虎日記特別編 ワシらのXデー

15:30 自宅に帰ると、ヨメが何かゴソゴソしている。何かと思ったら、プラカードを
作ってるやないか。表は「バンザ〜イ!」裏は「そらそうよ!」ワシもいそいそと焼酎を
詰め込んで用意をした。

15:50 自宅出発。車の運転から緊張する。もし事故したら試合に行かれへんと思ったら
余計に緊張するやないけ。

16:30 甲子園着。警官がいっぱいおる。球場の周りも報道陣やら、ファンやらでいつもに
増して熱気が伝わってくる。サンTVの中継車を発見。よく見るとホイールまでサンTVの
ロゴが入ってるやないけ。しかもピカピカ!きっと今日のためにピカピカにして来たん
やろうな。続いてワシはトイレに行く。戻って来ると何とヨメがテレビからインタビューを
受けとるやないか。ワシが戻って来るとテレビカメラはそそくさと逃げて行った。「何を
しゃべっとったんや」と聞くと、プラカードの「そらそうや!」について聞かれとった
みたいや。毎日放送やったので、皆さんもチェックしてみてくれ。

16:50 バックスクリーン下のタイガース資料館に入ろうとヨメを誘うが、「そんなもん
いつでも見れる!はよ球場に入らなアカンやろ」と引っ張られながら球場に入場。
今日はいつもと違う席。いつもと違う階段を上がってとりあえず食事をとる。ワシはカレー
トッピングはメンチカツ、ヨメはいつもより上等の甲子園弁当。席についてみると、
いつもより10段以上高いので景色が全く違う。甲子園球場のデカさがより一層感じられる。
とにかく試合開始までに食べ終わらなくてはならないので、ガツガツ食べた。少し焼酎を
引っかけて、身体が温もってきた。

18:00 試合開始。スタメンはこちら。先発下柳は3回までパーフェクトピッチング。
打線は、初回から金本のタイムリーで先制。2回にも関本のタイムリーで1点、赤星の
セカンドゴロの間に1点取った。ヒットが出る度、点が入るたびに球場はいつもの倍ほど
盛り上がった。盛り上がってもワシはほとんど酒を口にしなかった。こんな大事な試合を
酔っぱらって見ては勿体ないと思ったからや。オシッコにもあまり行きたくなかったし。
3回からはゲームはこう着状態になった。阪神はノーヒット。読売もヒットは打つものの
下柳の好投で0行進。7回に入るとジェット風船が膨らみだす。そしてJFKのF登場。
またもや球場は割れんばかりの拍手。マウンドに上がった球児を待っていたのは、恐ろしい
数のフラッシュやった。投球動作に入るとスタンドから花火のようにフラッシュが光る。
幻想的な光景やが、球児の邪魔になるんちゃうかと心配やった。球場のアナウンスでも
やめてくれと放送していたが、全く収まる気配はない。それでも中断にならずに、球児は
3人をぴしゃりと抑えた。これで球児は、稲尾和久と菊地原の記録である年間最多登板数
78を抜いて日本記録となる79試合登板を達成。そしてジェット風船が舞い上がる。
ラッキー7、タイガースの攻撃は2アウト満塁から桧山・矢野と連続タイムリーで5対0と
なった。もう球場の誰もが勝利を確信していた。中日の結果なんて関係ない。8回は
JFKのJが三者三振。そして9回、いよいよこの回が終われば、待ちに待った歓喜の瞬間が
訪れる!ピッチャーは久保田。「コイツが出てくりゃ大丈夫〜」と景気のいい登場曲が
流れたが、いきなり矢野・高橋由伸と連続ヒットを打たれる。久保田よ、ホンマにお前は
最後まで変わらんな。しかし小久保を併殺でツーアウト、あと一人コールが球場に
響き渡る。しかし二岡にワイルドピッチで1点献上。おいおい〜と球場からは心配そうな
声が・・・しかし最後の打者山田花子、あ、間違った!阿部をレフトフライに打ち取って
ゲームセット!!!

ベンチから選手達が一斉に飛び出して来る。空を見るとヘリコプターが下がって来る。
後ろのオッサンを見ると、漫画で書いたような涙を流している。もう何がなんだか
分からないような大変な事になっていた。そして岡田監督が胴上げされる。1回2回3回
4回5回・・・何か夢を見てるようやった。岡田監督の優勝インタビュー。しかしマイクの
調子が悪くて、聞き取れない部分があった。マイクの手入れくらいしとけっちゅ〜ねん。
たどたどしくも、気持ちのこもった言葉やった。そしてチャンピオンフラッグを持って
球場を1周。六甲おろしの流れる中、紙テープや紙吹雪の舞う中、皆うれしそうに
手を振っていた。もちろワシらも紙テープを投げた。しかし生まれて初めて投げるので
なかなかきれいに投げる事が出来なかった。きっと前のお客さんに当たっていた事やろう。
この場を借りてお詫びします。日本シリーズのときはしっかり投げれるように、河川敷で
練習するぞ。1周が終わると球場内ではウェーブが起こった。5周くらいしたやろうか?
これも初めてやったので楽しかった。記念撮影やら何やらあって、内野席が人がいなく
なっても、ライトもレフトも皆なかなか帰らずに、この喜びを祝っていた

22:00 球場を出る。いつもの道と逆回りでライトスタンドの出口の方から帰った。
バンザ〜イ!のプラカードを手に歩いていると、「バンザ〜イ、バンザ〜イ」と声を
かけられる。見ず知らずの人とハイタッチをする。知らんおっちゃんが寄って来て、無言で
何かを手渡される。よく見ると赤飯・・・その時は喜んでいただいたが、後からヨメが
つぶやいた「あのおっちゃん、手洗ったんやろか・・・」その後、通りがかりの女の子が
ワシらのプラカードを指差して「それ、サンテレビに映ってたで。」と言った。「そら
そうよ!」が映っていたらしい。中央門前、高架下では無数のファンが集まって、
ヒッティングマーチを歌っていた。ものすごい盛り上がりやった。・・・とは言っても、
道頓堀のような傍若無人な騒ぎ方でなく、皆本当に優勝の喜びを分かち合う様子やった。
そう言えば「祝・優勝」と書いた提灯を持って歩いてるおっちゃんもおった。

23:00 帰宅。テレビをつけるとどのチャンネルもタイガース。さっきの女の子の言った事
が気になって録画したサンテレビをチェックすると、ばっちり映っているではないか!
ええ記念になった。夜通しテレビを見たい所やったが、ビールかけを見ている辺りから
本当に酔っぱらってしまって眠たくなって1:00に就寝。ヨメは2:00まで起きて一人で
しみじみ優勝の喜びをかみしめていたらしい。

今年は2003年とはひと味違うホンマもんの強さを見せてくれたタイガースやった。
1年間通して同じ形で闘えた事は、チームの自信にもなるやろう。チームの平均年齢も
若いし、来年からも楽しみや。とはいえ、まずは日本シリーズ。一昨年の悔しさをバネに
もう一度岡田監督の胴上げを見せてくれ!