インカレショートを終えて

京都大学4回生 西尾信寛

 

インカレショートが終わった。4回生になって京大杯に続き2回目の「勝ち」に行った大会。結果は7位。思ったことは、「ああ、オレかっこ悪いなあ。」

今年度は非常に前向きな気持ちでオリエンテーリングに取り組めている。4月、ユニバーセレに通過してからというもの毎日が充実しており、現在もすべてがうまくいっていて絶好調だ。勉強も放り出してしまったので自由にトレーニングができる環境が整っている。それゆえ体の調子も上がりっぱなしであり、留まるところを知らない。多分1回生の冬の絶好調の時期よりもさらに調子がよいものと思われる。とにかくすべてに前向きな中で迎えたインカレショートだったので、「勝てる」という確信があった。しかし負けた。なぜだろう?

とにかく反省し、次につなげることが大事だ。自分はどんな準備をしてインカレショートを迎えたのか。順を追って書いていこうと思う。

 

8月、チェコとブルガリアへの3週間にわたる長旅を終え、その足で富士に向かい、京大杯で思っていた通りの満足な結果を得た。それから2ヶ月、怪我することなく、ショート優勝という具体的な目標のもと日々研究と精神強化と体力強化を重ねてきた。当時の課題としては、ユニバーでもそうであったのだが「走りすぎてツボる(改善すべき課題)」、「○に近づいてからのすばやい動き(より磨きをかけるべき課題)」、「脱出方向への強い意識を持つ(レースの中で特に注意すべき課題)」があり、それらを吉田山の25回コンピや御所での20回コンピ練習を通してどうしたらよりうまくできるのかの研究をした。さらにはショートで使用される範囲の地図を入手しての地図読みと、プログラムの熟読による当日の動きのイメージ作りを行った。ショート競技で特に重要なことはリズムに乗ったオリエンテーリングをすることである。それにはタフな精神力と集中力を要するので、地図読みの際は毎回スタートに立つ自分をイメージし、まるでこれからレースが始まるかのように緊張し、テレインを駆けている姿を頭に思い描いて地図を読んだ。これらのトレーニングは非常に効果的である。スタートのイメージが十分できていると、1番がうまく取れるし、その後のレースの組み立てがしやすくなるからだ。

では、インカレショートまでオリエンテーリングそのものの結果はどうであったか。10月になり、大きな大会に出るチャンスは2度あった。O-CUPと筑波大大会だ。前者は2日間大会で、1日目はArrow1コンパスを使いこなせず直進を怠りぶっとんでしまったが、2日目は5JETに持ち替えて、レース全体を通して高いレベルでの集中力の維持、勝ちへの意欲を示すことができ、課題であったポスト周りでのすばやい動作を行うことと脱出方向への強い意識感覚を持つことが実践できていたと思う。また、何回か致命的なミスをしたにもかかわらずなかなかの成績であったことで、自分の体力と巡行速度に対する自信を得ることができた。しかし、直進中の現在位置のイメージがあいまいで時に止まってしまうこともあったので、地図と現地の対応が疎かになっていた。翌週の筑波大大会でも同じ失敗をしでかし、早急な対策が必要であったが、1週間前の太陽が丘の練習会でもまた同じことをやって楠本に2連敗を喫した。体の調子がいいだけに、もったいないところでタイムロスを重ねてしまうのは腑に落ちない。この時にはもうショートまで1週間という時期だったが、吉田山と御所での練習で自信を取り戻し、「できる」という確信を持って再び地図読みとイメージトレーニングに没頭した。

この時優勝するためのライバルとして具体的に考えていたのは笹谷と禅洲だった。中でもより手ごわいと考えていたのは笹谷で、笹谷に勝てば必ず優勝できると思っていた。自分にはこの夏世界の舞台で戦ってきた経験があるし、それらは何よりの自信として闘志を沸々と沸かせてくれるものに成長しつつある。笹谷にも勝てる。優勝できる!というイメージを常に思い描いていた。

このような準備を行った上でいよいよ当日を迎えたのである。なかなかタフな天候だったが、自分は冬山登山の格好をしていたので余裕だった。そのおかげか予選は非常に落ち着いてスタートすることができ、レーントップ通過に成功した。後藤とゴールで手をたたき合った。自分のレースの間だけ晴れたので運もよかったのかもしれないが、この時勝ちを確信した。決勝はラストスタートであり、エンターテイナーとしては非常にうれしい位置からのスタートであった。

しかし、走ってみれば結果は7位。つぼったのは1と4と6。ラスポ〜ゴールで笹谷を抜いたときも、優勝はだめかな、でも3位くらいには入っただろうという気でいたので、いきなり始まった表彰式に呆然としながらも悔しさより先に表彰されていない自分のかっこ悪さにへらへら笑っていた。

何がいけなかったって、ミスをしたから優勝できなかったのだ。それだけである。準備は誰よりもした。予選も決勝も精神、体ともに大変いい状態で臨むことができた。ユニバーでの経験がメンタル面をよりタフなものにしてくれたおかげで、レース中は終始「まだいけるぞ!」とアグレッシブな気持ちで集中することができた。ただ、青木よりたくさんツボってしまった。残念。「心・技・体」のうち「技」のバランスが悪かったのだ。もっともっと練習が必要なのだ。トライアングルの完成を目標に今後も課題に取り組んでいこうと思う。「心・技・体」がきれいなトライアングルになれば、インカレチャンプにより近づくことができるであろう。

ショートは終わってしまった。あーかっこ悪い。愛知インカレは学生最後のインカレだから、みんなにかっこいいところを見せられるようにしっかり準備します。そして、個人戦も団体戦もガッツポーズでラスポ〜ゴールを駆け抜けて優勝します。

 

* Messages to you *

オフィシャルのみなさんへ

いろいろ面倒を見てくださって本当にありがとうございました。面倒な仕事をやらせてしまったこともあり、迷惑をかけました。深く感謝です。

 

クラブのみんなへ

応援してくれてありがとう!みんなの割れんばかりの応援が次への1歩になりました。かっこいいところは見せられなかったけれど、西尾コールが聞こえたときは武者震いがするほどうれしかったです。併設のみんなは走れなくて本当に悔しい思いをしたでしょう。しかし、今回がすべてではない。次はインカレです。満足のいく準備をしていこう!

 

女子入賞者の皆さんへ

おめでとう!次こそは僕も優勝します。

楠本へ

 最後までレースに集中しろ!ビジュアルでヘラヘラ笑うやつがあるか!規則正しい生活をしろ!入賞おめでとう!次は勝つぞ!

 

新宅へ

 ショートは最後まで死ぬ気で走れ!山の中はスムーズだったのに、もったいないと思うぜ。気持ちが体より先に負けちゃいかん。「まだ行ける!」と思って力を振り絞れ!インカレでは共にハッスルしようぜ!

 

昇平へ

10位はすばらしい。もっと技術を磨いて一躍トップに躍り出ろ!

 

最後に自分へ

いつも謙虚に前向きに。今日できることは今からやり、明日への自信につなげよう。ひたむきな態度で日々を重ね、常に意識を高く持ち、夢への一歩を踏み出そう。努力は多分、報われる!

 

 

継続は力なり。