ある冬の寒い日のこと。待ち合わせの駅構内にて、相手が会うなり「死体を見たいですか!?」などといいながら人だかりの方へ引っ張って行きます。
人だかりをかき分けながら覗いてみるとホームレスらしき年配の男性がベンチの下で息絶え横たわっている姿…。
くすんだ色の毛布と衣服、赤みを失った顔色。なにか彼の姿は寒い空気の中、灰色にフェードアウトしてしまいそうでありながら、それでいて何故かとても重みのある存在感を放っているように見えました。

仕事中にセールスや何かの勧誘の電話がかかってきます。どこも必死だなあと思いつつ、大抵は適当にあしらって終わりなのですが、最近はどうもそう心穏やかではいられない相手からの電話もあります。
平気で身元を偽り、曖昧意味不明な言い回しで相手を騙し、搾取してやろうという輩からの電話です。俺俺詐欺というのがマスコミで話題になってから、さらにこういうのが増えているのかもしれません。
犯罪行為というのは決してなくなりはしないものなのでしょうけど、電話先の相手が堂々とまるで日常茶飯事かのごとくあっさりとそういう行為をやってのけるのを目の当たりにして、私は強い怒りとモラル欠如の蔓延に対する虚脱感で入り交じった妙な気分になるのでした。

私は元来日本人は自らの敗北は潔く認め、他人に迷惑をかけるくらいなら静かに一人死んでいく、そんな生き方を選ぶ人種だと思っています。多分それは昔から部落や村という共同体生活により培われてきた文化なのではないかと。駅のベンチで静かに死んでいたホームレス風の男にそれを見ていました。
死ぬくらいなら他人から奪ってしまえ。そんな文化を持つ国もあるのでしょうか?確かに合理的ではありますが、それは畜生道に近いのかもしれません…。


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Posted on 2003.12.06

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