS-02929A2

2.1967,テイチク,スタジオ,客なし

3.23:11

4.Te.NL-2262 TETR-20015(CT),ワールドファミリー.WFK-7082

5.出囃子 野崎

えー、相変わらず、ェッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと親類協議の上勘当てぇ事ンなりまして、お出入りの船宿の二階に厄介ンなってるなんていう図があったんだそうでございます。「若旦那御退屈でござんしょう」「アッハハハァ、いい心持ちだよ」「あァたねぇ、ェッヘヘッ幾日何十日ねぇ、あたくしンとこでおいでになっても構わないんですがね、あァただってぇ何かやらなきゃいけないでしょう」「あっ、色々心配をかけたが今度は(こんだ)もうあたしは覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたての」「とにかくあたしはね、うちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「アッハッハッハァあァたねぇ、馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭なんだァなれやしません」「なれやしねえったって同し人間じゃねえかみんなやってんじゃねぇかァ俺やって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンでお前がならせなきゃァ他行ってなるよ俺は」「ゥーそりゃたってなりたいて言うものをねぇ無理に止めるゥ手も無いんですがねぇあァたやれますか」「こうしとくれッ、店の若い者を呼んどくれよ、あたしがねぇ仲間ァ入った印にねぇ、ぇーひとつパーッとひとつゥここで散財をするから」「えー散財をするってますがあァた、入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「アッハハどうもねぇ、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれ。みんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ。……

6.スタジオ録音で客なしである。

7.Te.NL-2262 DISC COPY

8.録音年月日は不明だが初出から察して1967年と思われる。スタジオ録音独特の堅さは余り目立たずなかなか良い出来だ。

船徳−14

1.TS-02932A2

2.1970.12.12,キング,キングスタジオ,客なし

3.21:07

4.K.KR-5121(初出),K18H-5023(CT),K18H-5242(CT),フェーマスレコードクラブ.NAS-645

5.出囃子 野崎

えー、相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。昔は、ァーッ、お道楽が、過ぎますてぇと親類協議の上、勘当てぇ事ンなりましてお出入りの船宿の二階へエェーッ、厄介になってるなんて言う図があったんだそうでござんす。「若旦那御退屈でござんしょう」「ァッヘヘッ、いい心持ちだよ」「ヘーッあァたねぇ、幾日何十日ねぇあたくしンとこへ、おいでになっても構わないんですがねぇお身の為に良くないからねぇ。あァただってぇ何かやらなきゃァいけないでしょ」「あ色々心配かけたがねぇ、今度は(こんだ)あたしゃもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたてのは」「とにかくあたしうちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「アッハハハァあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭ンなんざァなれやしません」「なれやしねぇったって、同し人間じゃねぇかみんなやってんじゃねぇかァおれ俺やって見るよ」「やって見るてあァたねぇ安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡にねぇ、夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「って、お前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「そりゃたってなりたいてものをねぇ、無理に止めるゥ手も無いんですがあァたやれますか」「こうしとくれ、店の若い、若い者を呼んどくれよ。あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パァーッとあたしがここで散財をするから」「えー、散財をするってますが、ンー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ。お前が一時立替えるんだよ」「ァッヘッどーもね、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれ、みんなあたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ……

6.最晩年のスタジオ録音である。

7.K.KR-5121 DISC COPY

8.晩年のスタジオ録音としては良い出来である。

船徳−15

1.TS-02940A3

2.不明,フィルモン音帯,SP盤の録音

3.7:32

4.フィルモン音帯(番号不明),ライフ&アート.第9巻(CT)

5.出囃子 野崎

えー、代わる代わるお目通りを致しまして、相変わらず、馬鹿馬鹿しい事を申し上げてお暇を頂戴を致します。「おかみこんちわっ」「おやっ、いらっしゃいまし、まハあ、お珍しいあんまりお出でがないから、どうなすったかと思って、ご(針飛び)じ申しておりました。あのお布団を持って来いお布団を。どうぞお布団をお当て遊ばして、あのお連れ様ッ、こちらへお掛け遊ばして、……  ……サゲ=向こうから大きな船が来たら避けて下さい」「おい何を言ってるんだおい、おい助け船だよッ」…お時間でございます。……(拍手)……

6.フィルモン音帯と言う会社のSP盤からの復刻である。SPとしては珍しくライヴ盤で、客の笑いや終わりの所でははっきり聞き取れないが掛け声まで入っている。雑誌『落語界』第13号に載っている歌六師の『桂文樂レコード・ガイド』にこの録音についての記述があるが、『落語レコード八十年史』に記載されていないのはどういう訳であろうか。

7.ライフ&アート.第9巻 CT COPY

8.録音年月日が不明だが、SPのライヴと言うのは貴重だ。録音もさぞ大変だったろうが、演じる文樂師も見事に前後をカットして時間に合わせている。

船徳−16

1.TS-02941A2

2.不明(喉手術後)

3.23:27

4.ライフ&アート.第10巻(CT)

5.出囃子 野崎

えー、ェッ、※相変わらず、お馴染みの、ォーッ、お笑いを申し上げる事に致します。昔はあんまりお道楽が過ぎますてぇと、親類協議の上、勘当てぇ事ンなりましてお出入りの船宿の二階に厄介になってるなんて言う図は、(ポン)エェーッ、あったんだそうでございますな。「えーっ、若旦那御退屈でござんしょう」「アッハヘィ、エッヘエッヘン(咳)いい心持ちだよ」「ァッハあァたねぇ、幾日何十日ねぇ、あたくしンとこおいでンなっても構わないんですがね、お身の為に良くないからねぇ何かあァただってやらなきゃいけないでしょ」「あッ、色々心配かけたがねぇ、今度は(こんだ)もうあたしはもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたってのは」「とにかくあたしはうちの商売ンなるよ、船頭ンなるよ」「アッハハあァたねぇ、馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船、船頭ンなんざなれやしません」「なれやしねぇったって、同し人間じゃねぇかみんなやってんじゃねぇかおォやってみるよ」「やってみるとねぇ、あァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に、夏ンなって涼しくっていいさて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「ンじゃお前がならせなきゃ他行ってなるよ俺ァ」「そらねぇたってなりたいて言うものをねぇ、無理に止める手も無いん(カタン)あァたねぇ、やれますか」「こうしとくれ、店の若い者を呼んどくれよ、あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「ぇー散財をするってますが、えー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって、今やあたしはおあしは無いよ、お前が一時立替えるん」「アハハーッ、どホホーもね、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれみんなであたしの事をね、『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ……

6.録音データが不明だが、晩年の録音である。出囃子から※の所までは別の音をつないである。

7.ライフ&アート.第10巻 CT COPY

8.ライフ&アートのものは、比較的喉手術前の音を集めているが、この録音は晩年の録音である。

船徳−17

1.TS-02942A1

2.1969頃,スタジオ,客なし

3.23:48

4.筑摩書房.古典落語名人会 第1巻 WFS-8667〜9(ビクター製ソノシート3面)

5.出囃子 野崎 受囃子 佃

「えー若旦那御退屈でござんしょう」「アッハいえ退屈は、しないがねぇ。えー、このォー表を見てると、男と女ばかりしか通らねぇがねぇ、俺の考え(かんげぇ)じゃァ何か変わった」「くだらないねぇ言うことが。あァただって何かやらなきゃいけないでしょ」「ェヘッ、色々考えたがねぇ、今度は(こんだ)あたしはもう覚悟を決めました」「何ですィその覚悟を決めたってのは」「とにかくあたしはねぇ、うちの商売ンなるよ船頭ンなるよ」「アッハハあァたねぇ、その馬鹿げた事を言っちゃいけませんあァたみたいなか細い体で、船頭ンなんだなれやしません」「なれやしねぇったって同し人間じゃねぇかみんなやってんじゃねぇか、俺やって見るよ」「やって見るってあァた安直におっしゃるがね、素人(しろと)料簡に夏ンなって涼しくていい、さて商売となって、本当に沖ィでも出て、ならいでも食らって御覧なさいあァた驚くから」「でもお前がならせなきゃ俺ァ他行ってなるよ」「そらたってなりたいてぇものをねぇ無理に止める、手も無いんですがあァたねぇ、やれますか」「こうしとくれ、店の若い者を呼んどくれよ、あたしが仲間ァ入った印にねぇ、パーッとあたしがここで散財をするから」「ぇー散財をするってますが、えー入費が掛かりますねぇ」「入費が掛かるったって今あたしはおあしは無いよ、お前が一時立替えるんだ」「アッハハッ、どうもね、あァたの言う事は締まらないね」「こうしとくれみんな、あたしの事を『若旦那若旦那』ってこう言うんだよ……

6.筑摩書房のスタジオ録音。1969年頃の録音である。口上がなく、いきなり本篇に入るが、いつもと違う筋立てで始まる。

7.筑摩書房.古典落語名人会 第1巻 WFS-8667〜9 DISC COPY

8.道楽の枕は収録時間の都合でカットしたのであろう。それにしても、出出しの言い立てが妙だ。

船徳・解説

桂文樂師の『船徳』は、是が非でもVTRで見たい!。しかし、この夢は未だに実現されていない。『おはよう名人会』では遂に流れずじまいだったし、ポニーに残るスタジオ録画のVTRも発売が決まっていたのに延期になってしまった。只の一回きりだがTBSの人形町末廣からの中継で観た『船徳』。その姿は未だに脳裏に焼き付いていて消え去る事が無い。是非観た事の無い人に観て貰いたいのである。煙管のやり取り、蝙蝠傘の挾まる所、その形と言ったらそりゃもう絶品中の絶品。抱腹絶倒なんだから。今の噺家もこの噺はちょいちょい演っているが本家本元を観てしまうとかすんでしまうから凄い!。夢が叶うことの早からんことを…。さて、この『船徳』だが、水上交通と言うものが水上バスか釣り船位しか無くなってしまって下手に海に出ようもんなら潜水艦がぶつかってくる世の中。『向こうから船が来たら避けて下さい!』なんてのが洒落ンならないんだから、情景描写がさぞ演り難かろう。ただ隅田川が多少綺麗になって来たんで少しは救われるかな?。我々のように落語を研究(?)している者は『大川に船』って言う光景も『首尾の松』ったって、実際知らなくても知ってるような気がするもんだが、一般の人の一寸聴きでは分らないのだろう、そのためかいきなり前振りが長くなってしまうらしい。かつて、『舫う』と言う言葉が分りにくいから『繋ぐ』に直して演じている事が話題になっていたが、我々こそ「『まだ舫ってあるじゃねぇか』と言うほうがいいねぇ…」とは言うものの普通の人は理解出来ないのかも知れない。ただ、噺の中では何かこうそういうような言葉が残っていてくれる方がいいなァと思うがどうだろう。この『船徳』はなんと17もの録音がある。時期的に夏それも7月の頭位にしか本来は掛けられない筈なのに凄い数である。その為か夏近くなると必ず毎年放送に掛かっていたから今後古いテープの発掘作業が進めば、一年毎の『船徳』がずらっと並びそうな気がする。それから『船徳』を『舟徳』と書く人がいるが、『船頭の徳さん』を縮めたんだから、これは絶対に誰が何と言おうとも『船徳』が正しいと思う。

時代設定:隅田川がまだ清らかなる頃。四万六千日お暑い盛り。

舞台:大川縁柳橋の船宿『大桝』、大川上徳さんの漕ぐ船上。

登場人物:『大桝』の親方、その女将、二階に厄介俄か船頭徳三郎、法螺吹きの竹、船頭熊、船頭八、船頭伊之、船頭辰、客A(大桝の馴染みで太っている。福引で当った蝙蝠傘を持っていたが途中で紛失)、客B(Aの友。船は余り好まない)、竹屋のおじさん。

ベストテイク:17もの録音があり、文樂師のねたの中で最多テイク数を誇るが出来不出来が少ない演目である。最晩年の数本に息切れのある録音があるが、その他はおしなべて良い出来である。強いて選べば「船徳…4」。「船徳…12」「船徳…2」も良い出来である。

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