AR5000+3使用レポート
<トーンスケルチ情報は現職司令補さんの投稿です>
AR5000の性能を測定するのにAX400Bとの比較を行いました。
使用したアンテナは両機ともコメットのGP-95です。なおGP-95は高利得アンテナのため混変調は出やすくなっています。
また、ご存知の方は多いと思いますがAX400Bの感度は非常に優秀であることを始めに記述しておきます。
感度比較についてのサンプル周波数は以下のものです。なお、信号の弱い電波をあえて選び比較しやすくしました。
中波帯、VHFエアーバンド、144MHz HAM、救急、コードレスホン帯(親機)、430MHz HAM、携帯電話帯
結果は、救急(149MHz)以下の周波数ではAR5000の方がわずかに感度がよく、それ以上の周波数ではAX400Bとほぼ同じでした。なお中波・短波帯は簡単なワイヤーアンテナでも十分実用レベルで受信可能です。
S/N比はAR5000の方がかなり良好で、より雑音が少ないです。
感度に関して、AR5000が優秀なのは予想通りの結果として、逆にAX400Bの感度の良さがAR5000に迫ることが証明されたなというのが第一印象です。
混変調に関して、AX400Bでは360〜378MHzでやや強めに発生していましたが(該当周波数はたまたまメモリに入れていなかったので実害はなし)、AR5000では全くその現象が認められず、これまた、その優秀さを確認できました。
抑圧に関しては、両機とも認められません。
さすがに噂通りに基本性能は非常に高いです、はい。
機能について、まずはサーチ・スキャンですが驚きの速さです。公称値は通常モードのスキャン・サーチは25ch/S、高速モードのスキャン・サーチは最大45ch/Sとなっていますが、実際は通常モードではそれ以上(35ch/S位かな)の速さです。高速モードの公称値はいろいろな好条件が重なった場合での話で、逆に私の設定では通常モードよりも少し速いかなといった感じです。
これらの速さを一回味わってしまうと、AX400Bのスキャンはとてもじれったく感じてしまいます。
ただ気になる点として、スキャンに関して周波数が大きく異なるchがあるとリレーのようなスイッチ切り替え音がしてとても耳障りです。このような状態になる時はスキャンのスピードが落ちているのがわかります。あんなに頻繁にスイッチが切り替わって耐久性に問題はないのでしょうかね? 家にいる時はずっとAR5000+3をスキャンさせていますのでちょっと心配です。電子スイッチにできなかったのかな?
サーチバンクグループ、スキャンバンクグループという機能があって各サーチバンクや各メモリバンクの組み合わせを指定してサーチやスキャンができるのはとても便利です。それらの設定の中でポーズの有無とその時間、ディレー時間、レベルスキャンの要否とそのレベル値、ボイススキャンの要否とそのレベル値を指定できるなど自由度がとても高くなっているのは非常に役立っています。特にボイスサーチ・スキャンは常時(または特定時間に)キャリアを出しっぱなしの救急無線やタクシー無線のワッチに有効なのはうれしいです。
周波数オフセットがプログラムされていて、アップリンクとダウンリンクの周波数が異なる場合のワッチに有効ですがワンタッチで周波数切り替えができないのは残念です。固定機なのだから筐体をもう少し大きくしてでも煩雑な操作にならないようにしてくれたら有り難いのに…。
標準ではアンテナ端子がM型とN型の2個あって(オプションで4端子に増設可能)各メモリーchや入力した周波数によって自由にアンテナを選ぶことが可能になっています。またオート設定にしておくと別途定義するアンテナプログラムによって簡単に使用アンテナの変更が可能なのもさすが固定機といった感じです。
メモリchにはIF帯域幅、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、アッテネータ、空線信号、AGCモードなども設定できるのもすごい!
メモリ登録時にテキスト(英数字8文字のみ)をつけられますが、周波数とそのテキストの同時表示ができないのはとても残念です。
ダイアルが大きいのは貫禄があって気に入っていますが、回した時にクリック感がないのは頂けない。
それから秘話解読機が使いにくいことこの上ないです。(T_T) なんと4オペレーションでやっとキャリア調整の設定ができる状態になるような操作体系になっているんです。AX400Bの場合だと2オペレーションで、それでもちょっと不満があったんですが…。まあ、もともとAR5000+3でコードレスを聴こうなんてのがセコイ発想なんですけど、一応、万能機にしときたかったもので。実際、コードレスはまだテスト的にしか聴いたことがないんですけどね。
トーンスケルチも付けることができますが、基本的に同様な操作が必要になるはずです。コードレスのように頻繁に調整が必要になるとは思いませんですけど、ちょっとねぇ〜、頂けません。
総合して見ると細かい部分ではまだ改良の余地がありますが、大変にすばらしい受信機です。さすがに価格が高いだけのことはあるなという感じですね。これは間違いなく誰にでも勧めることができます。いつかはAR5000をと思っているあなた! どうせ買うなら早い方がよいと判断した自分は正しかった。きっとあなたもそう思いますよ〜!
トーンスケルチ(CT5000)の作動は確実。一度特定周波数に設定しておくと、ノイズ等でスケルチが開くことはまず有りません。音質変化も少ない。(親機のスピーカー口径のせい?)
CTSSスキャンモードでは、該当周波数に確実にストップするが、スキャンスピードが遅く一周18秒ぐらい(これでは通話も終わってしまう)。また感知した該当周波数が、信号が途切れたり送信が終わるとすぐディスプレイから消えてしまう(脇見をしていると見逃してしまう)。
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