東急9020系

系列概要

問診

田園都市線からの転属車

東急9020系は、平成31年より大井町線で活躍する系列で、元々は2000系として長らく田園都市線で活躍していました。旧2003Fが同年3月にリニューアルを受け、当初は引き続き田園都市線で使用されるものとみられましたが、付随車は床敷物が茶系のままなど簡易的な改装に留まっており、他の編成の室内灯のLED化施工にバラつきがあることも含め、将来的な大井町線への転属が示唆されていました。

大井町線への転属にあたっては種車の都合で少々複雑な経緯を辿っており、先ずは旧2003Fのうち5両が新たな編成を組み平成30年11月16日より大井町線で営業運転を開始。この編成は2号車に組み込まれたデハ2303がユニット解除された暫定編成で、編成中にパンタグラフを4基搭載しているのが特徴でした。その後、旧2001Fおよび旧2002Fの転用改造が進行したことを受け、平成31年1月7日に営業を離脱し再度編成の組み換えを受けることに。2000系としての大井町線活躍は僅か1か月半ほどの期間でした。話が前後しますが、9020系の車号は平成30年12月に旧2002Fが9022Fに改番されたことで初めて明らかになっています。その後、平成31年2月11日に9022Fが営業を開始したことを皮切りに、2003Fから改番した9023Fが同18日に、更に3月26日に9021Fが投入されたことで全3本が出そろいました。これにより8500系を淘汰し、大井町線の全編成VVVFインバータ化を達成しました。

1000系1500番台に次ぐ大規模なリニューアルが施されており、足回りは2020系列との整備互換性に配慮したのかフルSiC素子を持つ三菱製に換装。非同期音は都交5500形にも通じるいわゆる竜巻インバータと呼ばれるものでしたが、ソフト変更によりデハ9223のみに縮小したのち、令和2年に消滅し現在は2020系列と同等のものとなっています。車内を見ると田園都市線での継続使用を想定していたこともあってか、緑系の濃淡2色のモケットが採用されたほか、ナチュラル木目調を取り入れた化粧版によりイメージが様変わりしました。床敷物は全体を滑りにくい素材とすることで、側引戸付近に設けていた滑り止めはオミットしています。

投入から3年余りとなる令和4年、大井町線への新型車両の導入が発表されました。リニューアルからの年数は浅いながらも本系列も9000系ととも置き換えられることが考えられますが、全編成が運番表示器の換装を受けており、しばらくの間は活躍が見込めそうです。また、本系列の置換え後は、4連に短縮したうえで西武鉄道に譲渡される見通しです。

車両データ

編成 大井町線用5連(3M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用最大)、4.5km/h/s(非常)
台車 ボルスタレス空気ばね台車
TS-1010(電動車)
TS-1011(付属車)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 175kW
制御装置 MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
保安装置 ATC-P
表示装置 前面行先表示器、前面種別表示器、側面行先表示器
車内LED案内表示器(千鳥配置)
次車 改造年度 該当車(現在の車番) 仕様
1次車 平成29年 クハ9023
デハ9321~9323
デハ9421~9423
クハ9123
9020系初期
2次車 平成30年 クハ9021、9022
デハ9221~9223
クハ9121、9122
 

編成表


バリエーション

●大井町線所属 9023F
9000系の一部編成と同じく、運番表示器の換装を受けた後の姿です。その輝度から行先表示器も換装されているとみられ、いずれもシャッタースピード1/1000まで表示が切れない仕様となっています。一方で種別部は換装されず、1/500を超えると表示が切れてしまうので注意です。

車内

当初投入予定だった田園都市線をイメージしたとみられる緑系の濃淡2色のモケットが採用され、ナチュラル木目調を取り入れた化粧版とともにイメージが様変わりしました。7人掛け座席の握り棒はUD手すりに換装されました。