東急7000系

系列概要

問診

21世紀版「青ガエル」

東急7000系は、更新から20年が経過した7600系・7700系の置き換えおよび地方私鉄譲渡用に1000系をねん出する為、平成19年に登場しました。8500系以来採用されてきたコーポレートカラーである赤色を一切使用していない車体に大きく目をひかれますが、これは「懐かしさと新しさの融合」をコンセプトに沿線が持つ緑の多い閑静な住宅街をイメージしたことによるもので、前頭部は3000系から続くFRP製を踏襲し、丸みを帯びた親しみやすいデザインとされました。車体側面には、濃淡2色のグリーンと、それに挟まれるゴールドをアクセント用いて車体に流れるデザインとすることでスマートさを演出。一部ではそのデザインとカラーリングから21世紀の青ガエルとも呼ばれています。

池上線としては久々の、また東急多摩川線としては初の新造車として車内も抜かりの無い仕上げとなっており、木目を基調とした化粧板にモケットは緑色の鮮やかなデザインが採用され、明るい車内環境を生み出しています。
2号車の車端部には、9000系以来となるクロスシートを設置。片側を1席としたセミタイプで、ベビーカーや大きい荷物を置けるよう配慮がなされています。中型車である事からスペースにはゆとりがあり、シートピッチは広く取られています。その為、実際座った際に9000系のような窮屈さを感じないのが魅力です。

増備の一時凍結と再開

登場当初は、平成23年度までに19本を導入する計画でしたが、平成24年3月の時点で7本と半数以下の導入に留まりました。当時は田園都市線向けの5000系も導入が滞っており、副都心線乗り入れに向けて東横線向け5050系の増備にシフトしたのが実情でした。その後は東横線で使用された1000系を改造した1000系1500番台が導入されましたが、最終的には代替としての投入が7本に留まり、7700系の全てを置き換えるには至らなかったことから、平成29年に久し振りに導入が再開。翌年12月に営業運転を開始した7115Fを以て増備が完了し、7700系を淘汰しました。

車両データ

編成 池上線・東急多摩川線用3連(2M1T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用最大)、4.5km/h/s(非常)
台車 ボルスタレス空気ばね台車
TS-1019B(電動車)
TS-1020C(付随車)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:87=6.21(7107F以前)、19:118=6.21(7108F以降)
主電動機 三相かご形誘導電動機 190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
保安装置 ATS ATC-P TASC
表示装置 前面行先表示器、前面種別表示器、側面行先表示器
車内LCD案内表示器
次車 製造年度 該当車 仕様
1次車 平成19年 7101F~7102F 7000系初期
2次車 平成20年 7103F~7104F 側引戸かもい部のきょう体形状を変更
側面行先表示の窓寸法を変更
貫通扉の取っ手形状を変更
3次車 平成21年 7105F 車体側面を全面ベルトグラインド仕上げに変更
4次車 平成22年 7106F 3次車と同様
5次車 平成23年 7107F 荷棚を板状に変更
6次車 平成29年 7108F~7109F 前照灯をLED式に変更(既存車も換装)
各車両にフリースペースを設置
妻面かもい部の化粧板を無地のツヤありに変更
妻面かもい部に防犯カメラを設置
車内LCD案内表示器を17型ワイド、デジタル伝送に変更
側引戸の化粧板を滑りやすい材質に変更(引き込み防止策)
貫通扉を水平式に変更し、窓面積を拡大
フリースペースの手すりゴムの仕様を変更
床敷物の材質を変更し、側引戸付近の滑り止めを省略
駆動装置の歯数比を変更
7次車 平成30年 7110F~7115F 6次車と同様

編成表


バリエーション

●池上線・東急多摩川線所属 7103F
2次車となる当編成ですが、前照灯がLED化されたほかは今日に至るまで登場時のままとなっています。意匠が緑系ということもあり、6000系のように帯シートなどの経年劣化もなくイメージを保持しているのも大きいでしょう。

車内

車内は5000系7次車をベースとしていますが、袖仕切りはこれまでの汎用品を改め、新設計の白色のものが用いられ印象が変化しています。2号車の車端部にはクロスシートを備えますが、片側は1人掛けとされ、その横には大きな荷物やベビーカーを置くといった使い方もできます。
今にして思えば、1人掛けを併用することで消火器格納場所の設計変更の必要がなくなるため、偶然の産物だったのかとも勘ぐってしまいます。