小田急車両紹介


70000形

編成 7両編成(4M3T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.7km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比23:96=4.17
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
長らく活躍した7000形(LSE)の後継となる系列で、平成30年に登場しました。観光客に人気の高い展望席に代表される非日常性と、座席数を増やし全席にコンセントを設置することでビジネス利用を意識した日常性の両立が求められた結果、通常のボギー台車構造と展望席を併せ持つこととなり、歴代ロマンスカーにおいて初の組み合わせとなりました。車体塗色はバラをイメージしたローズバーミリオンを基本として、窓下にはやはりロマンスカー伝統のバーミリオンオレンジの帯をアクセントに配しています。VSEが定期営業から撤退した今日では、展望席のある唯一の特急ロマンスカーとして活躍しています。日本車輌製。

編成表

60000形

編成 6両編成(4M2T)、4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.7km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比19:79=4.16
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
地下鉄千代田線への直通運転をはじめとするマルチな運用ができるロマンスカーとして、平成19年に登場しました。文字通りマルチな運用が可能なことから、MSEの愛称が付けられています。先のVSEを意識したデザインがなされましたが、車体塗色は地下鉄線内でも明るく見えるようにフェルメール・ブルーが新たに用いられ、ロマンスカー伝統のバーミリオンオレンジはVSEと同様に窓下の帯に施しています。車内は同じボギー車であるEXEをベースとしたビジネス利用に重きを置いた設計ですが、VSEで採用されたドーム状の天井を継承するなど明るい雰囲気が取り入れられました。当初の目的である地下鉄千代田線直通のメトロはこねをはじめ、平成24年以降は20000形(RSE)に代わり、JR御殿場線へ乗り入れる運用でも使用されています。日本車輌製。

編成表

50000形(引退)

編成 10両編成(10M)
車両性能 設計最高速度:130km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比19:79=4.16
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 135kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
10000形(HiSE)の置き換えに向け、平成17年に登場しました。定員重視に舵を切った30000形のコンセプトを見直し、ロマンスカーの代名詞ともいえる前面の展望席が復活。乗り心地の向上を目的に、連接構造も再び採用されました。車内のアーチ状の天井から、Vaultを用いてVSEの愛称で親しまれます。10連を組みますが、連接車の関係で1両当たりの車体長が短いことから、編成長は20m級7連相当です。コロナ禍により、連接構造をはじめとする本系列独自の構造が維持管理にあたり障壁となり、ロマンスカーはこね号の本数減に併せて令和4年のダイヤ改正にて定期営業から離脱。以降はイベント列車で使用されたのち、令和5年12月に引退しました。日本車輌製。

30000形

編成 6両編成(3M3T、2M4T)、4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
WN駆動方式
歯数比15:98=6.53
主電動機 三相かご型誘導電動機 195kW
全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 150kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
3100形(NSE)の置き換えに向け、平成8年に登場しました。ロマンスカー伝統の連接構造を用いず通常のボギー車とされた車体には、座席数を増やすことで輸送力を高め、エレガントさを追求したデザインと併せてビジネス利用を強く意識した系列です。6連と4連の分割編成で製造され、中間に連結される先頭車は自動ほろ装置を設け、分割併合をおこなう相模大野駅において2分以内に作業を終えられるようになりました。しかしビジネス性の高さから観光目的の乗客からの評判は芳しくなく、平成29年以降のリニューアルにおいては内外装に明るいカラーリングを取り入れるなど刷新が行われました。足回りにも手が加えられており、制御装置はフルSiC適用の三菱製としたほか、駆動装置はWN駆動に改められました。また、6連・4連ともにMT比が1:1に引き上げられ、降雨時の自己粘着力が向上しています。日車、川重製。

編成表

5000形

編成 10両編成(5M5T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.7km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:101=6.31
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
通勤車の10両固定編成化の促進に向け、令和元年に登場しました。8000形以来となる拡幅車体で、車体側面は日車ブロック工法を用いて小田急初のベルトグラインド仕上げを施しています。前頭部では、左右の前照灯の間に装飾灯を設けているのが特徴で、最前部は白く、また最後部は赤く光り遠くでもよく目立ちます。川崎車両、日本車輌、総合車両の3社により製造され、それぞれのメーカが持つ技術が随所に盛り込まれています。

編成表

4000形

編成 10両編成(6M4T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.7km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比17:96=5.65
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
地下鉄千代田線乗り入れ車両の2代目として、平成19年に登場しました。将来的なJR常磐緩行線への乗り入れもにらみE233系2000代をベースに製造されましたが、前頭部はオリジナル設計とされたほか、車体側面は小田急ステンレス車の伝統ともいえる全面梨地仕上げに加え、帯シートは腰板部のみとされ3000形ほか既存車両との統一感を演出しています。主電動機は50000形(VSE)に続き6極のものを採用し、より回生性能が高められています。東急車輛(総合車両)製。

編成表

3000形

編成 10両編成(5M5T)
8両編成(4M4T)、6両編成(3M3T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比14:99=7.07、16:97=6.06
主電動機 三相かご型誘導電動機 180kW、190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
旧型車両の代替に向けて、平成13年に登場した小田急の標準車両です。地下鉄線に乗り入れない地上専用車として設計され、2400形以来となる裾絞りのないストレートな断面とされた車体構造が特徴で、また日車ブロック工法が取り入れられました。ブレーキ読み替え装置を搭載することで、電磁直通空気ブレーキを搭載した1000形以前との併結も可能となり、運用における高い汎用性を実現しました。1次車こそは2000形を引き継ぐかたちで側引戸開口1,600mmを基本とするワイドドア仕様で導入されましたが、2次車以降は他系列と同様の1,300mmに改められています。平成22年以降は10連化の促進に向け、6連および8連への中間車の増結が行なわれ、最終的に12本が10連化されました。令和4年より6連のリニューアル工事が始まりましたが、新宿寄り先頭車の電機連結器が撤去されており、6連は順次新宿口から撤退する見通しです。日車、川重、東急製。

編成表

2000形

編成 8両編成(4M4T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.7km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.7km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 三相かご型誘導電動機 175kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
2600形の置き換えに向け、平成7年に登場しました。1500形で採用されたワイドドアを改良のうえ、側引戸開口を1,600mmに改めることで座席定員の確保とラッシュ対応を両立しました。各駅停車の8連化促進のため地上専用車として登場しましたが、将来的には中間車2両を増結し地下鉄千代田線に直通できる設計とされています。前面の表示器類がLED化されたのは小田急の通勤型では本系列が初で、平成28年には側面を含めフルカラーLED式に換装されました。そのほかにも室内灯のLED化、袖仕切りの大型化、握り棒の交換などアコモデーションの改良も行なわれていますが、1000形のような大規模なリニューアルが行なわれる気配はなく、8連という今日では中途半端な両数であることも相まって今後の去就が注目されます。日車、川重、東急製。

編成表

1500形(引退)

編成 6両編成(4M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.7km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:101=6.31
主電動機 三相かご型誘導電動機 175kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ
平成に入り拡大が続いた朝ラッシュの輸送において、各駅での乗降時間短縮を図る目的で平成2年に登場しました。2,000mm(乗務員室直後のみ1,500mm)とされた幅広い側引戸が最大の特徴で、10両編成とした際に中ほどに来る5両では、ドア間の座席を折りたたみ式とすることで必要時は徹底した立席スペースを確保。側窓と妻面窓は油圧式の自動窓とされたことも特筆されます。しかし実際の営業では座席が折りたたまれることは無く、座席数の減少により閑散時には運用しづらいデメリットも目立つようになり、平成9年より2,000mmの側引戸開口を1,600mmとする改造が行われました。車内側は200mmずつ戸袋部を拡大させ、1000形と同等の7人掛け座席に交換されました。更に平成16年には4両編成の組み換えにより先頭車4両は中間車化され、全編成が6連となりました。以降6本の陣営でしたが、5000形の導入により令和2年より置き換えが進み、令和4年に静かに姿を消しました。東急、川重製。

1000形

編成 10両編成(5M5T)、4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.7km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:101=6.31
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 MOSFET-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
9000形に次ぐ地下鉄千代田線への乗り入れ車両として、昭和62年に登場しました。ステンレス車体およびVVVFインバータ制御を小田急で初めて採用し、同社の新たな潮流を築きました。ただ、ステンレス車特有の冷たいイメージを和らげるため、全面にわたりダルフィニッシュ加工が施されています。制動装置は、分割併合運用の多さから敢えて電磁直通空気ブレーキを踏襲し、在来車との併結を可能とすることで地上線内において柔軟な運用もこなせるよう配慮されました。平成26年には全車両に対するリニューアルが発表されましたが、およそ3分の1にあたる61両は廃車(4連1本は構内訓練車として現存)され、10連と4連で各7本ずつに整理されました。なお主制御装置のフルSiC化は世界初となり、第一陣となる1066×4のリニューアル直後は大きな話題となりました。車内においては、着席時に傘や杖などを引っかけられるよう座席前の床面に薄い金属板が張られているのが特筆されます。日車、東急、川重製。

編成表

8000形

編成 6両編成(4M2T)、4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご型誘導電動機 190kW
全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
SBD-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
9000形でも採用された界磁チョッパ制御を取り入れた汎用的な地上専用車として、昭和58年に登場しました。窓周りを黒色とすることで一体感を持たせたスケルトンスタイルが用いられ、ケースに収められた灯具類と含めスタイリッシュな雰囲気を演出しています。平成14年から平成26年にかけて全車がリニューアルを受け、空気圧縮機や補助電源装置が換装された(平成15年以降は主制御装置もVVVF化)ほか、寒色系だった車内は暖色系に改められました。中でも最後に更新された8059×4および8061×4(令和5年廃車)では、ハイブリッドSiC素子を適用した制御装置を他社に先駆けて導入しました。以降、制御装置が界磁チョッパ制御のままだった6連2本および6連1本が事故廃車となった他は全車が現役でしたが、令和4年より置き換えが始まりました。ケープアイボリーにロイヤルブルーの帯をまとう小田急最後の鋼製通勤車として今日も活躍を続けており、一部の車両は令和6年以降西武に譲渡される見通しです。川重、日車、東急製。

編成表