日本共産党 豊中市議会議員団 Webサイト

お問合わせ
 

議会での質問・見解

 議会での質問や見解を掲載しています。詳しくご覧になりたいかたは、豊中市議会のサイトをご覧ください。
豊中市議会Webサイトへ
 (2013.11.14)

2013年5月24日付けで出された「豊中市学校教育審議会答申」に対する日本共産党豊中市議会議員団の見解 (2013.11.11)

今回の学校教育審議会答申は大きく三つのことを提案しています。

 まず第一は、東泉丘小学校の児童数増で校舎の増築が必要となる。そこで、現在東泉丘小学校区である新千里南町3丁目を小規模化している南丘小学校区に変更する。 

 第二は、現在、新千里南町3丁目は第十五中学校区だが、小中一貫教育を重視する観点から、中学校も第九中学校区に変更する。そうすると第九中学校の生徒数が増大し、校舎の増築が必要となる。一方で隣接する第八中学校は小規模化している。従って、現在第9中学校区である西丘小学校区を第八中学校区に変更する。

 第三は、現在蛍池にある第十八中学校には、刀根山小の卒業児童2割と蛍池小の卒業児童全員が進学しているが、小中一貫教育重視の観点から、刀根山小の児童は全員第十三中に進学し、第十八中へは蛍池小の児童だけが進学するように変更する。
 
 そして、答申の最後のページに「おわりに」として、「この審議においては、以下の3点を重要なポイントとして、その検討にあたってきたことを改めて強調しておきたい」として以下の三点を掲げています。

1.通学区域の変更はかくまでよりより学校教育の実現に向けた第一段階であり、さらなる教育の質的向上を図っていくための前提であること

2.地域特性を十二分に考慮した上で、その地域の実情に応じた課題解消の方策を講じること

3.小中学校の連携教育、さらには小中一貫教育の一層の充実をはじめとした特色ある教育を展開することにより、9年間の義務教育、さらには0才から15才までの一貫した子育ち・子育て、教育を行っていくための基盤を整備していくこと

 上記1で、通学区域の変更は「さらなる教育の質的向上を図っていくための前提」とされています。では「さらなる教育の質的向上」とは何でしょうか。その中心をなすのが、3で掲げられている「小中学校の連携教育、さらには小中一貫教育の一層の充実」であると言えます。
 この観点からこの答申を見ると、答申が狙っている意図がはっきりと読み取れます。以下詳しく見ていきます。

1)小中連携教育、小中一貫教育強調の狙いは学校統廃合をすすめやすくするため
 この間、学校現場の様々な困難の一面を取り上げる形で、「中一ギャップ」なるものが強調されるようになりました。これは、中学校になると、教科担任制、授業内容がより難しくなる、定期テストの実施など学習面で小学校と大きな違いがあること、思春期になるとともに先輩後輩の関係も加わり人間関係がより難しくなること等によって、学習や人間関係に起因して、不登校やいじめが多くなる等の状況が背景にあります。

 また一方で、これまでは小中学校の教師同士情報交換や連携は、あまり積極的には行われてこなかったのも事実です。
 そのため、「小中連携を強めて中一ギャップを解消すること」に焦点があてられるようになり、豊中市でも小中連携教育、小中一貫教育が強調されるようになりました。しかし、この問題の背景には、大きく政治的意図が働いています。

 自公政権下では、教育予算削減の一つの手段として、地方でも都市部でも学校統廃合が進められてきました。ただ、地方では複式学級をつくらざるを得ないような小規模化に対して統廃合が行われてきたという現実もある一方、都市部では地方では当たり前の学校規模でも「小規模化すると教育活動が活性化しない」という理由付けをして統廃合が進められてきた、という違いはあります。そのため都市部では、学校統廃合に対する住民の反対も大きく、それを進めるための方策として学校選択制が導入された時期もありました。しかし、この制度は多くの問題を生み出し広がりを見せませんでした。

 そこで、次に登場してきたのが小中一貫校です。単なる学校の統廃合であれば反対運動が大きくなりますが、小中一貫校を建設し「特色ある教育」を打ち出すことで、住民の反対の声を押さえ込むことができます。また一貫校建設の財源には、廃校となった学校敷地を売却してあてることができます。そして、学校数を減らすので、中・長期的には教育コストの削減につながる、というわけです。

 本当に小中連携を強化しようと思えば、教職員を大幅に増員し「ゆとりある教育」にすることが不可欠です。しかし、その対応はほとんど行わず、小中連携の必要姓を強調することで、小中一貫教育ひいては小中一貫校建設を進めていこうとしているのが、今の政府が目指すところです。このような背景をしっかりと見ておく必要があります。

そして、豊中の場合でも、同じような傾向をこの答申の中に見ることができます。   地方ではごく普通の学校規模であっても、都市部では「小規模化すると教育活動が活性化しない」ことを理由に学校統廃合が進められてきたことを上記で述べました。今回の答申の中でも、千里地区にある南丘小学校と豊中市立第八中学校には小規模課題がある、として次のように取り上げています。
 
現状では東泉丘小学校の校舎増築が必要→(増築を行わないで済むようにするために南丘小学校の小規模化を問題にし)現在東泉丘小校区の新千里南町3丁目を南丘小学校区に変える→現在新千里南町3丁目は第十五中学校区だが、(小中一貫教育重視の観点から)それを変更して南丘小学校の卒業生が進学している第九中学校区にする→第九中学校が生徒数が増えて将来校舎増築が必要となる→(第八中の小規模化解消もできるので)現在は第九中学校区である西丘小学校区を第八中学校区に変更する。

つまり全国で、学校統廃合をすすめるために学校の小規模化を理由とした小中一貫校建設が打ち出されているのと同じ論理で、豊中では、校舎増築を避けるために小規模化と小中一貫教育の必要性が打ち出されています。どちらにも共通しているのは、教育のコスト削減なのです。

2)小規模化を問題としながら、より小規模の学校をつくることの矛盾が発生
上記の千里地区の例のように、今回の答申の背景には、「学校増築を避けて教育コストの縮減する」という目的があり、そのために、学校の小規模化を問題とし小中一貫教育の必要性を強調しています。
一方冒頭で述べたように、蛍池地域では答申は次のような提案をしています。

 豊中市立第十八中学校には、現在は蛍池小学校の卒業生全員と刀根山小学校卒業生の二割が進学している→小中一貫教育をすすめようとすると、現在第十三中学校と第十八中学校に分かれて進学している刀根山小学校の児童は、その八割が進学している第十三中学校に集中せざるを得ない→その結果、第十八中学校に進学するのは蛍池小学校の卒業生だけとなり、現在でも生徒数約300名と小規模な第十八中学校は、2018年には177名とさらに小規模化する。

千里地区では南丘小学校や第八中学校の小規模化を課題としながら、蛍池地域では第十八中学校のさななる小規模化をすすめるというように新たな矛盾を生み出していると言えます。そして蛍池地域では、この小規模化の矛盾を取り繕うための手段として「蛍池小学校と第十八中学校との小中一貫校建設」が打ち出されているのです。

3)学校統廃合と同じ論理ですすめられる、蛍池小と第十八中の小中一貫校
 しかし、小中一貫校を建設することで、第十八中学校の小規模化の課題がどのように解消されるのか、答申では全く述べられていません。この点では、全国で進められている小中一貫校建設と同様です。

全国とりわけ都心部では、
@学校統廃合をすすめる根拠として、「学校の小規模化」「中一ギャップの克服など小中一貫教育の必要性」を強調する。
A学校統廃合をスムーズにすすめるために、小中一貫校は特別な教育を行うようなイメージをつくる。
B小中一貫校建設費用は、廃校とした学校敷地の売却によって生み出す。学校統廃合によって学校数が減るので、中長期的にはランニングコストの削減につながる。
ということが行われてきました。

 そして豊中でも、
@小中一貫教育の推進をかかげ、学校の小規模化を課題とすることで、小中一貫校をつくる前提条件をつくり出す
A小中一貫校建設をスムーズに行うため、教育センターやとよなか・チャレンジセンターとの連携などを掲げ、特別な教育を行うイメージをつくる
B小中一貫校建設費用は蛍池小学校敷地の売却でまかなう。、その結果、校舎建設の費用もいらず、2校が1校になるので中長期的には学校維持コストの削減につながる。
と全国と全く同じ構図です。

 しかし、そもそも発達段階に大きく差がある小学生と中学生を、一つの敷地でひとまとまりして教育しようという小中一貫校が、教育的にどのようなプラスとマイナス面があるのかは、殆どまともに検証されていません。

 実際、すでに実施されている小中一貫校では様々な問題が生じ次のような点が指摘されています。
@そもそも中一ギャップと言われるが、「小学校時代に中学校に対して不安と期待の両面感情を持つ子どもが、中学校入学後に積極的意識的に活動するようになる」という実証研究もある。従って、中学生活に不安を持つことそのものが問題なのでない。
A実際、小中一貫校になって教師が多忙化し、かえって不登校が増えたり学校が荒れたケースが出てきている。
B小学校5.6年生は小学校の中でリーダーとして活躍することで成長できた。小中一貫校ではそれが育たない。
C小学生と中学生が同じ時間割で動くことになる。運動場の使用上の制約もある。
D特色ある教育の実施の名のもとに、学校によっては5年生から教科担任制を実施し、定期テストも導入している。受験競争を5年生から準備しているようなもの。

以上見てきたように、豊中市学校教育審議会答申は、「小中一貫教育」「学校の小規模化」を課題にし、表面的には「教育の論理から出発している」かのように見えますが、その本質は、教育コスト削減ありきです。それは、様々な問題を抱えている小中一貫校の持つ教育的課題につては一切言及されていないことから見ても明らかです。

4)日本共産党市議団として考える今後の方向性
@無理矢理「一小一中」にする必要はない
 1)で述べたように、「小中一貫教育の必要性の強調」は、中一ギャップなどを問題にする「教育の論理」を装いながら、実質的には「学校統廃合を進める論理としての役割」を果たすことがその狙いである、と言えます。

 そして「小中一貫教育」を「教育の論理」として考えた場合でも、多大なエネルギーを費やして校区変更を行ってまで、一つの小学校の卒業生が全員同じ中学校に進学する(一小一中)ようにしなければすすめられないとも考えられません。

 実際、学校教育審議会の議論の中でも、中学校の元校長が「小中の連携を進めていく上で、複数の小学校から生徒が来ている(分割進学)という現状について、特に問題を感じていない」と述べています。
 そして、小学校時代に学級崩壊やいじめがあったような場合は、児童が異なる中学校に進学する方がよい場合もあります。一小一中の方が、分割進学よりすぐれている、とは必ずしも言えません。

そもそも小学校と中学校が連携を密にとろうとすれば、教師側にゆとりがなければ到底できません。大切なことは、校区の形ではなく、小中連携をすすめていけるだけの人的保障をすることだと言えます。

A校区変更は最後の手段
 地域での説明会でも保護者から出されていたように、校区変更によって、クラブの問題、通学路の問題など、子ども達の教育条件は大きく変わります。また、地域コミュニティーにも色々と影響します。従って校区変更は、それを行わなければ解消できないような教育的に重大な問題が生じていたり、校舎増築を行える敷地がない場合などに限って、最後の手段として検討すべきと考えます。

 東泉丘小学校の場合は校舎増築の敷地的余裕が少ない問題があり慎重な検討を要しますが、第九中学校の場合は、校舎を増築できる敷地的余裕は十二分にあり、校舎の増築で対応すべきです。
また、刀根山小学校の卒業生は従来どおりで何ら問題ないと考えます。



1つ前の画面に戻る    ページTOP