名鉄車両紹介

9500系・9100系

編成 4両編成(2M2T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:130km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比17:96=5.65
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 SBD-VVVFインバータ制御(東芝、三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
5700系(引退)や6000系といった旧型車両の置き換えを目的に、3300系・3150系の後継車両として令和元年に登場したのが9500系(4連)です。車体に大きな変更はありませんが、前頭部の灯具類を刷新しており、デザイン性の高いLED製とすることで新たにシャープな印象を与えています。制御装置には、新たにハイブリッドSiCを採用しました。ボルスタ付き台車を装備し、車内もオールロングシートとしており4000系の設計思想を継承しているほか、全車両にフリースペースが設置されており、その手すりには立席利用時に腰掛けられるよう腰当が巻かれています。このうち2連は9100系に区分され、令和2年より投入が進められています。

編成表

5000系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:130km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比17:82=4.82
主電動機 直流複巻電動機 150kW
制御装置 界磁チョッパ制御(東芝)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
老朽化した7000系列(引退)の置き換えを目的として、平成20年に登場しました。いわば1000系の機器流用車であり、同系列が特急政策の見直しにより全車特別車から一般車を連結した一部特別車特急に組み替えられた際に発生した台車や制御装置、パンタグラフ、クーラーなど多くの機器類を流用しており、3300系同等の車体と組み合わせた格好です。車内床面には点検蓋を有しており、日車式ブロック工法の車体で直流電動機を持つ唯一の事例です。高速性能車両である種車の関係から異系列との併結はしませんが、本系列を2本つないだ8連はオールロングシートと合わせてラッシュ時にその威力を発揮します。

編成表

4000系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比17:96=5.65
主電動機 全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
瀬戸線用の系列で、他線からの転入で賄われてきた6000系列の淘汰に向けて平成20年に登場しました。前頭部までステンレス製とすることで完全無塗装化を実現したほか、曲線の多い同線の特性を踏まえて台車はボルスタ付きに回帰しているのが特徴です。車内は混雑緩和の観点からオールロングシートとされており、名鉄としては初となる全ての側引戸かもい部にLCD式車内案内表示器を設け、案内提供の充実化を図っています。平成26年までに18本が増備され、旧型車両を一掃するとともに瀬戸線の主力として活躍します。

編成表

3300系・3150系

編成 4両編成(2M2T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:130km/h
起動加速度:3.3km/h/s
減速度:3.7km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比17:96=5.65
主電動機 三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱、東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
21世紀を迎え、300系をベースに開発した名鉄の標準車両で平成16年に登場。3300系が4連、3150系が2連にそれぞれ区分されます。300系と同じくステンレス車体をまといますが、建築限界を考慮したのか車体裾に傾斜が設けられ、裾絞りとなっているのが特徴です。行先表示器は従来の字幕式に代わり反射型LCD表示器(オーロラビジョンR-STAY)が採用されたほか、車内はやはり300系と同じく転換クロスシートとロングシートを半々で設けることで、通勤需要と行楽需要の両立を図りました。平成27年以降は前頭部を黒色基調とした新たなデザインとされ、在来車も平成30年までに順次変更を受けました(写真)。なお、3306編成は予備車確保の関係で唯一瀬戸線に所属しており、今日に至るまで登場時の意匠を残しています。

編成表

300系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:120km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 WN駆動方式
歯数比17:96=5.65
主電動機 三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱、東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
専ら小牧線で使用される系列で、上飯田連絡線(味鋺~平安通間)の完成に伴う地下鉄上飯田線との相互直通運転に向け、名鉄の乗り入れ車両として平成14年に登場しました。名鉄初のステンレス車ですが、前頭部は修繕の容易性から引き続き普通鋼とされています。また、200系以来の20m級4ドア車で、新たに側引戸を5mごとの等間隔に配置したのがポイントです。車内は転換クロスシートとロングシートを半々で設けることで、通勤需要と行楽需要の両立を図っています。本系列の導入により、従来小牧線で運用されていた18m2ドア車、3ドア車の5700系(引退)や6000系列などを一掃し、同線の近代化が図られました。

編成表

3700系・3100系

編成 4両編成(2M2T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:130km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比17:96=5.65
主電動機 三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(東洋)
IGBT-VVVFインバータ制御(東芝、三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
3500系に改良を加えた系列で、平成9年に登場しました。3700系が4連、3100系が2連にそれぞれ区分されており、車体断面はこれまでの卵形から垂直に改められ、車内も広くなっているのが大きな特徴です。また、シングルアームパンタグラフを初採用したことに加え、冷房装置が変更されていることもあり、遠目でも比較的容易に判別可能です。更に3100系ではIGBT-VVVFインバータ制御を採用するなど、技術革新を積極的に取り入れました。また、同系列では特急型車両やステンレス車両との併結時に一体感を持たせる目的で、車体側面を白色基調とした新塗装への変更が進められています。

編成表

3500系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:130km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比17:96=5.65
主電動機 三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(東洋、三菱、東芝)
IGBT-VVVFインバータ制御(東洋)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
長きにわたり増備された6000系に代わり平成5年に登場した系列で、名鉄初となるVVVFインバータ制御および電気指令式ブレーキを採用しました。前面には電気指令式ブレーキを意味するECBのロゴが取り付けられており、製造時から補助排障器が設置されたことを含め遠目からも容易に識別が可能です。主制御装置は3社により製造されましたが、各メーカともに設計元が東洋なのか、同社寄りの励磁音を発します。合計136両が製造され、名鉄の最大勢力を誇ります。平成25年より、制御装置や補助電源装置を換装する機器更新を受けているほか、一部の編成では、車いすスペースやドアチャイムの設置に加え、化粧板や床敷物の交換がなされ、グレーを基調とした寒色系が新たに取り入れられました。なお、卵形の断面を持つ車両は本系列が最後となり、ひと昔前の名鉄らしさを感じさせる最後の形式といえます。

編成表

6800系

編成 2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比15:84=5.6
主電動機 直流複巻整流子電動機 150kW
制御装置 界磁添加励磁制御(三菱)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
6000系のまま増備が続いた2両編成の省エネ車両として、昭和62年に登場しました。回生ブレーキの採用は6500系と同様ながら、より安価な界磁添加励磁制御が新たに採用されました。当初は6500系同様の車体でしたが、6809編成以降は大幅な変更を受け、前頭部にはデザインに重きを置いた大型曲面ガラスを採用。側窓は3連続とされ新たに降下式とされました(写真)。
平成22年から翌年にかけ、後期に製造された12本がワンマン対応改造を受けているほか、令和5年には初期編成に廃車が発生しています。

編成表

6500系

編成 4両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比15:84=5.6
主電動機 直流複巻整流子電動機 150kW
制御装置 界磁チョッパ制御(東芝)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
界磁チョッパ制御による回生ブレーキを採用した6000系のモデルチェンジ車として、昭和59年に登場しました。やはり車内では快適性の重視からクロスシートを引っ提げ、寸法を改善することで居住性を改善しましたが、更なる混雑緩和への対応として平成4年製造の8次車は製造時からロングシートとされ、またクロスシートからの改造も半数近くの編成で進められました。非貫通とされた前頭部やケーシングされた標識灯が目を引きますが、6500系としては4連のみの存在で、同様の車体を持つ2連は従前の足回りである6000系として製造されています。また、6418編成以降は6800系同様に車体構造の変更を受けました。
令和3年以降、4本がワンマン対応改造を受けており、6000系の車体重整備と同様に若返りが図られている一方、令和5年に廃車が発生しています。

編成表

100系・200系

編成 6両編成(5M1T、3M3T)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:85=6.07
主電動機 直流整流子電動機 150kW
三相かご型誘導電動機 170kW
全密閉外扇式三相かご型誘導電動機 170kW
制御装置 界磁添加励磁制御(三菱)
GTO-VVVFインバータ制御(三菱)
IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
100系は地下鉄鶴舞線との相互直通運転に向け、名鉄の乗り入れ車両として昭和53年に登場しました。名市交側の車両規格の統一に合わせる格好で、名鉄初の20m級4ドア車かつオールロングシートとなりましたが、同社では機能の一点張りとならないよう、通勤型ながら乗車感覚は特急型とすることを基本方針としました。ロングシート車両としては初となる横引きのカーテンを採用し、大型の1枚固定窓にFRP製の窓枠という組み合わせも相まってさながら喫茶店の雰囲気が感じられます。このこともあってか、昭和55年に鉄道友の会よりローレル賞を受賞しました。
当初は4連で登場しましたが、のちに6連に増結されており、増結電動車では名鉄初のVVVFインバータ制御が採用されました。そのため、100系の全編成が2種類の制御装置を持っており、両者で特性を合わせる制御が取り入れられています。
200系は100系6次車として平成6年に1本(215編成)のみ製造されており、全ての電動車がGTO-VVVFインバータ制御とされました。なお、201編成となっていないのは、100系の増備の過程で車番不足に陥り、早期に200番台を使用していたことにより、それの続番となります。100系の登場から46年が経過していますが、今日に至るまで廃車は無く全車が現役です。

編成表

6000系

編成 4両編成(2M2T)、2両編成(2M2T)
車両性能 設計最高速度:100km/h
起動加速度:2.0km/h/s
減速度:3.5km/h/s(常用)、4.0km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比14:85=6.07
主電動機 直流整流子電動機 150kW
制御装置 抵抗制御(三菱)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
戦後初となる名鉄の本格的な通勤型車両として、昭和47年に登場しました。利用者の増加によりラッシュ時の混雑が問題となるにもかかわらず、2ドアクロスシート車両が投入されていた反省によるもので、ドア数こそ3ドアに増えましたが、当初はクロスシートを重視する考えが根強くクロスシート車両として導入されました。しかし、鉄道友の会からはクロスシートを有した通勤型車両として評価され、昭和48年に通勤型車両としては初となるブルーリボン賞を受賞しています。
平成9年より特別整備が進められ、車体補修や化粧板や床敷物の交換に加え、車いすスペースやドアチャイムの設置、また車体側面には新たに行先表示器を設けました。これと並行する格好で各支線区にてワンマン運転を実施することに伴い、平成9年から平成22年にかけて4連8本、2連17本が改造されました。このうち2連5本は広見線および蒲郡線で実施する運賃の車内収受対応のため、乗務員室直後に運賃箱を設置したほか、側引戸横に出入口等を表示する扉扱表示器を設けました。
その後、平成26年から令和2年にかけ、ワンマン運転対応の2連12本に対して車体重整備が施され、特別整備でも行われた車体補修などに加え、行先表示器のLED化のほか腰掛けモケットの張り替えや握り棒の新設などもなされ、車内は大きく姿を変えました。その一方で、車体重整備の対象から外れた編成は廃車が進行しています。

編成表