相鉄車両紹介

12000系

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.0km/h/s又は2.5km/h/s
減速度:5.0km/h/s
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご型誘導電動機 140kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
相鉄・JR直通線の開業を控えた平成30年に、同線ならびにJR埼京線への乗り入れ車両として製造されました。足回りはJR東日本のE233系と同等ながら、車体はレーザ溶接による継ぎ目の無い見付を実現しています。獅子口をイメージした前面や車内の造りなど、先に登場した20000系と同様のコンセプトにより設計しており、とりわけ前面は気品のある滑らかで美しい曲面を持ち、細部まで作り込まれた前照灯も高く評価され、令和元年度のグッドデザイン賞を受賞しました。7000系の置き換えを含め、令和3年5月の時点で6本が運用されています。総合車両製。

編成表

21000系

編成 8両編成(4M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s又は3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 全密閉三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 SiC SBD-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
東急線への乗り入れ車両は20000系により投入されていましたが、10連と8連で形式が区別される運びとなり、後者が本系列として令和3年に登場しました。基本的な仕様は20000系を踏襲していますが、前面ガラスの遮光フィルムが変更されたほか、車外の非常用ドアコックのうち半数が車体側面の側引戸下部の床下に設けられているのが相違点です。また、2号車の車いすスペースが東急目黒線などの車両に合わせる恰好で、20000系とは点対象の配置となっています。令和5年までに9本が増備され、東急目黒線を経由する乗り入れ運用にて使用されます。日立製作所製。

編成表

20000系

編成 10両編成(5M5T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s又は3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 全密閉三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 SiC SBD-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
来たる東急東横線への乗り入れに先立って、乗務員の習熟を兼ねて乗り入れ車両を先行導入することとなり平成29年に登場しました。8000系以来となる日立製作所製かつアルミ車で、JR東日本ベースの車両がしばらく導入され相鉄らしさが失われていた反省もあるのか、通勤車両を思わせない大胆な前面デザインを引っ提げての落成となりました。開発にあたって車体色、前面デザイン、車内照明の統一コンセプトを鮮明に打ち出したことが高く評価され、平成30年度のグッドデザイン賞を受賞。そして令和元年には、鉄道友の会よりローレル賞を相鉄として初受賞しました。導入からしばらく1本のみの状態が続きましたが、令和2年には6本を増備。実際の営業運転での知見も踏まえたブラッシュアップがなされ、現在は東急東横線を介して地下鉄副都心線の和光市まで乗り入れます。

編成表

11000系

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:4.8km/h/s(常用)、4.8km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご型誘導電動機 140kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
10000系に続く5000系など経年車の置き換え車両として、平成21年に登場しました。導入コスト軽減を目的に引き続きJR東日本の車両をベースとしており、本家がE233系に世代交代したことによりそれが相鉄にも反映された格好です。基本的にはE233系と同等ということもあって、当初はJR直通線に使用される見方が多方から出ており相鉄からもその旨の発表がありましたが、ATACS対応の絡みでの改造コスト増加が想定され、結果的には自社線内の運用に完結する系列となりました。それでも12000系により近い設計の車両なので、本家のE233系が乗り入れる今日でも相鉄の乗務員にとって違和感なく取り扱える切っ掛けを作った系列と言えるでしょう。
平成26年5月以降、1本に対し「そうにゃんトレイン」として車体装飾が行われており、毎年装いが改められることもあり沿線住民やファンの目を引き付ける存在となっています。総車(←東急)、新津製。

編成表

10000系

編成 10両編成(5M5T)、8両編成(4M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 三相かご型誘導電動機 95kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
相鉄のアルミ車の黎明期を飾った2100系や5000系などの置き換え車両として、平成14年に登場しました。導入コストの軽減を目指してJR東日本のE231系と共通の設計とされたことが特筆され、同時期に登場した東急5000系とともに「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」制定のきっかけを作ったとともに、フルオーダーメイドを脱却した新たな車両製造のコンセプトを提示しました。本家のE231系とは異なるのはユニットを組まない独立電動車が存在する点で、10連も含めMT比を1:1としています。
10連3本と8連5本の計70両が所属しており、令和2年には、相鉄デザインブランドアッププロジェクトに基づくリニューアル車が10701×10を皮切りに登場し、足回りでも主制御装置や補助電源装置が一新されました。しかし段階的に進めることとしたのか、車体部分は灯具位置の変更と表示器類の交換に留まり、前面に限って言えば11000系を思わせる見付となった編成も存在します(写真)。東急、新津製。

編成表

9000系

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 直角カルダン駆動方式
歯数比9:49=5.44
主電動機 三相かご型誘導電動機 180kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
相鉄の車両は6000系以来日立への発注がセオリーでしたが、同社製の8000系が導入される中、東急車輛が売り込んだのがこの9000系で平成5年に登場しました。ディスクブレーキを車輪外側に配置した台車や直角カルダン駆動、油圧式の自動窓など相鉄らしさはそのままに、全面カラー塗装とした車体、前面の連結器へのカバー装着に加え、相鉄初の分散式冷房を採用のうえ連続するきょう体により編成全体の一体感を持たせており、デザインに重きを置いたのが特徴と言えます。
その甲斐もあったのか、平成28年より始まった相鉄デザインブランドアッププロジェクトに基づくリニューアルでは、塗装変更、座席モケットやつり革の交換には留まらない大規模な内容で行われました。対象外となった9701×10は字幕式表示器が現存しており、令和2年の引退まで少し前の相鉄車の姿を残していました。

編成表

8000系

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 直角カルダン駆動方式
歯数比10:49=4.9
主電動機 三相かご型誘導電動機 150kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
6000系の置き換え車両として平成2年に登場しました。前面は従来の切妻形から一転してくの字型となり、従来車とのイメージとは一変させたほか、全幅2,930mmの拡幅車体とすることで定員の増加を実現。機器面では新7000系の実績をもとに改良されたものを採用し、MT比の向上による空転滑走の防止や、1C8Mの2両ユニットとしたことでコストダウンに寄与しました。平成19年以降、新塗装化に関連して字幕表示器のフルカラーLED化や主制御装置のIGBT-VVVFインバータ化、側引戸、前照灯の交換などの更新工事が行われています。
令和2年には相鉄デザインブランドアッププロジェクトに基づくリニューアル車が登場(写真)し、今後も使用が見込まれる8708×10以降の計6本に対しても施工されました。反対に、その対象から外れた計7本は置き換えが進行し、令和3年に8706×10が営業運転から離脱したことで、早くも相鉄からGTO-VVVFインバータ車両が消滅しました。日立製作所製。

編成表

新7000系(引退)

編成 10両編成(4M6T)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 直角カルダン駆動方式
歯数比10:49=4.9
主電動機 三相かご型誘導電動機 180kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電磁直通弁式電磁直通空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
7000系のうち、昭和61年以降の導入分は当時流行していたブラックフェイスの前面デザインを取り入れたほか、配色を大幅に変更したマイナーチェンジ車となり、新7000系として区別されています。増備を重ねながら制御装置のGTO-VVVFインバータ制御化や、セミクロスシートを試験採用するなどのバリエーションも誕生。平成18年より更新工事が行われ、塗装変更やつり革、カーテンの交換に加え、ドアチャイム、握り棒の設置など内容は多岐に及びました。平成30年より廃車が始まり、令和2年に引退しました。日立製作所製。

7000系(引退)

編成 8両編成(4M4T)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 直角カルダン駆動方式
歯数比10:45=4.5
主電動機 直流直巻電動機 130kW
制御装置 抵抗制御(日立)
制動装置 電磁直通弁式電磁直通空気ブレーキ
相鉄では昭和45年に入り、鋼製車体を持つ2000系や5000系をアルミ車体に載せ替え、性能を落とすことなく車体の大型化を達成してきました。この流れを引き継ぎ、当時の標準車両であった新6000系の設計を基にアルミ車体を有した形式として昭和50年に登場しました。見付としては2100系や5100系に準じていますが、ロール材などの採用で更なる軽量化・合理化を図り、従来比で3.6tもの軽量化を成し遂げ新系列としての磨きをかけました。
先頭車が多く製造されたことと、動力車に主要機器が集約配置されていたこから柔軟な編成組み換えに対応でき、長らく相鉄を支える主力として活躍しましたが、平成18年より廃車が始まり、令和元年に惜しまれながら引退しました。日立製作所製。