IC-R20使用レポート




<総括>
総合してみて、基本性能が中の上、うれしい機能満載、操作性GOODで文句なく「買い」の評価をつけたいと思います。
これまでレポートを書いた後気に入らない受信機は売り飛ばしてきたのが実態でしたが、このIC-R20は資金難にならない限りこれからも使っていこうと思っている次第です。


筐体はAR8200シリーズとほぼ同じ大きさ。若干スリムな感じか。
メモリスキャンの速さは20ch/sくらいか。結構速い!
サーチ(プログラムスキャン)は公称通り100ch/sくらい出てます。超爆速!

3.7Vリチウムイオン電池使用ですが、代わりに単3電池3本でも運用できます。うーん、なかなかよいですねぇ。
それから意外な発見がありました。予想以上に電池が良く持つのです。
スキャンしながら放置しておいたところ実に22時間も持っていたのです!
パワーセーブ機能は効かせていましたがまさかここまで持つとは。これはうれしい誤算でした。

付属のACアダプタでは電池の充電中は電源を切っておく必要があります。(別売の電源ならOK)また、電池を外しておけばACアダプタで直接ドライブも可能です。

以下の周波数でしか比較できていませんが、感度はかなり良くトップクラスです。 無理やり優劣をつけたら以下のようになりましたが、はっきり言って違いはほとんどありません。何度も聞き比べしてようやく違いがわかるレベルです。

145MHz:IC-R20 = IC-R5 = AR8200mk2
380MHz:IC-R5 ≧ IC-R20 > AR8200mk2 微差
440MHz:IC-R5 > IC-R20 > AR8200mk2 微差

外部アンテナをD-130とGP-95の両方使ってみましたが乱れる周波数帯は143MHz、250MHz付近、348〜350、357、395MHzとまったく同じでした。小エリア通信用簡易無線で甚大な影響を受けてます。
アッテネータを効かしてなんとかおさまりますがそれをメモリに記憶できないので他の周波数と混ぜてスキャンできません。
裏を返せばそれ以外の周波数帯では劣悪な環境でも乱れることなく受信が可能ですので使用範囲を限定すれば十分実用になるレベルかと思います。
乱れる周波数帯は異なりますがAR8200mark2と同等の基本性能といったところでしょうか

任意のchを任意のバンクに割り当てができるフレキシブルバンク構成で26ものメモリバンク作成できる優れものです。当然バンクネームもカタカナ8文字まででつけられます。

バンクリンクなんですがセットモードに入って設定する仕様になっています。
しかも設定は1種類のみ。AR8200シリーズのように10パターンくらい設定できれば非常に便利だったんですが…。
メモリーネームもカタカナ8文字までつけられます。周波数と同時表示可能なのでかなり実用的です。
ところがメモリネームとメモリバンクネームを同時表示できません。
メモリバンク選択時にバンクネームを表示できません。
同様にサーチバンク選択時もサーチバンクネームを表示できません。

2波同時受信は快適そのもの。基地局と移動局等で周波数が異なる場合に威力を発揮しています。今まであまり聞いていなかった救急波やタクシーを良く聞くようになってしまいました。
ただ、2つのバンドが連動して周波数を変える機能は備わっていません。

録音機能について。
リモート録音という機能があってスケルチが開いている時だけの録音も可能です。
録音操作をする毎に新しいトラックに録音され、再生もトラックを選んでできるのですが消去がトラック単位でできません。一括削除のみです。
PCに転送すれば任意に保存できるので一括削除だけできれば問題ないという割り切りみたいです。実際PCに転送する際はトラック単位で選択可能になっています。
問題なのは編集機能がないこと。いらない部分をカットしてハードディスクに保存という芸当ができません。ましてやPC上で再生できないし、mp3やWAV等の一般的な記録フォーマットへの変換機能も用意されていません。これらは致命的な欠点だと思います。
当然このことはアイコム開発陣も考えたはずで何か特別な事情があったのでしょうか? 理解に苦しみます。

録音音質は長時間、標準、FINEの3種類から選べます。
それぞれの録音時間は順に260分、130分、65分となっています。
「長時間」だと聞けたものじゃないがとにかくメモ代わりにという感じ。
「標準」だと音が悪くなったなとはっきりわかるレベル。録音時間を考えれば名前の通り標準で使うことになりそうか?
「FINE」だと実音に近いレベルです。
問題なのは録音モードにするとデュアルワッチ時(?)にジリジリと雑音が入ることがあることです。まだあまりこの機能を使い込んでいないのでどういう場合にそうなるのかは断定できません。

パソコンソフトを使って自分は今まで実現していたので特に感激とかはなかったのですが、受信機単体で音声感知録音できるので初めての方にはかなりインパクトのある機能かも知れません。
留守番録音できるので効率の良いワッチが可能となります。
受信時の周波数や時刻も表示できれば感激ものだったのですが、この点が残念です。

JR空線信号キャンセラーを使いましたが正常に作動しているようです。IC-R5と比べると微妙に不安定な面がある気がしないではないのですけど、これはあまり自信がありません。
気になる点は、プリセット周波数でJR4ch(指令側352.5750MHzと列車側336.0750MHz)が抜けてるようです。にもかかわらずメモリーネームはJR5chに4chってついてるし。
自宅でJR4chがピー音漏れ激しいのでおかしなと思っていたら実は5chを聞いていた次第。
自宅では5chは電波が弱くフェージングも激しいのでピー音漏れは仕方ない状況なんですが。(これはIC-R5でも同じ)

MSK信号音は出だしを消せなくて気になります。MSK信号を検知してから2秒ほど経たないとサーチが再スタートしないのもやはり気になる。
圧倒的なサーチ速度があるだけにそこで足を引っ張っている感は否めない。

サーチ設定のステップ、MSK等が有効にならず、サーチ時のVFOの設定にしたがいます。IC-R5から進化なしです。うーん、ちょっと複雑な心境です。

IC-R5でも使用周波数調査で重宝していたオートメモリライトスキャン機能(サーチ時に受信した周波数を専用メモリに書き込んでいく機能)を継承しています。
この機能はっきり言って使えます!

自宅から受信できる業務無線でためした限りトーンスケルチは問題なく作動しています。デジタルコードスケルチの機能もあるので今後使用局が確実に増える業務無線で使えます

キーの短押しと長押しで機能の使い分けがされ操作性はかなりよいと思う。従来あったファンクションキーはなくなり両手強制操作の呪縛から開放されています。 また、ダイヤルと側面にあるボタンの機能を入れ替えられるので完全に(?)片手での操作も可能となる。
個人差はあるだろうが私はAR8200よりも操作しやすい。
周波数の早送りも片手で簡単にできるように工夫されておりよいですね。

メモリ管理ソフト(CS-R20)はなかなか使いやすいです。
行の挿入・移動・削除等も簡単。
アドレスリストとバンク内容を別画面で同期して見れるので編集しやすいです。
一括コピーができないのが残念。
リスト内容をテキストファイルに落とす手段は用意されていません。
CS-R20があるのでメモリ構築・管理が非常に楽ちん。未だに本体での直接メモリの仕方の説明ページを読んでいない(していない)。
メモリ管理ソフトが正式なオプションとして売られたのは初めてだったでしょうか。

イヤホン端子経由で別売のCT-17(CI−Vレベルコンバーター)を接続するとPCコントロールができるそうだが、そのソフトをアイコムは作成する気があるのだろうか?
取説を見る限り資料だけは販売するようだが…。
AREXのように熱心なユーザーが勝手に作ってくれるとは限らないわけで、PCコントロールソフトが登場しない限りAR8200を超えることはできないだろう。

音質はIC-R5よりもやや低音よりで個人的には好みの音。AX400Bよりも明瞭に聞こえるので両者の良いところをうまく表現できてる感じです。かなりいい!
音量はAR8200シリーズよりも大きくできるものの音が割れてしまってスピーカー口径の小ささからの限界を感じさせる。
AR8600であれば大音量で余裕に鳴らせる実力を持っているのですが固定機と比較するのか酷ですかね。
なぜ拘るのかというと車載時の重要なファクターになるからです。あの大きさから歩行時にそっとポケットに忍ばせてイヤホンで聞くというスタイルをとりにくいのでやっぱり自宅で固定機代わりに使うかモービルでということになりがち。
トロトロ走る分にはいいですが高速走行するとかなりの音量を出せないと聞きづらい局面が多々ありそうです。
外部スピーカーに頼ればいいと言ってしまえばそれまでなんですがちょっと残念です。

現時点で感じていることを正直に書いちゃいます。
対抗馬はおのずとAR8200mark3になるわけですが、実はIC-R20はAR8200シリーズほど痒いところにまで手が届く機能が備わっていないのです。
例えば、ステップ周波数をフレキシブルに設定できない(ワイヤレスマイクでの125kHzとか)、オフセット周波数が周波数レンジで詳細にプログラムされていない(バンド単位の1パターン設定のみ)、オートステップ周波数設定に荒さが見られる、スキャン時にバンク名表示が自動的にされない、サーチバンクのリンクができない、アッテネータの設定をメモリに記憶できない、…などいろいろあります。
AORの機種はとにかく基本的な機能はほぼ完成の域に達しているので堅実に受信に徹する方にはAR8200なりAR8600シリーズの方が合ってるような気もします。

また、まだ実売価格が高く感じます。自分が買った同価格でAR8600MK2が買える店があるくらいですから。(実際IC-R20の購入をかなり迷った挙句、買ってしまったわけだが)

とは言うものの、トーンスケルチ(DCSも含む)や空線キャンセラー標準装備で(AR8200は専用カードがオプションででしかも同時に1枚しか装着不可)、それ以外にもMSKキャンセラー、2波同時受信、音声感知作動ICレコーダー搭載、使いやすい純正メモリ管理ソフト、フレキシブルバンク構成で26ものメモリバンク作成可などかなり魅力的なのは事実。
AR8200シリーズを持っていない人には特に不満点は感じないレベルに仕上がっているとも言えます。個人的にはモリ管理ソフト(CS-R20)を別売とはいえ使える環境を作ってくれった点を大いに評価したいと思います。これがなかったら1000chもあるメモリを登録するのは実質不可ですから。
録音した内容をPC上で再生できるようにしてくれるパワーユーザーの出現を切に望みたいところです。




<写真による説明>

AR8200mark2の写真を使って説明してみます。
AR8200mark2のメモリーネームは12文字まで可能で文字数不足で名前付けに困ることはほとんどない。
IC-R20は8文字までで今までより進化はしているがそれでも結構工夫しないと登録できない場合が多い。、AR8200mark2と比較してしまうと見劣りがする。
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AR8200mark2はスキャン中はバンク名を表示しスキャンが止まるとメモリネームを表示してくれるのでかなり便利。
IC-R20はバンク名表示かメモリネーム表示のどちらかしかできない。但し、バンク名とメモリネーム表示の切り替えはワンタッチでできる。
写真はAR8200mark2のスキャン中のもの。
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2波同時受信時のLCDはこんな表示の仕方です。
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1波受信時の表示です。メモリネームはこれでMAXの8文字使ってます。

またデュープレックス受信可能な状態を表すマークも表示されています。
Bバンクの1番目のメモリです。
「VOL」と表示されているのは左サイドの上下ボタンがボリュームとして機能する状態であることをあらわしています。
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左サイドのボタンです。
ファンクションキーは存在しません。
一番上がスケルチ開放ボタン。下の2つをボリュームの上げ下げに使います。
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右サイドの様子です。
ゴムラバーで隠れていますが、上からイヤホン端子、DC入力端子、USB端子です。
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視認性はもともとよいですがライト点灯時は抜群に見やすいです。
ライト設定は、オート(キー操作時のみ点灯)、オン、オフから選べます。
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特小周波数でデュープレックス設定のメモリ内容です。「+DUP」はスケルチボタンを押下した時にメモリされたオフセット周波数だけ「上側」にシフトされることを表します。
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スケルチ押下で周波数シフトした状態です。
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空線キャンセラー作動時時に「TRAIN」と表示されます。
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メモリネームに一部(数種類のみ)の絵文字使用可になっています。
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上部の様子です。
左のダイヤルは上側のVFO用、右のダイヤルは下側のVFO用です。
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付属のリチウムイオン電池です。
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本体裏面 電池を外した状態です。
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リチウムイオン電池の代わりに単3電池を使う場合は付属の単3電池用ホルダーを本体にはめ込みます。
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単3電池用ホルダーをセットした状態です。
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単3電池を入れた状態です。
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リチウムイオン電池を入れた状態です。
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付属のアンテナはロッドアンテナです。
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付属のロッドアンテナは折り曲げ自在で使いやすくなっています。
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付属のACアダプタです。
6v1000mAですが電源を入れたままでの充電は禁止されています。(できますが…、やると電池がイカレてしまいそうです)
別売のシガレットアダプタなら充電しながらの使用が可能です。
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CS-R20の紹介

CS-R20(クローニングソフト)のmain画面はこんな感じです。
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メモリは100個単位で入っています。その中では任意の行を移動、削除、挿入はメチャ簡単。右側の欄にバンク情報がはいっています。ここでそれを入力してもいいし、バンク画面でどのアドレスを使うか指定してもよい。
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消防のバンクです。ch選択欄にch番号を入力すればそのメモリ内容が表示されます。
この画面でも自由に任意の行を移動、削除、挿入できます。順番を入れ替えたら自動的にアドレス画面のバンク情報が変わってくれる優れものです。
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プログラムスキャン関連の登録画面です。
ここで登録したデュープレックスとオフセット周波数、トーン等の情報、バンクネームはサーチ時に使用されません。
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共通設定情報です。
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