恋して愛して………。
男と女
愛について、こうしたら愛されるとか、こうすると彼や彼女の気持ちを惹きつけ
られるといった、具体的な方法論があるわけではない。
いうまでもなく、愛は多彩で千差万別で、人それぞれ好みも愛しかたも違う。
その結果はともかく、男と女の愛にはさまざまな見方や考え方があり、それを
追い求めていくと、人間というものの妖しさと、不思議な愛しさにたどりつく。
男の感情はともかく、女性は多彩で複雑で、常に流動的である。
その動きは必ずしも理論的でなく、それがまた女の魅力となって
男たちを二重に驚かせるのだから、不思議でもある。
それでもなお人間の、そして男と女の本然的、かつ根本的な姿を探りたい。
そして、その深さと重みについて想像し、考えるきっかけにしてみたい。
田 顕彰
| 恋の効用 |
| 恋すると女は美しく、男は生き生きとしてくる。 まさしく、恋はその人を内側から輝かせ、引き立たせる化粧品である。 恋愛をすると、女性はきれいになると言うが、事実である。 恋している女性の肌はみずみずしく艶がある。 性を堪能している女の表情は和み、肌は濡れているように見える。 恋をすれば、いままでにない自分を発見し、生み出せるとともに、 自分がどういう者であるかと言う事も知ることができる。 自分は思っていた以上に身勝手で、自己中心的だったんだとか、 優柔不断だとか、かなり好色だとか、それまで気がつかなかった事が わかってくる。 同時に、自分は以外に優しいとか、献身的だとか、 我慢強いとか、好ましいところにも気がついてくる。 このように自分を知るとともに相手への理解も深まり、その結果人間 への関心が高まり、人間というものが好きになる。 |
| 燃えあがる愛 |
| あらゆる後悔や反省を振り切っても、なおいま目の前に迫っている 愛に燃えたい。 当然のことながら、ここから先は理論ではない。 理屈でも知性でもなく、軆の奥深くに潜む本能そのものが暴れだす。 ここまで火のついた女性に、理論や常識などを説いても無駄である。 すべてを承知で、なお堕ちていく女性には、理屈を説く人には感じる ことのできない、快楽の花園が見えている。 めくるめくほどの愉悦をわたしは知っている。 そう思ったときから、その女は一種の開き直りとともに、新たに 選ばれた、性のエリートとしてのプライドさえもちはじめる。 いま凛子との恋は、まさしく久木にとって、最大にして唯一の 生き甲斐である。 女ごときに情熱を傾けて、という人もいるかも しれないが、仕事も恋も人間の一生にとっては大きく、生涯をかける に値いする。 そしていま、自分は一人の女性を恋して独占する という大事業に、全精力を傾けて生きている。 そう思うと、自然に身内から熱い思いが湧いてきて、自ずと凛子の 待つ部屋に心が駆けていく。 命が燃えつきるほど人を愛する充実感は、他のことでは代えること のできない悦びであり、ある意味ではこれほど強烈な体験は人生の なかでもそうそうあるものではありません。 男というもの、 見果てぬ夢かもしれない。 失楽園 |
| 男と女のはざま |
| 男は短距離走者で、女はマラソンランナーである。 当然のことながら、始めは男が先行するが、中盤から後半は確実に 女が抜いて、ゴールでは男はかなり差をつけられて、負けている。 男はやはり演技者であるより、演出者でありたい。 大いなる役者であるより、秀れたプロジューサーになりたいと思う。 だが女性のほとんどは、演出者より演技者を望む。 男の理屈が女には通じないように、女の理屈も男には通じないかも しれない。 男と女は求めあいながらも、その真剣度が違うときがある。 男は軽い火遊びのつもりなのに、女が心から燃えていることがある。 逆に女は軽い遊びのつもりでも、男が本気で追いかけてくる時もある。 男は基本的に女を信じきれないところがある。 現実に愛されているとは知りながら、男は女に、いつ豹変するか しれない不気味さも感じている。 男は自分に酔い、女はまわりの環境に酔う。 |
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