ウェブでは、「引用はこうやってするよ」「それでは駄目だよ」といった論争・トラブルが時折発生します。 内容はいずれも似たり寄ったりで、要するに「HTMLの規格に基づいて引用するよ」という考え方と、 「そんな規格に従ったから何?」という考え方の衝突というパターンです。
毎度毎度似たようなやり取りが繰り返されて不毛なようにも思うのですが、 以前の論争を誰もが知っているわけではないので、仕方のないことなのでしょう。 以前の論争は、ログが消えてしまうことも珍しくありませんし。
というわけでこのページでは、現時点でログが確認できる範囲でそういった論争・トラブルをまとめてみたいと思います。
なお、このページには若干HTMLに関する知識がないと読みにくい箇所があります。以下の4点だけご記憶をお願いします。 ただし、このページHTMLの説明には色々と省略があります。ご了承下さい。 正確な説明は「引用の方法 -- ごく簡単なHTMLの説明」等をご覧ください。
W3Cという団体によって策定された、WEBページを記述するための言語です。 ブラウザはこれを読み取って内容を表示するように作られています。 ISO、JIS、IEC等によって規格化されています。
引用部分であることを示すHTMLのタグです。例えば、
<blockquote>
古池や 蛙飛び込む 水の音</blockquote>
と書けばこれは引用部分なのだとブラウザに示すことができます。
そうすれば、ブラウザは引用部分だと分かるような形で閲覧者にその部分を表示してくれます。
これまた引用部分であることを示すHTMLのタグで、blockquoteより短い引用で使います。例えば、
<q>
メロスは激怒した</q>
などと書くことで、ブラウザはこの部分を引用部分として表示してくれます。
引用の際に、引用元を示す属性です(タグとしても使えますが、ここでは省略します)。例えば、
<blockquote cite="http://www.kanzaki.com/docs/html/htminfo10.html">
HTMLはネットワークでつながった世界中の文書を関連づけ、それを有益な情報としてコンピュータで分析できるようにする役割を持っています。</blockquote>
と書けば、この部分はhttp://www.kanzaki.com/docs/html/htminfo10.htmlからの引用なのだと示すことができます。
……ただ、最も普及したブラウザであるInternet Explorerには不具合があり、この属性を読み取ってくれません。
佐藤治さんが2001年7月12日の日記で、引用にblockquoteタグやcite属性を使うことに疑問を呈されました。
citeとか、blockquoteとかって、どれだけの読者が気にしてるの?また、意味を理解してるの? 多分、ほとんど関係ないということではないか、また、気にしている人がいても、それは、その意味しているものが何かが必要ではなく、 HTMLの技術的(文法的)な部分だけに終始しているのではないか。だとすると、どっちでもいい、話であると思う。
これに対して誤解を丁寧に解説されたのが、ありみかさとみさんでした。
HTML は人間が読むための物ではなくて、はっきり言えば純然たるコンピタ向けデータファイル。 コンピタは融通が利かない鉄のハコだから、それが扱うデータは決められた形式(ここでは HTML の規格・文法)に則って、 利用可能な状態で正しく構築されてることが大事。つまり「構造情報」や「付随情報」が有意な状態となっている事が肝要。 逆に言うと、HTML として正しく織り込まれた情報は、すなわち有意な情報となっていると言えます。
明快です。
私からも改めて述べさせて頂くなら、HTMLというのは、人間ではなくてブラウザ(ユーザーエージェント)が読むものであるわけです。
そして、そのブラウザが「ここは引用なんだな、引用であることを示すために余白を左右に表示しよう」
「引用元はあそこなんだな、引用元をこのように表示しよう」などと表示を決定します(補遺1)。
別に、閲覧者が『citeとか、blockquoteとか
』を
理解している必要はないのです。
この論争は、これで終わりとなったようです。
いずしさんが2002年12月8日の「胡桃の中の航海日誌(2002-12-08)」 で旧字体を使う人々を揶揄され、それに対して野嵜さんが「闇黒日記2002年12月13日」で blockquoteタグとcite属性を使ってその一部を引用し、反論をされました。
この反論にはaタグ(ハイパーリンク化するタグ)が使われておらず、そのことがいずしさんの不興を買いました。
ぼうあんこくにっき へんせい14ねん12がつ13にちでは、りんく させずに(っていうのは、ずいぶん しつれいで、ぼくも かるく みられたことだなあ)あげつらわれて しまったのだけれど、それは だとうなこと(りんりてきに ただしいこと)なのですかねえ。ぼくの ぶんしょうに ちょさっけんは ないですか。そんな かち ないってことですかねえ。
※引用者訳:『某闇黒日記へんせい14年12月13日では、リンクさせずに(っていうのは、随分失礼で、僕も軽く見られたことだなあ)あげつらわれてしまったのだけれど、それは妥当なこと(倫理的に正しいこと)なのですかねえ。僕の文章にちょさっけんは無いですか。そんな価値無いってことですかねえ。』
リンクさせずに引用するのが『ずいぶんしつれい
』とは興味深い見解ですが、この見解の基となる考え方は、後日示されます。
この批判は野嵜さんより再反論を受けました。
HTML文書のソースを見ていただければすぐにわかる事ですが、私はblockquote要素のcite屬性に、引用元をはつきり明示してをります。これはW3Cが定めた正式な引用の書式です。單に引用文のそばに關係があるのかないのか良くわからないアンカーを置く「一般的」な方式よりも、當方の書式の方が、引用文と出典との關聯を明示する方式としては良いものです。
大體、引用文のすぐ近くにアンカーがあつたとして、それがその引用文と必然的な關係がある、と、どうして證明するのですか。「ほら、すぐそばにあるだらう」と引用者が辯明しても、引用された側に「すぐそばとは何だ。引用文と離れたところにアンカーを置いてごまかしてゐるだらう」と言つて非難されたら、どう反論しますか。
Mozilla/Netscape 6/7でこの書式はきちんと認識されます。Internet Explorerはこの書式を無視します(不具合です)が、コンテクストメニュー追加セットを利用すれば、出典URIを利用出來るやうになります。
「闇黒日記2002年12月13日」より
これに対して、いずしさんは以下の再々反論をされました。
「闇黒式引用」というのが正しいのか、W3Cなんてそもそも知らないし、知らなくてもhtmlは一応書けてるわけで。正式な引用の書式であろうが、出典との関係を明示する方式として良かろうが、使えないものは使われないのです。それは日本語であってもhtmlであっても言語であれば同じこと。
僕は、引用方式の正当性を主張しているのではなくて、貴方の引用方式だとこちらが引用されていることを知ることが出来ないと云っているのです。そういう意味でフェアーじゃあないと云われたらどう反論しますか(略)
引用文とアンカーに必然的な関係はないってのは、どう考えても屁理屈としか思えません。
cite属性で引用元を示されても、引用された側は引用されたことを知ることができない、だからフェアではない……。
いずしさんの前日の日記の『ずいぶんしつれい
』という見解は、
この考え方が基になっていたようです。
しかし、無知を免罪符にしようとする『W3Cなんてそもそも知らないし
』という発言は頂けません。
この言葉は大きな反響を呼び、この論争はいくつかのサイトで採り上げられました。
中でも出色だったのが、上のトラブルでも引用させて頂いたありみかさんの説明でした。
技術仕様によって明示的にがっちり関連づけられちゃってる cite 属性に比べれば、「引用文とアンカー」形式では両者の関連づけ根拠が希薄です。いや、両者の関連を明示する技術的仕様は現在の既成の HTML 文法にはありません。引用文近辺にあるアンカーが引用元の明示であるという判断は、人力で恣意的に行っているだけにすぎません。
仕様・規格に沿ってロジカルに示したものと、人為的恣意要素の混じる可能性のある物とでは、いったいどっちが確実な正当性を得られるでしょうか。明文化された仕様に沿ったロジカルな主張を「屁理屈」と言ってポイしてしまったのはどうにもヤバイです。雨あられのように反論が来るにきまってます。それとも、フェアか否かは単に気分の問題でしょうか。ならそれは、 HTML という技術仕様の話ではなく、人づきあいの処世術の話です。
仕様・規格に正当性を認めるのか、不具合のある(しかし普及した)ブラウザに正当性を認めて仕様・規格だけでは不十分だと考えるのか……。 一サイト制作者としては、「無数にあるブラウザの不具合に対して、いちいちサイト制作者がフォローするべきだ」 という考え方には疑問を持たざるを得ません。
引用文近辺にあるアンカーが引用元の明示であるという判断は、人力で恣意的に行っているだけにすぎません。 仕様・規格に沿ってロジカルに示したものと、人為的恣意要素の混じる可能性のある物とでは、 いったいどっちが確実な正当性を得られるでしょうか。
人力でできれば人力でいいではないですか。昔は何でも人力でした(笑)。
ならば、人力で「ソースを表示する」とか書いてあるメニュー項目を選択して、 blockquote 要素や q 要素の cite 属性値に何と書いてあるか人力で確認してくださいな。 そういう人力解決法を今回のことで覚える事ができたのですしね。
何度かの意見が交わされ、最終的にいずしさんは、cite属性で引用元を示すことの妥当性を理解されました (ただし要望として、ハイパーリンクによる引用元の併記も希望されています)。
引用の件ではcite属性が規格に則った表記であることは理解いたしましたし、今後、他者のテキストを引用する際は、そうしようと思っています。 その点、ご指摘いただいたことはありがたいと思っています。その際、今回ご紹介いただいたサイトや野嵜さんのサイトを参考させていただきます。
僕個人の意見としては、やはり引用時にリンクを張ることは利便性があると思っています。これは、僕の単なる主観的意見であり、 客観的である規格からは外れていることであることは認識しました。しかしながら、その上で当サイトを引用されることがありましたら、 できればリンクを張っていただきたいと思います。これは僕の希望です。
著作権法が定めているように、引用は無断で行うことができます。
もしも「引用の際には引用元に分かるようにリンクすべきだ」ということになれば、
著作権法がわざわざ無断での引用を許可した意味がなくなってしまいます。
ですから、いずしさんが当初求められたハイパーリンクによる引用元への引用の通知は、強制できるものではありません。
しかし、作者が上のような『希望
』
を述べることもまた、自由でしょう。この論争は、十分に実りあるものだったのではないでしょうか。
真名垣さんが「無為徒食日記 2005年9月12日」で、 Akkyさんの日記からblockquoteタグとcite属性を使い、一部を引用されました。 この引用にもaタグ(ハイパーリンク化するタグ)は使用されておらず、 このことに対してAkkyさんが引用元の明示を求めて激しく非難されました。 ※なお、真名垣さんのサイトは既に消滅しており、 本稿のリンク先の真名垣さんの文章は全て転載されたものですが、真名垣さんは著作権放棄を謳っておられたので問題はありません。
当方の記事が引用元と思われるこの文章について、他人の文章を引用したら引用元を明示してください。 (略)あなたのやっていることは著作権法に違反すると思われます。ネチケット云々の問題ではありませんので、直ちに修正を要請します。
またもやこのパターンです。cite属性によって引用元を示すという概念は、 HTMLの知識がない方にとってはなかなか理解できないものなのかも知れません。
この論争もまた、いくつかのサイトで採り上げられました。詳しくは 「引用元の表示と表記の改変に関する議論 - 徒委記」 というリンク集も残っていますので、ここでは簡単にご紹介します。まず、真名垣さんが以下の反論をされました。
引用元の明示についてですが、私は<blockquote cite="http://blog.drecom.jp/akky0909/archive/303">と書いているので、明示は行っていると言えます。
どうやらAkkyさんにはcite属性という概念を理解頂けなかったようで、これに対し全くかみ合わない再反論をされます。
引用元の明示についてですが、私は<blockquote cite="http://blog.drecom.jp/akky0909/archive/303">と書いているので、明示は行っていると言えます。
といっているそばから、また引用元を明示しないで当方の記事を引用をしている。
道のりの険しさを感じさせてくれる返答です。この後何度か両者のやり取りは行われましたが、合意が得られることはなく、 結局この問題についてのお二人のやり取りはAkkyさんの以下の発言で終了となりました。
「表示されない」引用元表示の可否についての議論は、当方の手には余りますので、他のhtml有識者あるいは法律家の間における議論の推移を見守りたく、当方としてはノーコメントとさせていただきます。
ただ、Akkyさんは納得されなかったものの、論争に参加された方々の多くは引用元の明記に関しては真名垣さん寄りの見解だったように思います。 最後までこの論争に参加し、真名垣さんに説明を求め続けられたそうせいじさんの10月7日の日記から引用します。
明示と表示の違い(http://lan.rgr.jp/diary/2005/09.xhtml#Thirty-One 著者:真名垣 郁夫さん)より引用
因みに、cite属性による出典の明示はISO、IEC、JISも採用した方法です。 国際標準化機構、国際電気標準会議、国家規格が認め定めた方法が、 ウェブブラウザは表示出来ないと云う理由だけで否定出来るとは思えませんが。
おおっ!根拠が見えてきました。ISO、IEC、JISといった複数の信頼できる(と一般的に解釈される) 団体が採用している方法だという理由から「cite属性の引用」が出典元の明示という条件を満たしているとお考えなわけですね。 だとすれば納得です。
まあ、おっしゃっるとおり判例でも出ない限り「絶対」ってのはありえませんが、 私が納得するには十分な理由になりました。この件に関しては、これ以上異論はありません。
もう一つ、柊アマテルさんの9月18日の記事から引用します。
cite属性は引用元の記述法としてISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業規格)でも認定されてゐる正式な用法であり、ここでInternetExplorerの実装云々の話を出すのであれば、たとへるなら「このJIS規格のネジはうちのドライバーでは使へなかつた。ネジ会社は今市場に出回つてゐるドライバーに対応すべきだ」といふやうなものであり、全く統一規格の意義を崩壊させるものだからです。
「引用論争について一言」より
確かに、最も普及しているブラウザであるInternetExplorerでは、cite属性で引用元を記載されてもそのことは読者には分かりません。 ですから、cite属性だけでなくaタグ(ハイパーリンク)でも引用元を示した方が親切な場合はあるでしょう。 実際にこのサイトでもそうしていますし。
ただ、それはあくまでもブラウザの不具合をサイト制作者が尻拭いしているだけなのです。 一サイト制作者としては本来そんなことはしたくないし、ましてやする義務など決してない、そう思うのですが。
2006年10月3日に、「時代にマッチした「サイト利用規約」を作ってみた:中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル - CNET Japan」 という記事が公開されました。この記事には私としてもいくつかの問題を感じましたが、この記事の問題を指摘された高木さんの記事もまた、 これまでの引用論争とも絡んだ、疑問のあるものでした。
中島さんの「サイト利用規約」から一部引用します。
当ウェブサイトコンテンツの引用を含んだ二次著作物を一般に公開する場合は、 引用した文章等が引用であることを明示した上で(blockquoteタグ推奨)、 複製したコンテンツを含むページへの直リンクで引用元を明示することをお願いします。
「時代にマッチした「サイト利用規約」を作ってみた:中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル - CNET Japan」より
これまでも見てきたように、引用の際に引用元にリンクをする必要はないでしょう。望ましいのはcite属性であって、
リンクはサイト制作者が閲覧者への配慮として追加する(場合もある)ものに過ぎません。
無論、リンクによる引用元の明示を『お願い
』
するのは自由ですが、この文章は『サイト利用規約
』
と銘打たれているわけで、強制力があると主張しているようにも思えます。
そしてこの規約に対して、高木さんの批判はこうでした。
なぜblockquote推奨なのか? 鍵括弧(「」)がいけないとでも言うのか?*3(略)
*3 それどころか、以前ある弁護士さんとの会話の中で聞いた話では、blockquoteを引用とわかる形でレイアウトしないブラウザが存在することを理由に、鍵括弧以外は引用であることの表示と認めれないなどという主張も存在するらしい。
……ある意味、議論が退行しています。
これまでの議論では、blockquoteタグが引用であることを示すのは自明のこととされ、 cite属性の記述で引用元を明示したと言えるのかが議論されてきました。 しかし高木さん(およびある弁護士さん)の主張では、blockquoteタグが引用を示しているとすら言えないようなのです。
いえ、明確な条文も判例もない以上、「blockquoteタグが引用を示していると法廷で認められる」とは確かに断言はできないでしょう。
その認識自体は構わないのです。しかし、ISO、IEC、JISも採用している規格の使用を
『推奨
』
しただけで批判を受けるとは、滅茶苦茶な話だと言わざるをえません。高木さんはせいぜい、
「blockquoteだけでなく、鉤括弧も使った方がよい」と指摘されるのが妥当だったのではないでしょうか。
高木さんのこの主張の問題についての指摘は、残念ながらほぼなされなかったようで、私が調べる限りでは とっちゃん坊やさんの「高木浩光氏にあえてツッコミを入れてみる:とっちゃん坊やのよしなしごと」および 「はてなブックマーク - 高木浩光@自宅の日記 - 無思慮なサイト運営者が本来言わんとすることを利用規約の形式で書いてみた」での kitsさんだけがこの指摘をされているようです。 高木さんの記事の本題ではない部分なので皆さんあえて指摘をされなかったのでしょうか。
ちなみに、『blockquoteを引用とわかる形でレイアウトしないブラウザ
』
が具体的に何なのかは分かりませんが、それは明らかにブラウザの不具合でしょう。規格に従って行ったHTMLページでの引用が、
どこかの誰かが勝手に作ったブラウザの不具合のせいで「お前の引用は要件を満たしていない」
と法廷で判断されるのだとしたら、なんともやりきれない話です。
追記:この論争については、高木さんご本人よりはてなブックマークにて補足を頂きました(ありがとうございます)。
私のことが言われている部分については、被引用者たるサイト運営者が利用規約やらで引用者に対して引用方法を限定的に指定する行為 (「blockquote推奨」などと)の愚かさを指摘したもの。引用する側の良識の下で自由。
私は、『なぜblockquote推奨なのか? 鍵括弧(「」)がいけないとでも言うのか?*3
』、
『*3 それどころか、
以前ある弁護士さんとの会話の中で聞いた話では、blockquoteを引用とわかる形でレイアウトしないブラウザが存在することを理由に、
鍵括弧以外は引用であることの表示と認めれないなどという主張も存在するらしい。
』という文章から、
高木さんは「blockquoteを推奨するということは、鉤括弧は使うなということなのだろう。
しかし、法的にはblockquoteでは引用とは認められない可能性があるので、そんなものを推奨するべきではない」
と仰っているのだと認識しました。しかしそうではなく、高木さんは
「引用の仕方は引用する側の良識の下で自由なのだから、引用される側が『blockquote推奨』などと書くべきではない」
と仰っていたようです。
つまりこれは、「HTMLの規格に基づいた引用」対「そんな規格に従ったから何?」という論争ではなく、 「HTMLの規格に基づいて引用してね」対「規約で他人に引用の仕方を指定するな」という論争だったと言うべきなのでしょう。 誤解があり、失礼いたしました。
正確に言うと、ブラウザに「blockquote部分は左右に余白を取る」という規格があるわけではありません。
慣習的に大半のブラウザがそのようにしているだけで、blockquote部分をどう表示するかは基本的にブラウザの自由です。
ただ、blockquoteはブロックレベル要素ですので、規格上その前後ではブラウザは必ず改行をしなければなりません。
従って正常なブラウザなら、blockquote部分は他の部分と区別がつく形で表示するはずです。
中島聡さんvs高木浩光さんのケースでは高木さんが
『blockquoteを引用とわかる形でレイアウトしないブラウザが存在する
』
と説明されていますが、そのような致命的とも言える不具合を持つブラウザを私は寡聞にして知りません。
(→ありみかさとみさんvs佐藤治さんに戻る)
公開:2009年10月2日 最終更新:2009年10月4日
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