系列概要
10両になった5050系
東横線は地下鉄副都心線との相互乗り入れに向けて、特急・通勤特急・急行(一部)の10両化が決まっていました。そこで導入されたのがこの東急5050系4000番台です。本系列の登場前は4000系と新型車両の登場がうわさされましたが、結局のところは既存の5050系を4000番台で区分することに落ち着きました。外見などは従来の5050系と全く同様ではありますが、側引戸上かもい部のTIPが15インチから17インチワイドへ、座席上の荷棚が金網から板状にそれぞれ変更されるといった変化が見られます。
当初は4103Fまでが8連にされた上で東横線で運用。今では見られない各駅停車の運用も見られました。4104F~4106Fはメトロ・東武・西武にハンドル訓練を兼ねて貸し出され、それぞれの路線で先行して営業運転を開始。運用の関係で地下鉄有楽町線内にも乗り入れ、終点の新木場まで乗り入れています。現在の定期ダイヤでは同線に乗り入れないため、貴重なシーンとなりました。その後、8連で運用に就いていた編成も、乗り入れ開始を控えた平成25年3月までに全編成が10連に戻り、現在は特急・通勤特急及びラッシュ時を中心とした急行で見ることができます。
平成25年4月には、渋谷ヒカリエの開業1周年を記念して特別装飾を施したShibuya Hikarie号(4110F)が営業運転を開始しました。各車両にはヒカリエ内の施設をイメージしたオリジナルの内装が採用され、カラフルなつり革やハイバックシートを採用するなど、これまでの東急車とは一線を画する空間を演出しました。また、車体幅が5000系と同様の2,800mmとなっており、田園都市線の旧新玉川線区間である渋谷~二子玉川間にも乗り入れが可能に。イベント時などで他線での使用も考慮されたものとなっていますが、令和6年時点で同区間への入線実績はありません。
編成数の増加とQシート車両の組み込み
令和元年に5178Fが出場した際、同時にデハ4611、サハ4711が姿を見せ大きな話題となりました。しかし、甲種輸送から1年ほど動きが見られず様々な憶測もありましたが、結果的には5173Fが4111Fに改番され、これらの中間車も組み込み10連化を果たしました。この動きはその後も続き、5173Fと5166F~5169Fが4112F~4115Fにそれぞれ改番ならびに10連化を実施。これらの編成は増結中間車がQシート車両とされ、1編成に2両を組み込む大盤振る舞いとなりました。そのQシートは、東横線渋谷→みなとみらい線元町・中華街の区間で令和5年8月にサービスを開始しましたが、路線の性格の違いもあってか大井町線ほどの成功は納められなかったのか、1年足らずで着席サービスの提供を1両のみに縮小しました。なお、このような事態も想定していたのか、Qシート未組込編成と電動車の位置を変更しており、同編成の5号車とQシート組込編成の4号車をトレードすることで、より多くの編成にてQシートを提供できるように考慮されています。こればかりは旅客動向に左右されるでしょうから、実際組み換えをするには判断が難しい部分ではあるでしょう。
車両データ
編成 | 東横線・東急新横浜線用10連(5M5T) |
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車両性能 | 設計最高速度:120km/h 起動加速度:3.3km/h/s 減速度:3.5km/h/s(常用最大)、4.5km/h/s(非常) |
台車 | ボルスタレス空気ばね台車 TS-1019A(電動車) TS-1020A(付随車) |
駆動装置 | TD継手式平行カルダン駆動方式 歯数比14:87=6.21 |
主電動機 | 三相かご形誘導電動機 190kW |
制御装置 | IGBT-VVVFインバータ制御(日立) |
制動装置 | 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用) |
保安装置 | ATC-P 新CS-ATC T-DATC ATO 東武式ATS 西武式ATS ATS-P TASC |
表示装置 | 前面行先表示器、前面種別表示器、側面行先表示器 車内LCD案内表示器 |
次車 | 製造年度 | 該当車 | 仕様 |
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6次車 | 平成19年 | 4112F、4113F(下記車両を除く) | ※5050系からの編入 |
7次車 | 平成20年 平成21年 |
4114F(下記車両を除く) デハ4601、4602、4604 |
側引戸かもい下部にドア開閉表示灯を設置(既製車も設置) 補助排障器を強化型に変更 空気圧縮機をスクロール式に変更 裾仕切りを7000系同等品に変更 握り棒の形状を変更(優先席部を除く) 前面非常扉部の非常用はしごを小型化 側引戸かもい部のきょう体形状を変更 車掌スイッチを関節制御式に変更(既製車も改修) ※5000系、5050系からの編入 |
8次車 | 平成20年 | デハ4603 | 車体側面を全面ベルトグラインド仕上げに変更 ※5000系からの編入 |
9次車 | 平成22年 | 4111F、4115F(下記車両を除く) | 側引戸車内側のマーキングを印刷に変更 ※5050系からの編入 |
10次車 | 平成23年 | 4101F~4106F(上記車両を除く) | 5050系4000番台初期 荷棚を板状に変更 TIPの伝送システムをデジタル化し、17インチワイド化 主制御装置をHiGT適用の新型に変更 |
11次車 | 平成24年 | 4107F~4109F | 台車の軸ばね箱の構造を変更 |
12次車 | 平成25年 | 4110F | 前照灯をLED化 室内灯をLED化 日立製冷房きょう体の側面のリブを省略 車端部の裾部に転落防止ホロを設置(12次車のみ) |
16次車 | 令和元年 | デハ4611 サハ4711 |
内装に2020系の意匠を取り入れ 床面デザイン、車椅子スペースの手すり形状を変更 側引戸の化粧板を艶消しの滑りやすいものへ変更 側面腰部の赤帯を細いタイプに統一 車内床面の車椅子・ベビーカーマークを省略 |
18次車 | 令和4年 | デハ4512~4515 サハ4412~4415 |
Qシート車両として製造 |
編成表
現行の10両編成(平成23年5月~)Qシートを組み込んだ編成(令和4年8月~)
過去の暫定8両編成(平成23年9月~平成25年3月、平成26年3月~令和元年7月)
車内
基本的には5050系の両数違いでしかないので、内装は同系列のままです。かつては白い袖仕切りを持つ7次車以降のみの存在でしたが、改番により6次車も登場したことでE231系同等品の袖仕切り(成型色は異なります)も本系列で見られるようになりました。