AR8600使用レポート




AR8600の感度比較テスト結果は以下の通りになりました。なお、中波以外は各受信機とも同一の外部アンテナを使用しています。

中波帯はBC帯用アンテナを使用してもあまり思わしくありません。鉄筋コンクリートの室内では地元の民放一局が入感するのみです。地元のNHKは全く受信できませんでした。専用ラジオ代わりに使うのにはちょっとつらいかも知れません。BC帯用アンテナはあくまでも補助用として機能するのみで同軸ケーブルを外すとSが半減してしまいます。
FM放送は AX400B > AR5000 > AR8600 ですがわずかな差です。十分実用になります。
VHFエアーバンドは3機種ともほぼ同じですが、S/Nは AR8600 = AR5000 > AX400B です。
144MHz帯も互角勝負でした。
コードレス(子機)の254MHzでは、ほぼ同一ですがあえて優劣をつけるとしたら AR8600 = AR5000 > AX400B。
コードレス(親機)の380MHz帯では、各機種ほぼ同一。
ワイヤレスマイクC規格の322MHz帯でもほぼ同一。
簡易業務の465MHz帯では、AR5000 > AR8600 = AX400B で微差。
MCAの850MHz帯ではほぼ同一。但し、S/Nは AR5000 > AR8600 > AX400B
パーソナル無線の904MHz帯でもほぼ同一。
MCAの1.5GHz帯でもほぼ同一。但し、S/Nは AR5000 > AR8600 > AX400B

以上のようにAR5000、AR8600、AX400Bの感度の差はほとんどありません。
ある受信機で聞えて他の受信機で聞えないといったことは全くなく、真剣に聞き比べをして無理矢理優劣を決めたレベルの差でしかありません。
つまりAR8600の感度は非常によいという結論です。トップレベルであると言えます。

また、混変調にかなり強いことも特筆ものです。自宅はかなりの強電界なのですが乱れることはほとんどありません。
基本性能は最高峰のAR5000に肉薄するものを持っているようです。
ただ850〜860MHzで9つのもの周波数で内部発振が発生していました。

照明を常時点灯していますが、バックライト形式でないので場所により明るさのムラがあり、外観の高級感を損ねています。でも表示部は大変見やすいです。

メモリネームは英数カナ記号12文字使えて申し分ありません。サーチバンク・メモリバンクともネームを登録できるのはありがたいです。

20バンク1000chのメモリ登録は大変ですが最小限の手間で入力できる工夫がされている点は高く評価できます。ダイアルを回して文字を変えていく方式ですが(他にも2通りの入力の仕方があります)特定のキーに文字の割当てがしてあり早送りが簡単にできるようになっています。また直前に表示していたバンクの次の空きメモリが登録するディフォルトアドレスになるため大変便利です。
メモリ登録する時左右の矢印キーを押すとバンクを即座に変えられることできます。目的のバンクにすぐに移れるのでメモリ登録が楽です。

スキャン、サーチもワンタッチで行えるのもマル。スキャン、サーチは爆速で満足しています。ただ該当バンクの空きメモリが多いと先頭chで毎回一瞬停止してしまう不具合があります。AR8200、AR8200MK2でも共通の現象が見られます。
スキャン中にはバンクネームが表示され、スケルチが開くと周波数とメモリネームが同時に表示されるのは大変わかりやすいです。
バンクリンクのパターンを10種類登録できる点も使えます。

オフセット周波数があらかじめプログラムされており、例えば基地局を受信中にMONIキーを押すだけで移動局を即座に受信できるのは大変便利です。オフセット周波数は手動で設定することも可能で柔軟性があります。
ステップ周波数はディフォルトで17種類用意されていますが、任意の数値を設定できるのも親切設計です。例えばワイヤレスマイクB規格は125kHzステップですがディフォルトで用意されていないので自分で125kHzステップと入力すればOKです。(オートモードの状態では自動的に125kHzになるのですがモードがWFMになってしまい、NFMに変えたい時には手動設定する必要がありその際に有効です)
設定が柔軟性に富んでいることや各種様々な機能はAR5000の内容を継承しているようです。

マニュアルが丁寧に書かれている点は高く評価したいと思います。(AR8200MK2も同様)今まで使ってきた受信機・無線機の中で一番の出来です。機能をよく理解してもらおうという意気込みが伝わってきます。

地元の消防無線をPCで常時録音していることもあって(残念ながらWin2000のためAREXは購入したものの使用できず)AR8600の電源を入れっ放しなんですが、数週間くらい経つとどのキーも受け付けなくなる不具合が頻発しています。
該当バンクのスキャンは動いたままなのでバンクを変更しようとして触らなければ気がつかないんですけど…。
同様な症状でROMデータが壊れて修理に出した過去もあり、耐久性にやや疑問が‥。あれ以来は幸いリセット操作で復旧しているので事なきを得ていますが、いつまた病院送りになるかと不安です。
AR5000は何ヶ月稼動しっ放しでもへっちゃらなんですけどね。そんな耐久テストみたいな使い方はやめろということなんでしょうか?

以下はAR5000の絶品のスケルチの切れや音質を経験していない人には感じられない点かも知れませんがあえて記述しておきます。
スケルチの切れがまるでダメ。スケルチが切れるたび「ザッ」という雑音が耳につきます。とても高級機とは思えません。
あと、音質が期待したレベルでないです。大型ハンディー機での音と大して変わりません。音質のせいか弱い電波を受信した時の雑音が目立つような気がします。固定機にしてはスピーカーの口径が小さすぎると思います。これだけで潜在的に持っている音質をスポイルしてしまっています。スピーカーは音の出口で音質に大きく関係する重要な部分だけに手抜きはしてもらいたくなかったです。

まとめますと、感度は非常によし、混変調にもかなり強い、使い切れないくらいの多機能、上級者も納得の柔軟な設定など、どれをとっても満足のいくレベルです。
AR5000(+3)と比べるとコストパフォーマンスはかなりよいので本格的な受信を行いたい方でも趣味的ユースではAR8600で十分ではないかというのが率直な意見です。




<現職司令補さんによる投稿です>

全般的にはAR5000と変わりありませが、やはり中波AMラジオでは若干のフェージングが気になります。
FMラジオでは逆に8600の方が若干ですが感度、メーターの振れも良いようです。
エアーバンドは高音が強調されている為とフィルター未装備の関係で弱い信号はノイジーぎみ。(シャーと言う音)でもMKIIより了解度は高い。(スピーカー口径?)
150MHz前後は全く同格で300MHz〜400MHzはMKII・5000・8600の順です。ただし僅差で3台同時に鳴き合わせををしないと判らないレベルです。(こんな事する人いないでしょう)
8000MHz〜1500MHzのMCAなどは、8600・MKII・5000の順。
機能的には8200・MKIIと全く同じです。ただしCTCSSの作動は上記三機種の中でも8600がトップレベル。MCA受信などは5000以上に高感度もあいまって快適受信が可能です。
内部スプリアスは全くと言って良い程在りませんが、外来ノイズには5000がやはり強い感じを受けます。
後、気になる点はMKIIにも見られる現象ですがスケルチ深度が極端すぎ非常にクリティカルです。5000は逆に浅すぎるし私個人としてはノーマル8200が一番実用にかなっていると思うのですが・・・
以上簡単ですが、第一次のインプレです。



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