江戸の家計と収入
  それでは、長屋の人達の収入は どれくらいあったのでしょうか?  
 
下図は ある大工の家計の記録です。年間労働日数は、旧暦354日の内 正月・節句・物日・風雨・等で 60日休む、としています。又、飯米代は、1年で米 三石五斗四升(1日1升)としています。
 
  ある大工(三人家族)の家計---文政年間(1818〜1829)  
 
  日に換算  
収入 銀1貫587匁 約銭486文 銀5匁4分(大工手間賃・飯米料を含む)×294日(稼動日)
飯米代 銀354匁 約銭108文
家賃 銀120匁 約銭37文
調味・薪炭代 銀700匁 約銭214文
道具・家具代 銀120匁 約銭37文
衣服代 銀120匁 約銭37文
交際費 銀100匁 約銭31文
残り 銀73匁 約銭22文  
 
     
 
次の例は、棒手振と言われる野菜売りの生計です。
ある野菜売りの家計(四人家族)---文政年間(1818〜1829)
   
収入(推定) 銭1100文  
仕入れ代 銭679文 1日の儲けは、400〜500文。
利息 銭21文 野菜を仕入れる際のもとでとして、
700文を借りたことによる利息。
家賃 銭36文  
飯米代 銭200文  
味噌・醤 銭50文  
子供の菓子代 銭12文  
残り 銭131文  
     
  この他に、 次の様な記録もあります。  
 
上職人
大工・屋根葺・左官・石切・畳刺
銀3匁/日 約銭325文/日 明暦3年(1657)
上木挽 銀2匁/日 約銭217文/日 明暦3年(1657)
大工・左官・土方(鳶) 銀3〜5匁/日 約銭325〜542匁/日 文化・文政(1804〜1829)
住み込みの職人 月平均;銭3貫文 約銭100文/日 文政年間(1818〜1829)
普通の手間職人 銭4〜6貫文/月 銭133〜200文/日 文政年間(1818〜1829)
女子の内職 最高 銭200文/日   文政年間(1818〜1829)
手伝人足 銭280文/日   嘉永年間(1848〜1853)
鳶の者 銭300文/日   嘉永年間(1848〜1853)
 
     
 
 
     
引用した資料

江戸東京博物館展示資料
「大江戸八百八町展」江戸東京博物館
江東区深川江戸資料館展示資料
日本銀行 貨幣博物館展示資料
小野武雄著 「江戸物価事典」多摩郷土文庫
日本風俗史学会著 「江戸の暮らし122話」地歴社
NHKデータ情報部「江戸事情 第一巻生活編」雄山閣出版
藤原千恵子著「浮世絵に見る江戸の一日」河出書房新社
藤原千恵子著「浮世絵に見る江戸の歳時記」河出書房新社
朝日ジャーナル 「大江戸曼荼羅」

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