東急2020系

系列概要

白い屋根をまとう次世代車両

東急2020系は、5000系に代わる次世代車両として平成29年に登場しました。
5000系では成し遂げられなかった8500系などの淘汰に向けて、同系列の登場以後の技術革新をふんだんに取り入れ、これまでは東急オリジナルとしていた足回りなどの機器面でもJR東日本のE235系をベースとすることで、更なるコストダウンを実現しています。また、駆動装置では東急初となるWN駆動が採用されました。

外観の特徴として、サハ5576で試用されたレーザ溶接が本格採用され、アルミ車さながらの出っ張りの無いフラットな外観を実現した車体側面が大きな見所です。そんなシンプルな外観を最大限に生かそうとしたのか、車番などの表記類は1か所にまとめられ、カラー帯はホームドア越しでも識別できる幕板部のみに配し、ステンレス地は敢えて多く残すことで8500系をほうふつとさせる、新たなステンレス車としての姿を提案しました。外観にはコーポレートカラーである赤色を配していませんが、鉄軌道事業が分社化した今に思うと、その赤色にとらわれない、寧ろ沿線のデザインや色調と調和した方向へシフトさせたかったように思います。

当初は32本を導入する計画でしたが、コロナ禍を経て田園都市線の所要本数が減少したこともあり、2本少ない30本が令和4年までに出そろい、2000系・8590系・8500系の全編成を置き換え同線の主力として活躍します。

車両データ

編成 田園都市線用10連(5M5T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用最大)、4.5km/h/s(非常)
台車 ボルスタレス空気ばね台車
TS-1041(電動車)
TS-1042/A(付随車)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 全閉外扇三相かご形誘導電動機 140kW
制御装置 MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
保安装置 ATC-P(東武式ATS内臓) 新CS-ATC
表示装置 前面行先表示器、前面種別表示器、側面行先表示器
車内LCD案内表示器
次車 製造年度 該当車 仕様
1-1次車 平成29年 2121F 2020系初期
1-2次車 平成29年 2122F、2123F
デハ2326、2327
先頭車のSRアンテナを2本に増設(2121Fにも追設)
※デハ2326、2327は6020系デハ6321、6322からの編入(2020系1-2次車相当)
2次車 平成30年 2124F~2129F
(上記車両を除く)
 
3-1次車 令和元年 2130F 付随車の側引戸間腰掛を6人掛けに変更し、車内戸袋上部の広告掲出部の形状を変更
3-2次車 令和元年 2131F~2135F 車体の社章および銘板をTOKYU RAILWAYS、東急電鉄にそれぞれ変更(分社化対応)
4-1次車 令和2年 2136F、2137F  
4-2次車 令和2年 2138F~2140F 誘導無線を省略
5次車 令和3年 2141F~2149F  
6次車 令和4年 2150F  

編成表


車内

住居のリビングルームを思わせるナチュラル系の木目調が多用されており、室内灯の色温度も相まってあたたかみのある雰囲気を演出しています。袖仕切りは車内が広く見えるよう、枕木方向の面積を少なくしたデザインが取り入れられています。
背ずりには、5000系の6ドア車置き換え用付随車でも採用されたハイバックタイプが用いられましたが、戸袋部に設けられていたヘッドレストは省略されています。モケットはE235系と色調こそ同じですが、柄は腰掛を含めてオリジナルです。

また、かつて5000系において6ドア車が連結されていた4、5、8号車は依然として混雑が集中する傾向があり、令和元年に登場した2130Fよりそれらの側引戸間を6人掛けとすることで、側引戸横のスペースをねん出し流動性改善を図っています。