都営地下鉄車両紹介

5500形

編成 8両編成(4M4T)
車両性能 設計最高速度:130km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:83=5.93
主電動機 三相かご型誘導電動機 155kW
制御装置 MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
5300形の置き換えに向けて平成28年に登場しました。総合車両製作所が全27本の製造を担当し、浅草線向けとしては5200形以来となるステンレス車となりました。「日本らしさとスピード感が伝わる車両」を開発コンセプトに、浅草線のイメージの一新を図るべく近年のラインカラーであるローズを強く意識したデザインで、全面にカラーフィルムが施工され、戸先に向かって窓枠が低くなる独特の側引戸には目を引かれる意欲的なものとされました。令和3年までに予定数の27本を導入すると、翌年のダイヤ改正よりアクセス特急への充当が始まり、5300形では成し遂げられなかった運用もこなせられるようになっています。

編成表

5300形(引退)

編成 8両編成(4M4T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご型誘導電動機 165kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
浅草線で活躍していた5000形の置き換え用として平成3年に登場した系列で、同線では初の冷房車となりました。都会的センスあふれる斬新なデザインを筆頭とする、21世紀を目指した5つのコンセプトを基に設計され、前面は流線型で非常扉を向かって左側にオフセットしたプラグドアが採用されました。見た目に反してか低速時の磁励音が大きく、白い悪魔の異名でも親しまれました。5500形が営業を開始した平成30年以降は本格的な置き換えが進み、令和4年のダイヤ改正以降は1本のみが予備車扱いで残留していましたが、翌年に静かに引退を迎えました。均等発注がなされた都交最後の系列で、本数の多い順に日立製、日車製、近車製、川重製が存在しました。

6500形

編成 8両編成(4M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 全閉三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 SBD-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
三田線の8連化促進ならびに6300形初期車の置き換えに向けて、令和2年に登場しました。「スマート+コンフォート」をコンセプトに、無駄がなく機能美を感じさせられる仕上げとされており、スクエア状の前頭部はそのイメージが明らかになってからから大きな話題となりました。腰掛は1人あたりの着席幅を475mmとし、また側引戸間は6人掛けとすることで側引戸周辺のスペースが拡大され、5500形と同様に流動性の改善に努めています。更に、側引戸かもい部のLCD式車内案内表示器は都交初の3面化がなされ、ゆくゆくの運用範囲拡大に向けた情報案内の充実が期待されます。令和4年までに予定数の13本が出そろい、6300形の2次車までを淘汰しました。近畿車輛製。

編成表

6300形

編成 6両編成(4M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比15:98=6.53
主電動機 三相かご型誘導電動機 165kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
6000形の置き換えならびに三田線の冷房化促進を目指し、平成5年に登場しました。既に地下鉄南北線を介した東急目黒線への乗り入れが決まっていたことから、直通車両規格に則りワンマン運転が可能な仕様とされ、後に対応する機器が設けられました。2次車までは主制御装置がGTO-VVVFで車内も都交カラーを色濃く残した造りでしたが、6000形の淘汰が決定すると、コストダウンを図った3次車を運用増加分を含め大量に導入。主制御装置はIGBT-VVVF化されました。全編成が将来の8連化を想定した設計ですが、このうち2次車までは6500形に置き換えられ、令和4年より編成単位で廃車が進められました。川重、近車製。

編成表

10-300形(3次車以降)

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 三相かご型誘導電動機 95kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
10-300形のうち、平成25年より導入された第49編成以降はE233系2000代をベースとした設計に変更され、大幅なマイナーチェンジが図られました。前頭部は汚れが目立ちにくくインパクトのある黒色でまとめたほか、ホームドアの設置後も車両の識別がしやすいよう、車体側面の帯シートは幕板部をメインにデザインされました。主制御装置もベース車と同様の2レベルが採用されましたが、主電動機は2次車以前から変更されておらず、高速走行時は特徴ある唸り音を楽しめます。当初前照灯はシールドビームでしたが、平成28年製造の5次車以降ではLED製に変更。程なくして既存編成も換装を受けました。総合車両製。

編成表

10-300形(1、2次車)

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 三相かご型誘導電動機 95kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
新宿線内の保安装置更新により、誘導障害の引き金となっていたVVVFインバータ制御車の乗り入れが解禁されることに合わせて平成17年に登場しました。前頭部は、阪急電車をほうふつとさせる上部中央にまとめられた前照灯が印象的です。先ずは10-000形のうちセミステンレス車の置き換えとして導入され、当初は8連のみを増備。輸送力増強に向け、平成22年には4本が10連化されました。その後も8連で残った8本は、新宿線全車両の10連化のため令和4年に全編成が6次車に置き換えられ、登場から20年に満たない中で廃車両数が現存両数を上回りました。東急製のほか、一部に新津製が現存。

編成表

12-000形

編成 8両編成(8M)
車両性能 設計最高速度:70km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
(駆動装置) 地上一次制御式リニアモータ
主電動機 車上一次片側式三相リニア誘導電動機 120kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
大江戸線の開業を前に平成2年に登場しました。2次車まではアイボリーを基調とした塗装をまといましたが、3次車以降は無塗装にシフトし乗務員室の拡大を図り前頭部の傾斜を緩くしたことで、見た目のイメージが大きく変わりました。また、制御装置はIGBT-VVVFインバータが採用され、磁励音の低減に寄与しています。その他に、荷棚は金網から鉄パイプに改め、非常通報装置や座席下電熱ヒータの設置台数を改めるといった、6300形3次車でもみられたコストダウンが図られています。
製造から15年が経過した平成19年よりC修繕が順次進められ、横断流装置の大型化や袖仕切りの大型化、つり革の交換、床敷物の張り替えなどアコモデーションにおける改善が図られています。
このうち2次車までは老朽化により、12-600形に順次置き換えられ平成28年に消滅したことに続き、無塗装車の3次車以降も令和元年以降順次置き換えが進められています。

編成表