AR5000+3とIC-R8500



<加納さんによる寄稿です>

基本性能ではどちらも大きな差はないようです。したがって使用する人がどのよ うな目的で使うかということになります。
IC−R8500はどちらかというと、短波をメインにしている人が多く使って いるようです。その理由を実際に使っている何人かの方に聞いたところ、操作性 がよいとのことでした。つまり、ダイヤルのフィーリングだとか、いろいろなボ タンの場所とかの操作フィーリングがよいとのことです。
確かにチューニングノブを多用する短波帯では、チューニングノブの大きいIC −R8500がいいのかもしれません。実際私もAR−5000チューニングノ ブの感覚は、お世辞にも良い物とは思いません。その他、IF−SHIFTなる SSBの混信除去装置が付いているのも、短波で使用する際には、大きなメリッ トとなると思われます。
もちろんIC−R8500が短波以外で使いものにならないかというとそうでは なく、V,UHFでも問題ありませんAR−5000と比べると、スキャンや音声反 転秘話解読などの点でデメリットがありますが、このようなオプションを使わな い限りは問題ありません。
一つIC−R8500がAR−5000より秀でいている点があります。それは ボイススケルチ(通称VCS)です。このVCS、AORの受信機ではAFのか なり広い帯域を関知して音声のON、OFFをしていますが、ICOMのVCS は人の音声に近い周波数をサンプリングしてVCSを働かせているようで、たと えば各種制御信号では音声がOFFになったままで、人の声のみスケルチが開く ようになっています。同じ機能を持ったIC−R10をもって成田空港に行き空 港電話を受信してみました。空港電話は常に制御信号が流れており、通話が始ま ると制御信号が消えますが、IC−R10は見事に制御信号のみを消しました。 ちなみにJRの空線信号もちゃんと消えましたが、移動などをしているときにフ ェージングが発生し、FM特有のノイズが発生すると、残念ながらうまく機能し なくなりました。この結果からもICOMのVCSは、特定の狭い周波数をサン プリングして機能していることがわかります。
AR−5000はやはりメーカーの特色からスキャナーとしての使い勝手がよい と思われる傾向にあり、短波がメインの方はほとんど使っていません。といって も短波の性能が悪いのではなく、単に操作フィーリングだけのようです。
IC−R8500と比べて短波で秀でているところでは、AM同期受信ができる ことですが、こちらについてはあまり期待しない方がいいようです。VOAやB BCなど、強力な放送局を受信しているときに、サイドからのかぶりが気になる ときに使える程度で、割と簡単に同期がはずれてしまいます。また同期検波の場 合は、自動的に通過帯域が3KHzになってしまい(手動で変更は可能)ますが、 なぜかSSBでゼロビートで受信しているときより聞き難くなってしまいます。
その他IC−R8500に対抗しうる大きな特徴は、コリンズのメカニカルフィ ルターが装着できることでしょう。メカニカルフィルターについては、詳細な説 明が八重洲無線のホームページにありますのでそちらをご覧いただくのが一番だ と思いますが、メカニカルフィルターの特色は、「音がいい」ということになり ます。特に狭帯域のフィルターを使用すると、例えばAM時にはかなり音がこも って聞き難くなりますが、メカニカルフィルターは音がこもりにくくなっていま す。ただし限界時の分離度はクリスタルフィルターや場合によってはセラミック フィルターにすら及ばないところがありますが、狭帯域にしても音質が悪くなら ないので、かえって了解度が上がるということになります。AM同期検波時にこ もりがちになる音質も、コリンズフィルター(2.7KHz)を入れることによりかな り改善されます。
AR−5000の最大の特徴はパソコンコントロールにおいて秀でていることで しょう。ご存じの方も多いと思いますが、AREX5000とARSL5000 を使用することにより、受信機の前にいなくても受信ライフが充分に楽しめるよ うになっています。私のようなサラリーマンは、高価な受信機を買ったとしても 充分に使い込むことができませんでしたが、PCとの組み合わせにより受信機の 前にいなくても受信ライフが楽しめるようになったのです。私自身このシステム を活用し、すでにラジオライフなどで言われている航空自衛隊のGCIの周波数 の常識では考えられないような周波数帯にGCI波も発見できています。
コードレスホン等を聞いたとしても、飽きるのは早いのではないでしょうか。や はり受信趣味の醍醐味は、未知の周波数や通信を探求することにあり、そのため にAR−5000とPCの組み合わせは最適、というよりこのようなセットを安 価にもてる我々は幸せといえます。
主に短波帯の受信性能及び操作性だけの比較でしたが、両機種ともV,UHFに 関しても何の問題もありません。ただ、IC−R8500をV,UHFメインで 使っている人がほとんどいないので、比較があまりできないと言うこともありま すが、どちらにしても受信性能はすべての帯域で両機種とも全く問題ありません。 なぜ私はAR−5000を選んだのか。それは昔からAORを使っていたから… というと、理由でも何でもありませんが、やはりPCによるコントロールができる ことと、大きさが小さかったからに他なりません。同じ機能ならば小さい方が、 いいというのが私の持論です。実際、PCやら何やらがたくさん置いてあると思 われるふつうの日本家庭の普通の机の上では、小さいのが一番でしょう。もしあ まり使わなくなったとしても、じゃまになることもありません。
つまり性能とは関係ない、こんな直感的なことで受信機を選んでも何の後悔もし ないほど、今の固定受信機の性能は高いということでもあります。

                 99/07/17(土) 21:51 加納 勉(VZB02144)



戻る