桂文樂音源データノート
穴泥−1
1.TS-02602A3
2.1962〜3.,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし
3.20:43
4.V.JL-266(初出),(VCK-896),実業之日本.JN-204
5.出囃子 野崎
えー、相変わらず、ァッ、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。『油断せぬ、心の花は暮れに咲く』。うまいことが言ってございます。人間てぇものは普段が肝心だてぇ事を言いますがそれに相違ございません。今月はどうしてもこれだけの金をこさえなきゃならないと心の中ではそう思ってても、これを思うようにまいりません。それでもなんでも四方八方駆けずり回ってようやくと金が出来た。ハァまず安心てんで早くうちィ帰ろうと思って電車へ乗ろうと思うとこれが満員。今降りて来た人がドンとぶつかった。おやっと思って懐へ手を入れてみると金が無い「アーッ泥棒ォ」ってったってこれは間に合いません。ぼんやりして我家へ帰っ「おっ、君ンとこのね、今妻君がね、ひっくり返ってね、ェ今、病院へ運んだとこだ」「は左様ですか、アッ、有難うございます」病院ィ駆けつける、留守に隣のうちから火事が出て、自分のうちが丸焼けンなってしまうってこれは悲惨(しさん)でございますな。しかし間の悪い人ンなるとこういうことになる。これが間のいい人ンなると、…… ……<競馬〜銀座のママ〜百万円>…… ……途端に目が覚めたりなんかしてな夢なんてものはくだらないもんで。「おう、今帰(けえ)って来た」「今帰(けえ)って来たじゃないよ。どこをのそのそ歩いてるんだよ」……
6.
7.V.JL-266 DISC COPY
8.
穴泥−2
1.TS-02595C3
2.1959.10.9,TBS,TBSスタジオ,「お好み寄席」
3.17:06
4.CS.SOGZ-37(初出),15AG-223
5.出囃子 野崎
一杯のお運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、アーッお馴染みの、お笑いを申し上げる事に致します。『油断せぬ、心の花は暮れに咲く』うまい事を申してございますな。人間てぇものは普段が肝心だてぇますがそれに相違ございません。今月は、アーどうしてもこれだけの金を、こさえなきゃァならないと自分ではそう思ってるもんですが、なかなか、アーッ思うようにまいりませんそれでもなんでも、四方八方駆けずり回ってようやくお金が出来た。ハッ早くうちに帰ろうと思って電車へ乗ろうとするとこれが満員で。今降りて来た奴がダーンとぶつかった。おやっと気がついて、懐へ手を入れてみるとこの金が無い「ゥアーッど泥棒」ってったってこれ間に合いません。ぼんやり我家へ帰って来ると「君ンとこのかみさんがね、今倒れてね、病院担ぎこんだとこだ」「ハァさいすか、どう、すいません」てんで病院行ってる留守に自分のうちが火事で焼けてしまった。こうなるとものは悲惨(しさん)でございますな。しかし間の悪い人てぇものはこういうことンなる。これァがらりっと変わって間のいい方ンなるてぇと…… ……<競馬〜銀座〜百万円>…… ……途端に目が覚めたりなんか…。夢なんてぇものはくだらないもんでございますな。「おい、今帰(けえ)って来た」「今帰(かえ)って来たじゃないよ。どこのそのそ歩ってるんだよ」……
6.喉手術前の口演である。
7.CS.SOGZ-37 DISC COPY
8.喉手術前の口演であるので口調が早い。
穴泥−3
1.TS-02525B1
2.不明(喉手術前),TBS
3.18:35
4.YP.CR18-41
5.出囃子 野崎
えー、毎回の、ォー、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。(拍手)相変わらず、ヘェ、馬鹿馬鹿しい事を申し上げてお暇(しま)を頂戴いたします。『油断せぬ、心の花は暮れに咲く』。うまいことを申してございますな。(ポン)人間てぇものは普段が肝心だてぇ事をよく言いますがそれに違いはございません。今月はどうしてもこれだけの金をこさえなきゃァならないと、腹ン中ではそう思っておりますがなかなかそれがうまくいかないてぇのが常でございます。それでもなんでも、ウーン四方八方駆けずり回って、ようやくとお金が出来た。早くうちィ帰ろうと思って電車へ乗ろうとするとこれが満員。今乗ろうとしたとこへドーンとぶつかった。ハッと気がついて懐へ手を入れてみると金が無くなって「アーッ泥棒ォ」ってったってこれは間に合いません。我がうちィ帰ってぼんやりしてると「おっ、君ね、君ンとこの妻君が今倒れてね、今ぼ、病院へ担ぎこんだところだ」「は、そうすか、どうも、すいません」って病院ィ駆けつける、留守に自分のうちが丸焼けンなってしまって。どうもじつに悲惨(しさん)でございますな。しかし間の悪い人はこういうことになる。これが、アーッがらっと変わって間のいい人ンなるとそうでございません。…… ……<競馬〜銀座のママ〜百万円>…… ……途端に目が覚めたりなんかして。夢なんてものはくだらないもんでございますな。「今帰(けえ)って来たィ」「今帰(かえ)って来たじゃないよ。どこをのそのそ歩ってるんだよ」……
6.やたらにあちこちで拍手をする奴が一人いる。
7.TBS R 桂文樂その世界 放送録音 1973.12.23
8.喉手術前としては調子が今一である。
穴泥−4
1.TS-02917A2
2.(1963.12.13)?,TBS,「お好み寄席」
3.16:00
4.なし
5.出囃子 野崎
ようこその、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。『油断せぬ、心の花は暮れに咲く』うまいことが言ってございますな。人間てぇものは普段が肝心だてますがそれに相違ございません。(パチン)「今帰って来た」「今帰って来たじゃないよどこをのそのそ歩ってるんだよ」……
6.喉手術後の口演であり貴重な録音なのだが、残念な事に枕がばっさりカットされてしまっている。放送日は原テープには記載がないが、前後の録音からの推定による。
7.TBS R 放送録音 慶応大学落語研究会ライブラリー
8.喉手術後の口演で今の所唯一の録音。他にも1965年に放送の記録がある。
穴泥−5
1.TS-02986B1,VT=TV-39048-3
2.1970.3.25,TBS,国立小劇場,落語研究会第25回
3.22:59
4.なし
5.出囃子 なし(拍手のみ)
えー、毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。間へ挾まりまして相変わらず、お馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。『油断せぬ心の花は、暮れに咲く』うまいことが言ってございますな。人間というものは、普段が肝心だてぇ事を言いますが、それに違いはございません。(ポン)今月はどうしてもこれだけの金をこさえなきゃァならないてん、心には思っているんだけどこれが思うように運びません。これが世の中でございますな。アーッ、どォも四方八方駆けずり回ってようやく金が出来た。やれ安心と、早くうちィ帰ろうと思うとこれが電車が満員。今降りてきた奴がドーンとぶつかったアッと思ったから、ひょいと懐ィ手を入れてみると金が無い。「アーッどォ泥棒ォ」ってったってもう間に合やァしない。「カーッ、えらい目に合ったなこらァ」ぼんやりうちィ帰って「君ンとこの妻君がねぇ、今倒れたよ。病院、担ぎこんだとこだよ」「はァ、そうすかどうも、どうもすいません」慌てて病院ィ駆け込むと、留守に隣のうちから火事が出て丸焼けンなってしまって。でこりゃ悲惨(しさん)でございますな。しかし間の悪い人と言うものはそういうことんなる。これががらりっと変わって間の間のいい人と来るってぇと…… ……<競馬〜銀座のママ〜百万円>…… ……途端に目が覚めたりなんかして。夢なんてものはくだらないもんで「今帰って来た」「今帰って来たじゃないよゥ。どこのそのそ歩いてるんだよ」……
6.喉手術後の録音。晩年のものだがVTRが残っていて貴重。
7.TBS TV おはよう名人会 放送録音 1988.3.15
8.晩年のもので衰えが見えるが、数少ない喉手術後の貴重な録音。
穴泥・解説
暮になるとよく演じたと言うが、晩年はあまり演らなかった噺。とりわけ放送では余り掛からなかった為、喉手術後の録音も出てきたが完全なものは今のところ無い。桂文樂演じるこの噺は、正直なところ余り好きではない。文樂師の酔っぱらいが上品過ぎるし、サゲの泣きが噺全体を湿っぽくしている。平公が「畜生め」を連発するのも気にかかる。小さん師の「穴泥」の方が数段面白いし、演出的にも無理が無い様に思えるのだが…。
時代設定:金銭の事から江戸時代。
舞台:暮の江戸。長屋から大店の座敷・穴蔵。
登場人物:穴蔵に落ちる自称主人、その女房、吉原に繰り出す源どん一行、大店の主人、婆ァや、坊や、定吉、鳶頭の所に権八している横浜の平公。
ベストテイク:喉手術前の録音であり、今一つピンと来ないのだが、あえて選べば「穴泥−2」であろう。「穴泥−5」を喉手術後のライブの代表とする。こればVTRで見る事が出来る。