系列概要
目黒線用の増備車両
東急5080系は、目黒線の増備用として平成15年に登場しました。当初は1本のみの増備であったため、従来の流れであれば3000系が製造されていたものと思われますが、既に田園都市線に東急の標準車両として定めた5000系が導入されていたことから、それをベースとした車両として新たに設計・製造されました。目黒線ではワンマン運転が、乗り入れをする地下鉄線内ではそれに加えてATOを使用した運転がそれぞれ行われていることから、ワンマン運転機器を設置するスペースをねん出すべく乗務員室の設計が大きく変更され、先頭車全長は5000系比で延長されました。機器類においては、制御装置には3000系の偶数編成で実績のある東芝製を採用。空調装置は奇数編成で三菱製、偶数編成で日立製をそれぞれ搭載し、5000系の流れを踏襲する形となっています(後期の編成は三菱製のみ)。側面の行先表示器では、当時は急行運転が行われていなかったこともあってか種別表示器が省略され、3色LEDの表示部を拡大しています。車内では、側面ドアかもい部の案内装置が3000系同等のLED式に変更され、全ドア上の設置となりました(5-1次車以降はLCD式のTIPに変更)。
平成20年6月の目黒線日吉延伸による運用数増加に対応すべく更に増備は続き、現在に至る10編成が出そろいました。当初は平成19年度と翌年度に3編成ずつを導入する計画でしたが、計画変更により平成20年度に6編成をリース導入としました。同時期の導入で編成により差異が見られるのはこの為であり、3000系と共通運用で使用されています。
相鉄線乗り入れ対応と8連化
神奈川県東部方面線の建設進行を受け、相鉄線乗り入れ対応に向けた改造工事が令和3年3月に入場した5184Fを皮切りに開始され、翌年4月に出場した5190Fを以て全編成で完了しました。J-TREC横浜事業所と東急テクノシステムの2か所で行なわれましたが、両者で補助排障器の塗装色を区別した3000系のような観上の区別は、本系列では特になされていません。相鉄線乗り入れ対応改造に続き令和4年2月より8連化が開始され、4号車と5号車に単独電動車と付随車をそれぞれ組み込み、これまでの4号車から6号車は改番がなされました。こちらは同年10月までに全編成で完了しています。
中でも特筆されるのは5189Fと5190Fで、増結された4号車が元6000系デハ6300形となっており、橙系のモケットなど大井町線時代をほうふつとさせるスタイルがそのまま残されており、異彩を放っています。なお、5050系に組み込まれた元5000系の青系の座席表皮や化粧板などは今日に至るまで存置されているので、本系列においても当面の間は変更されることはないでしょう。
車両データ
編成 | 目黒線・東急新横浜線用8連(4M4T) |
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車両性能 | 設計最高速度:120km/h 起動加速度:3.3km/h/s 減速度:3.5km/h/s(常用最大)、4.5km/h/s(非常) |
台車 | ボルスタレス空気ばね台車 TS-1019A(電動車) TS-1020A(付随車) |
駆動装置 | TD継手式平行カルダン駆動方式 歯数比14:87=6.21 |
主電動機 | 三相かご形誘導電動機 190kW |
制御装置 | IGBT-VVVFインバータ制御(東芝) |
制動装置 | 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用) |
保安装置 | ATC-P 新CS-ATC ATO ATS-P TASC |
表示装置 | 前面行先表示器、前面種別表示器、側面行先表示器 車内LCD案内表示器 |
次車 | 製造年度 | 該当車 | 仕様 |
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2次車 | 平成15年 | 5181F(4、5号車を除く) | 5080系初期 |
3次車 | 平成16年 | 5182F(4、5号車を除く) | 前面オオイ部の塗装をシルバーに変更 座席を5050系同等の形状に変更 横断流送風機の吹出口をアルミ製に変更 消火器の格納方法を変更 |
5-1次車 | 平成18年 | 5183F(4、5号車を除く) | 種別表示器をフルカラーLED、行先表示器を白色LEDに変更 側引戸かもい部の案内装置をLCDに変更しTIP化 冷房装置を小型化 妻引戸を傾斜式に変更 優先席に握り棒を設置 横断流送風機の吹出口の形状を変更 消火器きょう体をステンレス製に変更 |
5-2次車 | 平成18年 | 5184F(4、5号車を除く) | 種別表示の各停色をターコイズグリーンに変更 |
6次車 | 平成20年 | 5185F~5187F(4、5号車を除く) | 側引戸窓を二層タイプに変更 側引戸の車内側に化粧板及びマーキングを張付 側引戸のクツズリに黄色のマーキングを取付 妻引戸に化粧板を張付 車側扉開灯をLEDタイプに変更(既製車も取替) |
8次車 | 平成20年 | 5188F~5190F(4、5号車を除く) | 側引戸かもい下部にドア開閉表示灯を設置 補助排障器を強化型に変更 空気圧縮機をスクロール式に変更 裾仕切りを7000系同等品に変更 握り棒の形状を変更(優先席部を除く) 前面非常扉部の非常用はしごを小型化 側引戸かもい部のきょう体形状を変更 車掌スイッチを関節制御式に変更(既存車も改修) |
(15次車) | 平成29年 | デハ5489←6301、デハ5490←6302 | ※6000系からの編入(15次車相当) 荷棚を板状に変更 妻引戸を水平式に変更 |
17次車 | 令和3年 | デハ5484、5486、5487 サハ5584、5586、5587、5589、5590 |
つり革を二等辺三角形の抗菌タイプ(JR東日本E233系同等品)に変更 化粧板、床敷物を変更 裾仕切り形状を変更 |
18次車 | 令和4年 | デハ5481、5482、5483、5485、5488 サハ5581、5582、5583、5585、5588 |
17次車と同様 |
編成表
現行の8両編成(令和4年2月~)かつての6両編成(平成15年1月~令和4年10月)