西武車両紹介

10000系

編成 7両編成(4M3T)
車両性能 設計最高速度:●110km/h、☆120km/h
起動加速度:2.7km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、●4.0km/h/s(非常)、☆4.5km/h/s(非常)
駆動装置 ●WN駆動方式
☆WN駆動方式
歯数比15:86=5.73
主電動機 ●直流直巻電動機 150kW
☆三相かご型誘導電動機 135kW
制御装置 ●抵抗制御(日立)
☆IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 ●電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
☆電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
老朽化した特急車両5000系(引退)の置き換え用として、平成5年に登場した系列です。「ゆとりとやすらぎの空間」をコンセプトに設計され、同系列と比較し、ゆったりとしたシートピッチの実現や車内案内表示器、公衆電話の設置。さらに車いす利用者に配慮したシートやトイレを設けるなど、バリアフリーにも対応しています。製造保有面での合理化・平準化を図るべく101系などから制御装置や主電動機といった走行機器が流用されており、制動装置では西武秩父線での勾配区間対応として抑速ブレーキを搭載しています。
平成15年に1本が増備され、新しいタイプの座席の採用や行先表示器のLED化、走行機器のIGBT-VVVFインバータ化などの変更が行われています。また既存車にもリニューアル工事が実施され、車内においては増備車と同等の仕様となりました。
平成23年11月には、10105編成が5000系の塗装色に変更され、「レッドアロークラシック」として池袋線・西武秩父線にて運用されましたが、令和3年に引退を迎えました。現在は新宿線の「小江戸」専属で活躍します。日立製作所製。

編成表

40000系

編成 10両編成(5M5T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.55km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比14:87=6.21
主電動機 永久磁石同期電動機 190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
30000系に続く西武の標準車両で、平成29年に登場しました。同系列と大きく異なるのは地下鉄直通を念頭に置いたことから前頭部に非常扉を有する点で、また直通先の建築限界の関係で再びストレート車体とされました。まずは有料座席指定列車のS-TRAIN向けに、西武初となるL/Cシートを装備した0番台を製造。長距離移動を考慮してトイレも有します。続いて全席固定のロングシートとした50番台が投入されました。走り装置には、6000系6157編成で採用されたPMSMシステムを用いています。川崎重工(川崎車両)製。

編成表

30000系

編成 10両編成(5M5T)
8両編成(4M4T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比14:87=6.21
主電動機 三相かご型誘導電動機 165kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
西武の標準車両として平成19年に登場しました。地下鉄線内に乗り入れないこともあり、西武初となる拡幅車体の採用により定員増加を図ったほか、たまごをモチーフとした丸みのあるデザインが内外装に取り入れられ、スマイルトレインの愛称を持ちます。側窓の天地寸法は数あるA-Trainの中でも大きく取られているほか、多くの手に触れる箇所の握り棒は指紋が付きにくいBA仕上げとされているのが特筆されます。当初は8連と2連が製造され、2000系の流れを汲んだ組成・運用をこなしていましたが、平成25年には10連も登場しました。令和2年には、全編成の前照灯がLED化されています。日立製作所製。

編成表

20000系

編成 10両編成(5M5T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:101=6.31
主電動機 三相かご型誘導電動機 135kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
かねてから主力の101系のうち、低運転台を有する初期車の置き換え用として平成12年に登場しました。シンプル&クリーンをコンセプトに6000系の後期車で採用されたアルミ車体を踏襲しましたが、ダブルスキン構造のモジュールを組み立てる新方式の製造手法が取り入れられ、後に製造を担当した日立製作所が"A-train"として提唱するきっかけを作った系列です。
制御装置には西武初のIGBT-VVVFが採用されたほか、ドアチャイムやLED式車内案内表示器を設置、更に増備途中からは床面高やつり革高を低くするなどバリアフリーにも磨きがかかっています。その一方で従来車からある通風器は引き続き設けられており、ラッシュ時の車内環境改善に一役買っています。平成27年から翌年にかけて行先表示器がフルカラーLED化されたほか、令和2年に全編成の前照灯がLED化されました。
8連と10連が製造され、多くは新宿線と池袋線で優等運用にて使用されています。

編成表

9000系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.8km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比15:86=5.73
主電動機 三相かご型誘導電動機 135kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
抵抗制御である101系に新2000系の車体を組み合わせた車体更新車で、平成5年に登場。10連化の推進に向けて新宿線に投入されました。見付は新2000系そのもの(戸袋窓は同系列8次車~9-1次車でみられた大型タイプ)ですが、電気連結器が省略されているほか、前頭部の手すり類が黒色である点が相違点となります。平成15年より制御装置のIGBT-VVVFインバータ化が行われ、20000系に準じた走り装置に換装。区別のため、前面には省エネをアピールするステッカーを張り付けました(写真)。その後、40000系の導入で3本が廃車となったほか、多摩湖線へのホームドア設置に伴い4ドア車のねん出が必要となり、4両への減車ならびにワンマン改造を受け令和3年までに全5本が転出。10連時代に塗り替えられた紺色や赤色の塗装は引き続き保持しています。西武所沢車両工場最後の製造かつ西武最後の黄色い車両です。

編成表

6000系

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:101=6.31
主電動機 ●全密閉三相かご型誘導電動機 170kW
☆全閉永久磁石同期電動機 190kW
制御装置 ●MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
☆IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
地下鉄有楽町線への直通用車両として平成4年に登場した系列で、同線と接続する池袋線に投入されました。従来の101系や2000系などにあった黄色の電車から大きくイメージが変わり、新たな西武車両のイメージを確立しています。西武としては初となる10両固定編成で、車番の付加方式も営団に合わせたものとなりました。平成8年以降の製造車では車体構造がステンレスからアルミに変更、更に翌年度以降は戸袋窓も省略され、今日ではラッピング広告の編成として重宝されます。
平成18年から副都心線への乗り入れ対応改造が開始され、特に外観面では識別のため前面オオイ部が銀色から白色に変更され、さわやかな印象へと変化しました。改造の対象外とされた量産先行車2本は新宿線に転属し、登場時から変わらない銀色の前面オオイを残しながら活躍を続けています。40000系の導入により、ステンレス車が順次新宿線に転属しているほか、令和5年度を以てアルミ車の地下鉄乗り入れが終了しています。ステンレス車(写真)は東急製、アルミ車は日立製。

編成表

4000系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.3km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比15:86=5.73
主電動機 直流直巻電動機 150kW
制御装置 抵抗制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
秩父鉄道への直通用車両として、昭和63年に登場しました。同線内における西武のコーポレートカラーのアピールとして、8500系に倣い白地に青・赤・緑の三色の帯を配したライオンズカラーをまといます。車体は普通鋼製ながら、屋根部など腐食が発生しやすい箇所ではステンレスや耐候性鋼を随所に用いることで長寿命化に寄与しました。車内は固定式のボックスシートを主体に、戸袋部および車端部をロングシートとしたセミクロスシートとなっておりトイレも有します。
長らく土休日ダイヤの快速急行・急行にて池袋に乗り入れていましたが、令和2年のダイヤ改正で飯能発着に短縮。運行区間は短くなりましたが、引き続き2本をつなげた8連での活躍も見られます。譲受が決定している東急9000系の導入を前に、令和6年より廃車が始まっています。東急車輛製。

編成表

新2000系

編成 8両編成(6M2T)、6両編成(4M2T)
4両編成(3M1T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.6km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 直流複巻電動機 130kW
制御装置 界磁チョッパ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
2000系のうち、昭和63年以降に登場した編成は内外装を大きく改良し、新2000系として区別されます。前面は表示器や窓の周りを黒く縁取り、前者においては灯具類も黒縁に含めることで一体感のあるスタイリッシュな雰囲気を演出しています。側窓は一枚降下式として天地寸法を拡大したほか、戸袋窓が復活し開放的な車内空間を追求。また、製造時より補助排障器および側面行先表示器を装備しました。平成19年よりリニューアル工事が行われ、字幕表示器はフルカラーLED式に換装。30000系同等のカラースキームとされた車内では座席のバケットシート化のほか、側引戸かもい部にLED式車内案内表示器を千鳥配置にて設置。なお戸袋窓は廃止され、車内側には広告枠が取り付けられました。2000系に続く格好で令和3年より廃車が発生しており、とりわけ支線向けにおいては、サステナ車両として小田急8000形および東急9000系が導入されることが決まったため、令和6年度以降は置き換えが更に加速するでしょう。西武所沢車両工場製のほか、車両デザインを手がけた東急車輛製が多く存在します。

編成表

2000系

編成 2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.6km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 直流複巻電動機 130kW
制御装置 界磁チョッパ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
これまで3ドア車を導入していた西武ですが、駅間の短い新宿線向けに乗降時間の短縮を図るべく導入した初の4ドア車で、昭和52年に登場しました。西武初の界磁チョッパ制御ならびに回生ブレーキを採用し、車体ではコストダウンや保守の容易化を狙い戸袋窓が廃されたほか、前頭部には有事の際の脱出経路を増やす目的で貫通扉を設けるなど当時は異端の存在でした。当初は6連で製造されましたが、増備途中ではホーム有効長の延伸により組み換えもおこない、8連のほか制御車を方向転換して新造制御電動車と組成した2連も誕生しています。
平成8年より更新工事が行われ、補助排障器を設けたほかシングルアームパンタグラフへの交換や電気警笛の採用、そして座席のバケットシート化を始めとする車内アコモの更新や自動放送装置、LED式車内案内表示器を設けるなどハード・ソフト両面で大きく変化しています。平成27年以降は廃車が進行し、令和6年時点で2連2本のみが残ります。西武所沢車両工場製。

編成表