DJ-X10使用レポート



音質はかなりよいです。低音の効いた厚みのある非常によい音でAX400Bよりもかなり高級感を感じさせます。離れて聞けば気になりませんが強い電波でもスケルチが開くと小さなヒスノイズが聞えます。

耳Sが同じ場合でもDJ-X10はSメータの振れが抑え目の印象です。
(以降、特に断りのない場合は外部アンテナを使用しての現象です)
各周波数帯の感度を羅列しておきます。
中波AM放送は地元の強い電波の局以外は受信不可でした。
ラジオ短波の9595kHzは極めて良好に入ります。付属アンテナで6055kHzはなんとか聞える程度です。
20〜63MHz謎の雑音でスケルチ開きっぱなし。使い物にならず。63〜75MHzでもFM放送のかぶり(イメージ?)で使い物になりません。
FM放送は極めて良好に受信できます。
VHFエアーバンドはC710>DJ-X10>AX400Bで感度がよいです。
150MHz帯はAX400Bにやや劣るがかなりの高感度と言えます。
322MHz帯のワイヤレスマイクC規格ではAX400Bと同レベルで感度がよいです。
380、390、400MHz帯はAX400Bよりも明らかに1ランク感度が落ちています。コードレスではAX400Bで聞えるものがX10では聞えない場合もある模様。弱い電波で雑音が目立ちます。
430MHz帯は感度はイマイチです。(C710>AX400B>DJ-X10)
450MHz帯は感度よいと思います。
465、468MHz帯の簡易業務で激しいビーコンのかぶりがあります。(付属アンテナでも)
800MHz帯のワイヤレスマイクB規格でも激しいカブリが発生します。
850MHz帯のMCA業務でも一部カブリます。
混変調特性の実験として430MHz帯で200mWの電波を出して380MHz帯受信中の受信機に近づけるとAX400Bでは1mまで接近しても影響がなかったのですがX10では10m以上離れたところから影響が出始めて5mまで近づくと完全に潰されて受信不可となりました。混変調にはどうも弱いようです。
外部アンテナを使用する際にはカブリの洗礼を受ける覚悟で使う必要がありそうです。
内部発振はわずかにありますが主要なワッチ周波数帯では発生していないので実害はないと思われます。

スキャンはやや遅いです。AX400Bより少し速いくらいという印象です。
サーチバンクは20組あります。サーチはやや速くストレスは感じさせないです。サーチ中はサーチバンクネームも表示されるようになっています。
バンドスコープ機能はなかなか使えます。40ch分表示されますし、速度も十分実用的です。

オートモードがかなりいい加減でワイヤレスマイクC規格(322MHz)、JR列車側(336MHz)業務(364〜380MHz)などでAMになってしまいます。サーチにおいて周波数登録時のモード(FMなど)を覚えてくれず、サーチ実行時のモードが適用されるため、オートモード時にワイヤレスマイクのモードがにAMとなってしまいます。
オートステップも周波数によってはかなりいい加減です。また、ステップ補正もされません。仮に149.70MHzとVFOに入力しておいてダイアルを回すと149.71MHzとなるべきところが単にステップ20kHzを足し算して149.72MHzとなってしまいます。こんな受信機今時あるの?っていう感じです。

VFOが2つありVFO−aとVFO−bの周波数を連動して動かすVFOリンク機能があります。いろいろな基地局と移動局などを聞く時に便利かも知れませんが、2波同時受信はできないので頻繁にVFOを切り替えて傍受するのは大変な気がします。2台の受信機を使った方が手っ取り早いと思うのは私だけでしょうか?

メモリーネームは英数カナ記号が8文字まで使え申し分ないです。周波数とメモリーネームを同時表示できるようになっているのもありがたいです。
メモリ登録はやはり大変です。ダイアルで文字をスクロールして選んでいく形式ですが、一応早送り機能はあります。PC上でメモリ入力・編集・保存し本体をコントロールできるソフトが別売であるのですが接続ケーブル込みで定価\16800と高いです。\20000ちょっとで新品の本体を手に入れた私にとっては手が届かない値段でした。
メモリchコピー機能があるのでそれを利用してテキストをあとから編集すれば入力が楽になるかと考えましたが、登録済のメモリch内容の一部だけ編集する機能はついていませんでした。ちょっとこれは不親切だと思います。
40ch*30バンクのメモリは他の受信機も見習ってほしいくらいの豪華さです。サーチバンクネームは登録できますがメモリバンクネームの登録はできない仕様になっています。30バンクもあるだけにメモリバンクネーム機能はぜひ欲しいところです。
バンクリンクも某受信機のようにリンク数に制限があることもなく不自由しません。欲を言うとAR5000のようにリンクパターンを複数登録できるようにして欲しかったです。

電池の消耗が激しいのはいただけないです。30分くらい使用すると本体裏側に熱を持ってしまうほど。付属の電池ケースとニカドバッテリーパック(700mAh)のどちらかを本体に装着できるようになっています。バッテリチャージャーは標準装備ですが充電に11時間もかかります。電池ケースでは4本の電池を使います。公称値ではアルカリ電池で約8時間、バッテリーパックで約3.5時間使用できるとなっています。
ACアダプタが付属していないのは非常に不親切。オプションで外部DC電源がありますが定価\8800と非常に高いです。安定化電源を持っていない人は注意すべし! 私は安定化電源を持っていたのでDCコードを自作(DCプラグ、コード3m、シガーライタープラグで\600)して利用しています。

メモリ登録以外の操作性は結構よいです。サーチ・スキャンともワンプッシュでOKですし、ファンクションキーを伴う操作も同時押しの必要はなくてファンクションキーを押した後に任意のキーを押しても機能するようになっていますので片手での操作が可能です。

筐体はプラスチックですが頑丈そうな造りになっていて黒色もあいまって高級感があります。今となってはハンディー機の中でも筐体が大きすぎる方で、外で手に持って受信するのにはかなり勇気が必要です。車の中で使うものと割り切っています。

説明書はとてもわかりにくいです。なんかダラダラと書いてあるだけ。こんなの初めて見ました。あんなわかりにくい説明書を社内でチェックしている人がいないんですかね? 読む人の読解力以前のメチャクチャな書き方です。

DJ-X2000が発売され型落ち機種になりましたが、安く買って2台目として利用する分にはよいかも知れません。今となっては定価の半額以上の価格で買うべき受信機ではありません。混変調の激しい周波数帯がありますが、それ以外の周波数帯を主に聞くのであればなんとか使えるでしょう。


<元関係者さんによる投稿です>

この受信機は平成8年頃に発売になったものですからもう3年近く経つ中堅受信機と言うところです。ロングセラーは他にもありますがこちらもかなり長くなってきました。
それではまず特色から…
同時に2波は受信出来ないが表示は2波いっぺんにできます。 メモリ容量が1200波ある。
40波1ブロックでABCの3つに1〜10まで…つまり400波3組で1200波、
この容量はヘビーユーザーにはたまらない魅力で他の欠点を補える魅力といえます。
続いては結構早いサーチとバンドスコープ機能です。パンドスコープは幅を40波と7波以外にも設定で変更できるようです。私はあまり必要性を感じていないので詳しくは判りません。
そして同時受信は出来ませんが両方のVFOが連動して動きます。3年前の受信機の機能としては上出来だと思います。380と250のペアで連動させたり147/143で連動させたり、156/160で連動させたりとデュープレクスや音声の乗らないセミデュープレクスの受信に重宝しています。
そして更に魅力はカムニスの受信機やエーオーアールの受信機にも共通するサーチバンクリンク機能、こちらはもっと簡単です。MVT7200以降のは液晶にリンクするバンクが表示していましたが、ユピテルの場合は同時には5バンクまでしかリンクしませんでした。こちらはP0〜9,p0〜9という20バンクになりAR8000のように一覧からカーソルを合わせてオンオフしてリンクさせるという簡便さです。
このごろよく使うのが時計機能です。表示に時計を並行表示させておけます。いつも長袖なので腕時計がカフ部分に隠れて見えないことが多く、受信機を持ったまま腕時計を見なくていいので結構重宝しています。
オールモードですから反転秘話もSSBモードで復調出来ますし、100kHzからの長波受信もできますから地下鉄の誘導無線も受信出来ます。
当然NFMで受信出来るので窓際に立って受信しています。
チャンネルやバンク、サーチバンクに名前が付けられます。サーチしているのがどこの電波が表示されるので最初に入力する手間は要りますがあとが楽です。

よいことばかりではありません……続いては不満な点を少々。

スキャンが多少遅いなという印象です。結構感度がいいので、相互変調やイメージ妨害に悩まされます。都心ではワイヤレスマイクのWFM受信はほぼ不可能です。テレビとFMの音声がかぶってしまいビートになります。東京の救急無線や簡易無線帯もアッテネータなしでは何も聞こえません。ですからむしろ近距離受信、現場電波の受信という使い方に考え方を切り替えています。
音量・スケルチが再度のアップタ゜ウンキーなのでツマミのような素早い動きに対応できません。微妙なスケルチのレベル調整も出来ません。ランプが暗く本当に暗いところではあまり意味をなさない。電池の持ちが多少悪い、すぐ電池マークが出てしまう。とはいえ聞こえなくなるわけではないが出てから聞こえなくなるまでが長く 本当にダウンする時期が判りにくい。特にニッカドでは電池マークが出てから数分でダウンするので常時液晶を見ていないといつの間にか電源が落ちていることになる。電池電圧が1.3Vで電池マークが出るのでいつも新品の電池でないとすぐに電池マークが出てしまう…。
機能が多く、いまだに取扱説明書をカバンに入れている。また取扱説明書が判りにくい…読解力が必要。
パソコンコントロールでデータのやりとりが出来るが、ちょっと動作が不安定でI/Oエラーが出てメモリがうまく読み書きできないことがある。
またパソコンでのメモリ周波数入力がオートコンプリート未対応なので、いちいちモードなどをチャンネルごとに入力していくことになり手間がかかる。
NFM、20kHzステップをデフォルトにするかメモリを連続2波とも同一モード・ステップなら3回目からは同じと見なすという機能が欲しかった。



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