阪神車両紹介

1000系

編成 6両編成(3M3T)、2両編成(1M1T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.3km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご形誘導電動機 170kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
阪神なんば線の開業と、それに伴う近鉄奈良線への直通運転の準備が進む平成18年に登場しました。1000系以来のステンレス車ですが、レーザ溶接の採用により、側面吹き寄せ部両端の合わせ目が無くなり、スッキリとした外観を実現しています。カラーリングは9300系とは異なり、ビバーチェオレンジと呼ばれる黄色味の入ったオレンジ色とされました。これは、従来の赤胴車の色合いを残しつつ、9300系で物議をかもした(子会社に持つプロ野球球団の阪神タイガースのライバルチームである)読売ジャイアンツをイメージさせにくくする狙いがあります。既存車にも波及しているフルカラーLED式の行先表示器を阪神電車で初採用したのは本系列で、そのほかにもシングルアームパンタグラフや扉開閉予告灯も初採用となりました。6連のほかに2連が存在し、近鉄乗り入れ運用においては8連や10連も組成されます。近畿車輛製。

編成表

9300系

編成 6両編成(4M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.3km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご形誘導電動機 130kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
3000系の代替にあたって、阪神本線に乗り入れる山陽電車のほか、競合するJR西日本においてクロスシート車が投入される中で、阪神電車でもサービス向上に向けてクロスシート車として導入される運びとなり平成13年に登場しました。8000系のデザインを継承しつつも、赤胴車のイメージ一新を図る目的でプレストオレンジとシルキーベージュのツートンカラーが採用されました。車体は普通鋼製ながら、屋根部など腐食が発生しやすい箇所ではステンレスが随所に用いられています。6連3本のみの少数派で、阪神電車の子会社である武庫川車両工業の最後の製造車となりました。

編成表

9000系

編成 6両編成(4M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:3.0km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.3km/h/s(非常)
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご型誘導電動機 130kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
平成7年に発生した兵庫県南部地震により被災した赤胴車の補てん車両として、平成8年に登場しました。車両製造における工期の短縮が求められた結果、当時製造ラインに余裕のあった川崎重工により製造され、同時にステンレス車体が採用されました。同社ではJR東日本向けの209系を製造していたこともあり、それと同様の2シート工法による車体を持ちますが、清掃性向上のため全面ベルトグラインド仕上げとされています。登場当初は赤胴車に倣い赤帯をまとったデザインでしたが、近鉄奈良線への乗り入れに向けて平成19年より直通対応改造を実施。1000系同様のビバーチェオレンジを用いた意匠とされ、大阪難波寄りの先頭車は増結用の1000系2連と併結できるよう、電機連結器の設置とそれに伴い補助排障器には切り欠きが設けられました(写真)。また、平成28年から翌年にかけてパンタグラフがシングルアーム式に換装されています。

編成表

8000系

編成 6両編成(4M2T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:2.5km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)、4.3km/h/s(非常)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比14:81=5.79
主電動機 直流複巻電動機 110kW
制御装置 界磁チョッパ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
老朽化した初期の赤胴車の置き換えに向けて、昭和59年に登場しました。阪神電車初の6両固定編成となり他車との混結を考慮しないことから、ゼロアンペア制御や電気指令式空気ブレーキといった新機軸が取り入れられました。平成14年よりリニューアルが行われ、9300系に合わせた塗装変更や中間車の側引戸間には転換クロスシートを用いたセミクロスシートへの変更(後期更新分はロングシートを踏襲)が行われました。同系列は平成8年まで12年の長きにわたり製造され、現在は6連19本が在籍し阪神本線の主力として活躍しています。武庫川車両工業製。

編成表

5700系

編成 4両編成(3M1T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:4.0km/h/s
減速度:4.5km/h/s
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 全閉自冷式永久磁石同期電動機 190kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(東芝)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
旧型ジェットカーの置き換えに向けて平成27年に登場しました。ジェット・シルバー5700の愛称を持ちます。1000系ベースの車体に、グループ組む阪急の1000系で採用された足回りを組み合わせた恰好で、分岐ポイントを渡る機会も多い普通運用の実績を踏まえて台車はボルスタ付きに回帰しました。車体側面の各側引戸には、青い地球をイメージした大型の円形フィルムが張られ、乗車位置を分かりやすくする工夫を凝らしています。また、側引戸の半自動ボタンや戸閉力弱め機能を装備した戸閉装置、側面行先表示器における次駅表示といった他の関西私鉄ではなかなか見られない要素が取り入れられ、どことなく関東風味な一面もあります。平成28年には人と地球へのやさしさを追求したコンセプトが高く評価され、鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞しました。近畿車輛製。

編成表

5550系

編成 4両編成(3M1T)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:4.0km/h/s
減速度:4.5km/h/s
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比16:97=6.06
主電動機 三相かご形誘導電動機 170kW
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
阪神電車で最後まで方向幕を装備していなかった5311形1本の置き換え用として、平成22年に登場しました。それゆえに4連1本のみの希少な存在で、またアルナ車両が路面電車以外で車体の製造を行ったこれまた希少な車両です。1本のみの製造が決まっていた中で同様の鋼製車体を持つ5500系をベースとしながら、直近に製造された1000系での知見に基づくブラッシュアップを盛り込むことでコストダウンに努めるとともに、武庫川車両工業無き後もアルナ車両による車体製造と阪神車両メンテナンスによるぎ装を行うことで、グループ内での車両製造を実現しました。5500系のリニューアルが完了した今日では、アレグロブルーとシルキーグレイのツートンカラーをまとう唯一の系列です。

編成表

5500系

編成 4両編成(4M)、2両編成(2M)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:4.0km/h/s
減速度:4.5km/h/s
駆動装置 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯数比14:99=7.07
主電動機 三相かご形誘導電動機 110kW
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御(三菱)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
旧型ジェットカーの置き換えによる青胴車の近代化に向けて、平成7年に登場しました。阪神電車初となるVVVFインバータ制御を採用しましたが、これは大手私鉄では最後発となり技術の成熟を待っての採用となりました。そのほか、ボルスタレス台車も本系列が同社初採用です。車体塗色は「震災を乗り越えて新たに出発する」という願いからアレグロブルーとシルキーグレイのツートンカラーが新たに用いられ、パステル調のカラーリングとなりました。この塗色変更は後の赤胴車の新塗装化にも影響を与えました。
平成28年から令和4年にかけてリニューアルが行われ、ラピスブルーと呼ばれる新たな青色をメインとする塗色に一新。側引戸の半自動ボタン設置や車内かもい部へのLCD車内案内表示器の設置など、5700系に準ずる設備が投入されました。
その一方、令和元年には最後の赤胴車が残る武庫川線への転用として2本が供出され、2連2本に分割のうえ中間車では先頭車化改造を実施。パンタグラフの位置は変更されなかったため、いわゆる前パン車が登場しました。改造された4本にはそれぞれ阪神タイガースにゆかりのある装飾が車内外になされ、令和2年より同線での営業運転を開始しています。武庫川車両工業のほか、震災による被災車代替分が川崎重工でも製造されました。

編成表

5001形

編成 4両編成(4M)
車両性能 設計最高速度:110km/h
起動加速度:4.5km/h/s
減速度:5.0km/h/s
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
歯数比13:74=5.69
主電動機 直流直巻電動機 90kW
制御装置 抵抗制御(東芝)
制動装置 電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)
青胴車の冷房化促進に向け、昭和52年に登場しました。関西圏のみならず、全国的にもジェットカーの愛称で知られた高加速車両です。5000系と呼ばれることもありますが、5001形の1形式しか存在しないため多くは5001形と呼称されます。当初は2連で活躍しましたが、昭和62年の普通列車4連化を受け翌年から2本を1編成とする4連化改造が順次行われました。中間の乗務員室は撤去され座席が設けられましたが、妻面の形状と窓割の違いにかつての雰囲気を残しています。令和3年まで廃車の発生もなく第一線で活躍してきましたが、5700系の増備により置き換えがなされ、令和6年に引退を迎える見通しです。武庫川車両工業製。