■クラリネットとのスリリングな出会い

私のクラリネットとの出会いは15歳、中学3年のときでした。学校にわずか9人編成のブラスバンドがつくられ、トランペットの希望がなぜかクラリネットに回されました。心では面白くなかった。

ここが運命の面白いところで、このときピカピカ光るトランペットにすんなり決まっていたなら、私の人生も大がわりだったにちがいありません。そして確実に今の私はない。

当時北海道にはこの楽器を教えてくれる人などなく、教則本を見ながらの独習でしたが、なんと私の夢は果てしなく「将来一流の交響楽団に入ってクラリネット奏者になる」だったのです。なんでそんな突飛な夢を持ったのか未だに心理の分析ができません。

夢などというより妄想そのものでしようが、しかし、人が笑ってあきれるほどの夢が仮になかったら、東京に出て音楽大学にもいかないし、36年もの長きにわたって都響のクラリネット奏者として演奏活動もなかったのですね。 高校生が音大に進みたい、音大生が演奏家になりたいと言って来たときいつも昔の自分が出てきます。「無理無理っ!」とか、「なれっこないよ」とか喉まで出ていてもつい引っ込めてしまいます。夢を刈り取ってはいけないと思うのです。

この写真が私のクラリネットのはじまり・・・

川でいうなら水源地です。

この写真の裏に「中学3年のとき写す」と鉛筆で書かれています。

楽器を手にしてまだ数ヶ月といったところでしょうか。

楽器もリードも多分・・・ニッカンです。

この白いマウスピースはどこから手に入れたのか、どこのものかはまったく思い出せません。

自己流にしてはくわえ方もそこそこでしょうか(^-^;


私の楽器環境
使用楽器YAMAHA  New Ideal 2004.2〜
マウスピースバンドレン5RV−Lyre
リガチャーRico グランドコンサート Hシリーズ ゴールドメッキ チャールズ・ベイ ゴールドメッキ を併用
使用リード Rico グランドコンサート TRADITIONAL(青箱) 3.5


◎ 使用楽器
拙宅のグランドピアノの下にはいろいろな楽器が保管されていますが、現在はおもに ヤマハ・New Idealと20年ほど前に製造されたヤマハCSを共用しています。

楽器というものは吹かないでいると鳴らなくなります。楽器に限らずなんでもそうです。このCSは10年ほどグランドピアノの下にずーっと眠っていました。

あるきっかけでこのCSを吹いてみると、びっくりするほど豊かな鳴りかたをしていました。 10年も吹いてないので鳴りが悪いはずなのですが・・・。

どうしてなんだろうと思ってヤマハのクラリネット技術者に尋ねてみました。家内が毎日ピアノを弾いていたことが楽器をただの物体にさせなかったようでした。物置のクモの巣の中に置くのとではぜんぜん違うと思いますよ、と。 友人のギター弾きが言ってましたが、2.3日留守をするときは茶の間のテレビやオーディオのそばに立てかけて音の響きの中に置いてやるそうです。 お腹の赤ちゃんに音楽を聞かせる胎教に似ていますね。

◎ 使用マウスピース
バンドレン5RVライヤー。毎年楽器店の依頼で数百本のマウスピースを選定していますが、なかなかいいものに巡り合いません。最高にいいのがあれば役得でそれをゲットするチャンスはあるのですが、自宅に持ち帰ってじっくり吹きくらべてみるといつも前のものに及ばないのです。

◎ 使用リガチャー
多種多様のリガチャーが出ておりますが、チャールズ・ベイ 金メッキと、RICOグランドコンサートHシリーズ 金メッキを併用しています。一言で言うとベイは響きを求めるときによく、Hシリーズは豊かな鳴りを求めるときに適しています。
◆ リガチャー購入時のアドバイス
まず・・・リードをマウスピースにつけて右手親指でおさえて左手で吹ける範囲の音の出方をおぼえておきます。そしてリガチャーをとりつけ、指で押さえたときよりも響きが増大し豊かに鳴るものが最高です。
反面指で押さえたときよりも音が出なかったり詰まったりするようなリガチャーは最低ですから選ばないことです。必ずしも高価イコール性能がいいということはありませんので惑わされないようにしてください。
全般にシルバーメッキはしっとりとおとなしく、ゴールドメッキは響きも増してよく鳴ります。同じ型式のものでもかなり個体差があります。ですからできれば選んで買いたいですね。

◎ 値段の高い低いが音に反映されないのがリガチャーです。
ついでにもう一点・・・リガチャーのネジを締めすぎると急に音が壊れはじめます。まったく鳴らなくもなります。ネジを締めていって「止まったところ」からほんのすこし回すだけで充分です。オーケストラでのB管A管の取り換えがあるような特殊な場合以外はリガチャーの締めすぎに注意しましょう。

◎ 使用リード
30年、40年という長い間ずーっとバンドレンを使ってきました。2000年4月頃からRICO グランドコンサートTRADITIONAL青箱に切り替えました。バンドレンとは趣のちがった響きをもち、ヒットの確率がとても高い。製品アドバイザーを引き受け、更にハイグレードなものにするためメーカーに数々の助言と注文をしてきました。まだこれからも妥協することなく品質アップを計っていきたい。

マウスピースがいいと、いいことずくめ

実勢価格は多少まちまちですが、マウスピースはおよそ8000円。いいマウスピースをもつことでのメリットは計り知れません。

およそリード3〜4箱分の値段ですが、リード3〜4箱の消費期間に比べるとマウスピースは何十倍とはるかに長いです。リードを最高の状態で歌わせる相棒、それがマウスピースです。

マウスピースのよしあしは外観ではわかりません。どんなに品定めをしても試奏を経ずしては判断不可能です。いちどいいものに出会うと長い年月ベストな状態で働いてくれるのですから、マウスピースは選定したものを是非おすすめいたします。
◎ 私の選定したマウスピースがヤマハ銀座店においてあります。なるべく切らさないように努力して選定していますが、あっという間になくなってしまうようです。8000円のマウスピースですが、中には10万円を超す価値のあるもの、反対に300円ほどのクズの物もあり(失礼!)・・・。

   資料:『VANDOREN マウスピースとリードとの関連』です

■リードにまつわる不思議なはなし

木管楽器にはフルートを除いてリードというものが介在しています。そのリードにまつわる不思議な話。日常なにも感じていなくて、だけど、ちょっと振り返るとクラリネット吹きはおかしな世界に身を置いてきました。

クラリネットは一枚のリードを振動させて鳴らしますが、リードは1箱10枚入りでおよそ2000円。一枚の単価が200円ということになります。リードの選定は普通3箱から5箱くらい開けていたしますが、いいものがあることもあれば、全然ないこともあります。全然なくてもそれほどショックは受けず「あー、なかったか」で終わります。嘆いたり堕ちこんだりなどしません。 でも・・・およそこの世の中で使えるものがないかもしれない「もの」を売ったり買ったりする商売があるでしようか。リード1枚の値段でバナナがひと房買えますが、そのバナナが全部や半分でも腐っていたら大変ですよね。

リードのメーカーは「全部使えます」とも「一部使えない」とも言ってはいません。訊ねたところで最良のものをご提供しています、です。

ことリードに関してなぜクラリネット吹きはこの理不尽さを飲み込み、割の合わない買い物をするのだろうか。使い物にならないリードなどほかに再利用できません。アイスクリームのヘラにもならない。ツマ楊枝にもならない。大昔なら風呂釜の焚き付けに使えたかもしれませんがね・・・。

10枚入りのサロンパス、10個入りの石鹸セット、10本入りのボールペン・・・全部使えます!


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