六代目三遊亭圓生音源データ
安産−1
1.TS-02600B3
2.70.1.1,NHK,鈴本演芸場,「初笑い寄席中継」
3.13:28
4.なし
5.出囃子正札附
えーっ、エッ、明けまして、ェッ、おめでとうございます。色々、ォッ御機嫌を伺っておりますが、えー只今は曲でございまして、ウウーン染之助に染太郎という、兄弟でございますが若い人だけに誠に、ィーッ舞台も綺麗で、えー曲は一番今あの人が上手いようで、(ポン)えー弟の、ォーッ染之助が、曲をやりました方で、えーあれで踊りも踊れば、ァーッ一寸唄も上手いというので、若い婦人などは大変騒ぎましてね、「まあ染ちゃんはいいわねぇ」何てな事を言って、…あたくしの女はみんな取られてしいましたが。誠に残念な訳でございますが。まァこの色気という事を、ォ、毎度ァ連中(れんじゅう)が申し上げる様で、(白湯を啜る)色気の源と言うとこれは御婦人でございますが、男には出来ない事をまた、婦人はいたしましてね。(ポン)あの妊娠という、あれはとても男には出来ない仕事で、…………<男も妊娠〜くしゃみとおならが〜糞ったれ婆ァ>…………しかし、えー初めて、子供氏を宿した時にはまァ何とも言えない心持ちだそうで、何かこう嬉しい様なァーッ恐ろしい様な、えーっ、有難くって情無くって、暖(あった)かい様な冷たくって、えー、浴衣を着たまんまお湯ゥへ入っている様な変な気になる。えー、御亭主の前へいないきなりおなかを突出して「ちょいとお前さァん、あたしゃ子供が出来ちゃった」なんてぇのはない。これはまあ寝物語か何かで、こっそり報告をしようと言う訳で「ねぇちょいと、お前(まい)さん」「ええっ」「…こないだっから言おうと思ったんだけども……
6.鈴本演芸場の初席からの生中継。珍しく、出が出囃子の曲終わりにはまっていない。
7.NHK TV初笑い寄席中継放送録音佐藤氏ライブラリー
8.初席でよく掛けていた様で、二つの録音共新年のものである。
安産−2
1.TS-02819B3
2.60.1.1,NHK
3.13:00
4.Col.FS-7156(初出)
5.出囃子正札附(差替えてある)
えーっ、明けましておめでとうございますてどうぞ、本年も相変わらず、ァッ、お引立てを頂きますように。年が改まりましてもォ、ァーッ、御馴染みでございますが、えー、毎度申し上げますがこの色気というものは、こりゃまァ何にでもございますが、ァッ御婦人と言うと、色気の取締りの様なもので。昔からまたどうしても、ォーッ御婦人でないと出来ない事が一つありましてね、えー男に何が出来ないかてぇとあの子供をこしらえます。妊娠をするというありゃーもう、ァ御婦人ばかりの様で。…………<男も妊娠〜月のものが滞る〜糞ったれ婆ァ>…………ぇー、しかし、御婦人がこの初めて女親になろうという時は、ォアーどうも、ァ嬉しいもんだそうですね。えー嬉しいけれども何かこう怖い様なね、誇らしい様なきまりの悪い様な暖(あった)かい様な冷たい様な。浴衣を着てお湯ゥへ入った様な変な心持ちンなる。いきなり御亭主の前へおなかを突出して「ちょいとお前(まい)さんあたしゃ子供が出来ちゃった」なんてぇのはない。寝物語か何かで、こりゃまぁ御亭主へこそこそ「ねぇちょいとお前(まい)さん」「え」「あのゥ、こないだっからねぇ言おうと思っていたんだけども……
6.出囃子は別の音を継ないである。
7.Col.FS-7156 DISC COPY
8.これも元日の放送の録音である。
安産・解説
当人も逃げの噺と言っている通り、現在録音で残っている二席とも初席の録音で、余り時間が無いときの物である。初席は短い噺の連続で、どうしても噺が付いてしまいがちだが、圓生師のようにネタ数の多い人が、この様な珍品を演じてくれると後から出る芸人はさぞ助かった事だろう。圓生師が「圓生全集」所載の対談で、筋の通ったマクラと、上手い表現をしているが、全くその通りの噺である。地噺風漫談的要素があるが、地噺でも漫談でも無い。一応落語の形をとった対話で話が進んでいる。珍しい噺であるが、さして面白いと言う噺でもない。登場人物は赤ん坊を入れても4人、何年か経つとこの親子が、「桃太郎」を演じるのだろうか?。
時代設定:特に限定はされていないが、江戸時代か。
舞台:長屋。産婆の家。
登場人物:亭主八五郎、その女房、八十いくつの取りあげ婆さん、生まれたての男の赤ん坊(名前はまだ無い、まだ歩けない)。
ベストテイク:どちらも似たようなものだが、雰囲気と言う点では「安産…1」か。冒頭で前に出た海老一の事を喋っているのが面白い。