【目的】オルソケラトロジーは、夜間に酸素透過量の高い特殊な形状のハードレンズを装用して、日中は裸眼で過すという画期的な近視矯正方法である。本邦にも、徐々に普及されて来ているが、その長期観察結果の報告は少ない。今回我々は、処方後1年以上の長期に渡って、経過観察できた症例の経過をまとめて報告する。
【方法】平成13年3月4日より平成16年2月28日の期間にオルソケラトロジー治療を行い、365日以上経過観察できた37人73眼につぃて、詳細に調べた。
【結果】治療開始時の年齢は8〜50歳で平均年齢は17.7歳で、内訳は男性12人・女性25人で、平均観察期間は667.2日だった。開始時に軽度近視眼(-3.0D以内)28眼、中等度近視(-6.0D以内)33眼、強度近視(-9.75D以内)12眼であった。73眼中66眼が、治療により裸眼視力が1.0以上になり、それまでに期間は1日〜373日で、平均35.7日であった。残り7眼も全て裸眼視力0.7以上見えた。軽度近視の方が早期に視力が回復した。レンズの処方交換は0〜4回で、平均0.62回であった。装用を一時中止した合併症としては、表層角膜炎・アレルギー性結膜炎などがあった。全期間を通じて重篤な合併症はなく、角膜内皮細胞数が減少することもなかった。
【結論】オルソケラトロジー治療は、早期に良好な裸眼視力が得られた。また、長期にわたっても、重篤な合併症もなく、安定した裸眼視力が得られるので、有効な治療方法と考えられた。
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