系列概要
大井町線の急行用車両
東急6000系は、平成20年3月の大井町線の急行運転開始に伴い導入された車両で、平成19年12月に登場しました。これまでの東急線の車両にはなかったスピード感あふれる流線型のスタイルが採用され、甲種輸送時には大きな話題となりました。6101F甲種輸送の時点では、側面上部の赤帯と下部の橙帯は貼られていませんでしたが、6102F以降はそれらを貼りつけた状態で出場。6101Fも長津田検車区で張り付けの施工がなされ、より洗練された印象となりました。当時並行して増備されていた5000系をベースとしており、車体側面はコストダウンとなるうえ洗浄面において有利なことから、吹き寄せ部のダルフィニッシュ加工を省略し、全面をベルトグラインド仕上げとしています。車内に目を向けると、清潔感のある白系を主体に、妻面部に木目調の化粧板を用いており温かみも感じられます。また、車椅子スペースの手すりは2段に増設するなどの新たな試みが見られます。袖仕切りは先に登場した7000系と同様のものが採用されました。
順当に大井町線急行専属の運用となっており、田園都市線からの直通急行も以前の8500系などから本系列が後を受け継いで担当しています。平成23年の節電ダイヤ実施以降は、土休日ダイヤにおいて日中の田園都市線乗り入れが実施され、同線で見られる機会が大幅に増えました。さらに令和元年には、乗り入れ区間が中央林間に延長されています。
増結による7連化とQシート導入
平成29年、大井町線急行が定着し利用者が増加したことを受け、7両編成に増結することを発表しました。かつての8090系の東横線急行をほうふつとさせるどこか懐かしい響きですが、出力不足と工期短縮を考慮したのか、ユニットを組まない単独電動車としてデハ6300形(2代目)が同年に製造されました。冷房装置や側引戸、車内LCD案内表示器などは5000系6ドア車の発生品が活用されています。6103Fを皮切りに4M3T化とする組み換えが行なわれ、平成30年2月に最後まで6両だった6101Fも組み替えられたことで、全編成が7両編成となりました。なお、組み替えにより4号車以降は改番を受けており、元の番号に100を足す格好で一例としてクハ6600形はクハ6700形とされました。平成31年には、6020系にて先行して開始したQシートを増発することとなり、早くも3代目となるデハ6300形が同年に2両製造されました。対象となった6101Fおよび6102Fは7連化から1年弱で再び組み換えを受け、令和元年より運用を開始しました。なお、編成から外れた元デハ6301および6302は5080系の8連化増結として流用されました。車内化粧板や座席モケットは大井町線時代のまま手を加えられておらず、編成内で異彩を放っています。
車両データ
編成 | 大井町線用7連(4M3T) |
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車両性能 | 設計最高速度:120km/h 起動加速度:3.3km/h/s 減速度:3.5km/h/s(常用最大)、4.5km/h/s(非常) |
台車 | ボルスタレス空気ばね台車 TS-1019A(電動車) TS-1020A(付随車) |
駆動装置 | TD継手式平行カルダン駆動方式 歯数比14:87=6.21 |
主電動機 | 三相かご形誘導電動機 190kW |
制御装置 | IGBT-VVVFインバータ制御(日立) |
制動装置 | 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用) |
保安装置 | ATC-P |
表示装置 | 前面行先表示器、前面種別表示器、側面行先表示器 車内LCD案内表示器 |
次車 | 製造年度 | 該当車 | 仕様 |
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1次車 | 平成19年 | 6101F~6106F(下記車両を除く) | 6000系初期 |
2次車 | 平成29年 | デハ6301~6306(2代目) | 荷棚を板状に変更 妻面化粧板を無地のツヤありに変更 貫通扉を水平式に変更し、窓面積を拡大 フリースペースの手すりゴムの仕様を変更 床敷物の材質を変更し、側引戸付近の滑り止めを省略 |
3次車 | 平成31年 | デハ6301、6302(3代目) | Qシート車両として製造 |
編成表
現行の7両編成(平成29年10月~)かつての6両編成(平成19年12月~平成30年2月)