南海車両紹介

使用線区により、次のように色分けしております。

共通車両
南海線(支線を含む)
高野線

 


8300系

編成 4両編成(2M2T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:85=6.07
主電動機 全閉内扇式三相かご形誘導電動機 190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
SBD-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
8000系に続く既存車の置き換え用として、平成27年に登場しました。南海電鉄では旧帝國車輛工業との取引実績から、同社と合併した東急車輛への発注が長きにわたり続きましたが、7100系以来42年振りとなる地元大阪の近畿車輛に回帰しました。補修の容易性から前頭部は普通鋼製とされ、全閉内扇式かご形誘導電動機を国内の狭軌車両として初めて採用。極数は6極とされたことから、今までにはない甲高い磁励音を発するのが特徴です。1次車ではレーザ溶接痕を隠す意味合いもあってか側面戸袋部にグレーの帯シートが張られましたが、2次車以降では省略されています。令和元年には高野線用も製造され、晴れて同線に加え泉北高速鉄道線への進出を遂げました。後に本系列をベースに登場した泉北9300系とともに、令和5年にグッドデザイン賞を受賞しています。

編成表

8000系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比15:98=6.53
主電動機 三相かご形誘導電動機 180kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
7000系の置き換えに向けて平成19年に登場した系列で、種別・行先表示器には南海電鉄初となるフルカラー式LED表示器を有します。車体構造や車内の見付では東急車輛製ステンレス車の影響を多分に受けており、裾絞りを残しつつも雨どい分の出っ張りを引っ込めるべく六角形の断面形状とされた車体や、FRP製の大型袖仕切り、着席区分を明確化させ隙間にゴミなどを挟みにくくした座席形状(一人当たりの着席幅は1000系より5mm拡大した460mm)、握り棒が多く設置された車内には関東味を感じさせます。走行機器類の基本設計は1000系を踏襲したことで同系列との併結も可能ですが、最近では2本をつなげた8連(写真)のほか、8300系2連をつなげた6連を目にする機会が多くなっています。製造元が総合車両に変更された後も平成26年まで増備が続きました。これまで南海線でのみ使用されましたが、同線のワンマン運転に向けて8300系とトレードする格好で令和6年に高野線に進出しました。

編成表

2300系

編成 2両編成(2M)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.1km/h/s
減速度:3.8km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:85=6.07
主電動機 三相かご型誘導電動機 100kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東洋)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
高野線のうち、こうや花鉄道の区間(橋本~極楽橋間)における2両編成での運行にあたり平成17年に登場しました。当初は2200系同等の車体装飾を予定していましたが、平成14年に高野山がユネスコの世界遺産に登録されたことを受け、根本大塔の朱色をモチーフとした色使いを新たに採用。前面オオイ部には朱色の塗装を施し、側面にもグラデーションの帯シートを配することでイメージを一新しました。車内では一部箇所を除き2+1列の転換クロスシートが用いられ、扉間の側窓は天地寸法が100mm拡大されたことも相まって観光列車に相応しい仕様とされました。制御装置は日立製で固められている南海電鉄では珍しい東洋製で、同社では唯一の存在となっています。東急車輛製。

編成表

1000系

編成 6両編成(4M2T)
4両編成(2M2T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 三相かご形誘導電動機 180kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(日立)
IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
平成4年に登場した系列で、南海線と高野線の双方で使用できるハイグレードな一般車を目指して設計されました。前頭部は連結ほろの台座も含めて傾斜させることでスピード感のあるフォルムを演出しました。ステンレス車ながら妻面を含め全体に塗装がなされているのが最大の特徴で、それを前提としたのか当時のステンレス車特有の合わせ目が省略されています。なお、最終増備車となった1051Fのみ塗装は行われず通常のステンレス地とされ、制御装置もIGBT-VVVFインバータ制御とされました。
平成28年よりリニューアル工事が行われ、種別・行先表示器のフルカラーLED化、自動放送装置や側引戸かもい部のLCD式車内案内表示器の設置、座席モケットの更新といった旅客面における改良がなされました。令和2年に1051Fを除く全編成で完了しています。なお殆どは南海線の所属で高野線としては6連、4連、2連の1本ずつと少数派で、中でも4連は先述した1051編成で高野線のみで見られます。東急車輛製。

編成表

2000系

編成 4両編成(4M)、2両編成(2M)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.1km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:85=6.07
主電動機 三相かご形誘導電動機 100kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
老朽化した山岳直通車両の旧ズームカー置き換えに向け、平成2年に登場した17m級の小型車両です。南海電鉄初となるVVVFインバータ制御を採用し、歴代のズームカーと同様に全電動車とすることで急勾配でも強力な踏面粘着力を確保しました。
21世紀に入り、こうや花鉄道の区間(橋本~極楽橋間)では利用者の減少を踏まえ2両編成での運行を検討しましたが、本系列は2両編成単独の運行を想定した機器類の冗長化がなされていなかったことから2300系への置き換えが行われ、製造から僅か15年で第一線から退く編成が発生しました。余剰となった編成は高野線の橋本以北に活躍の場を移したほか、7100系の置き換えとして平成19年に南海線へ転属。高野線向けがなんばのホームドアの関係で急行で使用されるのに対し、専ら普通車にて活躍しています。南海線所属車ではドア数の少なさから、前面助士側の窓ガラスに「2扉車」と書かれたプレートを掲出し利用者に周知しています(写真)。両線ともに固定運用が組まれており、駅の時刻表でも2扉車の表記があるため遭遇は比較的容易です。令和6年よりワンマン運転対応改造がなされた2連において、支線での運用が始まりました。東急車輛製。

編成表

9000系

編成 6両編成(4M2T)、4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:115km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 三相かご形誘導電動機 165kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
高野線に導入された8200系の南海線版として、旧1000系の置き換えを目的に昭和60年に登場しました。外観も8200系と非常によく似ていますが、前面窓は10000系に倣い天地寸法を拡大しており、製造時から補助排障器を装備します。また、かつては側面を含め緑の太帯をまとっていた関係で、腰板には帯シート張り付け用のベースが残っているのが主な相違点です。平成30年よりリニューアル工事が行われ、主制御装置のVVVFインバータ化をはじめ前照灯、種別・行先表示器のLED化、自動放送装置や側引戸かもい部へのLCD式車内案内表示器の設置に加え、同年に行った利用者アンケートをもとに選定した室内アコモデーションへの更新といった大規模な内容にて行われています。令和4年に全編成で完了したことで、南海電鉄から界磁チョッパ制御車が消滅しました。東急車輛製。

編成表

6200系50番台

編成 6両編成(3M3T)
車両性能 設計最高速度:115km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 三相かご型誘導電動機 200kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
昭和57年に登場した8200系をルーツとする形式で、平成25年に開始された主制御装置の更新にあたって6200系と同等の性能となることから、改番のうえ同系列に編入され6200系50番台としてのリスタートを切りました。電機連結器も設置されたことから6000系や6300系との併結も実現し、運用の範囲が広がっています。また、全電気指令式とされた制動装置には近鉄シリーズ21の同等品が用いられており、緩解時は同系列で馴染み深い音を聴くことができます。東急車輛製。

編成表

3000系

編成 8両編成(4M4T)、6両編成(4M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 直流直巻電動機 145kW
制御装置 抵抗制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
元は泉北高速鉄道3000系で、昭和50年に登場した系列です。平成24年のダイヤ改正で朝ラッシュ時の編成見直しが行われ、その結果余剰となった4連3本と2連1本が南海電鉄に譲渡されました。勾配による運用の制約を受けず、かつ鋼製車体を持つ7100系の置き換えができることから南海線に配属され、平成25年に営業運転を開始しました。8連と6連にて1本ずつ固定編成を組み少数派ではありますが、普通車から空港急行まで他の系列と共通で運用に就いています。なお種車はセミステンレス車で、同社内では唯一の存在です。東急車輛製。

編成表

6200系

編成 6両編成(4M2T)、4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 直流直巻電動機 145kW
三相かご形誘導電動機 200kW
制御装置 抵抗制御(日立)
IGBT-VVVFインバータ制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電/回生ブレーキ併用)
電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
6100系に続く高野線向けの大型車として、昭和49年に登場しました。電車線電圧の昇圧後ということもあり、複電圧対応を取りやめた電装品のほか、前面を切妻とした車体構造によりコストダウンを図っています。平成21年より4連においてVVVFインバータ制御への更新工事が始まりましたが、これはあくまで床下機器の冗長性確保を主軸に置いたもので、多くの編成は製造から40年余りが経過した今日でも大きな更新の動きは見られず、引き続き全車が営業に就いています。東急車輛製。

編成表

7100系

編成 6両編成(4M2T)、4両編成(2M2T)
2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 複巻直巻電動機 145kW
制御装置 抵抗制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)


6000系の南海線版にあたる7000系のマイナーチェンジ車で、昭和48年に登場しました。先に登場した6100系と同様に側引戸は両開きとされ、 側窓は操作の容易性から一枚降下式とする改良がなされました。既に6000系でステンレス車体が採用されたなか7000系同様に鋼製車体をまといますが、南海線は高野線と比べて踏切が多く、事故発生時の修繕を容易にするため敢えてステンレス車体を用いなかったことが背景にあるといわれています。8000系などへの置き換えにより全盛期の4割にまで減少しましたが、特急サザン(10000系)の自由席車をはじめ、空港急行(写真)や普通車、また加太線に至るまで広く活躍が見られます。東急、近車製。

編成表

6300系

編成 6両編成(4M2T)、4両編成(2M2T)
2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 直流直巻電動機 145kW
制御装置 抵抗制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
昭和45年に登場した6000系のマイナーチェンジ車で、両開きとされた側引戸や一枚降下式に変更された側窓が外観上の主な変化点です。登場時はパイオニアⅢ台車を装備し6100系と称しましたが、乗り心地の悪さや他系列との併結において課題が残り、平成8年より実施の更新工事を兼ねた台車換装時に、現在の6300系に改番され現在に至ります。東急車輛製。

編成表

6000系

編成 4両編成(2M2T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比16:85=5.31
主電動機 直流直巻電動機 145kW
制御装置 抵抗制御(日立)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
沿線のとりわけ平坦区間での宅地化により利用客が急増した高野線において、輸送力の向上を図るために昭和37年に登場しました。南海電鉄初のオールステンレス車で、当時製造されていた東急旧7000系や京王3000系が18m級の中型車であったのに対し、21m級車体を持つ大型車としては国内初のケースとなった記念すべき系列です。また、側引戸は現存する南海電鉄一般車としては唯一すべて片扉となっているのが特徴です。
昭和60年には更新工事が開始され、冷房設置にあたり重量増に対応できないパイオニアⅢ台車は姿を消すこととなり、S型ミンデン台車またはミンデンドイツ式台車へ換装されています。製造から57年もの長きにわたり廃車の発生もなく第一線で活躍してきましたが、令和元年より8300系による置き換えが始まっています。東急車輛製。

編成表

2200系(消滅)

編成 2両編成(2M)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:2.1km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比12:83=6.92
主電動機 直巻直巻電動機 90kW
制御装置 抵抗制御
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
昭和44年に登場したズームカーの22000系の更新車として、平成6年に登場しました。当初から支線のみの運用を想定された2230系と異なり、更新後も高野線での運用を見越して車体のかさ上げは行われず、併結に備えて前面はホロ枠も存置されています。その後しばらくは高野線で活躍しましたが、2000系の増備により支線用に転属しました。平成12年にはワンマン改造がなされ、ドアチャイムや自動放送装置を装備しています。3本が改造されましたが、うち1本は観光列車「天空」の種車に供され高野線に里帰り。残った2本が主に多奈川線で活躍していましたが、令和5年から翌年にかけワンマン運転対応改造を施した2000系に置き換えられ、2本とも銚子電気鉄道に譲渡されたため消滅しました。東急車輛製。

2230系

編成 2両編成(2M)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:2.1km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比12:83=6.92
主電動機 直巻直巻電動機 90kW
制御装置 抵抗制御
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
昭和44年に登場したズームカーの22000系を源流としており、非冷房車が残る汐見橋線、高師浜線、多奈川線といった支線向けに転用する目的で平成5年に登場しました。2連単独で使用されることから前面のホロ枠が撤去されているのが2200系との相違点で、また車体は60mmかさ上げされました。平成12年にはワンマン改造がなされ、ドアチャイムや自動放送装置を装備しています。3本が在籍し、主に汐見橋線で活躍しています。2200系同様に令和6年以降、ワンマン運転対応改造を施した2000系に置き換えられる見通しです。東急車輛製。

編成表