三遊亭圓生音源データ

江戸の夢−1

  ※宇野信夫作

1.TS-02687C1

2.1978.7.26,TBS,国立小劇場,落語研究会第123回

3.37:05

4.なし

5.出囃子 正札附

えー、ゥゥン、『道楽の、理に落ちたのは茶の湯なり』という、古い川柳がございますが。えーまお茶と言うものはァー御作法が有り、色々難しいものでございましょうが。(パチン)えー我々はまァこのォ、ァーッ玉露なんというものを、頂戴を致しまして若い内は、何だかどうも苦くって、あんまり旨くないン。ンェーそれよりも、ォーッ、番茶の焙じた方が、いい匂いがしていいなんと言ってね、喜んでおりましたが。もういけませんねぇ人間、三十を過ぎるてぇともう…。何を笑うんだ…。ぇー今過ぎたてぇ訳じゃァ無い。ヘヘッ。もう忘れる程ずうっと前に、三十は過ぎましたけども。えーお茶の味が分る様になるというのはまあ年をとったという証拠でございましょうが。それからこの俳句なんというこれもやはり、えーお年を召した方がピタッと来る様で。あたくしどもも、俳句をやらされた事がありましてね若い時分に、えーっ『あれは、やっておかないと、言葉のォー切れ字というものを、覚えるのにいいから。まァ、ァーやんなさい』なんと言ってね。ゥーン無理やりに、ァー俳句を作らされて、ァなかなか出来なくて弱りましたが、まァそれでもどうやらこうやら、月並の事が言える様になるという。ンー余りいい句はごさいませんがァ、一つだけは後世へ残るんじゃァないかと思うのが一つございますが。……  ……<鯨の句「潮を吹く鯨は海のポンプかな」>……  ……まァ、ゥェーお好きな方になるてぇともう間があると、その事ばかりを考えて、「えー『うれ柿や』かなァ。『うれ柿』より『柿の木や』ウウーン『柿の木』」「−ちょいとお前(まい)さん。何をしてるんですよこんなとこで」……

6.宇野信夫作の新作。国立小劇場の落語研究会では2回演じている。

7.TBS TV 三遊亭圓生を偲ぶ 放送録音 1979.9.12

8.没後直後に特別番組で放送された録音である。

江戸の夢−2

  ※宇野信夫作

1.TS-02744B2

2.1968.5.31,TBS,国立小劇場,落語研究会第3回

3.29:28

4.なし

5.出囃子 なし(拍手のみ)

えー、ェッ、古い川柳に『道楽の、ォーッ理に落ちたのが茶の湯ら、なり』と言う。えー、まお茶の湯と言うものは、えーお若い方でも、随分アーッ、お好きな方もございますがしかしまァ、えー茶を味わう、あるいは、はいこの、ぇー俳句の一つも、ォッしねって見ようなんというこれはまァ、えーやはり御年輩でございまして、若い楽しみはもう出来ないというので、えー、ェーッそろそろ部分品が痛んで参りまして、ゥーンまァそういうものを、ァーッやって見ようかという事ンなりますが。また、ァー凝ってみると、俳句なんというものは面白い、もう間があるとその事ばかり考えてぇる「えーっと。ゥー『柿の木』柿の木はいけないな。『うれ柿や』…ウー『柿実る』」「お前(まい)さんこんなとこにいたんですか」……  サゲ=「何にも言うなよ」「……はい。…クシュン、…何にも言わず、帰りましょう」……音だけで不明だが、泣きながら高座を下りる。(仕草落ち)

6.国立小劇場の落語研究会の録音。落語研究会には二度掛けているが、これはその一回目の口演である。映像がないので良く分らないが仕草落ちになっている。

7.TBS TV お待ちかね名作寄席 放送録音 68.5.31 伊東氏ライブラリー→佐藤氏ライブラリー

8.二度目の口演では落ちを工夫して変えている。

江戸の夢−3

  ※宇野信夫作

1.TS-02902B1

2.1976.11.16,CBS・ソニー,スタジオ,客なし,「圓生百席第七十七席」

3.39:04

4.CS.60AG-310,SR.SRCL-3807(CD)

5.出囃子 村で一番 受囃子 柴田五万石

『道楽の理に落ちたのは茶の湯なり』という、川柳がございますがまァ、お茶の湯と言うものはこりゃァもう作法も有り、難しいものでございますがまァー、普通頂きますお茶、あたくしども覚えがありますが若いときゃァどうもあの、苦くって玉露なんぞを頂いても、ァー詰まらないもんだと思いまして。やはりそれよりは、あのゥ培じました番茶の方がなんかこう、美味しいように思ったがこれが段々、年をとった証拠じゃァないかと思いますが、お茶の味が分かるようになると言う。こりゃァもう人間部分品が少ゥし痛んできましてね。若い楽しみはもう出来なくなる、えー、お茶でも飲んで、ぇー何かその楽しもうと言う様な事になる。それからこの俳句なぞというものも、これもやはり、お年を召してからの方が、ウーンどっかこうピタリと来る様で。少し、分かってくるとァらーもう面白くってたまらないから、間があるてぇともうその事ばかり考えて、「えー『柿の木や』…『柿の木や』はいけねぇかな。えぇー『うれ柿』ってぇのがいいかな、『うれ柿』」「−ちょいとお前(まい)さん。」「えー、なんだい」「またこんなとこに、何をしてるんですよ」……

6.「圓生百席」の録音。

7.CS.60AG-310 DISC COPY

8.

江戸の夢−4

  ※宇野信夫作

1.TS-02926D2

2.(1967.12.1),TBS,朝日生命ホール,「まわり舞台」

3.25:11

4.なし

5.出囃子 正札附

古い川柳に『道楽の、ォーッ理に落ちたのは茶の湯なり』と言うのがありますが。まァこのゥ、ァーお若い方でも、お好きな方はァ随分ございましょうが。まァしかし、茶を味わうとか、或いは、ァー俳句の一つも、ひねって見ようなぞというこれはまァ、(パン)どっちかと言うと人間、ァー幾らか部分品が痛んで参りまして、つまりまァ、若い楽しみはもう出来ない、そこで、えー俳句の一つも、ォーひねって見ようかと言うわけで。またその面白味が分って来ると、間があるとそればかり考えてぇる。「えー『柿の木』、ウー『うれ柿』がいいかな。えー」「ちょいとお前(まい)さん。こんなとこで何をしているんですよ」……  サゲ=何にも言うなよ」「……はい。…シュン、…何にも言わずに、帰りましょう」……ナレーション:奈良屋宗味に見送られて立ち去る老婆の姿、圓生師匠は高座から静かに立ち上がり、舞台下手に消えていきます。(拍手)……

6.芸術祭参加の口演、江戸の夢初演の録音である。最後にナレーションが入り、ラジオでの仕草落ちを説明している。

7.TBS R まわり舞台 放送録音 細田氏ライブラリー

8.

江戸の夢・解説

宇野信夫の作による新作人情噺である。初演は芸術祭参加のTBSラジオである。初演後しばらくは仕草落ちでサゲていたが、圓生百席で仕草落ちでは分らない為に変えたのか、晩年のものはサゲが変えている。圓生全集に収められているのは初演時の口演で「江戸の夢…4」がそれにあたる。元来芝居にもなっている噺を宇野信夫が脚色したものだそうだが、芝居の方はトンと暗いのでその辺との比較が出来ないのは残念。比較的短い人情噺であるが、圓生よりも正蔵が演じそうな噺だと感じるのは私だけだろうか…。

時代設定:江戸の夢てぇくらいだから江戸時代に違いない。

舞台:駒止村から四里離れた東海道鞠子在日蔭村、、江戸奈良屋宗味宅。

登場人物:庄屋武兵衛、女房おらく、娘お照、下男藤七、奈良屋宗味、奈良屋番頭。

ベストテイク:初演型として「江戸の夢…4」、晩年型としてはVTRで残る「江戸の夢…1」を採ろう。

戻る